新刊紹介:「歴史評論」12月号

歴史評論」12月号(特集「古代の生命と環境」)の全体の内容については「歴史科学協議会」のサイトを参照ください。今回は上手く要約できなかったのでほとんどタイトルだけの紹介。

http://wwwsoc.nii.ac.jp/rekihyo/


■「生命と環境を捉える〈まなざし〉−環境史的アプローチと倫理的立場の重要性」(北條勝貴)


■「懐妊の身体と王権―平安貴族社会を中心に―」(服藤早苗)
(内容要約)
中宮彰子*1中宮定子*2の懐妊を題材に平安貴族社会における天皇の后の懐妊について論じる。


■「疫病と古代国家」(有富純也)
■「都城と環境」(馬場基)
■「穢観念と生命観」(片岡耕平)
■歴史のひろば「兵士たちはなぜ耐えたのか:フランスの第一次世界大戦史研究」(松沼美穂)


■文化の窓「郷土と偉人:戦争がつくった「偉人」と郷土」(猪飼隆明)
(内容要約)
今回取り上げられる郷土の偉人は大分県竹田市の「軍神」広瀬武夫
広瀬の神格化過程はと言うと
・1904年:広瀬が戦死
・1910年:万世橋駅前に広瀬の銅像が建つ。国語の教科書に海軍軍人・小笠原長生*3の文章「広瀬中佐」が掲載される。
・1913年:唱歌に取り上げられる
・1935年:広瀬神社の誕生
筆者は広瀬を地元が担ぎ出していることは観光振興で軍国主義礼賛ではないのだろうとしながらも、広瀬のような存在を担ぎ出していいのかと疑問を表明。まあ、産経記事は明らかに戦前万歳の方向だろうからな。
・いくら観光振興とは言えそれはちょっとまずいんじゃねえかというのは色々ある。広瀬とはまた性格が違うが青森のキリストの墓(明らかに事実じゃないよ)とか。

参考
産経新聞
「日本人の心思い出して」広瀬中佐ブロンズ像の除幕式
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/101022/trd1010221910005-n1.htm
「先人の偉業に学ぶ、広瀬中佐の故郷・竹田でフォーラム」
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/101023/trd1010232119020-n1.htm

*1:藤原道長の長女。一条天皇中宮後一条天皇後朱雀天皇の生母

*2:藤原道隆の長女。一条天皇中宮。脩子内親王敦康親王・媄子内親王の生母

*3:東郷平八郎神格化に大いに貢献したことで知られる人物