新刊紹介:「前衛」1月号

「前衛」1月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat167/
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは1月号を読んでください)


■「TPP参加は国をこわす道・広がる国民との矛盾:参加阻止へ国民的共同の発展さらに」(紙智子)
(内容要約)
・紙氏は日本共産党参議院議員。農業政策担当のため農業問題への言及が多いが、TPPそれ自体は農業限定ではないことを断っておく。

参考
赤旗
「TPP加盟で自給率下がる、紙議員追及に 戦略相、否定できず、参院予算委」
http://jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-03-09/2011030901_06_1.html
「主張:TPP交渉参加、なにがなんでも突き進むのか」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-12/2011101201_05_1.html

日本共産党「TPPへの暴走を許さない国民的な共同をよびかけます――暮らし・食料・農業・地域経済を守るために力をあわせましょう」
http://www.jcp.or.jp/seisaku/2011/20111014_tpp_appeal.html


■特集「リポート:原発からの撤退を求める運動」
【福岡県:立場の違いをこえ広がる「原発なくせ」の運動:「11/13さよなら原発集会」に15000人(篠田清)】
(内容要約)
上手く要約できないのでググって見つけたエントリを紹介する。

「さよなら原発!福岡1万人集会」
http://goodbye-nukes.com/
読売新聞「福岡で1万5000人「脱原発」デモ」
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20111114-OYS1T00553.htm
毎日新聞脱原発:福岡で1万人集会 「玄海」再稼働反対など訴え」
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111114k0000e040013000c.html
西日本新聞「「原発いらない」市民結集 福岡市で「1万人集会」」
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/273218
赤旗
「母親ら“原発ゼロに”北九州市民集会開く」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-10/2011091001_06_1.html
「さよなら原発 集会に1万5000人、福岡」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-11-15/2011111501_06_1.html
大脇道場「No.2165 びっしり! 1万5千人の『11.13 さよなら原発!福岡1万人集会』」
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-2297.html

もちろん集会の成功には「九電の不誠実さ」への怒りがあることは間違いないだろう。

参考
赤旗
「九電が“やらせ”メール、玄海原発再稼働求める投稿、関係会社に依頼、国主催の説明会」
http://jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-02/2011070201_01_1.html


京都府:世界最大の原発群・福井原発群に隣接する京都:「原発からの撤退」は京都府民の切迫した課題(池田文穂)】
(内容要約)
上手く要約できないのでググって見つけたエントリを紹介する。

毎日新聞もんじゅ廃炉、府も働きかけを 反原発団体委が要望 /京都」
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20111202ddlk26040571000c.html
赤旗
「京都で原発ゼロ大集会、“古都守れ”と2600人」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-11/2011091104_04_1.html
原発ゼロへ「京都アピール」、賛同に尾池・京大前総長ら」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-27/2011102701_08_1.html
京都民報「古都守る「脱原発市長」誕生させよう 文化の会」
http://www.kyoto-minpo.net/archives/2011/12/02/post_8340.php


【東京都:多彩なデモ・パレード、党との共同・交流の新しい流れ(望月康子)】
(内容要約)
上手く要約できないのでググって見つけたエントリを紹介する。

赤旗
原発ゼロ日本 ともに、「素人の乱」デモ呼びかけ人と笠井議員トークライブ、東京・杉並」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-06/2011090615_01_1.html
「全廃を突きつけよう、「さようなら原発」19日の集会成功へ、東京 大江健三郎氏ら講演」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-09/2011090904_02_1.html
「さようなら原発 6万人、大江さんら著名9氏が呼びかけ、東京・明治公園」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-20/2011092001_01_1.html
「“原発ノー” 親子で歩く、東京・板橋」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-24/2011092401_06_1.html


【千葉県:「放射能汚染から子どもを守りたい」のエネルギーで広がる共同(浅野史子)】
(内容要約)
上手く要約できないのでググって見つけたエントリ等を紹介する。

赤旗
原発どうよ?、千葉大生らパレード」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-24/2011072415_02_1.html
「世界観の違いこえ共同を、千葉で宗教者の集い 志位委員長よびかけ」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-16/2011101601_02_1.html


【埼玉県:ツイッターで呼びかけ合って「原発いらない」のデモ(伊藤岳)】
(内容要約)
上手く要約できないのでググって見つけたエントリを紹介する。

日本共産党
「「原発さよなら」市民デモ 埼玉・所沢、ツイッターで参加広がる(11.9.10)」
http://www.jcp.or.jp/movie/11mov/20110914/index.html


■「「原発利益共同体」の実態を抉る(下)」(小松公生)
(内容要約)
(下)では電力会社とマスゴミの不適切な関係が主として取り上げられる。
内容要約が上手くできなかったのでこれについては以下を参照。

赤旗
原発事故の教訓は何か――三つの角度から考える、外国特派員協会 志位委員長の講演」

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-22/2011072204_01_0.html
 私が、深刻だと考えるのは、一部の大手メディアが、この利権集団の一員であるということです。
 原発事故が起こった当日、東電の勝俣会長は、マスコミ幹部を引き連れて中国旅行をしていました。
 記者会見で彼はこう問われました。
 「旅行の費用は東電持ちだったのか」。
 彼は、こう答えました。
 「マスコミ幹部への旅費は一部東電が出した」。
 要するにこの旅行は、マスコミへの「接待旅行」だったのです。記者会見でこうした重要なやりとりが交わされながら、大手メディアでこの事実を伝えたものは一つもありませんでした。
 1970年代、電力業界は、巨額の広告料を払って、大手メディアを次々に買収していきました。まず大型広告が現れたのは朝日新聞です。つぎに読売新聞が続きました。残された毎日新聞は、原発に反対する記事を抑えることを約束して、広告料を手にしました。こうして大手紙は総なめにされ、広告料のひもがつけられ、「安全神話」の媒体となったのです。「安全神話」をふりまく共犯者としての役割をはたした一部大手メディアに、私は、猛省を求めるものです。


質問:
「朝日」が電力業界の買収の最初のターゲットになったと聞きました。私たちは「朝日」はリベラルで、「読売」は保守的で財界に近い新聞と認識していましたが。
志位:
 大型広告が「朝日」から始まったのは、(電力業界側が)「朝日」がそのような新聞だと一般に見られていたことを考慮してのことだと思います。しかし、そこからはじまったことは事実なのです。「読売」がそれにつづいたのは、「読売」の社長だった正力松太郎氏が、原発を日本に導入した責任者(初代原子力委員長)だったという関係があったようです。「朝日」「読売」に定期的に広告が掲載されるようになると、「毎日」も広告を出してくれと要請します。当時、「毎日」は、原発に反対するキャンペーン記事を紙面に載せていました。そこを突かれて、「毎日」は電力会社側からこういわれます。
「反対が天下のためになると思うのなら反対に徹すればいいではないか。広告なんてケチなことは、どうでもいいではないか」*1
そういわれて「毎日」は、原発の記事は慎重に扱うと約束し、原発の危険性を伝える企画も取りやめとなりました。
 こうして日本の大手新聞を総なめにしたというのが経過です。それらの新聞のなかには、福島原発の事故後、原発の危険を伝える報道を始めているところもあります。この変化自体は、良いことです。しかし、自分たちの果たしてきた歴史への反省は必要です。それは国民に対して、また事実に対して誠実な報道機関なら、当たり前のことではないですか。そのことを、私は、一言いっておきたいのです。


kojitakenの日記
「有馬哲夫『原発・正力・CIA』(新潮新書)」
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20111029/1319854227
「岸田純之助と大熊由紀子の「原発推進報道」の責任を追及すべきだ」
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20110624/1308927114
原発批判番組制作者が干された広島テレビ日本テレビ系列」
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20110625/1308954425


id:kojitaken氏はマスゴミという言葉が嫌いだそうだが、原発問題における氏のマスコミ批判は安直に「マスゴミ」と言う言葉を使う者よりもよほど「正しい意味でのマスゴミ批判」になっていると思う。


なお小松氏は今最も原発批判を展開しているメディアとして東京新聞、特に東京の「こちら特報部」をあげている。
これについてはたとえば
kojitakenの日記「東京新聞の一面トップは「経産省エネ庁の『反原発』新聞記事への中傷」批判。朝日・毎日とは気合いが全然違う」
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20111120/1321797393
を参照。その上で、小松氏は東京新聞の発行元である中日新聞が未だに原子力産業協会の会員企業になっているのはどういう事なのか?、(小沢一郎のような)ペテン行為かとあえて批判している(原子力産業協会のHPで確認が出来る。ちなみに会員企業にはそうそうたる企業が名を連ねており、原子力関連業界の政治力の強力さにも納得がいく。)。


■「民主党政権天下りあっせん根絶の公約をどのように裏切ったか:現役国交省幹部官僚による天下りあっせんの実態」(山下唯志)
(内容要約)
これについては以下参照。どう見ても民主党政権は塩川氏の追及を何とかやりすごしてごまかそうとしてるようにしか見えない。しかも塩川氏が「疑惑の現役幹部官僚」として追及していた宿利正史国交省審議官(当時)を塩川氏が追及中であるにも拘わらず、9月16日付けで官僚トップの事務次官にしてしまったのだから何ともかんともである。今更「確かに塩川先生のおっしゃるとおりです」としたら宿利氏を事務次官にしてしまった任命責任が出てくるからとにかく「そんな事実はない」と言う結論ありきで逃げるしかないのだろう。
しかし普段、「正義の味方」面してる「マスゴミ」はどうしてこの問題で騒がないのか?。君らの大嫌いな「高級官僚の天下り疑惑」だぞ?(毒)。まさに「破壊すべき既得権益」じゃないか。
共産党が嫌いだからか?
野田内閣や国交省ともめたくないからか?。どっちにしろ、そんなことだから日本のマスコミは「マスゴミ」って言われるんだよ。


赤旗
「玉突き天下りあっせん、塩川議員 国交省疑惑の調査要求」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-30/2011073014_01_1.html
天下りあっせん、現役幹部が関与か、国交省、調査委を設置、塩川議員が追及」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-13/2011081310_01_1.html
天下り調査 国交省「あっせんない」、塩川議員 解明、官房の責任で」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-19/2011081914_01_1.html
「「あっせんない」と国交省、「天下り」で調査委が最終報告」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-21/2011082104_01_1.html
主張『高級官僚の「天下り」、「あっせんない」は通じない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-26/2011082601_05_1.html
国交省OB・天下り“玉突き”、別に3ルートあった、塩川衆院議員調査で判明」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-26/2011102614_01_1.html
国交省天下りあっせん、調査委を再設置、塩川質問受け」
http://jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-11-12/2011111215_03_1.html


■「草の根と国際政治を結んで国連に102万署名届けた日本原水協の活動」(高草木博)
(参考)
上手く要約できないので以下の記事を参照。

赤旗
「「核兵器禁止条約を」の声 国連に、102万人分 署名託す、日本原水協
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-01/2011100101_06_1.html
「国連でドゥアルテ上級代表、原水協など草の根活動に感銘」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-06/2011100601_02_1.html
核兵器禁止署名 国連に102万人分提出、原水協代表団 条約交渉開始求める」
http://jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-07/2011100701_03_1.html


■「転換期の基軸通貨ドル:ドル危機の歴史的展開と世界経済危機」(今宮謙二)
(内容要約)
・戦前はイギリスポンド基軸通貨だったが戦後はアメリカの政治力、経済力増大によりアメリカドルが基軸通貨となった。
・ドルに最初に発生した危機は1971年のニクソンショック(ドルと金の交換停止)、1976年の変動相場制への移行で解決された。
・しかし現在ドルは価値が下がっており、ドルの価値を上げるなり、新たな基軸通貨(ユーロ、円、人民元など)を採用するなりの解決が必要ではないかと言われ始めている。


■特集「70年目の12月8日*2
ただし林論文(戦争責任問題)も吉田論文(徴兵制度)もテーマからして「太平洋戦争限定」ではないが。


【いま戦争責任を問いかける意味:侵略戦争の歴史と戦後責任の成り立ちを考える(林博史)】
(内容要約)
・まあ、思い切りはしょって言えば,我々日本人は戦争の真摯な反省が足りず、それが現在も問題を生んでいるといったところが内容。以前紹介した、林博史「戦後平和主義を問い直す」(2008年8月刊行、かもがわ出版。この本への俺の感想はhttp://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20091129/1259061072参照)とも主張はかぶる。
・以下、林氏の指摘を元に俺が思ったことを書いていく。
・十分な反省がなかったからこそ「俺は民意の代表だ」と言うバカ(橋下のこと)がのさばるのではないか。民意というなら少なくとも「敗戦が目前に迫っていない」戦争初期においては「戦争推進は民意」であった。
 そして現代版「満蒙は日本の生命線」といっていい「大阪都しかない」(by橋下)、「郵政改革ですべてうまくいく」(by小泉)、「TPPは不可避」(by野田)が今も横行している。
そしてそうしたデマをマスゴミが煽ると言う状況も戦前そっくりである。マスゴミには戦争の反省などないのだろう。
 最近、そうした戦後版「無責任体制」の事例がいくつも表面化している。原発安全神話の崩壊しかり、オリンパス大王製紙ブラック企業ぶりしかりだろう。
・あの戦争を真摯に反省すれば「何故ああしたことを止められなかったのか」「政治監視が重要だ」「政治以外でも偉いさんの監視が必要だ」となるだろうが日本はそうならなかった。未だにデマゴーグ政治家(小泉、橋下)に政治を丸投げし、オリンパス大王製紙のようなブラック経営者がのさばる糞っぷりである。
・基地が日本に今も残ってる理由(それだけではなく日本の政治が従米的な理由もそうだろうが)の一つは「日本の政治を岸信介のような戦犯勢力がになった」ことだろう(勿論それが理由のすべてではないし、与党には石橋湛山のような戦争批判派もいたが)。彼らは戦犯勢力である以上、「いつアメリカに見捨てられるか」と言う恐怖から離れる事が出来ず、米国に迎合的になる傾向があったと見られる。
・植民地支配、対外侵略に無反省であるからこそ、ベトナム戦争イラク戦争の支持と言うことが起こるわけだ。


赤紙と徴兵:残された兵事書類が問いかけるもの(吉田敏浩*3)】
(内容要約)
・筆者は「赤紙と徴兵: 105歳・最後の兵事係の証言から」(2011年、彩流社)の著者。著書を書き上げての感想が述べられる。
参考
赤紙と徴兵: 105歳・最後の兵事係の証言から」のAmazon内容紹介。

 村人に毎日のように赤紙召集令状)を届けつづけた兵事係、西邑仁平さんは、敗戦時、軍から24時間以内の焼却命令が出ていたのに背き、命がけで大量の兵事書類を残した。
「焼却命令には合点がいきませんでした。村からは多くの戦没者が出ています。これを処分してしまったら、戦争に征かれた人の労苦や功績が無になってしまう、遺族の方にも申し訳ない、と思ったんです」
 警察や進駐軍による家宅捜索への不安の毎日。妻にさえ打ち明けることができなかった。100歳を超え、ようやく公開に踏み切った。赤紙は軍が綿密な計画のもとで発行し、人々を戦地に赴かせていた。兵事係は、その赤紙を配るだけでなく、戦死公報の伝達や戦死者の葬儀なども担っていた。

赤紙と徴兵: 105歳・最後の兵事係の証言から」の書評。

http://www.sairyusha.co.jp/shohyou/%E3%80%8E%E8%B5%A4%E7%B4%99%E3%81%A8%E5%BE%B4%E5%85%B5%E3%80%8F%E3%81%8C%E3%80%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%B5%8C%E6%B8%88%E6%96%B0%E8%81%9E%E3%80%8D%EF%BC%8811-8-7%E4%BB%98%EF%BC%89%E3%81%AB%E3%81%A6.html
「当時、徴兵を司る組織の末端に、全国の市町村に「兵事係」という職業があった。兵事係の事務書類は、終戦時に軍の命令で焼却された筈であったが、琵琶湖湖畔の村に兵事係の手で隠匿されていたことが2007年に明らかになった。著者は、この書類を丹念に調べ、百歳を超えていた元兵事係、赤紙で中国や東南アジア、南洋諸島に送られて九死に一生をえて帰還した元兵士、戦死者の遺族などにインタビューして、陸軍省から兵事係までの、精密かつ強固に組織された徴兵制度と翻弄された人々を追っている」(「東京臼杵人会だより」11.10.26号より)



「昭和の軍事主導体制そのものは、狡猾かつ巧妙にできあがっている。兵事係は招集の赤紙を届けるだけでなく、兵士としての資質、技能についても平時から調べあげているし、召集兵の戦死報告の役も担わされる。赤紙が届いた家には「おめでとう」の声が共同体の挨拶という時代、『人間』が歪むのは当然だ。兵事係は兵役を免れるがゆえに、兵事業務に熱心になるからくりも証言で浮かぶ。捕虜を恥じての自決、召集猶予者のリスト、志願兵割り当ての仕組み、著者の怒りは昭和軍閥研究の原点である。」(「朝日新聞」11.10.2付より)



「戦前・戦中の日本において、国家は民衆に『天皇陛下のため、お国のため』という意識を植えつけ、『大東亜共栄圏』という大義のもとに侵略戦争へと駆りたてた。銃後の国民も歓呼の声と『日の丸』の小旗で青年たちを戦地に送りだした。いったいどのような仕組みのもとに日本の民衆は日常の生活から切り離され、異国の戦場に送りこまれたのか。著者は、兵事書類を丹念に読み解き、国民と地域社会がどのように戦争への道につき進んでいったのかを克明に浮きぼりにしていく。」(「早稲田大学新聞」(11.9.11付より)



「編集を八月に進めるせいか、秋号は戦争や原爆に焦点を向けたくなる。幸い今号もその方向に結像させることができた。期せずして、大きなテーマも盛り込めた。吉田敏弘氏と小菅信子氏の『赤紙と徴兵』のトークセッションにも運よく恵まれた。深く感謝したい。結果として一つの根を洗い求めることになったのは、予想外の成果だった。日本人が自らなかなか目を向けられないものが確かにあるが、折に触れてその機会を持ち、じっくりと足元を考えてみることは重要だろうと思う。」(「文芸思潮」11.秋号より)



「出征兵士は郷土の誉れとして村が一丸となって見送りました。戦死者が出れば村葬が行われ、名誉の戦死として手厚く郷土のみんなが弔った。大日本国防婦人会、在郷軍人会、青年団、処女会、愛国婦人会といった団体による銃後の守りと戦地は密接に結びついていたんです。そして、そのような体制が日本全国の市町村に行き渡っていた。私は本書の中でそのことを「草の根の戦争支持」と言い表しました。郷土の下からのエネルギーと国家の上からのエネルギーが合わさってはじめて戦争が遂行されたんです。」(「サンデー毎日」11.9.25号より)



「兵事書類の名簿に載っていた人たちに宛てて何通も手紙を書きましたが、亡くなっていた人が多かった。西邑さんも昨年、105歳で亡くなりました。西邑さんが赤紙を届け、入営まで付き添った若者たちのなかには、生きて大郷村(注:現在の長浜市の一部)に帰れかなった者が大勢いた。戦後、何十年経っても、西邑さんの記憶のなかではみな若者のまま。彼らの顔が浮かんで、眠れない夜もあったそうです。」(「望星」11.10月号より)



「戦時教育では国のために戦場に行くことを教えられた。その時代の同調圧力は過去のものではなく、今も容易に首をもたげると吉田さんは考える。『防衛庁(当時)が自衛官募集のため、18歳を迎える適齢者の情報提供を自治体に要望していたことが2003年に明らかになるなど、システムは残っているのではないか』と語る」(「神奈川新聞」11.8.28より)



「西邑さんが軍の焼却命令に従わなかったのは、兵事書類を焼いたら、戦死した村人たちの記録が無になってしまう、遺族にも申し訳ない、と思ったからだという。確かに、赤紙を配った時の克明な記録『動員日誌』や赤紙の受領証綴など兵事書類には、精密な徴兵制度に凝縮された国家の力により、村の日常から戦場への道を歩まされた男たちの名が記され、生と死の足跡が刻まれている。」(「東京・中日新聞」11.9.6付より)



「本書はむずかしい専門書ではないが、あの戦争のことを深く知ることができる。1941年の対米英開戦後も続く日中戦争で多くの兵が中国に渡っていることに目をむけたい。また43、44年と戦争が行き詰まっていくことを意識して読み進めたい。」(「赤旗」11.9.4付より)



「吉田さんは『西邑さんは歴史の証人。戦後、66年を経過するが、著書はその時代にタイムスリップし、生々しい歴史を脈打っている。戦争は意味のあることか。(この本は)これからの日本を考える上での手がかりになるのでは』と話している。」(「滋賀夕刊【東浅井版】11.8.20付より)



滋賀県の元兵事係がひそかに残した兵事資料から、その仕組みに迫る。徴兵検査や召集令状赤紙)の交付、出兵後残された家族の意識高揚。日常と戦場をつながざるを得なかった老人の悔悟と平和への願いが、資料に託されて重く響く。」(「日本経済新聞」11.8.7付より)

■学生連続講座「学生の就活問題と「資本論」」(田川豊)
(内容要約)
 結論的には「就活問題」は個人の問題と言うより「社会問題」「社会システムの問題」であり、社会的解決が求められる。そしてその場合の社会分析の「導きの糸」の一つとして、我ら共産党には「資本論」があると思ってるというようなお話。

■論点
パレスチナの国連加盟の動き:問題解決の障害が明らかに(尾崎芙紀)】
(内容要約)
パレスチナアメリカ、イスラエルの反対にも拘わらず国連加盟、ユネスコ加盟に踏み切ったのは「そうすることがパレスチナ問題解決に有益」と言う判断からであった。ユネスコ加盟については認められたがアメリカがユネスコ分担金支払いの凍結という報復措置を発動している(なお、国連加盟についてはアメリカの拒否権発動で認められなかった)。アメリカとイスラエルの態度は彼らにパレスチナ和平に真摯に取り組む意思があるのか疑わせるものである。

参考
赤旗
パレスチナ 国連加盟申請、アッバス議長「独立の時」、米は拒否」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-25/2011092501_03_1.html
『「パレスチナの春」運動に背向ける、国連加盟問題、米政権「歓迎」 一転 「反対」、専門家も“一貫性ない”と指摘』
http://jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-01/2011100106_01_1.html
パレスチナユネスコ加盟、国家承認は国際的多数、米・イスラエルの孤立際立つ」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-11-02/2011110207_01_1.html


【「慰安婦」問題での韓国憲法裁判所決定と日本の責任(吉川春子)】
(内容要約)
韓国憲法裁判所の慰安婦問題に対する判決(韓国政府が日本とこの問題で何ら外交交渉をしないのは違憲)で、慰安婦問題が日韓間の重要問題として改めて浮上している。日本政府は「慰安婦問題」に誠実に取り組むべきである。
特に野党時代は共産、社民とともに戦時性的強制被害者問題解決促進法案を提出したにも関わらず、この問題で動かない民主党政権の態度は許し難い。野党時代の共同提出は「どうせ成立しない」と言う考えによるフカシだったのか?

参考
赤旗「「慰安婦」問題解決急げ、国会で集い、紙議員あいさつ」

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-22/2011092214_01_1.html
 第2次世界大戦で旧日本軍が各国で女性を連行し、性行為を強制した「慰安婦」問題の早期解決を求める集いが21日、衆議院第2議員会館内で開かれ、約80人が参加しました。早期解決を求めて運動してきた市民団体や個人がよびかけました。
 韓国の憲法裁判所は8月30日、韓国政府に対し、「慰安婦」問題は1965年の日韓請求権協定の対象外であり、韓国政府は日本政府と外交交渉すべきである、との決定を下しました。この決定を受け、戦時性的強制被害者問題解決促進法の成立などの野田新政権の「慰安婦」問題早期解決への対応が注目されるなか、開いたもの。


■暮らしの焦点
【看護職場における二交替夜勤拡大、長時間夜勤の改善は急務(中野千香子)】
(内容要約)
・看護職場では二交替による長時間夜勤が横行しているがこれは「過労死」や「医療ミス」の原因になりかねない。
こうした状況を改善するためには
1)夜間勤務の規制、2)看護師不足の解消、が必要である。


■文化の話題
【演劇:二つの時代の町工場の行方(水村武)】
(内容要約)
劇団青年座「切り子たちの秋」、劇団銅鑼「はい、奥田製作所。」の紹介。

参考
劇団青年座「切り子たちの秋」
http://www.seinenza.com/performance/public/202.html

劇団銅鑼「はい、奥田製作所。」
http://www.gekidandora.com/titles/hai_okuda_seisakusho/


【音楽:無言館で聞く尾崎宗吉(小村公次)】
(内容要約)
11/12に長野県上田氏の無言館で行われた戦没作曲家・尾崎宗吉のコンサートの紹介。

無言館(ウィキペ参照)
長野県上田市にある美術館。第二次世界大戦で没した画学生の慰霊を掲げて作られた美術館で、美術館「信濃デッサン館」の分館として1997年に開館した。館主は窪島誠一郎。自らも出征経験を持つ画家の野見山暁治とともに全国を回って、戦没画学生の遺族を訪問して遺作を蒐集した。
第53回(2005年)菊池寛賞受賞。

尾崎宗吉(1915年4月22日〜1945年5月15日:ウィキペ参照)
 作曲家。静岡県で生まれ、1937年から東洋音楽学校(現・東京音楽大学)でピアノを学ぶ。在学中からドイツより帰国した諸井三郎の門を叩き、作曲を師事した。
 1936年、日本現代作曲家連盟に入会し、自作を発表、また1938年には深井史郎、安部幸明、小倉朗らと楽団プロメテを結成し活動した。1939年8月、応召を受け、北中国および南方戦線に派遣された。1942年に一旦帰還し、映画会社に勤務するも、翌1943年には再び満州および中国戦線に派遣され、1945年、江西省全県にて虫垂炎のため戦病死した。
 師・諸井譲りのドイツ新古典派的な作品を残した。代表作である「小弦楽四重奏曲・作品1」は、富樫康によれば、ムソルグスキーを思わせる原始性とヒンデミットの影響を受けた無調性を含んだ作風であるとされている。


【美術:対話のための展覧会(朽木一)】
(内容要約)
「生誕100年 津高和一 架空通信展」(http://otanimuseum.jp/home/exhi/tsutaka/tsutaka.html)の紹介。

参考
神戸新聞津高和一生誕百年に合わせ“テント美術館” 西宮 」
http://www.kobe-np.jp/news/bunka/0004598522.shtml


■スポーツ最前線
「男子体操・ロンドン五輪にむけての活路」(辛仁夏)
(内容要約)
・「日本のお家芸」と言われた体操だが「2004年アテネ五輪」での団体総合で28年ぶりの金メダルを獲得して以降はぱっとしない。
・その日本に取って最大のライバルが中国である。しかし10月の世界体操ではミスもあって、中国に余裕の金メダルを許す残念な結果となってしまった。世界体操の反省をもとにロンドン五輪での金メダルを目指して欲しい。


■メディア時評
【新聞:全国紙のTPPキャンペーンに抗議を(金光奎)】
(内容要約)
・TPPについて地方紙が慎重姿勢を示しているのに対し、全国紙は皆「参加は当然」と言う論調であった。国論を二分する問題に対し、この異常な偏向姿勢は何なのか?。全国紙の財界機関紙ぶりは救いようがない。


【テレビ:「番組種別の公表」の実効力は(沢木啓三)】
(内容要約)
・最近各テレビ局が、「番組種別(「報道」、「教育」、「娯楽」等)の公表」と言うことを自社ホームページ上で行っている。
このようなことがされるようになったのは「シルシルミシル」のような企業とタイアップしたバラエティーや、ジャパネットの通販番組などについて「CMとどこが違うのか」と言う批判があったため「何を自分たちは報道、教育、娯楽と考えているのか」と表示することでそうした批判に少しでも答えようとすることが目的の一つらしい。
しかしこの公開には以下の問題がある。
1)ホームページサイトが非常に見づらくそのような公開が行われてること自体がわかりづらい。もっと見やすくすべきだ。
2)種別は法令や民放連の共通既定に基づいたものでなく、極論すると各社が自分勝手に決めてるだけなので客観性に乏しい。民放連で共通基準を作ることを考えてはどうか。
・なお、『「シルシルミシル」のような企業とタイアップしたバラエティーや、ジャパネットの通販番組などについてされる「CMとどこが違うのか」と言う批判』について種別公表が有効とはとても思えない。種別公表の是非はともかく、そうした批判には別の対応策をとるべきではないのか。

*1:ナイスな脅し

*2:70年前の12月8日は太平洋戦争開戦の日である

*3:著書『ルポ・戦争協力拒否』(2005年、岩波新書) 『密約:日米地位協定と米兵犯罪』(2010年、毎日新聞社