今日の産経ニュース(4/2分)(追記・訂正あり)

■【阿比留瑠比の極言御免】北朝鮮に萎縮せず圧力を 総連議長家宅捜索などさまざまなアプローチで拉致問題解決を
http://www.sankei.com/premium/news/150402/prm1504020007-n1.html
 さまざまなアプローチと言いながらもちろんそのアプローチには「制裁解除」などの太陽政策はないんだから全く口から出任せです。大体少なくとも建前では「家宅捜索は一般の犯罪捜査であって拉致とは関係ない」し、仮に「拉致と関係づける」としてどう関係づけるのか。
 「捜査に手心を加えるから、拉致でいい回答出してくれ」なんてのは公言できる話じゃないですし、それやったら「仮にいい回答が出たとしても」文句つけるのが阿比留のようなウヨでしょうに。

 政府が北朝鮮制裁措置の2年間延長を閣議決定した3月31日、先週に拉致問題に関する働きかけのため訪米した古屋圭司拉致問題担当相に、議員外交の成果について聞いた。今回は安倍晋三首相にも事前に相談して賛同を得た上での訪米だったとのことで、十分な手応えを感じたという。
「米議員らは『ナイス・アイデア』と言っていた」
 こう語る古屋氏は、マイク・リー上院議員ら4人の上下両院議員に会い、協力を要請した。内容は中国で北朝鮮に拉致された可能性が高いスネドン氏について、米議会で調査徹底や問題解決を求める決議を採択することが1点目だ。

 荒木和博が騒いでる例の「米国版・特定失踪者」の話を古屋が米国議員相手に持ち出すなんて国辱でしかないですね。まあ、古屋だって大臣をやめたからこういう「救う会へのリップサービス」ができるのであって本気じゃないでしょう。
 米国側だって「一部ウヨ議員が古屋に調子会わせただけ」でしょう。こんなのは米国議会の多数派じゃないでしょうし、「マイク・リーら古屋に調子を合わせた連中」だって本気じゃないでしょう。

次に、2008年のブッシュ大統領時代に米国が解除した北朝鮮へのテロ支援国家指定の再指定である。

 これはスネドン君の話(与太話)と比べたらまだまともに議論できる話です。俺個人は「再指定すべきではない」と思いますし、米国が再指定するか疑問ですけど。
 基本、今の米国は「ウクライナ問題」「イスラム国(IS)問題」「キューバとの国交回復交渉」「AIIB問題」「安倍の無茶苦茶でぐちゃぐちゃになった日韓関係、日中関係をどうするか」などほかのことで頭がいっぱいで北朝鮮問題では「新たな動きを取る可能性」は低いでしょう。
 「ISのように無視したくても無視できないような重大な新事態」が北朝鮮関係で発生しない限り*1現状維持に当面は終始するんじゃないか。個人的には「キューバとの国交回復交渉」のような対北朝鮮融和路線に大胆に踏み込んで欲しいですけどね。

 朝日新聞に至っては、小泉氏の初訪朝当日である9月17日付朝刊の1面でも、写真説明に「拉致問題解決を訴える行方不明者の家族たち」と書いた。「拉致被害者」とストレートに記さずに、わざわざ北朝鮮が好む「行方不明者」という言葉を用いる萎縮ぶりだ。

 だって当時は北朝鮮が拉致だと認めてないですからね。「拉致被害者」とは言えないでしょうし「拉致の疑いがある人」では長すぎる。そもそも政府だって当時の呼び方は行方不明者じゃないのか。何が問題なのか。単に大嫌いな朝日にイチャモンつけたいだけでしょう。

 平成20年1月に民間シンクタンク、国家基本問題研究所が初記者会見を開いた際のことだ。フリージャーナリストの男性*2が、こんな質問をした。
 「小泉訪朝は日本の空気を大きく変えた。北朝鮮に融和的なことを言うと『反日』とレッテルを貼られるリスクも出てきた。私の知人にも萎縮して本心が言えないという人がいる」
 これに対し、研究所企画委員の西岡力拉致被害者救う会会長はこう言い切った。
 「小泉訪朝前は、拉致問題について書くと身の危険*3があった。私は脅迫状も脅迫電話ももらった。しかし、言論活動をしていればレッテルを貼られるぐらい当然だ。それぐらいの覚悟がなければ、言論活動をしなければいい」

 西岡も無茶苦茶な事言いますね。そこは「もし批判とは言えない、不当なレッテルが貼られているなら、不当な脅迫があるならそれにはもちろん私は反対だ」くらいなことが言えないんでしょうか。「俺だって脅迫状をもらったことがあるけど我慢した、お前らも我慢しろ」とは何考えてるのか。大体、これじゃ「田中均に脅迫状が来ても自業自得だ、それぐらいの覚悟がなければ日朝交渉しなければいい」と言ってるのも同然じゃないですか。
 つうか実際そういうことを救う会や家族会は田中氏に当時言ってたと思いますけど。その結果、田中氏は外務省を去ることになり、まともな人間は「恐ろしくて救う会や家族会なんか相手できない」となって今の拉致敗戦があるわけです。
 そしてこんな西岡の暴論を「正論であるかのように紹介できる」産経・阿比留もいつもながら気が狂ってます。俺が阿比留なら西岡や国家基本問題研究所、救う会の評判が落ちるからこんなん紹介しません。救う会や西岡も「迷惑だ」と思ってるんじゃないですかね。相手がお仲間・阿比留でしかも紹介目的が「西岡さんの正論に同感した!」では阿比留批判するわけにもいかないでしょうが。

被害者家族や西岡氏らが萎縮せずに活動を続けたからこそ、拉致問題が日本社会で重視されるようになったのである。

「小泉訪朝からしばらくの間」はそういっていいでしょうが今は重要視なんか全くされてないでしょう。


■【熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断】「少年法」年齢引き下げ フィクションからの転換を
http://www.sankei.com/affairs/news/150402/afr1504020002-n1.html
 まあ、産経のコラムを持つようなアホ弁護士らしい暴論です。フィクションというなら「厳罰化すれば少年犯罪解決に役立つ」と言う主張の方が「何の根拠もないフィクション」のわけです。
 まあ、厳罰論者って単に「犯罪者なんかぎゅうぎゅうの目にあわせればいい、締め上げればいい」と思ってるだけで「厳罰化すればそれだけで大満足、その結果はどうでもいい」なんでしょうけど。


■【産経抄】男女ペアと同性カップル 4月2日
http://www.sankei.com/column/news/150402/clm1504020004-n1.html
■【主張】同性カップル条例 家族のありよう考えたい
http://www.sankei.com/column/news/150402/clm1504020003-n1.html
 おためごかしで「同性愛差別は勿論良くないことだ」などといいながら最後の落ちが「でも同性婚には反対だ」で落とす辺りいつもの産経です。

http://www.sankei.com/column/news/150402/clm1504020004-n1.html
 男女ペアが碁盤をはさんで向かい合い、交互に打つ。囲碁に「ペア碁」という種目がある。囲碁愛好家の会社経営者、滝久雄さん*4が考案したものだ。25年前からアマチュアの国際大会が始まり、今ではプロ棋士の棋戦ができるなど、人気を呼んでいる。
▼「東京五輪で、頭脳スポーツの種目にしたい」。滝さんは小紙のインタビュー*5で抱負を語っていた。五輪といえば、前回のロンドン五輪では、テニスの男女ペア選手による混合ダブルスが、1924年のパリ大会以来88年ぶりに復活して話題になったものだ。
▼男女ペアが、世界の潮流になりつつあるのかもしれない。フランスで今週日曜日に実施された全国県議会選挙では、なんとすべての立候補者が男女のペアだったと、NHKのニュースで知った。有権者は、各ペアに投票する。
▼女性の政治参加を後押しするために、2年前に法改正して導入された新制度だという。当然、すべての議会で議員の数が男女同数となった。もちろん、世界初の試みである。
▼きのうの各紙が大きく報じていたのは、男女ペアならぬ、同性カップルの話題だった。

 ぶっちゃけ今日の産経抄は「駄目なコラム」の典型でしょう。「同性カップルの話」をする前振りに全然関係ない話「男女ペア」云々を長々続けてるからです。どう見ても「同性カップルオンリーで書けないから無理矢理膨らませた」ようにしか見えない。
しかし

女性の政治参加を後押しするために、2年前に法改正して導入された新制度だという。当然、すべての議会で議員の数が男女同数となった。もちろん、世界初の試みである。

と書きながら「日本も女性の社会進出のため、こういう制度を導入したらどうか」とは言わない点が実に産経らしいですね。

*1:個人的には当面そういうことはないんじゃないかと思いますが。

*2:誰だか名前を出して欲しいところです。なかなか勇気のある質問ですね。国家基本問題研究所にこんな質問をしたところでまともな回答は望めない上に下手したら罵倒で返されかねないわけですから。

*3:脅迫電話があったとしても身の危険はないでしょう。そう簡単にテロなんかできるもんじゃありません。まあ、その辺り西岡もよく分かった上でのフカシでしょうが

*4:ぐるなび創業者(現会長)。著書『ぐるなび:「No.1サイト」への道』(2006年、日本経済新聞社

*5:『【話の肖像画ぐるなび会長・滝久雄(4)文化・芸術面でも尊敬される日本に』http://www.sankei.com/economy/news/141030/ecn1410300005-n1.html参照