新刊紹介:「前衛」10月号

「前衛」10月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/publish/teiki-zassi/zenei/zenei.html

 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは10月号を読んでください)

■座談会「救援・復興へ 被災者の願いにこたえて、政治を動かす日本共産党の国会論戦」(穀田恵二塩川鉄也大門実紀史高橋千鶴子、山下芳生
(内容要約)
 うまくまとまらなかったので、赤旗から国会論戦を紹介してみる(ただし座談会メンバーの国会質問に限定)
【塩川議員】

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-21/2011072103_02_1.html
被災者の願い 国はこたえよ、塩川議員の質問 衆院予算委
 20日の衆院予算委員会で、東日本大震災からの漁業・水産業の早期復旧や、災害を繰り返させないまちづくり、宅地の液状化被害対策を取り上げた日本共産党塩川鉄也議員。救援・復旧対策の遅れをただし、被災者の願いを前へ進める気迫に満ちた質問となりました。
 塩川氏は、岩手県山田町の漁業関係者が、10月のアキサケ漁の「旬」を逃さないようにと全力をあげていることを紹介。魚市場、製氷所、魚の前処理施設、冷凍冷蔵庫などが機能して初めて水揚げできることを指摘し、インフラの一体的な早期復旧に向けて政府の支援策をただしました。
 鹿野道彦農林水産相は「生産適期を十分意識しながら対応していかなければならない」と答弁。漁業・水産加工、流通の一体的支援に取り組んでいくと表明しました。
 塩川氏は、水産業共同利用施設の復旧を支援する事業の事業者負担が重過ぎると追及しました。


 塩川 3分の1の事業者負担は大変重い。早期復旧の妨げになっている。
 農水相 地方財政措置でできるだけ負担を軽減していきたい。事業者負担を少なくする考え方で取り組んでいかないといけない。


 塩川氏は、一つひとつの事業者負担も少なくなく、全部積み上げるとぼう大な負担になると指摘。2カ月前の参考人質疑で、岩手県漁連の大井誠治会長が「自助努力で立ち上げることは非常に難しい」として国の全面的な財政支援を求めたことを紹介し、「この声に応える措置が2次補正で行われているのか問われている」と追及。菅直人首相に、補正予算案に盛り込まれた8000億円を使えばすぐにできると迫りました。


 塩川 全面支援について決断すべきだ。
 首相 一体的に復旧する必要があるというのはその通りだ。旬に間に合うものは財政面で遅れることがないようさらにつめてもらいたい。
 塩川 これから相談という答弁でどうして地元が納得できるか。
 首相 指摘されたことを実現するためにどういうやり方が一番適切なのかを検討させたい。予備費で必要であれば、きちんと対応することにさせていきたい。


 塩川氏は、「二度と津波で犠牲者を出さない」と高台移転を希望している住民に、どう応えるのかとただしました。


 国交相 防災集団移転促進事業で国が4分の3を負担し、市町村負担は特別交付税などで措置する。
 塩川 あれもこれも地方財政措置では総額にすれば自治体負担が大変重くなる。


 塩川氏は、岩手県山田町の沼崎喜一町長が「国がどこまでやるか見えないと町の復興計画も絵にかいたもちになる」と話していたことをあげ、国による万全の財政措置を求めました。
 また、塩川氏が、住民は、津波で被災した土地は国が買い上げてほしいと求めていると指摘したのに対し、平野達男復興相は「復興構想会議から弊害もあると指摘されている」と答弁。塩川氏は、そんな提言を踏まえていては被災者の声に応えることはできないと批判しました。


 塩川 総理が前向きの措置を決断すべきだ。
 首相 高台移転を含めて自治体の復興計画を国がしっかりサポートしていく。それにより自治体財政が破たんすることのないよう、きちんと手当てしたい。国の買い上げも適切なものはその手法を使っていきたい。


 塩川氏は、「現状では、国が地方をサポートしているのではなく、動けなくさせているという声があがっている。抜本的な対策を強く求める」と述べました。
 塩川氏は、広範囲に広がる液状化被害を取り上げ、今までにない対策が求められているとただしました。
 菅首相は「今回のような大きな液状化被害は初めてだ。法律的仕組みも含めてしっかり対応できるように関係省庁に指示している」と答えました。
 液状化による宅地被害について大畠国交相は、1万9300戸にのぼっていると答弁。塩川氏は、被害戸数は関東地方だけで東北では把握されていないことなどをあげ、正確な実態把握を要求。大畠国交相は「しっかりと調査したい」と答えました。
 塩川氏は、液状化被害は1960年代の新潟地震から広く認識され対策の必要性が叫ばれてきたにもかかわらず、宅地に対する対策が遅れをとっていたことについて、地盤工学会の提言(素案)も示しながらただしました。


 塩川 国の(液状化への)対策の遅れが重大な被害につながったのではないか。
 国交相 宅地への(液状化の)情報提供など対策が遅れたことは率直に認めたい。


 塩川氏は、復旧のための費用が1戸あたり1000万円といわれるほど、経済的負担は深刻だと指摘し、公的支援制度の創設を求めました。


 塩川 二重ローン対策とともに国として直接的な公的支援を求めたい。
 首相 液状化の予防的な措置も重要。公的インフラ(社会基盤)と合わせた復旧支援が素早く対応できる対策だが、新たな制度を含めて検討が必要になっている。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-23/2011072302_02_1.html
借り上げ仮設住宅厚労省通知、地域に見合った家賃に、塩川議員要求
 厚生労働省は22日までに、民間賃貸住宅を借り上げ仮設住宅とする場合の家賃について、地域の実情に見合った柔軟な額とするとともに、すでに入居している人にもさかのぼって適用するよう各都道府県に通知しました。
 厚労省は、家賃については「参考金額」として、「月額6万円」を通知で示していました。ところが、避難先の都県では、例えば家賃相場の高い埼玉県が4人家族で「上限6万円」とするなど、実態に合わないものとなっており、日本共産党塩川鉄也議員が11日の衆院復興特別委員会で「地域の実情や家族構成を配慮し、柔軟に対応するべきだ」と是正を要求。
 また、すでに被災者自らが契約し家賃を支払った分もさかのぼって適用するよう求めていました。これに対し細川律夫厚労相は、柔軟な対応を自治体に求めたいと述べていました。
 今回の通知(15日付)は家賃について、地域の家賃相場や家族数、要介護者の有無などを勘案し「柔軟なうえにも柔軟な対応」を要求。基準額を設定している場合は、その水準で入居可能住宅が相当程度あるかを確認し、少ない場合は基準額を改定することや、基準額を絶対的な上限とせず、被災者の立場に立って幅をもたせるよう求めています。
 通知はまた、被災者自身が賃貸契約し家賃を払っていた分についても、「国庫負担が行われる」と明記。すでに入居している被災者にも、遡及して適用するよう求めています。
 これまで遡及適用しないとしていた宮城県は、通知にそって3月分まで遡及適用するとしています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-04/2011080404_02_1.html
避難住民の減免税法案など可決、塩川議員 実態把握を要求
 衆院本会議は2日、原発事故災害の避難住民の固定資産税など地方税を減免する法律案と、避難先市町村で行政サービスを受けられるようにする法律案をそれぞれ全会一致で可決しました。
 採決に先立つ総務委員会の質疑で日本共産党塩川鉄也議員は、避難者の実態を把握して支援策を行うよう求めました。
 総務省久元喜造自治行政局長は、原発事故避難者は11市町村で10万人を超え、県外避難は約5万人にのぼると答弁。塩川氏は、一人暮らしや高齢者世帯も把握されておらず、孤立死などが懸念されるとして「実態を把握して孤立化防止対策を進めるべきだ」と強調しました。
 片山善博総務相は「避難元の自治体が避難先の自治体と連携をとって孤立化を防ぐ必要がある。問題提起をして解決できるようにしたい」と答弁しました。塩川氏は避難者の入居先が全国に散在する民間住宅借り上げや公的住宅が多いことにふれ「避難実態の把握と支援策の拡充が必要だ」と指摘しました。
 また塩川氏は地方税の減免について、対象となっていない特定避難勧奨地点も年間積算放射線量が20ミリシーベルト超で、免除対処となっている計画的避難区域などと同じであり、減免とするよう要求。片山総務相は特定避難勧奨地点は一律に避難ではないので同じようにできないとしながらも、「市町村に減免措置をしてもらうよう助言したい」と述べました。
 塩川氏は、自治体が減免しやすいように減収額を埋める地方財政措置を求めました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-10/2011081004_01_1.html
「エアコン設置を促す」、被災者入居公的住宅、塩川氏の要求に政府
 日本共産党塩川鉄也議員は9日の衆院総務委員会で、被災者が入居している公的住宅に速やかにエアコンを設置するよう求めました。片山善博総務相は、「被災地支援連絡会議の場で、(公営住宅のエアコン設置問題を)取り上げる」と述べ、設置を促す考えを示しました。
 仮設住宅は、災害救助法にもとづき国庫負担でエアコンが設置されますが、公的住宅では仮設住宅扱いの手続きが必要なため設置が遅れています。
 塩川氏は公的住宅への被災者の入居、仮設扱い、エアコン設置の状況を質問。各省は「国家公務員宿舎へのエアコン設置の費用は国庫負担の対象となることを周知している」(財務省)、「雇用促進住宅については、災害救助法とは別に雇用・能力開発機構がエアコンを設置するよう7月25日付で通知した」(厚労省)、「関係都道府県に(UR賃貸住宅・公営住宅を)仮設住宅として借り上げるよう依頼している」(国土交通省)などと答え、迅速に対応することを約束しました。
 塩川氏は、住生活基本法でも、お年寄りや被災者など住宅困窮者の居住の安定確保を掲げていることを指摘。「“仮設扱い待ち”にならず、被災者の居住の条件を改善するため、国や自治体、公的機関が直ちにエアコン設置を行うべきだ」と強調しました。

【大門議員】

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-01/2011070102_03_1.html
被災マンション「共用部分」 修理にも国庫補助、現地調査をもとに質問 大門議員の提起実る、最大で52万円 厚労省が通知
 厚生労働省は30日、東日本大震災で被災した各都県に対し、震災で被害を受けたマンション共用部分の修理について、災害救助法の「住宅応急修理制度」を適用することを明記した通知を出しました。被災者の要求と日本共産党大門実紀史参院議員の国会での質問が実ったものです。
 住宅応急修理制度は、半壊・半焼した被災マンションの居室など専有部分の応急修理へ最大52万円を補助するもので、エレベーターや階段、廊下など共用部分は対象外でした。
 大門議員は震災後、仙台市などでの現地調査で寄せられた声をもとに、「共用部分も対象にすべきだ」と参院復興特別委員会(6月15日)で要求。政府は、「従来の考え方を変える」(大塚耕平副大臣)とのべ、共用部分も対象に加えることを表明していました。
 通知は、「『専用部分および共用部分(当該世帯の持分)』が半壊または半焼」「共用部分の応急修理が日常生活に必要欠くことのできない」―のいずれにも当てはまる場合、1世帯当たり最高52万円が国庫負担の対象となると明記し、各市町村に対し都県が情報提供するよう求めています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-26/2011072602_02_1.html
被災者救済に使え 大門議員、予備費8000億円
 2011年度第2次補正予算の財源をつくる剰余金処理法案が25日、参院本会議で民主、自民、公明などの賛成多数で可決、成立しました。日本共産党は反対しました。
 採決に先立つ参院財政金融委員会で日本共産党大門実紀史議員は、約2兆円の2次補正予算のうち、使い道を定めない予備費が8000億円も計上されている問題を取り上げ、二重債務解消など切実な被災者の要求実現に使うべきだと求めました。
 大門氏が、このままでは年内は使われない可能性があり、迅速な復興につながらないと指摘したのに対し、野田佳彦財務相は「3次補正までの間に何かあればいつでも対応したい」などと答えました。
 大門氏は、「被災地の要求がすでに実現されているなら分かるが、不十分なまま、多額の予備費の計上というのはおかしい」と批判。その上で、二重債務問題の政府の救済スキーム(枠組み)が中堅企業しか救わない投資ファンド方式から公的機構を使う方式へと前進したが、住宅ローンを含めて6000億〜7000億円の債権があるのに、債権の買い取り規模が最大でも二千数百億円規模にすぎないと指摘。「あまりにも少なく、これでは救われないと思う人が出ている。政府としてこれ以上出資しないのか」と追及しました。
 野田財務相は「機構(中小企業基盤整備機構)の手持ちのお金が基本になる」と述べ、追加出資には言及しませんでした。大門氏は「政府の案のままでは多くの中小業者は救われない」と批判しました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-29/2011072902_01_1.html
二重債務解消、自公案参院委で可決、大門議員「被災者救済につながる」
 被災地の二重債務解消に向けた政府のスキーム(枠組み)と自民・公明両党案を審議していた参院復興特別委員会は28日、自公案について、一部修正のうえ民主党国民新党を除く各党の賛成多数で可決しました。日本共産党は、自公案は被災者救済につながるとして賛成しました。
 自公案は公的機構をつくり、2兆円規模の買い取りを行うもの。修正では、適正価格による買い取りや一定期間後の債務免除などが明記されました。
 採決に先立つ質疑で、日本共産党大門実紀史議員は、政府案では被災事業者の相談・支援体制が弱すぎると指摘。大門氏が「金融機関に新規融資を断られた中小事業者にも親身に相談に応じるのか」とただしたのに対し、高原一郎中小企業庁長官は「そういった相談センターにしていきたい」と述べました。
 さらに大門氏は、中小企業基盤整備機構が持っている1500億円しか政府資金を用意しないのは問題だとして、「幅広く被災事業者を支援するためには、十分な買い取り規模が必要だ」と強調しました。
 桜井充財務副大臣は「2次補正予算の8000億円の予備費を必要であればすぐに使って十分な資金を準備する」と答弁しました。
 大門氏は債権の買い取りによって生じる損失について、「最終的な国民負担を最小化することが必要だ」として、「預金保険機構からの出資を検討すべきだ」と主張。桜井副大臣が「現在の法律では難しい」と難色を示したのに対し、大門氏は「預金保険機構の中に、新しい法律に対応する『新勘定』を設ければできる。政府も被災者を救うという一点で、さまざまなアイデアを参考にしてほしい」と強調しました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-10/2011081002_02_1.html
二重債務 全面支援を、大門議員 政府・日銀に求める
 日本共産党大門実紀史議員は9日の参院財政金融委員会で、被災地の二重債務解消に向けて参院で可決された野党提出法案の実現を求めるとともに、全面支援を政府と日本銀行に求めました。
 大門氏は「中小事業者にとって、この2、3カ月が廃業、倒産か再建に踏み出せるのか分かれ目になる」と述べ、日銀に対し、地域金融機関の新規融資を後押しするための資金繰り支援を求めました。
 白川方明日銀総裁は「秋以降、適切に対応したい」と述べ、4月に実施した資金供給策を継続する考えを表明しました。
 大門氏は、金融機関が3カ月から半年程度の返済猶予や条件変更をしているケースが多く9月から返済を迫られているとの相談が寄せられていることを紹介し、債権買い取りの「機構」の発足を待たずに、金融機関に対し返済猶予の継続を要請すべきだと強調。内閣府の和田隆志政務官は「9月はメルクマール(指標)であり、再度要請することを検討する」と答えました。
 大門氏はまた、「機構」が買い取った被災事業者が、金融検査マニュアル上、「破たん懸念先」などのままでは新規融資も受けられなくなると述べ、債務者区分のランクアップが必要だと指摘しました。

【高橋議員】

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-21/2011072102_02_1.html
補助金支払い遅すぎる、高橋議員に答弁 「大車輪でやる」、衆院災害特
 被災者生活再建支援金の国庫負担率を現在の5割から8割へ引き上げる改正案が20日、衆院本会議で全会一致で可決されました。
 これに先立ち衆院災害対策特別委員会の質疑で日本共産党の高橋ちづ子議員は、「被災者の住まいと生業(なりわい)の再建、個人補償の前進がつくれていない。思いきった改善を求める」とのべました。
 高橋氏は、同制度が創設後12年間で支給世帯が1万8千世帯にとどまっているのは、大規模半壊以上しか対象とならないなど対象枠や認定基準に問題があるからだと指摘。「何の支援も受けられない被災者がなくなるよう、法改正を目指すべきだ」と強調しました。
 平野達男防災担当相は「これまで支給してきた地域との不公平感や、大きく壊れたところにまず手厚くという考え方もある。これから検討されるべき課題」だと答弁。高橋氏は「従来と同じ答弁だ。不公平感をいえば、一歩も前進しない。いま起こっている事態からみて前進をはかるべきだ」とただしました。
 高橋氏は、被災地に財政支援などを行う激甚災害法について、補助金の支払いが遅すぎると指摘。昨年3月のチリ津波で被災した宮城県気仙沼、塩釜などの漁協によれば、補助金が支払われたのは今年3月末だとして、「今回の大災害で同じペースではもっと遅れる。特別な体制をとって一刻も早く支払えるようにすべき」だとのべました。
 平野防災相は「査定を大幅に簡素化した。被害額の多い沿岸地域の査定をまもなくはじめる。大車輪でやるべく準備を進めている」と答えました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-27/2011072702_04_1.html
国の介入で全面賠償を、衆院復興特委 高橋議員が追及
 日本共産党の高橋ちづ子議員は26日の衆院復興特別委員会で原子力損害賠償支援機構法案について、「実質破たんしている東電を救済し続けるのではなく、国の介入で全面賠償と電気の安定供給を両立させるべきだ」と主張しました。
 高橋氏は、東電は全国発電量の3割、原子炉も最も多いと指摘した上で、東電が資金援助を申し出る場合に策定する特別事業計画で原発の扱いをどうするのかと質問。海江田万里経済産業相は「エネルギー政策の検討状況もふまえ、電力の安定供給の観点で適切かどうか精査する」と述べるにとどまりました。高橋氏は、原発をどうするのかあいまいにして進めてはならないと強調しました。
 高橋氏は、原発被害への賠償について形の上では東電を責任者としておきながら国がスポンサーに成り下がっていると指摘し、「支援機構や国が東電の肩代わりをするのではなく、東電が払えるものは払わせるべきだ」と追及。海江田経産相は「そういう認識でよろしいと思う」とのべ、資金援助も「東電にしっかり返済をお願いする」と答えました。
 高橋氏は、賠償金が結局、電気代として国民にツケ回しされる仕組みについて、福島県の地元紙が「賠償対象者が賠償金の一部を自分で支払う矛盾が生じかねない」と指摘していることをあげ、国民負担による東電救済を批判しました。
 海江田経産相は「そうならないよう全力をつくしたい」と答弁。高橋氏は、使用済み燃料再処理等引当金や最終処分積立金の活用や、事故処理でもうけを拡充している原発メーカー、大株主のメガバンクにも責任をとらせよと迫りました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-28/2011072802_03_1.html
被災地のバス支援拡充、高橋議員の質問実る
 被災地で仮設住宅と病院や商店街を結ぶ公共交通の確保が切実な課題となるなか、被災地のコミュニティーバスに対する特別の支援が行われることが27日までに明らかになりました。日本共産党の高橋ちづ子議員が4月30日の衆院災害対策特別委員会で、現行の助成措置では活用しにくいとして改善を求めていたものです。
 国交省が今年度から取り組んでいる「地域公共交通確保維持改善事業」について、被災地の実態に即した運用などを行うものです。
 岩手、宮城、福島の3県については、自治体をまたがって運行される地域間輸送の場合、地方バス路線に対する補助について、「1日あたり輸送量15人以上」の要件が外されます。これまで対象となっていなかった鉄道の振り替え輸送や、バス車両の購入費(中古車も含む)も補助の対象となります。
 同じ市町村内を結ぶ地域内輸送では、3県の沿岸37市町村について、補助対象外だった無償運行も対象とします。一地域の補助額上限が2000万円から3500万円に引き上げられます。
 補助自治体や関係交通事業者で構成する地域協議会による計画策定の手続きも免除するなど、緊急に整備が必要な公共交通路線を迅速に確保できるよう手続き面でも緩和措置がとられます。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-28/2011072804_05_1.html
放射性物質除染 子に差つけるな、高橋氏“全額国費で”、衆院
 日本共産党の高橋ちづ子議員は26日の衆院復興特別委員会で、2011年度第2次補正予算に盛り込まれた放射性物質の緊急除染事業についてただしました。
 同事業では文科省の基準にのっとり1マイクロシーベルト毎時以上のみを補助対象としており、保育所認定こども園、児童館などに対する補助率に格差をつけていると批判し、全額国費で行うよう主張しました。
 高橋氏は「子どもの健康を守るという点では認可も無認可も関係ない」と指摘。細川律夫厚労相は「前向きに検討したい」と答えました。
 高橋氏は、原発事故の賠償金を国が仮払いする法案で、福島県には基金が設置されるため、除染費用の不足分は基金で対応することもできるが、他県では基金がないと指摘。枝野幸男官房長官は、都道府県によって違いがあるのは適切でないとし、「子どもをはじめとした健康への対応で、遺漏なきよう努力したい」と述べました。
 高橋氏は、原子力損害賠償紛争審査会の指針の対象外となっている自主避難の場合も指針に含めるよう求めるとともに、避難生活が半年すぎれば精神的苦痛は半減とする指針を改めるよう要求。そうしなければ、県が被害者から要求される立場に立ち、板ばさみになると指摘しました。
 枝野官房長官は、「前倒しで指針をつくっていただきたい」と述べ、精神的被害の半減についても「検討していただきたい」と答えました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-03/2011080302_03_1.html
がれき処理補助金支払い早く、衆院復興特委 高橋議員が迫る
 日本共産党の高橋ちづ子議員は2日の衆院復興特別委員会で、被災地のがれき処理をめぐって国の補助金の早期支払いと全額補助を求めました。
 高橋氏は、政府ががれき処理を全額国庫補助で対応するとの方針を3月に示しながら、実際には自治体負担、あるいは一時立て替えという仕組みだったと批判。しかも、第1次補正予算がれき処理事業の交付決定は4自治体・208億円にとどまり、その背景には煩雑な事務処理があることを指摘しました。政府が支払わない一方、「給与も機械のリース代もまってくれない。油代も現金払い」と4カ月もただ働きの業者の声を示して、「せっかく再起をめざす業者がなえてしまう」「大臣の英断で支払え」と迫りました。
 江田五月環境相は「手続きの最大限の簡素化をする」との答弁にとどまりました。
 高橋氏が、仮置き場となった農地の復旧について補助せよと求めたのに対し、鹿野道彦農水相は、現在の事業でできることを明らかにしました。
 また、高橋氏は、7月末の新潟や福島の豪雨災害について早期の激甚災害指定や原発事故の避難者がまた被災するなどの実情を考慮して特例措置を適用するよう要求。平野達男復興担当相は「被害の確認を待って判断したい。しっかり対応をしていきたい」と述べました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-09/2011080901_03_1.html
がれき処理、国補助95%に上げる、法案修正 共産党含め与野党合意
 東日本大震災がれき処理をめぐり日本共産党を含む与野党の実務者協議で8日、迅速な災害廃棄物処理に国が責任をもつという特別措置法案の修正案を合意しました。焦点となっていた処理費用の国庫補助率については平均95%(現行は同86・5%)へ引き上げることを付帯決議に盛り込むことになりました。修正案は9日に、衆院復興特別委員会に委員長提案で提出されます。
 修正案では、これまで政府案にはなかった、処理作業に従事する労働者の適正な賃金確保などにかんする統一的な指針の策定が条文に盛り込まれました。自治体への支払いが遅れている問題では付帯決議で、「市町村から概算払いの請求があった場合には、速やかな事務処理の下、迅速に支払う」と明示します。
 補助率引き上げには約600億円が必要で、自治体の環境保全活動などを支援する基金を拡充して捻出。財政力の弱い自治体に手厚く配分し平均95%になるようにします。
 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は、民自公だけでなく全党が修正協議に参加することを要求。これにより、共産、社民、みんなの各党も参加して修正協議を重ねてきました。
 修正協議の場で高橋氏は(1)一刻も早いがれきの撤去が復旧・復興への大前提である(2)国庫10割負担や、煩雑な事務処理を改善し政府の迅速な対応(3)労働者の適正賃金確保や処理業者の資金繰り支援について統一的な指針を策定する―ことを条文に明記するよう求めてきました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-11/2011081104_05_0.html
がれき仮設焼却施設補助求める、衆院特別委で高橋議員、環境政務官「対象になる」
 日本共産党の高橋ちづ子議員は9日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、がれきの処理量が大きすぎるために必要となる仮設焼却施設などをがれき処理法案で上乗せする補助の対象とするよう求めるとともに、環境アセス(影響評価)の緩和につながらないようただしました。
 国庫補助について樋高剛環境政務官は「対象になる」と答弁しました。
 高橋氏は、放射性廃棄物について、焼却灰等が8000ベクレル/キログラム以下だと一般廃棄物と同じ埋め立て処分ができるとしているが、単純に同じではないはずと指摘。環境省の埋め立て基準値(8000ベクレル以下)について「原発の中だと厳重に管理されるものを、外では一般廃棄物と同じでよいというのはダブルスタンダード二重基準)だ」と批判しました。
 江田環境相は「環境中に放射性物質が飛散することはないという前提があった。新たな法整備をしていかないといけない」と答えました。

【山下議員】

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-15/2011071502_01_1.html
全損害を賠償対象に、山下議員 仮払い法案で反対討論
 参院復興特別委員会で14日、自民党などが参院に提出した、福島原発事故の賠償金を国が東京電力に代わって仮払いする法案が、自民党公明党みんなの党社民党たちあがれ日本の賛成多数で可決されました。日本共産党民主党国民新党は反対しました。
 採決に先立ち反対討論に立った日本共産党山下芳生議員は、一刻も早く全面的な賠償が行われなければならないと強調。東電は賠償に第一次的責任を負っており、国の責任は東電に全面賠償の責任を果たさせることだと述べました。
 そのさい、基本とすべき立場として(1)原子力損害賠償紛争審査会の指針に限定せず、すべての損害を賠償の対象とする(2)被災者に一刻も早い仮払いを実現するために、必要な場合は国による支払いを行う(3)賠償の対象とならないことの挙証責任は東電が負う―の3点をあげました。
 山下氏は、法案が、国による仮払いの対象を、指針に示された範囲内に限定している問題を指摘。東電の仮払いが「遅く、狭く、少ない」のは指針に基づいているからであり、「東電の仮払いと同様、指針に入らない損害は、国による仮払いの対象外とされてしまう」と批判しました。その上で「国によって仮払いを行うのであれば、指針に限定されることなく仮払いを行うべきだ」と主張しました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-23/2011072303_01_1.html
雇用を守ることは地域の絆守ること、ソニー告発 議場共感、参院予算委 山下議員質問
 参院予算委員会で22日、復興に逆行するソニーの“非正規切り”をとりあげた日本共産党山下芳生議員。他党の議員からも共感の声や拍手が上がりました。
 「復興は、被災者が住んでいた地域で生活を立て直すのが基本だ」。山下氏が強調すると、菅直人首相も「そのことが被災者の最大の希望で、それに向かって頑張らなければならない」と応じました。
 宮城県気仙沼市の水産加工会社。9工場のうち8工場が全壊しながら、800人の従業員を1人も解雇せず雇用を維持しています。山下氏は「解雇すると、地域での“細い糸”が切れて外へ出て行く。それではまちの復興はできない」と語っている社長の言葉を紹介しました。


 山下 雇用を守ることは地域の絆を守ること―。ここに復興の基本が示されている。
 首相 大変重要な観点だ。雇用という一番重要な人間関係を維持しながら、復興へと向かうよう全力で支援したい。


 同社では、震災で自宅待機中の採用内定者が自主的に被災工場の片付けを始め、その姿に社長が「元気をもらった」「復興に若い力が必要だ」として、2カ月遅れながら内定者30人全員の入社式が行われました。
 山下氏は「人と人の生きた結びつきが復興のエネルギーになっている」と指摘。「被災地で頑張る経営者の魂を見た思いがした」と力をこめました。
 同じ被災地で、ソニーはどう対応したか―。仙台テクノロジーセンター(宮城県多賀城市)で正社員280人の広域配転と期間社員150人全員の雇い止めを計画しました。「被災」が口実。山下氏は菅首相に迫りました。


 山下 「目の前が真っ暗になった」「裏切られた」「小さい子どもがいるのに生活できない」といっている。復興に逆行するやり方ではないか。
 首相 解雇や雇い止めは震災を理由とすれば無条件に認められるものではない。個別企業の経営の問題にコメントすることは控えたいが、経済界にはできるだけ雇用を守るよう要請している。


 政府から経済界に言っているから、とすませようとする首相の答弁。


 山下 地元の中小企業が逃げずに雇用を守っているのに、大企業がさっさと逃げ出すなんて許されるのか。ソニー中鉢良治副会長は、あなたが選んだ復興構想会議の委員だ。放っておいていいのか。
 首相 東北関係の方を選んで自由に議論していただきたいと委員をお願いしたことは間違っていない。


 出身企業の話をすれば(復興構想会議での)自由な議論の障害になると開き直る首相。他の野党議員から「構想会議のメンバーとしてふさわしくない」などとの声があがりました。
 山下氏は、若い期間社員が「世界的メーカーの品質を自分たちが担っているという自負があった」と正社員にも負けない誇りを持って働いていると訴えました。


 山下 彼らは雇用の姿こそ非正規だが、仕事の中身と志はプロフェッショナルだ。そんな彼らを震災のまっただなかで切り捨てて、復興なんてできるはずがない。
 首相 幅広い観点から、自由な発言をお願いしている。


 復興委のソニー副会長にものがいえない首相。山下氏が「調べもしないのか」と迫ると、「事情を関係者に聞く」と答えざるをえませんでした。
 山下氏は(1)大企業に雇用を守る社会的責任を果たさせること(2)雇用を守る中小企業を本気で支援すること―を求めました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-05/2011080502_02_1.html
避難区域外の減免可能、地方税免除参院委可決 山下議員に総務相
 参院総務委員会は4日、原発事故災害の避難住民の固定資産税など地方税を免除する法律案と、住民票を移さなくても避難先市町村で行政サービスをうけられるようにする法律案をそれぞれ全会一致で可決しました。
 採決に先立つ質疑で日本共産党山下芳生議員は、警戒区域計画的避難区域、緊急時避難準備区域などが対象の地方税の免除について質問しました。
 福島第1原発から100キロメートル離れ対象区域外の会津若松市でも風評被害などで売り上げが激減し、「従業員を30人、50人と自宅待機にしている。自治体が固定資産税の減免など緊急に対応してほしい」との声が上がっていることを紹介し、市町村の判断で減免できるのか、国から減収分の補てんはあるのかと質問しました。片山善博総務相は「市町村の判断で減免は可能」「財政補てんする。(補てん割合について)対象区域外は市町村の財政力に応じて75〜95%となっている」と答弁しました。
 山下氏が「市町村は被害の実態に応じてどれだけ減免するか判断する。市町村の判断を信頼して減免による減収分は全額補てんするべきだ」と求めたのに対し、片山氏は「基本的にはそうだ」とのべました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-12/2011081202_02_1.html
がれき処理法案可決、山下氏 国の責任強調、参院復興特
 東日本大震災で大量に発生したガレキの処理を国の責任で進める法案が11日、参院震災復興特別委員会で採決され、全会一致で可決されました。
 採決に先立つ質疑で日本共産党山下芳生議員は、ガレキ処理を迅速化するために、(1)中間処理施設、最終処分場を新設する(2)広域処理で他県の施設を活用する―という二つの方策について質問。受け入れ側の自治体、住民の理解と協力を得るためには、「有害物質や放射性物質の測定は県まかせにせず国の責任で行い、専門家による評価や自治体間協定など安全性に最大限の措置を講じるべきだ」と求めました。
 江田五月環境相は「受け入れ自治体の理解が必要。しっかりとモニタリングして、心配ないということを確認し、ご理解いただく努力をしていく」と答弁しました。
 山下氏は、一人親方のダンプ運転手に1日2万8000円から4万円しか支払われないなど、ガレキ処理事業の低単価発注、大手企業への一括発注が起きている事例を紹介。法案に盛り込まれた、国が策定する指針について(1)積算単価の公表(2)元請けが外注に出した場合、下請け、末端業者に支払われた金額の報告義務―などを盛り込むよう提起しました。
 江田環境相は「ご指摘の点もふまえ、適正で実効性のある指針を策定したい」と答弁。法案提出者の谷公一議員は「可能な限り地元企業への発注を考慮して適切に進めることが必要である」と答えました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-26/2011082604_02_1.html
被災地 集団移転 補助拡充を、山下議員要求 副大臣「検討する」
 日本共産党山下芳生議員は25日の参院総務委員会で、東日本大震災にともなう安全な土地への移転に国が補助金を出す「防災集団移転促進事業」の補助率の引き上げや補助限度額の撤廃を求めました。
 山下氏は、同事業では交付税措置を含めると国の負担は94%、自治体は6%の負担になるとされているが、国の補助に「1戸あたりの限度額」とあることが大きな問題になっていると指摘。限度額を超える部分は全て自治体の負担となるため、仙台市では概算事業額1267億円(約3200世帯が移転)の6割近くが市負担になることを紹介し、「これでは事業が進められない」と、限度額の引き上げ・撤廃を求めました。片山善博総務相は「国費充当率を上げてもらい、できる限り地方財政措置を講ずる」と答弁。国土交通省三井辨雄副大臣は「総合的に再検討する必要がある」と述べました。
 山下氏は、被災宅地について移転先で家を建てる場合などの負担軽減のためにも震災前の地価で買い取ることや、生活を支えるために福祉施設や病院、店舗なども移転事業に加えるよう提起。「過去の例や現行制度にとらわれず、被災者の生活再建から考えるべきだ」と強調しました。三井副大臣は「地域の特性を勘案して検討する」と答えました。
 同委では、災害復旧・復興のための臨時交付金法案の採決をおこない、民主党を除く各党の賛成で可決しました。


■特集「被災地から復旧・復興を語る」
【露呈した脆弱性と医療関係者の積極的な役割(村口至)】
【子どもたちを守り、保育の大事さを実感(塩釜・あゆみ保育園)】
東日本大震災教育調査 覚え書き(藤森毅)】
(内容要約)
・村口氏は医療関係者、藤森氏は共産党の文教政策関係者。
 藤森氏の論文に関係したものとして「被災地の学校教育 改善を、日本共産党国会議員団 文科相に申し入れ、国庫負担での学校再建 被ばくから子ども守れ」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-03/2011080301_01_1.html)を紹介しておく。


■「9・11事件から10年 変化する世界と21世紀の平和秩序」(森原公敏)
(内容要約)
・9.11事件後、ブッシュ政権は「アフガン攻撃」「イラク攻撃」と軍事力で問題解決する手法を採用したがそれは挫折した。もはや現代は大国が軍事力で気まま勝手に振る舞える時代ではない。


■「金融危機で存在感増すG20 基軸通貨ドルの揺らぎの中で」(西村央)
(内容要約)
金融危機によってG20サミットが存在感を増している。


■「南シナ海問題とARF(アセアン地域フォーラム) 領有権紛争と平和の追求」(井上歩)
(内容要約)
南シナ海の領土問題(南沙諸島問題、西沙諸島問題)について関係各国はARFでの討議による平和的解決を目指している。


■特集「大震災後、日本経済・復興のあり方を問う」
東日本大震災後の日本経済の再建の課題(藤田実)】
【大震災で問われる市場原理任せ、持続可能な社会づくりを(吉田敬一)】
東日本大震災の教訓と地域循環型経済の構築に向けて(井内尚樹)】
(内容要約)
細部はともかく、論者に共通する意見は、
「政府の復興策はトップダウン型、大企業中心型であり、地域社会や中小企業の声にこたえておらず問題」
脱原発を目指すべきだが今のままでは、大企業に押し切られて原発推進路線が続くだろう」といったところ。
細部については直接ご覧いただきたい。


■「満州事変80年・太平洋戦争70年 あらためて日本の戦争責任を問う」(粟屋憲太郎*1
(内容要約)
天皇の戦争責任や、日本の戦争加害の問題を「陸軍悪玉論」「天皇平和主義者論」などあらゆる手段を使って必死にスルーしようとしているのが「つくる会」グループなどの「日本型歴史修正主義者」である。こうした歴史修正主義の背景にはアメリカが日本占領・支配に当たって、「陸軍悪玉論・天皇平和主義者論」を採用し、東京裁判もその線で進んだことがある(裁かれたのは、嶋田繁太郎(海軍)、広田弘毅松岡洋右(外務省)、大川周明(民間右翼)など一部を除きほとんど陸軍軍人)。その意味では歴史修正主義者こそ「東京裁判史観」である。
・江口圭一氏の「日中アヘン戦争」(1988年、岩波新書)には「阿片密売業者が治外法権を楯にするため、日の丸を掲げて阿片密売をやっていた*2。そのため中国人には日の丸は阿片業者の商標と誤解する者もいた」と言う趣旨の記述がある。そうした日の丸の負の歴史を我々日本人はどれほど知っているだろうか。
・日本型歴史修正主義者は東京裁判の不当性を主張し、その根拠としてパルを持ってくることがある。しかしそのような認識が不適切なことは中里成章「パル判事――インド・ナショナリズム東京裁判」(2011年、岩波新書)を読むだけでも明白であろう。
・大体、粟谷氏も指摘していることだが、事後法を理由にうかつに東京裁判を否定すると「ニュルンベルグ裁判(ナチ裁判)は?」「フセイン裁判は?」「ミロシェビッチ裁判(ユーゴ戦犯裁判)は?」ということになってまずいことになるのだが。
・なお、粟谷氏は戦争責任の問題というと「南京事件」などアジア関係がクローズアップされがちであるが「バターン死の行進*3など、アメリカ、ヨーロッパ相手に違法行為を犯していることも忘れてはならないとしている。アメリカ、ヨーロッパ相手のそうした行為が余り意識されないのは、(声が小さいのか、大きいがマスコミが取り上げないのかはともかく)そうした抗議の声が余り聞こえてこないからに過ぎないだろう。

参考

中里成章「パル判事――インド・ナショナリズム東京裁判」(2011年、岩波新書)のAmazonレビュー
1)破壊される「偶像」と「神話」, 2011/3/25
By 水無月
 東京裁判から60年以上が経過して今なお激しい論争の渦中にあるラダビノド・パル。著者は、歴史研究の方法論に基づいて、その実像に迫ろうとする。結論から言うと、本書は、戦後のある時期から一部の保守勢力によって捏造されるようになったパルの「偶像」と「神話」を完膚なきまでに叩き壊すことに成功している。そのように考えられるのは、本書が以下の3つの点を説得的に論じているからである。
 第一に、いろいろな意味において適性に問題があるにもかかわらずパルが東京裁判のインド代表判事に任命されたのは、植民地政府による事務手続き上の手違いによるものであったという点である。したがって、「ネルー首相の懇請と期待に応え」(田中、2001)*4るべく就任したとか、「このひとのほかはないというインド朝野の輿望をになって」(一又、1966)*5東京裁判に臨んだなどといったこれまで流布してきた俗論はまったくの誤りであることが明らかにされる。
 第二に、東京裁判におけるパルの意見書は彼の政治的志向を色濃く反映したものであり、公正公平なものであるとは到底言いがたいという点である。具体的には、パルがインドの独立前の時期にヒンドゥー大協会とチャンドラ・ボースの周辺に位置していたことを考えると、大東亜共栄圏を掲げた日本の戦争指導者を無罪であるとする意見を表明したことや一貫した反共的な態度をとったこと(特に、インドと同様に植民地主義の被害者であるはずの中国に対する批判的な姿勢)は驚くに値しない。
 第三に、親米派として復権を果たした保守勢力にとっては、「逆コース」と高度経済成長の流れに棹差しながら米国に対する批判と自己正当化をする上で、パルの存在はこの上なく好都合であったという点である。だからこそ、インド国内では「小者」にすぎなかったパルをインドを代表する偉大な思想家・哲学者であるかのように針小棒大に取り上げて、彼の判決の正当性を高めようとしたのである(純粋にパル判決の内容を問題にするのであれば、ネルー首相の懇請と期待に応えるべく就任したとか、インド朝野の輿望をになって東京裁判に臨んだなどといった嘘をついて、パルに箔をつける必要はないはずである)。
 なお、著者は、中島岳志氏の本について7ページにわたる詳細な書評を書いている(『アジア経済』2008年8月号)。本書の内容から容易に想像できるように、パルは熱烈なガンディー主義者でもなけれは、絶対平和主義の信奉者でもなく、中島氏の議論にはまったく根拠がないと極めて批判的な評価を下している(しかし、書きぶりは冷静そのもの)。興味のある方は、参考にされるとよいだろう。

2)「パル神話」の虚像を剥ぎ落とす, 2011/3/19
By 革命人士
 東京裁判のインド代表判事として、被告人全てに無罪判決を宣告したパル判事の生涯と、いわゆる「パル判決文」の日本における受容の歴史を描いている。本書の内容は一般に流布されている「平和主義、ガンディー主義者としての博愛の心に基づく無罪判決」など、日本にパルを紹介した田中正明が作った偽りのストーリーを、パル判事の息子やベンガル地方法曹界指導者への長時間にわたる聞き取り調査や現地語公文書や新聞などの一次資料からことごとく否定した。
 本書によると、独立時のどたばたで手違いでパルに判事への要請書が来たという。また戦時中、国民会議派が日本を激しく批判つつも宗主国の英国にも厳しく弾圧されていたにもかかわらず、パルは戦時中カルカッタ大学副総長やカルカッタ高裁の代理判事などの顕職を歴任していたことから、同じカルカッタを拠点としていたチャンドラ・ボースヒンドゥー至上主義者と近い思想を持っていたのではないかと見る。ただし、弁護士、法学者ではあったが、正式な判事になったことは東京裁判以前になく、国際法東京裁判以前には研究した痕跡はなく、税法や相続、法哲学が専門だった。
 ムスリムが多く、宗教対立が激しかったベンガルではヒンドゥーナショナリストが上層社会に多く、パルとの人脈も太かった。また、税法の専門家として富裕層とも付き合いが多かったようだ。そのことから、パルは強烈な反植民地主義者ながら反共保守主義的な考えを持ち、欧米への強烈な反感意識や反共の信念から日中戦争を「自衛のためだった」とする日本の主張を認める判決を書いたのではないか、と著者は見る。東京裁判に関心を持つものとして、パル判事の全員無罪を考える上で本書は、(中略)一つの解答を提示している。本書の内容は、wikipedia「パル」でもある程度トレース出来るが、虚像のパル像を次々と剥ぎ落とされるような思いだった。

3)パル意見書を考えるための必読本, 2011/5/14
By 野原ひろし
 本書を読んでから、レビュアー水無月さんが指摘する著者の中島岳志『パール判事』(白水社)への書評及び本書で日本の研究者で最初にパル意見書をきちんと読んだと紹介されている家永三郎の論文「十五年戦争とパール判決書」(注:「家永三郎集」第12巻所収)を読みました。同論文では「パール判決の性格の歴史的由来(は)、他日専門家の手により解明されるのを待つ」とされており、四十数年を経て本書でやっとそれが着手されたと言えるのだと思います。
 本書で明らかにされた彼の実像とは、彼が東京裁判の判事に決定したのはイギリス総督下のインド政府の手違いによるものであったこと、また彼はその時既にカルカッタ大学副学長を退任していたこと、そして彼の裁判での意見書は独立後のインド政府の支持を得られなかったことなどです。特に彼が思想的にはヒンドゥー大協会に近い保守的なナショナリストであったことを明らかにし、意見書の作成にはある種の予断があったことを示唆したこと(これはB.D.A.レーリンクの「彼は先入観をもっていた。」(『レーリンク判事の東京裁判』(新曜社))という証言と符合します。)は、数々の神話から我々を解放するのに充分なものでした。
 立証には彼の親族や関係者への周到なインタビューを実施し、現地の伝記や遺族による略伝を参照するなど手が尽くされており、まずこれらは限りなく事実に近いものと思われます。今後は事実関係に拘泥するより、本書が指摘するように国際刑事裁判所の活動に合わせ東京裁判のプラスマイナス、そしてパル意見書を同時に評価するような方法で見直しを進めていくべきものと思いました。

http://book.asahi.com/review/TKY201106140167.html
バターン 死の行進(マイケル・ノーマン、エリザベス・M・ノーマン)
[評者]上丸洋一(本社編集委員
 1941年12月8日、真珠湾攻撃の8時間後に日本軍は、フィリピンの米軍基地を爆撃した。1カ月とたたない翌42年1月2日、日本軍はマニラを攻略。米軍とフィリピン軍は、マニラの西にあるバターン半島に立てこもった。
 激戦の末、米比軍は4月9日に降伏した。捕虜7万6千人が半島南端から、北へ約100キロの鉄道駅まで歩いて移動させられた。食料も飲み水もほとんど与えられず、赤痢マラリアに襲われ、倒れれば容赦なく監視兵に銃剣で刺し殺された。
 本書は、多数の死者を出した「バターン 死の行進」の全体像を描き出すノンフィクション。著者のノーマン夫妻は、日本人二十数人を含む関係者400人以上に話を聞き、調査、執筆に10年の歳月を費やしたという。
 膨大な取材をもとにしているだけに、描写はリアルだ。


 「炎天のもと腐りはじめた死体には、まもなく蠅がたかった。日中には、蠅のほか、野良犬や野生の豚もやってきた。夜間には死体の臭いに引かれて巨大な肉食トカゲが山から出てきたが、腐肉を思うさま食い荒らしたのは烏だった。膨張した死体の上に何羽も舞い降りてきて……」


 戦後、日本人は、戦争で死んだ日本人のことは思い浮かべても、他国の死者たちを思い浮かべることはほとんどないまま、今日まで歩んできたのではなかったろうか。戦争の加害の側面に目が向くようになったのは、1990年代以降のことだ。
 戦争の悲惨と戦場の死の不条理は、国境を超える「人類の記憶」として、これから長く語り継がれねばならない。そのことを本書は、行間で静かに語っている。
 注を含め600ページを超す大冊。半ばをすぎた辺りから読み進めるのが惜しくなった。ところどころに挿入されている「死の行進」の体験者、ベン・スティールのかいた絵がよい効果を生んでいる。


■特集「地方政治の対決点と民主主義」
【大阪 地方自治破壊許さず命と暮らしを守る(柳利昭)】
(内容要約)
・「君が代起立条例」だの「大阪都構想」だのと、内容的にも、手法的にも無茶苦茶としか言いようのない橋下が主たる批判対象ではある。ただし、平松市長も「橋下よりはずっとまし」だが「橋下が酷すぎ」なのであって、平松氏も橋下と類似の構想「関西州」を打ち出したり、橋下ほど酷い君が代押しつけはしていないものの、君が代指導自体は否定していないことなどを理由に批判している。
・なお、筆者は橋下が脱原発を表明したことを一応評価しながらも、具体性がまるでない上、自分に都合が悪くなるといつも橋下は平然と公約をどぶに投げ捨てる男なのでとても信用できないと酷評している。まあ、同感。あいつを支持できる愚民の脳みそが理解できない。「朝三暮四」で喜ぶ猿並みに記憶力や思考能力がないのだろう。


【いま「民主主義を鍛え直す」ということ(小沢隆一)】
(内容要約)
・橋下や河村の政治をポピュリズム政治と批判し、それへの対抗を呼びかけている。
・河村の議員定数、報酬削減論に対し、感情論的でまるで論理的でなかったと指摘した上で、少なくとも諸外国の都市と比べ、名古屋の定数や報酬が過大と言える根拠はないのではないかと批判している。
・最後にこうした政治の劣化をもたらした一原因として、少数意見の切り捨てをもたらす小選挙区制があるとし、民意をより反映する選挙制度に改めるべきとしている(筆者自身は比例制度にウェイトをおいた制度が妥当と考えてるようであるが)。


【「日の丸・君が代」裁判から何を引き受けるべきか 大阪府の動向にもふれながら(勝野正章)】
(内容要約)
・日の丸君が代裁判で最高裁判所が原告敗訴の判決を相次いで下したことを、「良心の自由」軽視として批判。
・また橋下の「君が代起立条例」や「教育基本条例案」も同様の、「良心の自由」軽視として批判。
・橋下がたくらむように、教師を行政のロボットにすることが教育改革であるならば、そのような自由のない教育現場から優秀な人間は去って行くであろうし、残る人間もどれほど情熱を持って教育ができるかは疑問だろう。


■論点
【横須賀 原子力艦船の放射能の危険増大(笠木隆)】
(内容要約)
うまくまとまらないので赤旗記事を紹介。なお、日米安保を認める立場でも原子力艦船寄港批判はすべきだろう。原発事故の危険性におびえ、脱原発を唱えるのなら、同様に事故の危険性がある原子力艦船寄港を批判しないと筋は通らない。むしろ、「軍事機密の壁により情報公開が不十分」「艦載機の着陸失敗などによる事故の可能性はおそらく通常原発より高い」「軍艦のエネルギー源に原発を使用する事は必然ではない」事を考えれば、通常原発以上に批判されてしかるべきだろう。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-03/2011080313_01_1.html
横須賀 米原潜の入港「常態化」、太平洋全域の中継基地化、高まる原子力事故の危険
 在日米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)へ米原子力潜水艦が頻繁に入港しています。
 (中略)
 横須賀基地は、太平洋全域で秘密裏に行動する原潜の中継基地として米軍に利用され、原子炉を搭載した艦船の停泊が常態化しています。文部科学省地震調査委員会は7月、横須賀基地をかかえる三浦半島活断層について「地震発生確率が高くなっている可能性がある」と指摘しました(俺注:三浦沖地震が発生した場合、津波が米国原子力艦を直撃し、事故が起きる可能性がある)。米軍の戦略が原子力事故の危険を高めるものとなっています。


【大詰めの「戦没者の妻 国賠訴訟」(柿田睦夫)】
(内容要約)
うまくまとまらないので赤旗記事を紹介。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-07-14/2010071414_01_1.html
戦没者の妻特別給付金、受給もれに救済措置を、地方議会で広がる意見書
 国が通知しなかったため多数の遺族が「戦没者の妻特別給付金」を受給できないまま時効扱いされている問題で、時効撤廃と救済措置を求める意見書の可決が地方議会で広がりつつあります。
 大阪平和遺族会によると、意見書を可決したのは大阪府の大阪、吹田、箕面の各市議会。可決の動きをみせる議会はほかにも多いといいます。
 資格がありながら時効のため受給できていないのは累計9万7259人で、金額にして962億円。各議会の意見書はこれを「国による実務の不備」のためであり、「夫を戦争で失った妻の痛苦を慰謝する」という法の趣旨に反すると指摘。特別給付金法の時効条項撤廃のための立法措置や救済を国と国会に求めています。
 戦没者の妻を対象に10年ごとに給付する制度は1963年に開始。しかし広報や実務を日本遺族会に依存する窓口一本化の遺族行政の下で、当初から「落ちこぼれ」が見込まれていました。しかも国は、前回受給者にしか通知せず、転居者にも通知しなかったため多くの失効者を生み出しました。
 大阪では2人の戦没者の妻が国と自治体に賠償を求めて提訴。裁判は今月末に結審するとみられています。
 裁判を支援し、公正な遺族行政を求めている大阪平和遺族会の前川俊幸事務局長は「戦没者の妻の平均年齢は92歳。国は妻たちが亡くなるのを待つのでなく是正措置を急ぐべきだ」と指摘。「裁判支援の署名は1万1000人。さらに運動を広げ、すべての戦争犠牲者への謝罪と補償を求めていきたい」と言います。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-10-16/2010101614_01_1.html
大阪地裁、戦没者妻に不当判決、給付金不支給 国の怠慢追認、原告、控訴へ
 国の怠慢で受け取れなかった特別給付金の支給を求めて、戦没者の妻の野村香苗さん(91)、関百合子さん(89)が起こした「戦没者の妻特別給付金国賠訴訟」で大阪地裁(揖斐潔裁判長)は15日、2人の請求を棄却する判決を言い渡しました。原告と弁護団は控訴すると表明、訴訟支援の会は「不当判決に抗議する」との声明を発表しました。
 特別給付金は低額な公務扶助料(遺族年金)を補うため10年ごとに国債を支給するもので1963年にスタートした制度。制度を知らず時効扱いされる人が続出しました。
 裁判では、国がすべての受給権者(戦没者の妻)への連絡を怠り、前回受給者にしか請求案内をしなかったことなどの是非が問われました。大阪地裁は、給付金額は多くないとし「発生する被害が重大なものでなく、全受給権者への個別請求指導(連絡)は容易ではない。(連絡の)法的義務があるとはいえない」と述べました。
 原告弁護団の井上直行弁護士は判決後、「国が公務扶助料受給者名簿を使っていれば時効は防げた」と指摘。「判決は、国が(扶助料の)名簿を使わなかった理由にも言及せず、夫の命の代償という特別給付金の性格を把握していない」と批判しました。
 判決直後に報告集会が開かれ、ひきつづきたたかう決意を語り合いました。
 同訴訟を支援する会の佐伯幸一代表世話人は、300人超の会員、1万7000人分を超える署名が集まり、大阪府の12自治体で「時効撤廃」の意見書が可決されるという世論と運動の広がりを強調。「訴えの正当性に依拠してたたかう」と述べました。
 「こうまであっさりと足げにされるとは思いませんでした」という関さんは、「亡くなった夫にこたえるためにも最後までやっていきたい」と述べました。
 平和遺族会の嶋田祐曠代表世話人が、連帯あいさつをしました。


【解説】
被害者10万人 救済急げ
 「裁判所は原告に向き合うのを避けた」。裁判支援者からそんな声が出ました。訴えを聞けば、その背後にはのべ10万人もの同じ被害者がいるからです。
 特別給付金は申請者にしか支給せず、しかも3年で時効=失効になる制度。当初から支給漏れが懸念されていました。事実、失効者が続出し、国会でも問題になってきました。2007年には時効撤廃法案が議員立法で提出されたけれど審議未了で廃案になっています。
 この間、厚労省が使ったのは、すべての戦没者の妻を把握した公務扶助料名簿ではなく「前回受給者」の名簿。これでは最初から支給漏れを想定し、そのことによって遺族を差別・選別したとしかいえません。
 夫の戦死で生活のすべを失った妻たち。原告の野村さんは婚家をだされ、関さんは行商で命をつなぎ、ともに娘を育てました。
 関さんは法廷で「給付金は削られた夫の命」と訴えました。妻たちの平均年齢は92歳。「国は妻が死ぬのを待っているのか」(訴状)。司法も行政も立法府も、この声に耳を傾けてほしい。(柿田睦夫、浜島のぞみ)


戦没者の妻特別給付金国賠訴訟】
 国の怠慢により、「戦没者の妻特別給付金」を受給できなかったとして損害賠償を求めた訴訟。原告は戦没者の妻で大阪府在住の野村香苗さんと関百合子さんです。被告は国、大阪府大阪市
 1963年以降、5回支給されたうち、関さんは4回分で560万円、野村さんは2回分で380万円を受け取ることができませんでした。同様に時効扱いされた人はのべ9万7千人以上にのぼります。
 2009年3月、大阪地裁に提訴。今年7月に結審しました。


■暮らしの焦点
【宮崎 口蹄疫からの再生・復興へ(前屋敷恵美)】
(内容要約)
筆者は共産党宮崎県議。中央マスコミは騒がなくなったが、口蹄疫問題は解決したわけではないとして、国の対応を求めている。

参考)

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/260134
西日本新聞「宮崎・口蹄疫終息 27日で1年 畜産再開半数止まり」
 宮崎県で牛や豚など約30万頭が殺処分される被害を出した家畜伝染病・口蹄疫の終息宣言から27日で1年を迎える。県は被害農家向けに支援策を講じているが、経営を再開したのは依然半数にとどまる。「畜産王国宮崎」の復興は道半ばだ。
 県によると、5月末現在で被害農家1238戸のうち54%の666戸が飼育を再開。再開予定の8%(95戸)と合わせ、約6割が畜産を継続する見通しだ。一方、23%に当たる286戸は畜産を断念し、11%(142戸)は(俺の注:再開の意思はあるが)状況を見極めている最中という。
 約半数の農家が畜産を再開できていない理由について県は、福島第1原発の事故に伴うセシウム汚染問題で牛肉価格が低迷していることなどを挙げる。高齢化も進み、健康不安や後継者不足に悩む農家も多いという。
 県は35億円を超える義援金の一部を「口蹄疫復興基金」に拠出。無利子・低利の融資で農家の経営再開を後押しする。霧島連山新燃岳噴火や鳥インフルエンザ発生も重なり、県内経済全体の落ち込みが厳しい。農商工連携による新たな産業づくりや、園芸作物など畜産以外の農業育成にも基金を充てる予定だ。
 一方、防疫態勢の初動が遅れた反省から、農場にウイルスを持ち込ませないよう、空港や港、観光施設に消毒マットを設置する「水際作戦」を継続中。県の畜産・口蹄疫復興対策局は「毎月20日を『消毒の日』と定め、関係機関の気の緩みがないよう努めたい」としている。
 口蹄疫は昨年4月20日、最初の感染疑い牛が都農町で見つかり、315農場に拡大。予防的なワクチン接種後の殺処分も含め計29万7808頭が犠牲となった末、8月27日に県が終息を宣言した。

http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20110906ddlk45200625000c.html
毎日新聞口蹄疫:復興ライブと花火、宮崎で来月22日 泉谷さん「でっかい村祭りに」 」
 口蹄疫からの復興途上にある県民を励まそうと、シンガーソングライターの泉谷しげるさんを中心にした音楽ライブと打ち上げ花火によるイベント「水平線の花火と音楽2」(実行委主催)が10月22日、宮崎市で開かれる。昨年に続いて2回目。今回は売り上げの一部を東日本大震災への義援金とするほか、県内への避難者を無料招待する。


■文化の話題
【音楽:文化芸術の支援策を考える(小村公次)】
(内容要約)
政府が今年2月に制定した「文化芸術の振興に関する基本的な方針」(http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/housin/index.html)に対するコメント。

参考

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-03-02/2011030209_01_0.html
赤旗「文化行政第3次基本方針 閣議決定、自公同様 予算拡充に背」
辻慎一(共産党学術・文化委員会事務局次長)
 菅内閣が2月に閣議決定した、「文化芸術の振興に関する基本的な方針」(第3次基本方針)は、文化芸術振興基本法にもとづいた国の文化行政の基本方針で、民主党政権では初めての策定となります。
 「基本方針」は、「文化芸術振興の基本理念」「文化芸術振興に関する重点施策」「文化芸術振興に関する基本的な施策」の三つの柱となっています。「重点施策」では、「効果的な支援」「人材の充実」「子どもや若者を対象とした文化芸術振興策の充実」などの6点を掲げました。
 自公政権時代の「第2次基本方針」は、5年を見通したものとして2007年2月に策定されました。民主党政権は、1年前倒しで「第3次基本方針」を策定しましたが、内容の面で自公政権下の方針からの転換はみられません。
 もともと自公政権の「第2次基本方針」は、「規制緩和などにより新たな分野への民間の進出が可能となり、多様なサービスが効率的に提供される」と「構造改革路線」を賛美し、国の役割については「厳しい財政事情の下で適切な評価を行い、支援の重点化、効率化を図る」として、文化予算の支出を抑制するものでした。実際、自公政権は、芸術団体への助成を削減しました。
 「第3次基本方針」には一方で、「『ハード』の整備から『ソフト』と『ヒューマン』へ」など、民主党政権公約で掲げてきた文言や、芸術への公的支援を「新たな成長分野として潜在力を喚起する」など、菅内閣の「新成長戦略」にそった文言ももりこまれています。
 しかし、肝心要の文化予算の問題では、「厳しい財政事情にも照らして支援の重点化、効率化」を図るとしており、「第2次基本方針」とほぼ同じ文言を踏襲しています。昨年、芸団協が文化予算の抜本増額を求めて署名を広げたように、フランスや韓国に比べ、7分の1しかない文化予算では、まともな文化行政を推進することはできません。「第3次基本方針」のもととなった文化審議会文化政策部会の審議の過程では、「諸外国と比較して極めて貧弱な文化予算を大幅に拡充」することを求めていました。しかし、「第3次基本方針」には、こうした当たり前の要求は盛り込まれませんでした。
 さらに、「第3次基本方針」の基本理念からは、「第2次基本方針」では、重点課題をすすめるうえでの「配慮事項」として掲げられていた「芸術家等の地位向上のための条件整備」などの課題が抜け落ちています。今日の芸術家をとりまく実情から、芸術家の地位向上をはかることはより積極的に位置づけられるべき課題です。この点では民主党政権の方針は「第2次基本方針」よりも後退したと言わざるをえません。
 「第3次基本方針」の重点施策のなかでは、支援のあり方にかかわって、長年、芸術団体と日本共産党が指摘してきた「実質的に赤字の一部を補填する仕組みとなっている」問題点を認め、助成方法の改善を掲げました。すでに来年度予算案で助成方法の変更がうたわれていますが、政府として公式文書で初めて記述したものになります。支援の抜本拡充とあわせ、実際に役立つものにするための努力が必要です。 


【演劇:ミュージカル 青空の休暇(水村武)】
(内容要約)
 いずみたくが旗揚げしたミュージカル劇団「イッツフォーリーズ」が行ったいずみたく没後20周年記念ミュージカル「青空の休暇」の紹介。なお来年1月には、同劇団によってミュージカル「見上げてごらん夜の星を」が上演されるという。
 筆者は、「青空の休暇」ではいずみ作曲の「帰らざる日のために」(「われら青春!」の主題歌)が使われていたが、使う必然性が感じられず、通常のミュージカルならともかく没後20周年記念で「青空の休暇」をチョイスしたことはミスチョイスではなかったかと疑問を呈している。

ウィキペ「われら青春!」
 中村雅俊主演の太陽学園ラグビー部を舞台とした青春学園ドラマ。『青春とはなんだ』に始まる東宝、テアトル・プロ、日本テレビ製作の青春学園シリーズの最終作。この作品が中村雅俊の初主演作である。
 いずみたくシンガーズの歌う主題歌『帰らざる日のために』は60万枚を売り上げ、同曲からは「涙は心の汗だ!」の名フレーズも生まれた。また主演した中村の歌う挿入歌『ふれあい』(『ふれあい』もいずみたく作曲)はオリコンチャート10週連続第1位を記録し、ミリオンセラーとなった。しかし視聴率的には伸び悩み、放映開始から半年で終了することとなった。

ウィキペ「見上げてごらん夜の星を
 『見上げてごらん夜の星を』は1960年に大阪労音制作のミュージカルとして公演され、同名の劇中主題歌が永六輔作詞、いずみたく作曲によってつくられた。当時の主演は、伊藤素道(伊藤素道とリリオ・リズム・エアーズ)。1963年、坂本九がシングルレコードとしてレコーディングし、東芝からリリースされた。同年夏には、坂本九を主演でミュージカルがリメイクされ、さらに同年坂本九主演の同名映画が公開された。

坂本九は元々は関係ないうえに、劇中歌ですか?。しかも労音ですか。あいつはアカだというレッテル貼りとかなかったのかしら。
そして悪いけど伊藤素道って誰?


■メディア時評
【新聞:「8・15」に見る全国紙と地方紙の「格差」(金光奎)】
(内容要約)
・地方紙が「不戦の誓い」を社説にしたのに対し、全国紙にはそうした真摯な姿勢は見られなかった。産経に至っては震災を口実に「緊急事態に関する条文」を憲法に記入せよと火事場泥棒的主張をする酷さであった。


【テレビ:相次いだテレビの「不祥事」(沢木啓三)】
(内容要約)
・「相次いだ」とタイトルにあるのに取り上げられた「不祥事」は東海テレビの「セシウムさん」、「イケパラ」の「リトルボーイ」(後で説明するが沢木氏はこれを不祥事扱いはしていないものの無問題とは言っていない。一方、俺はセシウムさんと違ってこれは無問題だと思っている)のみというのはタイトルに偽りありの気がする。その後で、「セシウムさん」、「リトルボーイ」絡みで珍右翼のアンチフジデモについてコメントしている。
セシウムさんが不祥事であることに異論はないだろう。
「イケパラ」の件について沢木氏は
1)「フジテレビが主張するようにただの偶然だろうが、広島県が抗議した以上、無問題とは言えないのではないか」
2)「誤解されないような番組作りをすることが大事だ」としているようだ。
 1)について言えば抗議する広島県がおかしい(広島県が珍右翼並みに頭がいかれてるとは思わなかった)。被爆県だからといって配慮しすぎるのは良くない。ローマ法王が言おうと、ダライラマが言おうと、誰が言おうと間違ってるものは間違ってる。
 2)も程度問題だろう。一般論としては「誤解されないような番組作りをすることが大事」だが、絶対に誤解されない番組など作れるわけがないし、それに過剰に拘ったらつまらない、無価値な番組しかできないだろう。
・フジテレビデモについて沢木氏自身はバカげたレイシズムと切って捨てている(在特会や田母神一派が仕切ってるんだから当たり前だ)。
 ただし、「韓流ドラマばかり放送したら日本のドラマ製作能力が落ちないか」とか「日本も韓国を見習ってどんどん海外進出しようぜ」とかまともな議論ならどんどんやるべきとしている(まあ、アンチフジの連中に限ればそんな意思も能力もないだろうが)
・なお、沢木氏は「チャングム」「冬ソナ」で韓流ブームの火付け役となったNHKではなく、フジが叩かれた理由は「妻・宮崎あおいが人気女優で、自らも俳優である高岡蒼甫ツイッターがネットで騒がれたこと」+「『アッコにおまかせ』がフジの流す韓流ドラマ時間数がキー局で最も多いとネトウヨを煽ったこと」による単なる偶然と考えてるらしい。


■スポーツ最前線
「女子七人制ラグビー、五輪への挑戦」(佐藤恭輔)
(内容要約)
2016年リオ五輪の正式競技に採用されたことで7人制ラグビーが注目を集めている。しかし通常のラグビーと違い、知名度、普及率が低いため、競技環境は良くない。7人制ラグビーの普及に関係者は力を尽くして欲しい。


■[資料]国民に隠された恐るべき被害推定レポート
大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算
科学技術庁の委託調査報告、1960年
(内容要約)
このレポートは、推定損害額が余りにもすさまじいため、1999年になるまで科技庁がその存在すら認めてこなかった曰く付きのレポート。
掲載はありがたいが解説がないので、一般人は読み通すことはきついだろう。私もまだ読んでない。
このレポートについては
「反原発の館」
http://homepage3.nifty.com/h-harada/nonuke/index.htmlに掲載されてるので、興味のある方はお読みになると良かろう。
ちなみに公開の経緯については以下を参照。

http://trust.watsystems.net/jikosisan.html
原発事故損害試算

毎日新聞1999年6月16日
原発事故損害試算 国家予算の倍 3兆7000億円、否定続けた科技庁 40年ぶり国会提出
 日本の原子力発電開始に先立ち、1959年に専門の学者らによってまとめられた原発事故による損害額を試算した報告書の全文が今月初め、40年ぶりに国会に提出されていたことが分かった。
 当時の国の年間予算の2倍以上に当たる3兆7000億円もの被害が予測されていたが、同庁は61年に損害額を3分の1以下に抑えた要約だけを提出し、その後は事故の想定の調査を委託した事まで否定してきた。
 報告書は「大型原子炉の事故の理論的可能性および公衆損害学に関する試算」と題する文書で、原発事故発生時の損害賠償制度を定めた減移植損害の賠償に関する法律の制定(61年)に向け、科技庁が社団法人・日本原子力産業会議に委託して作成した。全文の要約(18ページ)の後に「付録A〜G]が続き、計242ページで構成されている。
 出力50万キロワットの発電所から2%の放射能が漏れた場合(放出量は約1000万キュリーで、チェルノーブイリ事故の3分の1以下に当たる)との想定で、損害額を試算している。
 要約では最大の損害額を「一兆円をこえる」と書いてあるだけだが、「付録G」には当時の国の一般会計1兆7000億円の2倍に当たる「3兆7000億円」と明記されている。
 人的被害を1〜4級までランク付け、治療費、慰謝料の額など具体的な試算結果が盛り込まれている。
 科技庁は61年4月、衆議院科学技術対策特別委に要約部分だけを出した。89年3月の参議院科学特別委では、当時の原子力局長が(注:共産党の質問にたいし)原発事故の被害予測をした事自体を否定していた。
 しかし、昨年夏ごろから全文が有ることが一部で伝えられ、今年4月27日と5月27日の参院経済・産業委員会でも追及された。
 有馬朗人科技庁長官は「今後は原子力基本法の民主・自主・公開の3原則に従って十分公開していく」と約束し、今月2日に全文が各党に届けられた。

早く公開すべきだった  青江茂・科技庁原子力局長の話
 個人的な感じだが、数値の大きさに当時の担当者は相当驚いたようだ。数字だけが独り歩きしないように配慮したのだと思う。当初、全文公開しなかったのは当を得ているとしても、もっと早く公開すべきだった、と言われればその通りだと思う。

やっぱり、有りましたね。
(中略)
確か、原子力災害損害保険は600億円で電力会社の責任はそれ以上は免責になると言うことでしたから総て国の予算=我々の税金でまかなうと言うことですね。
こりゃ、詐欺ですよね。これが当時発表されていたら、原発は建設できなかったんじゃないですか?(注:この当時は商業炉はなく実験炉しかなかったらしい)そして、それが秘密にされた結果がこの狭い国内に50基を超える原子力発電所が出来ることになったのだ。この責任は一体誰が取るのですか?
(中略)
 これに関連しては1999年9月30日の東海村核臨界事故に関連して週間現代に記事が掲載されたのでここで引用する。

被害総額は「国家予算の2倍」
(前略)
 政府はいまから40年近く前に、すでに最悪の状況を想定しながら、われわれに隠し続けていたのだ。
 ここに、「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」と題する、244ページにも及ぶ1冊の(秘)文書がある。
 1960年、科学技術庁原発事故が起きた場合の被害規模の試算を原子力産業会議に委託。東海村に建設することになっていた出力16.6万kWの「東海1号炉」をモデルにして作成されたものだ。
 その衝撃的な内容を紹介しよう。
 まず、東海村から2%(1000万キュリー)の放射能が漏れた場合、つまりチェルノブイリ事故の30分の1の規模の事故が発生した場合の災害について、このデータは恐るべき地獄絵を描いている。
〈晴れていて大気より地表の温度のほうが低く、したがって空気の入れ替えがないときには、死者は720人を越え、5000人が障害を起こし、400万人が被曝手帳をもらう被害が出る。被害の総額は1兆円になる〉
 雨や雪が降った場合は、被害はさらに甚大になる。
疎開しなければならない人は1800万人。放射能をかぶる農地が15万km2に及び、被害額は3兆7000億円に達すると思われる〉
 1960年当時の国家予算は1兆6000億円程度。つまり、一度、原発事故が起きれば国家予算の2倍にも及ぶ被害が出るとデータは語っているのである。当時の岸(信介)内閣は、その被害額に色を失い、データを(秘)扱いにしたという。もちろん,当時に比べて東海村から都内近郊にかけての人口は急増しているから、死者も720人程度では到底収まるまい。
 このような最悪のシナリオを想定していながら、国内初の臨界事故という国家危機に際して無為無策だったばかりか、国民には一言も知らせなかったことは国家的な“犯罪行為”といえる。

*1:著書『東京裁判論』(1989年、大月書店)、『東京裁判への道(上・下)』(2006年、講談社選書メチエ

*2:阿片密売は日本軍がバックにいた事に注意

*3:最近の研究書としてマイケル・ノーマン、 エリザベス・M・ノーマン「バターン死の行進」(2011年、河出書房新社

*4:田中正明「パール判事の日本無罪論」(小学館文庫)のことだろう

*5:ググった結果一又とは一又正雄なる人物らしいことは分かったが、著書名は不明