今日のMSN産経ニュース(8/15分)(追記・訂正あり)

■【正論】「8・15」に思う 「歴史戦」必勝を英霊の前に誓う
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140815/art14081503080002-n1.htm
・「歴史戦勝利」なんて、くだらないものより「不戦」でも誓ったらどうなんでしょうか?
・卑しいのは徴兵忌避した醤油組なんぞよりも
1)「俺も後から特攻する」といいながら戦後天寿を全うした「富永恭次(第4航空軍司令官)」
2)「シンガポール華僑粛清問題で同僚がB級戦犯として英国軍に逮捕、処罰*1された」のに同僚を見捨てて自分一人、日本に逃げ帰ってきた、しかもほとぼりが冷めると恥知らずにも国会議員選に出た「辻政信*2
など「チキンホーク野郎」のほうでしょうが産経がやりたいのは単に「戦前万歳、日本の戦争は正しかった」なのでこうしたチキンホーク野郎はまず批判しません。
・「戦前日本の戦争に批判的」と言う意味では産経と「吉田満や吉田が描いた大和の青年将校」より、醤油組と「吉田満や吉田が描いた大和の青年将校」の方が共通点があるのですが、そういう理解をしないあげく、「吉田や大和の乗組員のためにも歴史戦に勝つ、慰安婦など韓国のでっち上げだ」と言い出すのだから頭痛がしてきます。
吉田の本『戦艦大和ノ最期』(講談社文芸文庫)に出てくる

「進歩のない者は決して勝たない。負けて目覚める事が最上の道だ。日本は進歩という事を軽んじ過ぎた。私的な潔癖や徳義に拘って、本当の進歩を忘れてきた。敗れて目覚める、それ以外にどうして日本が救われるか。今目覚めずしていつ救われるか。俺達はその先導になるのだ。日本の新生に先駆けて散る。まさに本望じゃあないか」

という有名な臼淵磐の言葉は「進歩のない者」産経には難しすぎて理解できなかったようです(ただしウィキペ「臼淵磐」によれば臼淵の言葉ではなく吉田の創作ではないかとする説もあるとのこと。まあ、創作だとしても臼淵がこの言葉に近い認識であったことは事実なのでしょうが)。


■【主張】終戦の日と「靖国」 いつまで論争続けるのか
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140815/art14081503090003-n1.htm
 既に「産経のような極右以外」にとっては「政教分離原則」「A級戦犯合祀問題」「(A級戦犯合祀と関係があるわけですが)外交関係」から首相や閣僚など公人は参拝すべきでないという結論は出ているし、首相について言えば歴代首相も中曽根*3、小泉*4、安倍*5など一部を除いて参拝していないので産経の言う意味とは逆の意味で論争の必要などありません。実際、論争などウヨ以外ではなかった。むしろ「首相は参拝すべきだ」と論争を仕掛けてきたのは産経の方であり、「参拝すべきでない」と反論されると「無意味な反論は辞めて参拝しよう」と言い出すのだからその面の皮の厚さは半端ではありません。

本紙7月30日付「教育再生考」*6で紹介された植村真久少尉(戦死後、大尉*7)の遺書もその一つである。特攻隊を率いて戦死した少尉は、生後6カ月の愛娘(まなむすめ)にあて、「大きくなって父に会いたいときは、九段へいらっしゃい*8」と言い残す(學藝書林、「証言 私の昭和史」)。
その東京・九段の靖国神社ではきょう、多くの人が亡き父、夫、兄弟の霊*9にぬかずき、国に殉じた*10人たちに哀悼の誠をささげる。

だから何だって話です。誰も個々人が参拝することには反対はしていない。反対されているのは首相や閣僚など公人の参拝です。いやもちろん「靖国参拝など間違った行為だ」と評価してる人もいるでしょうが、首相や閣僚といった公人の靖国参拝とちがって、別に政治的問題は発生しない以上、個人の自由です。
 「一私人の行為」と「公人の行為」の区別すら産経には出来ないようです。

中国や韓国は、日本の指導者の参拝を容認しない。

ただし「靖国それ自体の存在」「一私人の参拝」は容認しています。まあ、当たり前のことですが。

靖国に祀(まつ)られることをひたすら念じて逝った人々が、残した家族と「再会」できる唯一の厳粛な場を、「軍国主義の象徴」と糾弾する

 A級戦犯を合祀し、「東京裁判は冤罪」と右翼的政治アピールをしている靖国神社は「軍国主義の象徴」以外の何物でもないでしょう。追悼の場所なら千鳥ヶ淵や先祖代々の墓もありますし。文句があるなら「東京裁判は冤罪」などの右翼的政治アピールを靖国が辞め「あの戦争を中韓などにわびたい」といえば済むことなのですがまあ、そういうことは靖国はしませんし、残念ながら今後もできないでしょう。

靖国の杜(もり)には、ふだんから参拝客が訪れる。そういう人たちの何人が、合祀の是非論や歴史認識を意識してお参りするだろうか。

知らないで参拝したら何だって話です。極論すれば「ひかりの輪」「アレフ」をオウム真理教がルーツと知らないで入信する人(最近の若者)がいるからと言って、「ひかりの輪アレフはオウムとは関係ない、過去は断ち切った」といいきってしまっていいのかと言うことと同じでしょう。
 まあ、「ひかりの輪アレフ」はともかくA級戦犯を英雄扱いする靖国が過去を断ち切っていないことは明白ですが。

残念ながら中国や韓国の納得は得られなかった。

欧米や台湾だって批判していますが相変わらず「中韓だけが反対してる」とデマを飛ばす産経です。

(注:中国、韓国などにとって)国民(注:の参拝)はいいが、(注:首相や閣僚など政治)指導者(注:の参拝)は許せないということだろう。

でそうした考えは別におかしなものではない。「両方認めるか、両方否定しろ」と言いたげな産経の方がおかしい。もちろん「両方同じでないと論理一貫しない」という産経の主張は「論理的に間違ってる」だけでなく、産経の本心でもなく口から出任せです。
 本当に中韓が「では論理一貫させよう。国民の参拝もなくしてほしい、ついては靖国を廃止したらどうだろうか。廃止すれば参拝はなくなる」などと言い出したら*11確実にマジギレでしょう。だったら最初から「両方同じにしろ」などと心にもないことをいうなという話です。

同盟国の米国も「失望」したという。日本の首相が参拝すること自体への不快感ではなく、中韓の反発による東アジア情勢の不安定化への危惧ではあろう。

 「中韓が反発するから米国に叱られたじゃないか、中韓は反発するな」という醜い逆ギレです。
 「お前がセンコーにチクルから叱られた(いじめっ子)」「お前が警察にたれ込むから酷い目にあった、この例は必ずしてやる(ヤクザ)」などと同レベルの物言いです。
 中韓相手のようには「何が失望だ、米国はふざけるな」とは米国にいえない点が産経のヘタレぶりを示しています。
 まあ、中韓が抗議しないなんて事はあり得ないので産経がこういう事を言うこと自体が馬鹿げていますが、別に中韓が抗議しなくても米国は「日本の首相が参拝すること自体への不快感」を感じて「失望した」でしょう。靖国歴史観東京裁判は冤罪」は米国にとっても容認できる代物ではないからです。

「中国は歴史問題を日本批判の材料に使う。罠(わな)にはまってはいけない」(ハーバード大ジョセフ・ナイ*12教授)という忠告もある。

 ナイの物言いはどうかと思いますね。靖国参拝にせよ慰安婦問題にせよ、別に罠を仕掛けたわけではなく日本が勝手に自滅しているのですが。「水に落ちた犬」日本を中国が棒で叩いてる*13といった話で、水に落ちなければそんな事はありません。そして中国が罠にはめて水に落としたわけではなく日本が自分から水に落ちたわけです(まあ、実際にはナイもそんな事は十分承知で、安倍の感情に配慮してるだけでしょうが。「自滅してる」なんて言ったら安倍が怒り出しますからね)。
 弱るのは水に落ちたことを「水に落ちたんじゃない、自分から入ったんだ」「水に入って何が悪い」と強弁する産経のようなバカの存在です。自分から仮に入ったんだとしても棒で叩かれて酷い目にあってるのなら「落ちたのと同じ」なのですが。

世論をリードする有力なメディアの記事*14が虚構であったという事実

 慰安婦問題について言えば、産経の「慰安婦は違法ではない」「吉田証言が虚偽なら河野談話も虚偽」などという報道の方がよほど酷い虚構ですが。

中国や韓国は、かたくなな態度をとり続けるのではなく、日本人の心情を酌み、理解してほしい。

 「欧米や台湾も首相参拝論を批判していること」「日本人にも政教分離原則問題などから首相参拝論に批判的な人がいること」は産経においては当然のように無視されます。「反対してるのは中韓だけ」というデマを主張するのが産経です。

*1:ウィキペ「シンガポール華僑虐殺事件」「河村参郎」によればこの事件ではシンガポール警備司令官だった河村参郎に死刑判決が下っている。

*2:この粛清事件に「辻が何らかの形で関与したこと」は否定できないようですし、いずれにせよ自分一人だけ逃げ帰るなど辻は卑怯千万でしょう。

*3:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣防衛庁長官、運輸相、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官を経て首相

*4:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*5:小泉内閣官房副長官官房長官自民党幹事長(小泉総裁時代)を経て首相

*6:http://sankei.jp.msn.com/life/news/140730/edc14073013240004-n1.htm参照。特攻を「外道の戦術」として非難するどころか美化するという外道なウヨ授業の紹介記事です。

*7:2階級特進という奴です。今でも自衛隊や警察、消防で殉職者に対してやっていたかも知れません。

*8:戦争がなければこんなことは書かずに済んだ、子どもの成長を見守ることが出来たという認識はやはり産経にはないようです。

*9:母、妻といった女性の霊が出てこないことに注意。靖国は軍人、軍属限定で、今はともかく昔は女性の軍人、軍属なんて「従軍看護婦」など一部を除いていないからこうなるわけです。

*10:こういう美化はやめて欲しいですね。亡くなった方々の主観はともかく客観的には殉死などと言う立派な話ではなく「勝ち目のない無謀な戦争で当時の政府に犬死にさせられた」というのが正しい認識でしょう。

*11:まあ、今まで言ってないので言わないでしょうが

*12:カーター政権国務次官補、クリントン政権国防次官補を歴任。著書『ソフト・パワー』(2004年、日本経済新聞社)、『リーダー・パワー』(2008年、日本経済新聞社)、『スマート・パワー』(2011年、日本経済新聞社)など

*13:そして水に落ちたことも愚かなら、棒で叩かれても仕方のないことを中国相手にやってるので誰も日本に同情しないという話です。

*14:朝日の吉田証言報道のこと