【産経抄】7月5日

 4年前のちょうど今ごろ、パリ郊外に住む16歳の少女2人が家出して、ポーランドで警察に保護された。同じ学校に通う2人は、日本のアニメやロックの大ファンだ。陸路でロシアを横断し、船であこがれの国、日本に渡る計画だったという。

 いくら、あこがれの国だからって家出はダメでしょう。家出事件を書き出しにしなくても良いのに。

 もともとフランスには、日本文化の愛好家が多い。19世紀には、浮世絵などの日本美術が注目され、印象派の画家たちに影響を与えた。1900年のパリ万博に参加した川上一座のマダム貞奴も、日本ブームを巻き起こした。シラク前大統領の相撲好きは有名だし、柔道人口でも「本家」をはるかに上回っている。

 日本文化ってだけで浮世絵、相撲、柔道、アニメと全然性格の違う物を一緒にするのはいかがな物でしょう。

 ただ日本のアニメ人気は、フランスだけにとどまらない。アニメ研究者の櫻井孝昌さんによると、ローマの大学生に「日本のアニメは好きか」と社交辞令で聞くと、「僕たちは日本のアニメで育ってるんですよ」と切り返された(『アニメ文化外交』ちくま新書)。

 こう言うアニメ関係者の話はどこまで信用できるんですかね。全くの嘘ではないでしょうが、宣伝目的でかなり誇張されてるのではという気もします。

 アニメやマンガを通して、親日家を増やす。外交のツールとしてもっと活用せよ、と櫻井さんは説く。大いに賛成する。

 同感です。外交ツールとして用いる日本文化を、アニメやマンガに限定する必要はないでしょうが。

 ただ問題は、海外でもてはやされている、最近の日本のマンガ作品に、ほとんど縁がないことだ。日本通の外国人青年に、そんなマンガも知らないのか、とバカにされる光景を想像すると、ちょっとつらい。

 別にいいじゃないですか。中年オヤジが無理して若者にあわす必要はありません。まともな若者ならそんなことでバカにしたりはしないでしょう。
 「サザエさん」「ドラえもん」とか抄子が好きなマンガ・アニメを言えばいい。