【日本の面影】ノンフィクション作家・工藤美代子、「民意」の持つ重さ(追記・訂正あり)

老人は「金日成主席様のおかげでこんな素晴らしい家に住み、おいしいご飯が食べられます。すべては主席様のご配慮です」と涙をこぼした。
 あなたがその家に住めるのは、あなたが一生懸命に働いてきた結果でしょうという言葉がのどまで出掛かったのをのみ込んだ。この老人だって実はそう思っていても口に出せるような社会ではないと知っていたからだ。

・しかし、「日本の戦後の経済発展は一生懸命、僕らのお父さんやおじいさんが働いてきたから」「別に英霊なんて死人のおかげでも天皇陛下のおかげでもない。だって連中は会社で働いてないじゃん(嘲)」とか言うと怒り出すのがおそらく産経。
・ちなみに「主席様」の部分をそっくり「天皇陛下」に書き換えると戦前の軍国主義者のセリフと同じになるな。「会社」に書き換えるといわゆる「社畜*1のセリフになる。

 1994年に金日成が亡くなったとき、私はひそかに、あの国に変化が起きるに違いないと期待した。人民は祖国統一のために立ち上がり、体制は崩壊する。そのときこそ、今まで虐げられた人々は自由を手にできる。ところが、金正日は父親の跡を継いで、やすやすと指導者の座に就いてしまった。
 今また、彼の後継者が取り沙汰(ざた)されている。報道のように3代目への世襲が決まったのなら、北朝鮮の貧困や社会制度に対する同情はもはや無用だろう。

 お前の思い通りにいかないからって「同情なんかしない」と北の人をdisるんじゃねえよ。この文章を掲載した産経共々、下品な女だな。ミャンマーとかスーダンとか他の独裁国家の民衆にも同じこというのかしら?(「独裁妥当にたちあがれ、酷い目にあっても立ち上がらない、お前たちが悪い」)
ブラック企業の不正も、企業は悪くない、不正撲滅に立ち上がらない、社員が悪いと。
お前に不幸があっても同情なんかしねえからな。

【追記】
工藤先生の経歴をウィキペから引用しコメント。

『工藤写真館の昭和:本所区東両国』(朝日新聞社、1990年、のちに講談社文庫。1991年講談社ノンフィクション賞受賞作)
『悲劇の外交官:ハーバート・ノーマンの生涯』(岩波書店、1991年、のちにちくま文庫)

読まないと何とも言えないが昔はまともな本を書いていたようだ。しかも出版社がウヨが大嫌いな朝日と岩波。岩波のは多分テーマがマッカーシー赤狩り批判(苦笑)。猫をかぶっていたのか、転向したのかは不明だが。どっちにしろ過去と今の予想外の違いっぷりに頭が痛い。
それが最近は『関東大震災:「朝鮮人虐殺」の真実』(産経新聞出版、2009年)という歴史修正主義本を公然と書き、国家基本問題研究所評議員をやるまでにバカウヨ化したわけだ。

*1:そこまで酷い会社はないと思うがどうだろう?