新刊紹介:「経済」1月号(追記・訂正あり)

「経済」1月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは1月号を読んでください)


■随想「リビア『人々の声』」(尾崎孝史)
(内容要約)
 尾崎氏とはスーパーゲームズワークショップエンタテイメントの中の人(以下、中の人)が以下のように批判していた人なので話半分に読んどく。中の人はカダフィに甘すぎるように思うが、尾崎氏のような人は逆に「NATO軍と反カダフィ勢力」に甘過ぎだ。
 俺も共産支持者として余り共産系雑誌を批判したくはないのだがねえ。

http://sgwse.dou-jin.com/Entry/352/
今週の週刊金曜日は久しぶりの「大ヒット」
 ネタとして週刊金曜日を立ち読みした所、今週はとりわけ凄まじい内容だった。まさに毒電波ゆんゆん20000%くらいであろうか。
 一つはリビア情勢。何と「リビアカダフィ大佐死亡 解放の歓喜と代償 写真・文 尾崎孝史」と称して、「カダフィの独裁から解放されて喜ぶリビア市民」の写真をデカデカと掲載していた。しかもカダフィの死に様を「命乞いして哀れに死んだ」と散々にこき下ろしている。まるっきりアルジャジーラのヤラセ報道まんま引き写しではないか。陥落直後(だけでなく、多分今も)のトリポリ市内は暫定政府軍(反乱軍)とNATOの戦車やヘリが飛び回って厳戒態勢であり、市民は外に出るのも危険だったのに、どうやってあんな風に表へ出てはしゃげると? 仮にそのトリポリ市内の光景がヤラセでない事実だとしても、せめてNATO空爆で犠牲になった民衆の写真くらいは載せろという話だろう。それでこそ「歓喜と代償」と言えるのではないか。イラクの時だって例の「フセイン銅像を引き倒すバクダッド市民」の姿は米軍が買収して仕組んだヤラセだった事が判明しているというのに。
今はまだアルジャジーラNATO諸国の大本営発表のゴマカシが効いているが、遅かれ早かれそうした嘘やヤラセ・情報操作は露見してリビアにおけるNATOの残虐行為、すなわち空爆劣化ウラン弾による惨状の実態が世界中で表沙汰になるのは嫌でも避けられない。その時に金曜日がどのような報道をするのか今から楽しみにしている。多分何の謝罪も落とし前も付けずに、わざとらしく「リビアの傷跡」をお涙頂戴式に報道するのだろうが。
(中略)
尾崎は金曜日誌上で沖縄関係の写真報道を度々載せているが、こんなNATOの虐殺行為を見逃し・隠蔽して正当化するカメラマンに沖縄の問題をあれこれ言われてもねえ…。沖縄地元の基地問題ももちろん重要だが、そこから出撃する米軍の虐殺行為を無視されたり正当化されているような気がして、不快極まりない。


■世界と日本
【ユーロ危機は防げたか:問われた金融機関の貸し手責任(森本治)】
(内容要約)
ユーロ危機の引き金となったギリシャ危機の発生原因の一つは独仏英などの金融機関のギリシャ国債への野放図な投資にあった。今回、50%の損失負担というかたちで貸し手責任が問われたのはよいことである。


【TPPとASEAN諸国:アジア太平洋の地域協力の行方(豊田栄光)】
(内容要約)
ASEAN諸国(≒東南アジア諸国)は、必ずしもTPP参加に積極的ではない。参加を表明している国(シンガポール*1ブルネイベトナム、マレーシア)と表明していない国(フィリピン、タイ、インドネシア)がある。
TPPの是非はともかく、このことだけでも「TPPは必然、不可避」という一部積極派の主張が何の根拠もないことは明白だ。


【アルゼンチン大統領選挙:クリスティナ氏の再選と危機打開策への示唆(田中靖宏)】
(内容要約)
・アルゼンチン大統領選では現職のクリスティナ・フェルナンデスキルチネル氏が再選された。
再選理由としては「経済成長と失業率低下」を実現したことが上げられる。

参考
赤旗「アルゼンチン大統領選、現職が大差で再選、国民、貧困削減を評価」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-25/2011102507_01_1.html


ILOアフリカ地域会議:若者のディーセントワークを焦点に討議(夏目雅至)】
(内容要約)
ILOアフリカ地域会議についての報告。


■特集「世界経済危機と日本の選択」
【座談会「危機の構図と米・日・欧のゆくえ」(小西一雄、藤田実、河音琢郎)】
(内容要約)
・細部はともかく、大筋では「現在の経済危機」は「新自由主義」が必然でも不可避でもなく、むしろ問題だらけであったことを示しているとした上で、「新自由主義に変わる経済政策」の構築・実施を目指すといったところが結論か。


【欧米の債務・金融危機と超円高の実態(今宮謙二)】
(内容要約)
金融危機にある欧米に比べ日本経済が比較的健全であることが超円高を招いてる(あくまでも「健全」とは比較の問題だが)。
・このような状況を克服するためには以下のことが必要であろう。
1)欧米の金融危機克服
2)投機規制
 投機が超円高の主要因ではないが、投機が円高を助長していることは事実である。
3)内需の拡大
 日本が過度に輸出に力を入れていることが円高による被害を拡大している。今まで軽視されてきた内需拡大に力を入れることで円高によるダメージを小さくすることが出来るだろう。


原発撤退へのエネルギー・経済戦略:ポスト・フクシマの転換ビジョン(上園昌武)】
(内容要約)
・「原発がないと電力不足に陥る」と言う推進派の主張がきわめて怪しいことは「何とかこの夏を乗り切ったこと」で明白であろう。もちろんそのためにはそれなりの工夫が必要だが。

参考
赤旗原発なしで電力足りる、来夏も含め 民間研究所が試算」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-28/2011102808_01_1.html

・また原発の発電コストが安いというのも事実ではない。従来、電力会社が発表していた発電コストには廃炉費用、放射性廃棄物処理費用、事故時の賠償費用、地域への対策費(箱物を立てて懐柔する)などの費用は含まれておらず、これを含めれば決して、原発はその他の発電に比べて安いという事実はないのである。
・ドイツなど、原発廃止の方向に動いている国の政策を参考にし、自然エネルギーを推進していく必要がある。


【『シェールガス革命』で激変する石油・ガス市場(萩村武)】
(内容要約)
シェールガスとは以下のようなものである。

シェールガス(ウィキペ参照)
頁岩(シェール)層から採取される天然ガス。従来のガス田ではない場所から生産されることから、非在来型天然ガスと呼ばれる。
過去、シェールガスは頁岩層に自然にできた割れ目から採取されていたが、2000年代に入ってから水圧破砕法によって坑井に人工的に大きな割れ目をつくってガスを採取する技術が確立し、更に頁岩層に接している坑井の表面積を最大にするために水平坑井掘削技術という技法で3,000メートルもの長さの横穴を掘ることが可能となった。これらの技術進歩の結果シェールガス生産量が飛躍的に増加しシェールガスブーム、シェールガス革命などと呼ばれるようになった。

要するに従来、営業的にペイしないため、無視されていたシェールガスが技術革新によって、営業的にペイするようになったため、シェールガスの生産が2000年代から本格化し、それがエネルギー市場に大きな影響を与えてるという話らしい。
シェールガスブームによって、原油天然ガスの価格は安定傾向にあり、またいわゆる「ピークオイル論(オイルがいずれ枯渇する)」と言う話も影を潜めた。こういう状況で「石油枯渇の危険性」や「低コスト」を理由に原発推進を唱えるのは常軌を逸しているだろう(ガスはCO2がどうのこうの言うやつがいそうだが、放射線の危険性を考えれば「CO2を出さない原発はエコ」とはとても言えないし、CO2の問題は別途解決すればよろしかろう)。
ただしシェールガス開発に問題がないわけではない。たとえば
「1:水圧破砕法には大量の水を使うため、水資源の枯渇を招きかねない」
「2:水圧破砕法では特殊な化学薬品を使うため、それが地下水汚染など環境破壊の原因になりかねない」という批判がある。そのためアメリカの州によっては、シェールガス開発を禁止している州もあるという。この点をどう評価するかという問題(問題を解決した上でシェールガス開発を続けるのか、原発のように問題の多すぎる技術としてシェールガス開発をあきらめるのか)は勿論ある。どっちにしろ原発が安全でないこと、今後依存していくべき技術とは言えないことにかわりはないが。

【追記】
愛読してる五十嵐仁氏のブログがシェールガスについて触れていたので紹介。

http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2011-12-17
戦後のエネルギー・原子力行政と政治の責任(その4)、より一部引用
 火力発電所は過去のものだと思われがちですが、必ずしもそうではありません。石炭による火力発電も、磯子火力発電所のように木質チップを混ぜることで二酸化炭素を減らし、排煙をださない効率的な発電ができるようになってきています。
 また、天然ガスによる火力発電は、これまでの石炭や石油による発電と比べて二酸化炭素排出量が3分の1ほどですみます。しかも最近、シェールガスと言われる天然ガスアメリカ大陸の地下に大量に存在していることが明らかになり、これへの期待が高まっています。ただし、このシェールガスの発掘による新たな環境破壊も生まれ、「ガスランド」*2というドキュメンタリーになりました。天然ガスが思わぬところから漏れて水道の蛇口に火をつけると燃え出し、薬品に汚染された水が川に流れ出すという問題も生まれています。

参考
NHKBS世界のドキュメンタリー

http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/101213.html
ガスランド 〜アメリカ 水汚染の実態〜 前編
 デラウェア河上流の森は、ニューヨーク州ペンシルベニア州に飲料水を供給する大水源地帯だ。そこに暮らすジョシュの家に、地元のガス開発会社から、土地を借り受けたいという手紙が届いた。約8ヘクタールの私有地の鉱業権と引き換えに、10万ドルの報奨金をもらえるという好条件だ。
 いまアメリカでは、従来は採算が合わないとされてきた「シェールガス」と呼ばれる、新しいタイプの天然ガスの生産が急増中だ。採掘には、地下に高圧大量の特殊溶液を注入し、岩石層に亀裂を生じさせる「フラクチャリング(水圧破砕)」という方法が用いられる。
 うまい話には裏があるはずと、ジョシュはハンディカメラを片手に、すでに自分の土地にガス井を掘った人々を訪ねる取材の旅に出る。そこで見たのは、飲み水の着色や異臭はもとより、家庭の蛇口から出る水が燃えるという異常な事態だった。不安と怒りを訴える住民たち。しかしアメリ環境保護局は、この件に関し一切の調査を行っていない。その理由とはいったい?
<後編につづく>

http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/101214.html
ガスランド 〜アメリカ 水汚染の実態〜 後編
 世界の資源地図を塗り替えると期待される、新しい天然ガスシェールガス」。その開発に疑惑を持ち、コロラド、ワイオミング、テキサス、ルイジアナ・・・と自家用車で旅を続けるジョシュが見たものは、飲み水や大気の汚染で深刻な健康被害に怯える人々と、無残な姿をさらすアメリカの大地だった。
 行政担当者や環境問題の専門家などに話を聞くうち、汚染の原因は、岩石層の水圧破砕のために地下に注入する特殊溶液にある可能性が浮上してくる。アメリカでは飲料水の安全確保のため、水源地帯の土中に異物を混入する行為は厳重に規制されている。ところが、住民の要請を受け当局が調査を行った形跡はなく、ガス会社には溶液の成分を公表する義務さえないという腑に落ちない事実が明らかになっていく。
 こうしたガス開発を優先する特例を推し進めたのは、巨大エネルギー会社*3のCEOからブッシュ政権入りしたチェイニー前副大統領だった。特例を認めるべきか?否か?安全な水を求めるジョシュの取材の旅は、ついに連邦議会での攻防の場へとたどり着くことに・・・


【中国の経済大国化と東アジア(角田収)】
(内容要約)
・中国についてはその経済は「対米輸出」に依存したものであるという評価がある。しかしアメリカの経済が減速しても中国経済は一定の成長を続けた。このことからは「中国で日本の高度経済成長のような状況が起こり、中間層が育ってきつつある」、つまり「対米輸出が今も大きな比重をしめるが、国内消費も増加している」と見ることが出来るのではないか。もしこの見方が正しいならば、今後も中国経済は当面は順調に成長していくと見なすのが適切だろう。


■特集「TPPを斬る」
【日本を壊すTPP(真嶋良孝)】
(内容要約)
・筆者は農民運動全国連合会副会長であり、批判は農業問題を中心に行われている(勿論農業だけがTPPの対象ではないが)。TPPでは食糧自給率が下がる危険性があるがその点政府はどう考えているのか、まともな説明が全くなされていない(一応、政府方針では食糧自給率は引き上げをめざすこととなっている)。
説明できないからしないのではないかと酷評している。

参考
赤旗「TPP加盟で自給率下がる、紙議員追及に 戦略相、否定できず、参院予算委」

http://jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-03-09/2011030901_06_1.html
 日本共産党の紙智子議員は8日の参院予算委員会で、政府が参加を検討している環太平洋連携協定(TPP)によって大量の輸入農産物が入ってくるため、政府が唱える食料自給率の引き上げは不可能になると述べ、TPP交渉参加撤回を要求しました。
 紙氏は、政府の「食料・農業・農村基本計画」で、2020年までの食料自給率(カロリーベース)を40%から50%に引き上げるため、小麦を戦略作物として位置づけ、生産を88万トンから180万トンにする計画であると指摘。「TPPで関税がゼロになったら、大量に小麦が入り、自給率は上がるどころか下がる」とただしました。
 菅直人首相は、「どのように可能になるのか議論している」としか答えられませんでした。


日本共産党「TPPへの暴走を許さない国民的な共同をよびかけます――暮らし・食料・農業・地域経済を守るために力をあわせましょう」

http://www.jcp.or.jp/seisaku/2011/20111014_tpp_appeal.html
1、「食と農」に壊滅的打撃――国民が生きていく土台を崩していいのか
 TPP参加は、日本の農林水産業に壊滅的打撃を与え、国民への安定的な食料供給と食の安全を土台から崩します。自国での農業と食料生産をつぶし、もっぱら外国にたよる国にして良いのか、この国の根本的なあり方が問われています。


 農林水産業をこわし、食料自給率を大幅に低下させる
 農林水産省は、関税撤廃で、日本のコメの自給率は1割以下、国民が食べるコメの9割以上が外国産米になり、その結果、食料自給率は現在の39%から13%に落ちるとしています。TPP参加と食料自給率の向上は、絶対に両立しません。民主党政権が昨年3月に決定した「2020年度までに食料自給率を50%にする」という「食料・農業・農村基本計画」にも反します。
 「第三の開国」とか「農業は保護されすぎている」などと言いますが、今でさえ日本の農産物の関税率は11.7%とアメリカに次いで世界で二番目に低くなっています。日本は「鎖国」どころか、すでに十分すぎるほど「開かれた国」です。
 競争相手は世界で最も農産物の安いアメリカとオーストラリアです。日本農業が壊滅的打撃を受けることは避けられません。一戸当たりの耕作面積が日本の100倍のアメリカ、1500倍のオーストラリアと、「競争できる強い農業」などというのは、国土や歴史的な条件の違いを無視した暴論にすぎません。


 大震災からの復興への希望を奪う
 東日本大震災で大きな被害を受けた東北3県の農林水産業にとっては、さらに事態は深刻です。日本有数の“米どころ”への打撃ははかりしれません。三陸の主要産品であるワカメ、コンブ、サケ・マスなど水産業にも甚大な被害が及びます。被災地の基幹産業である農林水産業への大打撃となるTPP参加の強行は、被災者の生活と生業再建の基盤を壊し、復興への希望さえも奪ってしまいます。


 環境や国土など農林水産業の多面的な役割も失う
 農林水産業は、環境や国土の保全など、多面的な役割を果たしています。日本学術会議は、農林水産業の多面的機能について、洪水防止機能、土砂崩壊防止機能、水質浄化機能、生態系保全機能などで年間約90兆円の効果があると試算しています。TPPは、こうした多面的機能も喪失させます。


 交渉参加は、コメを含む関税撤廃を約束することが前提
 推進派からは「TPP交渉に参加し、その後、加盟か撤退かを検討する」などというごまかしの「方便」まで出ています。TPP交渉参加の前提条件は、コメを含めて関税の撤廃を約束することを十分承知の上で、こんな議論を持ち出しているのです。実際、カナダは「チーズと家禽類の肉」の関税撤廃を表明しなかっただけで交渉参加を拒否されました。「交渉参加とTPP参加は別」などという「偽りの先送り」論で、国民を欺こうなどということは許されません。


赤旗主張「TPP交渉参加、なにがなんでも突き進むのか」

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-12/2011101201_05_1.html
 野田佳彦政権が環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加に足を踏み出しました。
 TPPは日本農業に壊滅的打撃を与え、経済のあり方を大きくゆがめます。東日本大震災の被災地は日本の食料基地であり、TPPの影響をまぬがれません。大震災から7カ月、復興が進まず政府の責任が鋭く問われるなか、被災地をさらに痛めつけるTPP参加に突き進むことは許されません。野田政権が「米国・財界直結」であることを示すものです。
■大規模化で対応できぬ
 食の「安全・安心」を通じて、国民の農業への関心が高まっています。環境保全の面でも農業が果たす役割はきわめて重要です。その指標である日本の食料自給率はいま先進国最低の39%です。食料自給率を抜本的に引き上げることは国民要求であり、政府の重要な責務です。民主党も2年前、「食料自給率の向上」を掲げて政権についたはずです。
 TPP参加は、政府の自給率向上の責務を投げ捨てるものです。「例外なき関税撤廃」を基本とするTPPへの参加で、日本農業が大打撃を受けることは政府も認めています。農水省試算によれば、食料自給率はTPP参加で13%にも落ち込みます。それどころか、TPPのもとでは「食料自給率」の考え方そのものを放棄することになります。安全や環境への影響がどうあれ、価格さえ安ければ消費者にとって“得”というのが、自由貿易の考え方だからです。
 TPPには米国やオーストラリアなどの食料輸出国が参加しています。農業経営は自然をはじめ国土のさまざまな条件に左右され、国によって経営規模に開きがあります。農家1戸当たりの経営規模は、米国が日本の99倍、オーストラリアは1902倍ととてつもない開きがあります。これらと対等に競争しろというのはまったく無理な話です。
 政府はTPP対策として、経営の大規模化によって日本農業を“強く”するといいます。海外の農産物と競争し、輸出もできるようにすると夢をふりまきます。しかし、TPPによる打撃は規模拡大で乗り越えられるものではありません。仮に政府がめざす規模に達しても、もちこたえられる保証はまったくありません。
 北海道の農家は大規模経営が多く、1戸当たりの経営規模は全国平均の10倍です。その北海道でさえ、TPP参加で米、小麦、砂糖、でんぷん、乳製品などが大きな影響を受け、食品工業など関連産業も合わせれば2兆1千億円もの損失になることが見込まれています。北海道は経済界こぞってTPPに反対しています。経団連米倉弘昌会長が先週、北海道に乗り込んで交渉参加を主張したものの、農業団体の「断固反対」の声に跳ね返されたのは当然です。

*1:シンガポールは所謂都市国家で、日本と全然性格が違うので、ベトナムやマレーシアならともかくあそこが参加したからと言って日本が参加すべしとは全然ならないだろう

*2:NHKBSで放送された

*3:ハリバートンのこと