【産経抄】6月3日

 「保身」という言葉には、要領よく立ち回り、自分の身や名誉を守るというマイナスイメージがある。もとは「明哲保身」の四字漢語だった。聡明で道理に通じ、身の置き所を間違えない生き方を指す。
 ▼中国最古の詩編詩経』のなかにある、西周時代の名宰相、仲山甫をたたえた詩が出所だ。

・そう言う言葉は他にもたくさんありますね。「他力本願」とか「君子豹変」とか。
・以前、見たNHK番組に寄れば「鳴かず飛ばず」も元々「大器晩成」のような意味で、今主として使われる、否定的な意味は本来は誤用のようです。言葉って難しいなあ。

 思えば鳩山由紀夫首相ほど、「明哲」や「名宰相」といった言葉からほど遠い人物はいなかった。しかし、きのうの辞意表明を聞いて、あらためて「保身」の術には長けた人だなと思う。もちろん、マイナスイメージの方である。

・保身の術にたけた人はこんな短期間で退陣しません。しかも、鳩山氏は次期総選挙には出馬しないそうです(親族に地盤を引き継ぐ?)。意味不明な文章です。
・むしろ数々の失言(「人生色々、会社も色々」など)と公約破り(国債30兆円枠公約破りなど)をしながら長期政権を実現した小泉、リクルート事件で一時自民離党に追い込まれながら、大勲位まで得た中曽根、突然の辞任で国の内外に恥をさらしながら未だに保守のプリンス扱いされる安倍などの方が保身の術にたけた人では。まあ、彼らを支持する国民がバカなだけかも知れませんが。
・それと首相と同時辞任で自らの辞任を目立たなくした小沢氏も保身にたけた人でしょうね(苦笑)

 確かに首相は、辞任の理由に、米軍普天間飛行場の移設と「政治とカネ」の問題を挙げた。ところが、国益を損なったことへの反省はなく、自身の資金管理団体の虚偽記載問題では、相変わらず秘書に責任を押しつけ、自分は被害者のような言いぐさだった。

国益を損なったことへの反省はなく」
 産経の場合、アメリカの言いなりになることが国益ですから話になりません。保守のプライドはないのかと。

「相変わらず秘書に責任を押しつけ」
 リクルート事件自民党幹部議員が良くやったことですね。そのとき、産経は批判してましたか(嘲)

 揚げ句「5年、10年たてば必ず…分かっていただける日が来る」と自賛する始末だ。

 それに似たことは安保条約改定時の岸なんかも言ってました。で、鳩山だと叩き、岸だと評価する産経(苦笑)

 小沢一郎幹事長を道連れにしたことを評価する向きもあるが、小欄はそうは思わない。2人そろっての辞任が参院選にプラスに働き、自ら擁立した候補が続々と当選を果たせば、党内最大グループを率いる小沢氏の力はますます強まる。
 つまり首相は自分の名誉を守ると同時に、小沢氏の権力維持に手を貸したことになる。

・小沢さんには辞任してほしくなかったと言うことですか。辞任しなかったら「小沢独裁が強化される」「何故辞任せぬ」と叩いただろうに。叩きネタがなくなるからゆえの、ぼやきですか?
・「2人そろっての辞任が参院選にプラスに働き、自ら擁立した候補が続々と当選を果たせば、党内最大グループを率いる小沢氏の力はますます強まる」
 何という悲観主義。それでも自民党の友達か。小沢氏や民主党ですらそこまで楽観的じゃないのでは。本心なのか、民主党叩き、小沢叩きのための主張かは知りませんが。
・「小沢氏が辞任してもいわゆる小沢院政が行われるのなら意味がない、その点、注目したい」「小沢氏が辞任しても疑惑の説明責任は果たされていない、証人喚問に応じよ」「参院選で勝てば前回衆院選のように幹事長に復帰するのではないかと疑わざるを得ない」とかならまともな批判だと思うけどこれじゃあね(苦笑)

 仲山甫には、「小心翼翼」(注意深く慎み深い)との賛辞もあった。「保身」と同じようにこの言葉も現代の日本では、びくびくしすぎると、悪い意味で使う。
 参院選に臨む民主党の改選議員の多くは、鳩山首相のもとでは、とても戦えないと不平たらたらだった。今回の辞任劇は、そんな「小心翼々」の議員たちの「保身」につながるのだろうか。

 自民党時代にも「安倍首相のもとでは、とても戦えない」「福田首相のもとでは、とても戦えない」という「小心翼々」の議員たちがいました。結局、安倍、福田辞任劇*1はそんな「小心翼々」の議員たちの「保身」につながりませんでした。後任の麻生氏の失言などが酷すぎたからです(皮肉)

*1:ただし安倍氏の辞任理由は公式には、政権内外の批判ではなく体調不良ですが。