今日の産経ニュース(3/25分)(追記・訂正あり)

■高校生文化大賞 伊藤さんら表彰
http://www.sankei.com/life/news/160325/lif1603250042-n1.html

 第48回産経「高校生文化大賞」(産経新聞社主催、森ビル、ナショナル・ベンディング、DICグラフィックス協賛)の入賞者表彰式が25日、東京都千代田区の大手町サンケイプラザで行われた。優秀賞の愛知県立半田商業高校3年、伊藤和叶さんらに文部科学省初等中等教育局の田村学・視学官から文部科学大臣賞が贈られた。

 産経主催という時点で「タモガミがもらったアパ賞と似たり寄ったりなんだろうな」と思います。応募する人間の気が知れません。しかしやっぱ「今安倍政権だから文科大臣賞」なんでしょうか。
【追記】

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20160325/5640158919
id:Toteknon
id:bogus-simotukare 「産経高校生文化大賞」ですが、例年副賞は中国、しかも上海研修となっていまして… http://www.sankeisquare.com/event/bunka_47/

http://www.sankei.com/world/news/160330/wor1603300023-n1.html
■産経【高校生文化大賞】受賞の高校生 「中国人への印象が変わった」、上海研修旅行から帰国
【上海=河崎真澄】
 産経新聞社が主催する第48回産経「高校生文化大賞」(協賛・森ビル、ナショナル・ベンディング、DICグラフィックス)の作文・論文コンクールで優秀賞を獲得し、研修として中国上海市を訪れた日本の高校生5人は29日、5日間の日程を終えて帰国の途についた。
 高校生5人は名門の中高一貫校上海市甘泉外国語中学」を28日に訪問。日本語を学ぶ高校1年生約30人と、互いの学校生活を紹介しあったり、好きな日本のアニメや歌手の話題で盛り上がったりして、夕食まで5時間近くも交流した。
 東京の女子学院高1年の松波由佳さんは、「(同い年の中国の高校生が)こんなにも日本語が上手なのに驚いた。私も中国語を勉強してみたい」と目を輝かせた。宮崎県立宮崎大宮高1年の柴田桃花さんは、「中国の人々への印象ががらっと変わった」と話した。
 このほかにも5人は、日中文化交流に熱心な上海理工大学を26日に訪ね、日本語を学ぶ大学生らといっしょに水餃子を作ってパーティーをしたほか、森ビルが2008年に建設した「上海環球金融中心」(101階建て、高さ492メートル)の展望台も見学。中国の伝統文化と世界の最先端技術が融合する中国最大の経済都市を目の当たりにした。

 ウーン、産経って意外と「親中国(?)」なんですかね?


■「ポスト山口那津男*1」は女性!? 公明・井上幹事長が軽口 すでに臆測も
http://www.sankei.com/politics/news/160325/plt1603250054-n1.html

 次の公明党代表は、女性!? 同党の井上義久*2幹事長が25日、選挙で女性候補者が一定割合を占めるよう、加藤勝信1億総活躍担当相から数値目標の設定を要請された際、同席した古屋範子*3副代表を立てて「そのうち、すぐに(女性の)党の代表が誕生しますから」と笑顔で軽口をたたく場面があった。

 「青筋立てて怒るほどの話でもないでしょうが」、まあ何とも軽い連中です。女性の社会進出をまじめに考えてないと疑われても文句は言えないでしょう。
 大体女性の代表なら過去にも土井たか子福島瑞穂*4社民党)、扇千景*5(保守党)、浜四津敏子*6公明党)、中山恭子*7(日ころ)がいたわけですし、今回問題になってるのは「女性議員の%を増やすこと」なので女性代表を作ってもそれほど意味はありません。


■【組み体操通知】一律禁止なしも「確実な安全」に学校現場は困惑 事実上できない
http://www.sankei.com/life/news/160325/lif1603250040-n1.html

組み体操に詳しい日本体育大の三宅良輔教授は「体の各部を巧みに動かしたり、バランスを取ったりする組み体操の動作は、大人になってからも生活上必要な体の使い方」と指摘。学校では安全確保を図った上で「運動会だけでなく、年間を通じて取り組むようにすべきだ」と話している。

 「組み体操は大人になって役に立つ(どこが?)」「運動会だけでなく年間通じてやるべき(何で?)」と言ってることがおよそ正気とは思えません。


■ジャパン・ハウス概要発表 日本文化発信拠点に 外務省、歴史認識や領土などの発信には慎重
http://www.sankei.com/politics/news/160325/plt1603250048-n1.html

日本文化発信拠点に 外務省、歴史認識や領土などの発信には慎重

てのが興味深い。外務省は「ジャパンハウス作ろうて産経や安倍総理が言うなら作ろうぜ」と悪のり(?)したものの「歴史認識や領土などの発信」なんて中韓との関係を破壊しかねないアホ行為には反対のわけです。まあ、たぶん効果ないですしね。
 歴史認識、つまり南京事件否定論河野談話否定論なんてデマです。デマ垂れ流したって日本の評判が悪くなるだけです。領土問題は「まあ日本のデマではない」のでしょうが韓国や中国、ロシアとの外交で解決すべき問題でしょう。全世界に向かって「中韓やロシアって酷いの!」といったところで「まあ、平和的に外交交渉で解決してください」で終わる話です。「ロシアや中韓」を敵に回してまで日本に肩入れする国なんかない。特に「北方領土竹島はともかく」尖閣なんか日本が実効支配してるのですから「あんたらが実効支配してるのに何吹き上がってるの?」と呆れられるだけでしょう。
 そんな馬鹿するくらいなら本当に「日本文化発信」でもちゃんとしてほしいもんです。


■韓国が不法占拠の竹島リン鉱石試掘権、設定示す公文書 日本占有の根拠
http://www.sankei.com/politics/news/160325/plt1603250006-n1.html
 江戸時代ならまだしも「日韓併合後の」昭和時代(それも韓国が独立を実現した戦後ならまだしも日本統治下だった戦前)に日本人が試掘権を設定したことが何で「竹島が昔から日本領と言える根拠になる」と思えるんだか、わけがわかりません。その理屈だと「チベット自治区設置後に中国が西蔵鉄道を造ったこと」が「昔からチベットが中国領と言える根拠」になるでしょう。もちろん中国は「産経ではない」のでそこまでバカではありませんが。


■【別冊正論「南京」斬り】日中共鳴で肥大化させた「南京大虐殺」 その捏造の歴史を概観する
http://www.sankei.com/politics/news/160324/plt1603240031-n1.html
 産経連載「蒋介石秘録」(1970年代、後に単行本化)では「当時、産経ら日本ウヨが蒋介石と蜜月関係だった」からか、「南京事件の存在それ自体は認めていた(犠牲者数についても40万人説がある事に対し『40万が正しい数字かどうかはともかくかなりの犠牲者が出たことは間違いなく中国人に申し訳ない』という文脈で触れていた)」癖に今や「蒋介石秘録」をなかったことにしてしまう産経です(もちろん南京事件が捏造でないことは言うまでもありません。そもそも東京裁判で事件が認定されてる南京事件を否定することは「東京裁判はでっち上げ裁判」と放言するに等しい暴挙です。「東京裁判での事実認定」があるために慰安婦以上に否定論に勝ち目などないのが南京事件です)。しかも南京事件肯定派だった蒋介石を「蒋介石秘録を連載していた癖に」デマ屋呼ばわりです。
 もちろんこうした産経の行為には「じゃあお前ら産経の蒋介石秘録の南京事件関係部分はデマ記事だったのかよ?」「いつ蒋介石秘録の南京事件関係部分を公式に撤回してわびるんだ?」という当然すぎるほどの批判が産経批判派、南京事件実在派からありますが、産経はそうした批判をずっと無視してきました。さすがの産経も今になって「蒋介石秘録を一部撤回する」とは言えないようです。まあ中国は勿論台湾も抗議するでしょうからね。

 マンチェスター・ガーディアンの記者だったティンパーリや、南京金陵大教授だったベイツらが中立を装って「南京虐殺」を精力的に対外発信したが、後に両名とも国民党の顧問になっていたことが判明している。

 やれやれですね。「蒋介石中国の手先である」のならそうした関係は最期まで隠しておくでしょう。
 つまりは産経記事が事実*8でも「南京事件発信の功績」で後に国民党からスカウトされただけの話でしかなく、国民党側も、ベイツやティンパーリーもそれを問題と思ってなかったわけです。
 なお、産経のこの記事では「顧問」が「何か実質的意義があった」のか、それとも「将棋や囲碁で政治家などに贈与される、名誉何とか段(アレは実質的な意味はないでしょう)」のような「実質はあまりない名誉職」に過ぎないのかは不明です。
 大体この産経の理屈なら「ダライラマと親密交際してることを公言してる中原一博の著書」など「検証するまでもなく」、ダライ一味の反中国宣伝に過ぎず、全く信用に値しないことになりますが好意的に宣伝していたのが産経ですからデタラメです。

「ラーベの日記」で知られるジョン・ラーベは、独シーメンス社の駐在員だった。

 「で、それがどうかしたのか」て話です。ここから産経は「ラーベはビジネスマンだった(まあこれは事実です、ただし後述しますが武器のビジネスマンではありません)→ビジネスマンだから商売のために中国に媚びようとした→ラーベの日記の南京事件関連記述はデマだ」という無茶苦茶な詭弁を始めるわけです。
 ラーベの場合「ビジネスマン」のわけですがこれが「外交官」だろうと「ジャーナリスト」だろうと何だろうと産経は同じ事言うでしょう。なお産経はシーメンス社社員であるラーベを武器商人扱いしていますがこれについては
■『ラーベは武器商人か?』
http://www.geocities.jp/yu77799/rabe3.html
を紹介しておきます。
 産経のやらかしてることは三菱重工ダイキン工業東芝*9の社員について軍事部門ではなく、「民生部門の社員」であっても武器商人呼ばわりするような暴論です。いくら東芝が「武器商売もやってるとは言え」、民生品部門の東芝社員を武器商人呼ばわりしたら正気を疑われるでしょう。
 シーメンスにおいてラーベは民生品のビジネスをやっていたのであって彼は武器商売になど関与していません。まあ、いわゆる「シーメンス事件*10」からの連想で生まれたデマなのでしょうが。まあ、仮にラーベが武器商人だとしても何で「南京事件をでっち上げることがラーベの武器ビジネスにプラスになる」だの「そうしたラーベの企みに世界がだまされたor故意に荷担した」と思えるのかわけがわかりませんが。 

■「南京大虐殺*11」肯定派の主な著書
・洞富雄『南京事件』(昭和47年)
(中略)
■「南京大虐殺」を検証した主な著書
・鈴木明『「南京大虐殺」のまぼろし』(昭和48年)
(後略)

 やれやれですね。「洞著書」を「肯定した著書」と表現するなら、「鈴木著書」は「否定した著書」と表現すべきでしょう。
 検証というなら、洞著書も「南京事件の実在」なんて「検証するまでもないこと」は検証はしません*12が、「何故南京事件は起こったのか(WHY)」「南京事件とはいつ(WHEN)、どこ(WHERE)で誰(WHO)がどんなこと(HOW)をしたのか」という「いわゆる5W1H」についての検証なら歴史研究書としてしているわけです。
 なお、この産経が上げる「南京大虐殺肯定派の著書」「南京大虐殺を検証した著書」に『秦郁彦南京事件」(中公新書)』が入っていないのは興味深い。
 死者数を4万程度と過小評価する点では「おそらく10万人以上の死者」とする洞氏、笠原氏、本多氏などと秦は違います。
 とはいえ秦は鈴木や東中野、藤岡などのような全否定ではない。
 あえて「二つに分ける」なら秦は「大虐殺肯定派」でしょうか。あるいは産経の「大虐殺肯定派」定義が「死者10万人以上」なら「4万人程度(大虐殺でない中虐殺、小虐殺?)」の秦は「大虐殺を検証した著書」とやらになるのかもしれません。
 いずれにせよ産経は南京事件についての主要な著書として秦を紹介しません。
 これはおそらく

・大虐殺肯定派に入れると秦が「慰安婦問題では産経に協力してるのに俺を本多や笠原の仲間として攻撃するのか、ふざけんな。10万人以上説の笠原たちと4万人程度の俺は違う」と反発する
・しかし「検証した著書」に入れると全否定派が「10万人以上説に比べれば秦は4万人程度で少ないが万単位の虐殺を認めてるじゃねえか。ふざけんな」と反発する

ということでしょう。だから秦著書は紹介しない。全く産経もとんでもない新聞です。

79年目の『南京のハロウィン』 黒鉄ヒロシ

 黒鉄も予想以上に頭がいかれてるようです。

蒋介石の視点からみた「南京」 家近亮子

 この別冊正論「南京事件否定論・特集号」の中で唯一「世間からそれなりにまともな中国研究者」と認められてる御仁が『蔣介石と南京国民政府』(2002年、慶應義塾大学出版会)、『蒋介石の外交戦略と日中戦争』(2012年、岩波書店)という著書を持つ家近女史(敬愛大学教授)です。
 とはいえ産経に寄稿とは「所詮その程度の人だった」のでしょう。家近女史の周辺は「え、あの人そんな人だったの?」とびっくりしてるんじゃないか。
 もちろん「蒋介石南京事件をどう認識し、どう政治的に動いたか」自体は研究の意義があるでしょうが、「仮に家近論文がまともな研究だとしても」産経正論、それも「南京事件否定論特集号」なんかにそんなもんを載せても「馬の耳に念仏」で、「産経正論・愛読者=極右・歴史修正主義者」にまともに理解できるわけもない。家近氏も全く変な人です。

【追記】
さて産経の「ティンパリーやベイツは国民党顧問」云々というのについて「そういえば批判記事があったはずだ」と思いググって見ます。でヒットしたベイツの関係記事が以下です(ティンパリーは今のところ見つかっていません)。
東中野氏の徹底検証2「ベイツ=中華民国顧問説」
http://www.geocities.jp/yu77799/bates1.html
 詳しくはリンク先記事を見て欲しいですが「ベイツ=中華民国顧問」というのは「本能寺の変・朝廷黒幕説」とか「チンギスハンは源義経だった」とかレベルの話に過ぎません。「確実な証拠」でしている話では全くない。
 つまりはある資料について「こじつけで、そう解釈すれば解釈できるかも知れない」程度の話に過ぎません。
 小生はこのエントリで

 「蒋介石中国の手先である」のならそうした関係は最期まで隠しておくでしょう。
 つまりは「南京事件発信の功績」で後に国民党からスカウトされただけの話でしかなく、国民党側も、ベイツやティンパーリーもそれを問題と思ってなかったわけです。
 なお、産経のこの記事では「顧問」が「何か実質的意義があった」のか、それとも「将棋や囲碁で政治家などに贈与される、名誉何とか段(アレは実質的な意味はないでしょう)」のような「実質はあまりない名誉職」に過ぎないのかは不明です。
 大体この産経の理屈なら「ダライラマと親密交際してることを公言してる中原一博の著書」など「検証するまでもなく」、ダライ一味の反中国宣伝に過ぎず、全く信用に値しないことになりますが好意的に宣伝していたのが産経ですからデタラメです。

と書き「仮に後にベイツが国民党顧問になっても、そこから『南京事件当時のベイツの主張はデマ』として南京事件否定論なんか自動的に導き出せない」 としましたがなんと産経の主張はそれ以前の話だったわけです。

*1:公明党参院国対委員長参院政策審議会長、公明党政調会長などを経て公明党代表

*2:公明党政調会長、副代表などを経て幹事長

*3:小泉内閣総務大臣政務官公明党女性局長などを経て副代表

*4:鳩山内閣少子化等担当相

*5:森、小泉内閣国交相参院議長を歴任

*6:羽田内閣で環境庁長官

*7:福田内閣で拉致担当相

*8:追記:後述しますがベイツについては実は事実ではありません。

*9:全て自衛隊に商品納入している軍需企業ですが、民生品も製造販売しています。

*10:この事件の端緒は「独シーメンス社の日本海軍への贈賄疑惑」ですが、金額の巨額さからむしろシーメンスより「英国ヴィッカース社による贈賄疑惑」の方が次第に注目されていきます。

*11:南京事件南京虐殺と書かずにわざわざ「大虐殺」とするのは「大きくない」という詭弁を吐くためでしょう。

*12:否定論というデマへの批判は「実在の検証」ではありません。