今日の産経ニュース(1/3分)(追記・訂正あり)

■【サウジ・シーア派指導者処刑】イランの群衆がサウジ大使館襲撃
http://www.sankei.com/world/news/160103/wor1601030022-n1.html
■サウジ処刑に懸念と米国務省 「宗派間の緊張が高まる危険性」
http://www.sankei.com/world/news/160103/wor1601030010-n1.html
 サウジの無法な行為(冤罪、でっち上げの疑い濃厚)が米国国務省の懸念通りの結果を生んだと言う話です。


■【「価値」漂流 第1部】家族のかたち(2)親の介護は「負担」なのか 「生き方受け継ぐ時間」
http://www.sankei.com/life/news/160103/lif1601030021-n1.html
 「負担なのか」て言葉を選ばず言えばそりゃ「負担」でしょうね。認知症の徘徊なんかわかりやすい例ですけど。そういう状況下で「介護は親から生き方を受け継ぐ時間」なんてきれい事言ったって何がどうなるわけでもない。いやそう言うきれい事で「介護の負担を納得できる人間」ならいいでしょうよ。皆がみなそんな事あり得ないわけです。
 だからデイサービスやヘルパーを頼ったり、あるいは場合によっては「老人介護ホームに入所させたり」するわけです。それを「デイサービスやヘルパーを頼む必要があるのか」「親をホームに入れるなんて冷たい」とか言ってもどうしようもないでしょう。


■【書評】関西大東京センター長・竹内洋*1が読む『『図書』のメディア史:「教養主義」の広報戦略』*2佐藤卓己*3著)
http://www.sankei.com/life/news/160103/lif1601030015-n1.html

 戦時下の岩波書店は、「暗い時代」どころか推薦図書の上位を占め、庇護(ひご)され、活況を呈していたことも明らかにされている。

 著者佐藤氏はともかく竹内と産経が「戦前日本に言論抑圧なんてなかったんや!」あるいは「岩波は政府と癒着してたんや!」と印象操作したいことはモロバレです。全く姑息な連中です。

岩波ファンだけでなく、岩波嫌いな人にも読ませる力をもつ岩波文化論*4はそうざらにはない。

 吹き出してしまいました。産経文化人の竹内が岩波を好きだなんて誰も思ってないでしょうが「書く必要もない」のに、こう堂々と「俺は岩波が嫌いだ」と公言できるのもなかなかの神経です。


■【政界徒然草】安定政権*5だからできる? 安倍首相が“票”にならない犯罪者更生に力を入れる*6ワケは…
http://www.sankei.com/premium/news/160103/prm1601030024-n1.html
 いつもながら産経らしい「安倍万々歳記事」です。産経でしか読めない記事と言っていいでしょう。
 珍しいのは産経が安倍万々歳する場合「一にウヨネタ(改憲とか武器禁輸方針撤廃とか安倍戦後70年談話とか拉致問題とか)」「二にアベノミクス(あるいは一億総活躍や女性活躍推進)」なのに、今回は「犯罪者更生」なんて「日本会議、国基研など安倍ファン(要するにウヨ)ですらほとんど関心がない*7であろう」渋いところ狙ってるところです。
 まあ、小生は勿論「安倍なんか政治家として何一つ評価していない」のですが、
1)「安倍の動機が何でアレ」あるいは
2)実際には「安倍の犯罪者更生の取組」云々とは「岩城光英*8・現法相や法務省官僚の振り付け通りに踊ってるだけ」で安倍は本当は犯罪者更生には興味なんかないのであれ
安倍が「表面上は犯罪者更生について興味関心があるような態度(産経の記事に寄ればたとえば刑務所視察)を取り」、その結果
ア)「犯罪者更生分野で何らかの政策がなされ一定の成果が出れば*9」あるいは
イ)「『安倍礼賛マスコミによる安倍万歳』という不純な動機であったとしてもこの産経記事のように犯罪者更生問題を記事にし、それによって世間の犯罪者更生問題への関心が少しでも高まれば」
その限りにおいては安倍、あるいは安倍政権を評価することは何ら躊躇しません。ただしもちろん「犯罪者更生」を理由に安倍の「河野談話否定論などの無法を容認すること」などする気はありませんが。
 まあ、「首相」安倍の刑務所視察は「無役時代」安倍の「トフティさんを釈放せよ」発言よりはよほどマシでしょう、ねえ、「安倍ファン」id:noharraさん(皮肉のつもり)。まあ、刑務所視察なんか「トフティさんを釈放せよ」発言と違って、中国も誰も抗議や非難はしません*10からね。安倍も安心して実行できる。
 なお、安倍の「トフティさん」云々についてはid:Bill_McCrearyさんのエントリ
安倍晋三が口先だけの男でなければ、首相だった時に胡錦濤*11に同じことを言っている』
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/cc419a0ee6f60979f2e29de949b3a81c
『ね、首相に復活したら安倍は動いてはくれないだろ(今後に期待?)』http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/c7fc57b318e56872b390dedcbcf5c0ba
を紹介しておきます。

 「再犯防止のためには出所後を含め、息の長い対応が大切だ。医療施設*12福祉施設などの連携が重要であり、官民が力を合わせていく。そうした取り組みを含めてしっかりと施策を進めていきたい」
 安倍首相は昨年12月17日、国内最大級の女性刑務所*13である栃木刑務所(栃木県栃木市)を視察後、記者団にそう感想を語った。

 「アンチ安倍の俺ですが」特に突っ込む所もないまともな発言かと思います。

この日は東京都千代田区の官邸から約110キロも離れた栃木刑務所に片道約1時間半かけて向かった。首相による女性刑務所の視察は初めてのことだった。

 「官邸から約110キロも離れた栃木刑務所に片道約1時間半」「首相による女性刑務所の視察は初めてのこと」という書き方は実に

「官邸から約110キロも離れた栃木刑務所に片道約1時間半*14もかけて行くなんてスゴイだろう、安倍様は!。安倍様は犯罪者更生をまじめに考えてる人道主義的な偉大な政治家です!」
「しかも首相による女性刑務所の視察は初めてのことなんです!」

という産経らしい「見よ、俺達の安倍総理の偉大さを!」「ブラボー安倍」「ハラショー安倍」「マンセー安倍」を感じて苦笑させられます。
 つうか「産経が小馬鹿にしてる、北朝鮮メディアの『金正恩の現地視察報道』と、この記事とどこが違うんだよ」つう気がします。

(ボーガス注:安倍首相が刑務所視察したのは)首相の祖父、岸信介*15元首相が戦時中、東条英機内閣の軍需担当の閣僚*16だったため*17、「A級戦犯」容疑者として巣鴨プリズン拘置所)に収監されたことも影響あるのだろうか。

 「どうしてそう言う発想が出るんだ?」「その理屈だと岸信介本人や岸の義理の息子・安倍晋太郎*18はどうなんだ?。A級戦犯板垣征四郎*19の息子・板垣正(自民党参院議員)はどうなんだ?。A級戦犯平沼騏一郎*20の義理の息子・平沼赳夫*21はどうなんだ?。刑務所視察なんかしたのか?」と吹き出してしまいました。

犯罪者の更生という、これまで光の当てられなかった政策にも目配りできるのは、現在の政権基盤が安定していることを物語っている。

 「安倍が刑務所視察しただけでまだ具体的成果が何もないのにそこまでいうか」と呆れます。
 しかしオチが「見よ、安倍政権の安定ぶりを!」ですか。産経にとって「犯罪者更生(つうか安倍の刑務所視察)」とは「安倍政権の安定性」を自慢するためのネタにしか過ぎなかったわけです。
 全く「犯罪者更生にまじめに取り組んでる現場の人間」からすれば、取り上げられることの少ない問題を取り上げてもらったこと自体はありがたいとは言え、「何だ、この記事は?。犯罪者更生問題は安倍政権を安定政権だと自慢するためのただの前振りか?。バカにしてるのか?」と複雑な思いでしょう。

【追記】
 なお、ググったところ
法務省『谷垣法務大臣及び新藤総務大臣が,東京法務局及び府中刑務所を視察しました』
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho06_00239.html
■産経『上川*22法相、佐賀・麓刑務所で女性受刑者の処遇視察』
http://www.sankei.com/region/news/150118/rgn1501180049-n1.html
と言う記事が見つかりました。安倍のイニシアチブでの訪問というよりは「法務省の振り付け通りに安倍が踊った」と見るのが正しいのでしょう。今まで「法相視察」だったのが「首相視察」に格上げになった経緯は分かりませんが。

*1:著書『立志・苦学・出世:受験生の社会史』(1991年、講談社現代新書→後に、2015年、講談社学術文庫)、『パブリック・スクール:英国式受験とエリート』(1993年、講談社現代新書)、『丸山眞男の時代:大学・知識人・ジャーナリズム』(2005年、中公新書)、『学歴貴族の栄光と挫折』(2011年、講談社学術文庫)など

*2:2015年、岩波書店

*3:著書『言論統制:情報官・鈴木庫三と教育の国防国家』(2004年、中公新書)、『8月15日の神話:終戦記念日のメディア学』(2005年、ちくま新書)、『メディア社会:現代を読み解く視点』(2006年、岩波新書)、『天下無敵のメディア人間:喧嘩ジャーナリスト・野依秀市』(新潮選書、2012年)など

*4:問題は「内容が正しいかどうか」であって「岩波嫌い」云々なんてことはどうでもいいことですが。「岩波、岩波文化論」を「オバマオバマ政権論」「韓流ドラマ、韓流ドラマ論」などといろいろと書き換えるとそのおかしさがはっきりするかも知れません。

*5:「安定政権」と書いて「政権がとにもかくにも3年維持されてること」を自慢せずにはいられない安倍御用新聞・産経です。しかし安倍政権が3年とは本当にうんざりします。

*6:刑務所視察それ自体はいいことだと思いますが、その程度では「力を入れてる」とはとても言えないでしょう。

*7:つうか日本のウヨ連中は厳罰を唱えることしか能がなく「犯罪者更生」なんて話はまずしませんが。

*8:小泉内閣国交大臣政務官、第一次安倍、福田内閣官房副長官参院議院運営委員長などを経て現在、法相

*9:現時点では特に成果はないようですが

*10:まあ一部の常軌を逸した犯罪被害者遺族が「犯罪者に甘い」と安倍に言いがかりつける可能性は多少あるかも知れませんが。

*11:中国共産主義青年団共青団甘粛省書記、共青団中央書記処第一書記、貴州省党委員会書記、チベット自治区党委員会書記、国家副主席などを経て党総書記、国家主席、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*12:薬物犯罪対応とか「病気による犯罪対応(盗癖による窃盗など)」と言うことでしょうか?

*13:ウィキペディア「日本の刑務所」によれば、栃木以外の女性刑務所としては「札幌、福島、笠松岐阜県)、加古川兵庫県)、和歌山、岩国(山口県)、麓(佐賀県鳥栖市)」。

*14:電車ではもっとかかると思うのでおそらく公用車でしょうが。

*15:戦後、自民党幹事長、石橋内閣外相を経て首相

*16:なぜ「東条内閣商工相」と書かないんでしょうか?

*17:それだけではなく岸が満州国総務庁次長だったこともあると思います。

*18:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党総務会長(中曽根総裁時代)、幹事長(竹下総裁時代)などを歴任

*19:関東軍参謀長、近衛、平沼内閣陸軍大臣、第7方面軍(シンガポール)司令官など歴任。東京裁判で死刑判決

*20:検事総長大審院長、山本内閣司法大臣、枢密院議長、首相、近衛内閣内務大臣など歴任。東京裁判終身刑判決。1952年、病気を理由に釈放されるが直後に死去。

*21:村山内閣運輸大臣森内閣通産大臣小泉内閣経産大臣、たちあがれ日本代表、日本維新の会代表代行・国会議員団代表、次世代の党党首などを歴任

*22:小泉内閣総務大臣政務官、第1次安倍、福田内閣少子化等担当相、第2次安倍内閣総務副大臣、第3次安倍内閣法相など歴任。