■【書評】『韓国の大量虐殺事件を告発する ベトナム戦争「参戦韓国軍」の真実』
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140629/bks14062913000005-n2.htm
「南京事件否定論者でベトナム戦争を当時支持した産経に韓国非難する資格があるのか」「大体産経のこの種の批判てチベット問題もそうだけど『嫌な奴への攻撃』に過ぎなくて被害者救援とかいったまともな代物じゃない」と言う主旨のブクマもつけましたがこっちでも突っ込み。そもそも韓国のベトナム戦争参戦は「ベトナムが韓国を攻撃したわけでないから」到底「専守防衛」ではありませんので「専守防衛しか認めない日本国憲法」のもとではこうした事態はあり得ない話です。
つまりは「専守防衛以外も日本は軍事行動すべきだし、できる（安倍や産経の立場）」とすると非常に問題だと言う事の一つの証明ですが、産経はむろんそういう理解をしません。
■【挿絵で振り返る「アキとカズ」】（１３）巣鴨プリズン絞首台跡にある「おかしな碑文」
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140629/art14062918000001-n1.htm
この碑文に違和感を覚えた。広島にある原爆死没者慰霊碑にある「過ちは繰返しませぬから」に共通する“匂い”を感じたからだ。
まあ、「原爆慰霊碑は米国批判が弱い」「日本が誤っていたというのか*1」とか言い出すわけですがこの慰霊碑って「米国批判」と理解するよりは「核批判」と理解すべきでしょう。
今や米国以外にも核保有国がある以上、「米国批判文章」にしたらかえって時代にマッチしないと思いますね。
ロクに証拠調べも行われず、明らかな冤罪（えんざい）で絞首台*2に上った戦犯容疑者も数知れない。
て具体的に誰のことなんですかね。俺の理解ではそんなに冤罪がわんさかあるなんて事実はないと思うんですが。つうか仮に「裁かれるべきでない人が裁かれた」としても、それ「日本の戦争が正義だった」ってことにならんけど。
（注：東京裁判が）もし公正な裁判というのなら（中略）原爆投下や東京大空襲*3で、戦時国際法に違反して非戦闘員の一般住民を１０万人単位で皆殺しにしたアメリカも裁かれるべき*4ではないか。
いやそう言う指摘は既にありますから（他にもソ連のシベリア抑留とか）。
でそういう指摘してる人もまともな人間は「連合国は真っ白ではない」と言ってるだけで、さすがに「だから日本は悪くない、東京裁判は冤罪だ」とは言いません。そんな相殺論発動しても「日本は無反省だ」と反発買うのが落ちです。
なお、産経が触れてない点「天皇、皇族を統治に利用しようとする米国の意向で、天皇、皇族の訴追が最初から予定されてなかったこと」「731部隊データが欲しかった米国が731部隊員の訴追を放棄したこと」などで「不公正な裁判だった」という指摘もあります。
■【日曜に書く】論説委員・五十嵐徹 日本人が好きなサクラの木
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140629/plc14062903050004-n1.htm
やってもいないことをやったと言うのは愚の骨頂だ。相手の立場を思いやって、などという甘い論理は通用しない。口に出したが最後、徹底して相手に利用されるのがオチで、韓国との慰安婦問題における「河野談話」などは、その浅はかな典型だろう。
・やってるし、違法で不道徳だから「河野談話」でわびたんですけどね。やってもいないことを「やった」と言うほど日本政府もお人好しではありません。それどころかやっていても「やってない」と嘘つくのが日本政府です（例：日米間の外交密約）。まあ、日本政府の嘘は他にも「教基法TMやらせ質問事件」「IOC総会での安倍の汚染水アンダーコントロール発言」とかいろいろあります。
・「慰安婦問題でわびる必要はなかった」とバカなことを言いだし「ふざけるな！」と相手を怒らせたあげく「相手の怒ってる態度を見て」、「ほら、やはりわびない方がよかったんだ」と無茶苦茶な事を言う産経には呆れます。「わびたから怒ってる」んじゃないんですけどね。
柳田国男によれば、日本ではもともとウソは、虚偽と言うより面白いお話という意味が強かった。それが近代になって欧米の影響を受けると、ウソも虚偽も一括して悪事と認定するようになったという。こうしたウソについての認識のズレが、日本人は修正できずにいるのかもしれない。
何だかなあという文章です。
欧米だって「エイプリルフール」という風習があるんだから「嘘＝面白いお話」と言うケースは当然あるでしょう。
一方、日本だって「オレオレ詐欺」のような悪質な嘘を誰も「面白いお話」とは思わないわけです。
「産経の河野談話否定論」「都議会やじ問題での鈴木議員の犯行否定」といった批判される嘘は全て「悪しき虚偽」「悪事」であって「面白い話」なんかじゃありません。 「エイプリルフール的嘘」で青筋立てて怒ってる人がどこにいるのか。
日本の政治家に品位を求めるのは「八百屋で魚を求めるのに等しい」
新聞記者がそんな事公言してヤジを容認して恥ずかしくないんでしょうか？。じゃあ何ですか「明らかな犯罪行為以外」は失言しても何しても容認するのが産経なんですか？。
産経が擁護するのって自民党のヤジや失言だけじゃないですか。それどころか「仙谷*5官房長官の『暴力装置発言』非難」のように、民主党相手に酷い言いがかりまでつけてるじゃないですか。
なんでも丸く収めたがる日本人らしさ
不正や不祥事の黙認のどこが「日本人らしい」のか。つうか仮に「日本人らしい」としてもそんな「日本人らしさ」は誇れることでは全くありません。
執拗（しつよう）すぎる犯人捜しも中世の魔女狩りに似て恐ろしい。
全然執拗じゃないでしょう。というか産経の言ってる事って「自民党がかわいそうだから見逃がしてやれよ」という身びいきでしかないですが。これ、ヤジの被害者が自民党女性議員で、ヤジを飛ばしたのが野党男性議員でも同じ事が言えるんでしょうか？
「ウソの問題こそ、少年期から大人になる時期の一等根本的な問題だ」と書いた。だとすれば、日本人はまだまだ大人になりきれていないということか。
嘘つきの日本人なんぞ山ほどいるじゃないですか。「南京事件否定論を垂れ流す」産経とか文春とか新潮とか。まあ、三島の場合は、「皮肉」「逆説」「読者への釣り」で書いてるのだろうし、推奨する嘘もいわゆる「罪のない嘘（エイプリルフール的嘘）」でしょうから「嘘を推奨するとは何事か」と批判する必要はないでしょうけど。
*1:もちろん米国相手に勝ち目のない戦争を起こす日本は誤ってたんですが産経はそれを認めません
*2:BC級戦犯裁判では銃殺された人もいるわけだがわざわざ「絞首」と書くのは何か理由があるんだろうか？。たぶん「東京裁判（絞首）の連想で深く考えないで書いた」だけだと思うけど。
*3:この産経の理屈だと、いわゆる「ドレスデン空襲」も「違法な空襲」と言う見方が強いので、ドレスデン空襲でニュルンベルク裁判否定することになってしまいます。まあ、それだけの度胸が産経にあれば「結論の是非」はともかく論理は一貫していますがさすがにニュルンベルク裁判否定はしないんだろうな。また日本も中国に無差別空襲してるんですけどね。
*4:東京大空襲の責任者の一人カーチス・ルメイが「航空自衛隊誕生に貢献した」と言う理由で、日本政府から勲章をもらったとき、空襲被害者から日本政府への批判が出ましたが産経がそのとき何と言っていたのかが気になります。
