新刊紹介:「前衛」12月号

「前衛」12月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/publish/teiki-zassi/zenei/zenei.html

 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは12月号を読んでください)

■「職場・労働者の目から日本の政治をとらえる:職場で光る党綱領の生命力」(山下芳生
(内容要約)
・山下氏は党参議院議員・職場対策委員会責任者。この文章は氏が行った講演をまとめたもの。職場支部の重要性を訴えるとともに、党中央も支部発展のためあらゆる手段を尽くしたいとしている。

■「憲法との矛盾広げる民主党の外交・安保路線」(山崎静雄)
(内容要約)
 いわゆる「新安保防衛懇談会報告書」への批判。報告書が「武器輸出三原則」「非核三原則」の見直しを主張している事を厳しく批判。

参考
赤旗「新「安保防衛懇」報告・軍事大国化めざす危険な挑発」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-08-28/2010082802_01_1.html

■「宇宙の平和研究・開発の道か軍拡・軍事利権への道か」(吉井英勝)
(内容要約)
自民、公明、民主がめざす宇宙の軍事利用に対する批判。

参考

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-03-18/2010031814_01_1.html
防衛省宇宙予算 3年で1.4倍にも、10年度案609億円
 吉井議員は、宇宙分野での軍拡が進行している実態についても質問しました。
 宇宙関連予算のうち防衛省情報収集衛星(事実上の軍事偵察衛星)関連予算を合計した“軍事分野”が、2008年の宇宙基本法成立以後、金額も比率も増加しています。
 吉井議員は、とくに防衛省の宇宙予算が、08年度の423億円から10年度案の609億円へと、わずか3年で1・44倍に急増していることを指摘し、同法が宇宙軍拡のためのものだと批判しました。

■「急がれる最低賃金の改善 なくそうワーキングプア!」(伊藤圭一)
(内容要約)
 最低賃金が引き上げられたが、連合、全労連がめざす全国一律時給1000円に比べればまだまだである。現状の最低賃金は、生活保護を受給せざるを得ないというおかしなものになっている。「生活保護を受給せずとも生活できる金額=最低賃金」「憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」ができる金額=最低賃金」であるべきである。もちろん最低賃金引き上げは短期的には中小企業の経営を直撃する可能性があるがそれは、中小企業への融資制度など、別途解決すべき問題であり最低賃金引き上げを否定すべきではない。長期的には最低賃金引き上げは内需を温め、中小企業の経営にも好影響を与えるであろう。

■「貧困大国・日本と生活保護の課題」(吉永純)
(内容要約)
・日本はもはや貧困大国である。
民主党政権が「子ども手当」「高校無償化」「母子加算復活」など、一定の貧困対応をしていることはそれなりに評価できる。但し未だに生活保護の適正化などといった問題は存在する。
政令指定都市会が生活保護の改革案を提唱したがこれは、「失業者や低所得者生活保護から排除する危険な構想」であり批判せざるを得ない。

参考
赤旗生活保護支給「3〜5年」に?。「有期限化」やめて、緊急集会」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-11-10/2010111015_02_1.html
朝日「生活保護「働ける人は受給期限を」指定都市市長会が要望」
http://www.asahi.com/politics/update/1020/TKY201010200318.html

■特集「若者のいま―雇用・就職の不安定のもとで」
【増大する若者の不安定と社会の変容(乾彰夫)】
(内容要約)
若者の生きづらさの背景には「就職難や就職しても非正規であったりすることによる生活不安」「身の回りに自分の悩みを相談できる人間(地域社会であれ、労働組合運動であれ何であれ)がいない」という問題がある。若者の生きづらさを解決するにはこうした問題を解決する必要がある。

【過熱・長期化する就職活動と大学生活・教育(小山悟)】
(内容要約)
 就職活動の過熱・長期化により学生は疲弊している。こうした異常な就活は変えていく必要がある。

ブラック企業のひろがりとたたかう若者たち(河添誠)】
(内容要約)
 河添氏は首都圏青年ユニオン書記長。ブラック企業と青年労働者との闘いについての説明がされている。

■特集「会社法見直し、「従業員代表制度」を考える」
会社法見直し・「従業員代表制度」をどうみるか(生熊茂実)】
【労使共同決定とガバナンス問題―ドイツの経験(長嶋和彦)】
【問われる会社法改正の論点(大島和夫)】
(内容要約)
民主党が主張する「従業員代表制度」(ドイツの制度がモデル)を中心に会社法改正の動きを分析。「従業員代表制度」に「絶対反対」ではないが日本とドイツでは国情が違うので日本でうまくいくとは限らないので十分な議論が必要。

参考
濱口桂一郎「日本における労働者代表制の構想」(←後で読む予定)
http://homepage3.nifty.com/hamachan/keieiminshu09.html

■「ラグビーはなぜ人をひきつけるか・2019ワールドカップ開催と日本のめざす方向」(真下昇
(内容要約)
 真下氏は日本ラグビー協会副会長。ワールドカップ開催に当たっての今後の方針などを説明。

■「民主政権「スポーツ立国戦略」の特徴と問題点」(広畑成志)
(内容要約)
・民主政権「スポーツ立国戦略」は大筋で評価できるが予算措置が十分でないなどの問題点がある。

■論点
【沖縄で大量発見相次ぐ米軍・旧日本軍の未使用弾(浦崎暁)】
(内容要約)
 国の不発弾対策は不十分であり、さらなる取り組みが必要。


【特捜検察の証拠隠滅が示す抜本改革の必要性(阿部芳郎)】
(内容要約)
 検察不祥事について、新たに発足した検討会に注目している。最低限、捜査の可視化がはかられてしかるべきである。

■暮らしの焦点
【働く者の権利を脅かす「地域主権改革」(松山勉)】
(内容要約)
 民主党地域主権改革は、「補助金の一括交付金化」(id:kojitaken氏や赤旗は批判している)など様々な問題点があり、とても評価できない。

参考
赤旗
「政府がすすめる「地域主権改革」国の責任・自治体まかせ、全労連がシンポ」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-11-04/2010110405_01_1.html
「なぜいま「一括交付金」?。民主代表選で議論集中」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-09-09/2010090901_04_1.html
「地方への国の補助金、8割が社会保障・文教関係」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-09-06/2010090602_01_1.html

kojitakenの日記「問題含みの「一括交付金」。ましてや小沢一郎が唱える金額の削減など論外」
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20100909/1283988965

■文化の話題
【美術:反安保の異色アート・ドキュメント(武居利史)】
(内容要約)
ドキュメンタリー映画「ANPO」とこの映画でとり上げられた芸術家の紹介。

参考
「ANPO」公式サイト(http://www.uplink.co.jp/anpo/

【映画:3D映画は救世主になりえるか?(伴毅)】
(内容要約)
・3D映画「アバター」は興行的に成功し、作品も高い評価を受けたが、それは脚本が3Dをうまく生かしていたから。3Dにすれば成功すると考えるのは甘い。

【演劇:劇団民芸公演『どろんどろん』(関きよし)】
(内容要約)
劇団民芸の「どろんどろん−裏版「四谷怪談」−」の紹介。

参考
劇団民芸「どろんどろん」(http://www.gekidanmingei.co.jp/2010doron2.html

■メディア時評
【新聞:新聞週間に考える新聞の役割(金光奎)】
(内容要約)
・全国紙は自社の宣伝色が強すぎる。地方紙の方に見るべき記事が多かった。

【テレビ:日テレ労組がストライキ(沢木啓三)】
(内容要約)
・日テレ労組のストライキを好意的に評価。
・とは言え放送に大きな支障が出ない形でのストなので、気づかなかった人も多いだろう。
 濱口先生などは「支障が出ても構わない」みたいなこと(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/but-32e1.html)言ってますがいきなりそこまでは行けないでしょう。まずはジャブですよ。
 それとプロ野球のストの時も「高給取りの癖に」と言う奴はいましたからね(二軍は高給ではないが)。テレビ屋が放送に支障の出るストしたら「アナは独立して高給取りタレントになる奴もいるのに」と言う奴が絶対出てくるんだろうなあ。みんながそうじゃないのに。
・なお日テレ以外でも社員の待遇ダウンを計画してるテレビ局(TBSなど)は少なくないため今後の放送業界の動向(日テレ同様のストがあるのかなど)が注目される。

■スポーツ最前線
ハンドボール・世界とたたかえる力を」(高山奈美)
(内容要約)
 ハンドボールは「宮崎大輔の「スポーツマンNo.1決定戦」での活躍」「いわゆる中東の笛事件」で注目を集めたが、後が続かなかった。
 是非とも頑張ってメジャースポーツになって欲しい。