今日の産経ニュースほか(5/22分)

NHK『「極右勢力に乗っ取られた」イスラエル国防相*1が辞任へ』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160521/k10010529351000.html
 「極右勢力に乗っ取られた」とは尋常ではない言葉ですね。そんなに今のイスラエル・ネタニヤフ政権は「安倍自民並みに」やばいのか。ラビン*2首相、ペレス外相がノーベル平和賞を受賞した「和平の流れ」が台無しになっていることには失望感を感じます。
 なお,日本でも「保守本流のはずの」谷垣*3幹事長、岸田外相や「自称・平和の党」公明党の石井*4国交相辺りに

「極右勢力に乗っ取られた」

発言で抗議辞任して欲しいところですが、まあそれだけの才覚もないでしょうね。


二階俊博*5総務会長の長男、御坊市長選で落選、絶大権勢に影響か*6
http://www.sankei.com/west/news/160522/wst1605220055-n1.html
 つまりは長男にはまるで人望がないと言う事なのでしょう。とはいえ現職も7選ですからいい加減引退してしかるべきであり全く困った話です。


■【杉田水脈のなでしこリポート(5)】親日から親中に…オーストラリアの危うい現状を憂いています
http://www.sankei.com/premium/news/160522/prm1605220015-n1.html

 豪中商工会議所は、一般企業向けに回覧するニュースレターに731部隊南京事件の記事を掲載し、日本を糾弾するなど反日活動を続けています。

 別に嘘が書かれてなければ何の問題もないでしょう。問題視するのは産経のような極右だけです。

 2013年、親日的だったNT州政府の前首席大臣*7テリー・ミルズ氏が、マスコミの攻撃を受けて人気を落とされた*8挙句、東京へ公式訪問中に失脚*9させられる事態になりました。その後実権を握ったのが中国寄りで知られるデービッド・トールナー議員です。しかし、豪連邦政府のトップが親日的なトニー・アボット首相である間は、目立った動きはありませんでした。
 ところが、連邦政府首相が中国寄りのマルコム・ターンブル氏に代わったところで非常に大きな動きがありました。

 ミルズ氏の失脚理由についてきちんと書かないで「やれ親中派だの親日派だの書いて」親日派だから失脚したみたいに印象操作する所がさすが産経のゲスさです。
 もちろん、「アボット親日でターンブルは親中国*10」というのがデマなようにこのミルズ氏失脚話も「親中国」云々なんて関係ないでしょうが。
 つうかトールナー議員やターンブル豪州首相といった現役政治家を「中国の走狗」扱いすることがいかに問題か(日豪関係を悪くしかねない)という理解がない産経には恐れ入ります。

ダーウィン港を「嵐橋集団」(LnadBridge)という中国企業に99年間リースすることが決まったのです。

 いや、だからそれ何か問題あるの?。そして「ミルズやアボットが失脚しなければこんな事はなかった」「トールナーやターンブルは駄目な奴だ」て印象操作したいようだけど、それ根拠あるの? 

 ダーウィン港は米海兵隊が駐留しているだけでなく、中国が海上権益支配を目指す第二列島線の南端に位置する要衝です。にもかかわらず、同盟国に相談もなく中国企業にリースすることを決定したことに対し、オバマ米大統領も懸念を示しました。

 いちいちそんなこと相談する必要ないと思いますが。つうか与野党内外の反中国派政治家に配慮しただけで、このオバマの抗議、本気ではないんじゃないですかね。

 嵐橋集団がリースするのは、フォートヒルと呼ばれる軍事・商業港*11ですが、NT州が管理するストークヒルには政府観光局の主導で、なんと70数年前の日本軍によるダーウィン空爆*12を3Dで疑似体験できる観光施設が作られるという計画が発表されました。これは偶然でしょうか?

 偶然でしょうね。つうか仮に「必然」だとしても「ダーウィン空爆は事実」だし、何の問題もないでしょうに。

 さて、上述のデービッド・トールナー議員は、今年の選挙に向けての候補者選挙で落選しましたが、代わってNT州首席大臣となったアダム・ジャイルズ氏は「ダーウィン港の中国企業へのリースは全く問題がない」と主張し、批判に耳を貸しません。

 実際問題はないでしょうし、今から撤回したら下手をすれば中国企業に違約金を払うことになりかねません。

 NT州ではさらに2016年に入って新たな政変があり、副首相がピーター・スタイルズ氏に変わりました。ここ2年で6人目です。これからさらに中国寄りになると思われます。

 「中国寄り」とする根拠を何一つ書かない辺りさすが産経です。

 2017年に向けてNT州政府はダーウィン空爆75周年に向けキャンペーンの準備を進めています。「リメンバー・テリトリー・キャンペーン」です。それと同時進行で、中国からの観光客誘致作戦を行います。組み合わせることによって日豪離間の反日工作が展開される可能性があるので注意が必要です。

 中国人観光客誘致にせよ「ダーウィン空爆75周年キャンペーン(戦前日本批判?)」にせよ「現代日本批判(反日本)」つう話ではない。

 前NT州首席大臣だったテリー・ミルズ氏は(中略)反共産主義者でしたので中国との関係はよくなかったのです。

 NT州首席大臣で反中国つうのはわけがわかりません。まあ、失脚の主たる理由はそこにはないでしょうが、「景気に悪影響を与えかねない中国敵視なんてあいつはアホか」つうことで「失脚ムード」を高めたかも知れません。

 ミルズ氏が選挙で圧勝するとすぐにものすごいバッシングが地元で始まりました。普段はワニとUFOの話ばかりを1面に持ってくることで有名なNTニュースが、首席大臣のみならず アドバイザー含めすべての取り巻きのゴシップまで取り上げる異常さでした。

 ゴシップ報道がデマや言いがかり、不当なプライバシー侵害でない限り、つまり「公人にあるまじき問題行為の指摘」であるならば、取り上げて批判することは「異常なことではなく」むしろ当然のことです。
 ただしゴシップ報道の具体的内容を産経が書かないのでその辺り評価ができませんが。

 ミルズ氏の支持率がガタ落ちしていく中、クーデターの試みが何度かありました。そこでオーストラリアを離れるべきではなかったのですが、「国際石油開発帝石*13」(インペックス)の招待を受けてミルズ氏は日本を訪れました。そして「日揮」本社を訪問しているときに、首席大臣解任の報を受けました。

 「ミルズ氏の支持率がガタ落ち」という辺りが重要でしょう。つまりは「あいつじゃ勝てないからおろそう」という日本でも良くある「ナントカおろし(森*14おろし、第一次安倍おろし、福田おろしなど)」に過ぎないわけです。

 オーストラリアにおいて、州のトップが不在の時に議員たちが(ボーガス注:州トップを更迭するために)勝手に選挙が出来る制度があるとは驚きです。

 確かに驚きです。あまり褒められた行為とも思いませんが、それだけ「ミルズが首相では次の選挙がやばい」という危機意識が強かったのでしょう。

 首席大臣がインペックスからの招待で日本を訪問している際に、議員間で選挙をして首席大臣をクビにするという暴挙。これを見ればどれだけ日本側が影響力を行使できていないかがわかります。

 ミルズ氏の訪問場所が欧米だろうが中国だろうがインドだろうが、南米だろうが、アフリカだろうが、クーデター(?)は発動されたでしょうからこんなことは「日本が軽視されてる根拠」にはなりません。

 将来、南シナ海が中国に封鎖され、中東から日本へのシーレーンが遮断されてしまった場合、NT州から南シナ海を経由せずにLNGを輸入できることが極めて重要になります。しかし、ダーウィン港を封鎖されてしまったらそのルートも使えなくなってしまいます。

 ばかばかしい。中国企業ダーウィン港をリースしたぐらいでそんな事が起こるわけもないでしょう。そんな事を起こしたら日豪関係や日中関係がとんでもない事になってしまう。中国も豪州もそんな馬鹿な事に荷担するわけもない。
 また「あり得ないことなので考えることがバカバカしい」ですが仮に南シナ海ダーウィン港が閉鎖されたところで、他にもルートはあるわけです。

連邦政府、州政府の議員に、保守党、労働党を問わず、大量に中国の金が流れ込んでいるという噂もあります。

 おいおいですね。ろくな根拠もないのに中国が豪州の与野党議員に買収工作をしかけてる疑いがあると放言することがいかに中国と豪州に失礼か産経には分からないようです。

 次回は、インペックスに対する地元労組のきな臭い動きについてリポートします。

 やれやれですね。労組と企業の意見が対立することなど古今東西、何ら珍しくないわけですが、「労組のバックに中国ガー」などと与太を飛ばすんでしょうか。

参考

■日本のオーストラリア空襲(ウィキペディア参照)
 太平洋戦争中の1942年2月から翌1943年11月までの期間にわたり、連合国の一国であるオーストラリアが、日本の海軍および陸軍の航空機によって少なくとも97回の攻撃をうけたことをいう。
 最も大規模だったのは1942年2月19日朝の空襲で、ダーウィン市は242機の艦載機に攻撃され、少なくとも243人が死亡した。

http://www.asahi.com/articles/ASH843DZFH84UHBI00J.html
朝日新聞『日本のオーストラリア本土攻撃 今も根強い「侵略説」』
 オーストラリアの国家史上、本土を攻撃した唯一の外敵が日本。今も「日本の豪州侵略説*15」が広く信じられている。
 「日本軍は鉱物資源が豊富なこの国が欲しかったのだ。米軍が来なければ、豪州は日本に侵略*16されていた」。
 メルボルン*17郊外にある高齢者向け施設の個室で、ノーム・ファーネスさん(93)は繰り返した。
(中略)
 豪州は1901年に連邦国家となった後も旧宗主国の英国と結びつきが強く、「英帝国軍」や連合軍の一員として戦った。豪州政府によると、豪州軍のニューギニア作戦全体での戦没者は約7千人。特にポートモレスビー*18の攻略を目指した日本軍との激しいジャングル戦「ココダ小道の戦い」は、高校の歴史教科書に必ず載っているほど有名だ。
 ファーネスさんにとって日本軍は恐ろしい存在だった。東南アジアやニューギニアで約2万2千人の豪州人が捕虜になり、うち約8千人が死亡したとされる。タイ・ミャンマー間の泰緬(たいめん)鉄道の建設などで過酷な労働を強いられた人も多い。
(中略)
 日本軍は豪州本土も空爆した。豪州政府によると、42年2月19日、真珠湾攻撃に匹敵する計242機で北部ダーウィンの空軍基地などを奇襲し、243人が死亡。空爆は43年11月までケアンズなど他都市も含めて58回に及んだ。42年5〜6月には、シドニー湾を特殊潜航艇で攻撃もした。
 「オーストラリアの闘い」などの著者で豪ABC元記者のボブ・ワースさんは「少なくとも42年初めごろには、日本は豪州侵略を考えていた。米国とのつながりを断つために豪州の一部に上陸する意向はあったと思う」と主張する。
 戦史資料などを探して日本を何度も訪れ、豪州への攻撃は「国民と政府を恐怖に陥らせ、降伏させる作戦だった。海軍には豪州上陸を主張した幹部もいた」との結論に達したという。
 こんな日本軍の「豪州本土侵略説」は、豪州では通説のように広まっている。太平洋戦争に関する小説などの著作物では、豪州上陸を日本の戦略として当然のように描いたものが多い。
 ただ、日本軍の狙いは、連合軍が豪州を反撃拠点として利用するのを防ぐことだった。「アジア・太平洋戦争」(吉川弘文館)によると、海軍には豪州本土攻略論もあったが、多くの陸軍の兵力が必要になるため、採用されなかった。
 著名な歴史家のピーター・スタンレー氏は、自身は「日本に侵略の意向はなかった」とするが、「豪州侵略説は人気がある著者のほとんどが受け入れている見方だ」とみる。地方歴史協会や歴史教師ら約50人に尋ねると、「日本が42年に豪州侵略を計画していたとの見解に同意した人は約3分の2いた」とも。

http://j.people.com.cn/n3/2016/0310/c94474-9028106.html
■人民日報『外交部、豪州各界が中国企業との協力を客観的に受け止めることを希望』
 外交部(外務省)の洪磊報道官は9日の定例記者会見で「中国企業によるオーストラリアでの経営は、市場原則、国際ルール、オーストラリアの国内法の尊重を踏まえて行う正常なビジネス活動であり、両国に大きな利益をもたらし、オーストラリアの政府と国民にも歓迎されている。オーストリア各界が中国企業との協力を客観的、理性的に受け止めることを希望する」と表明した。
【記者】
 米国がオーストラリアで行った秘密世論調査によると、中国側がダーウィン港のリース権を獲得することに約90%のオーストラリア国民が疑念や懸念を抱き、国の安全に影響を与えかねないと考えている。これについてコメントは。
【洪磊報道官】
 中国企業ダーウィン港のリース権を獲得することに、オーストラリアの大衆がそのような疑念や懸念を抱く必要は全くない。中豪経済・貿易協力は中国の発展がオーストラリアに重要なチャンスをもたらしていることを十分に示している。中国側はオーストラリア側と互恵協力を強化し、共同発展と共同繁栄を実現することを望んでいる。中国企業によるオーストラリアでの経営は、市場原則、国際ルール、オーストラリアの国内法の尊重を踏まえて行う正常なビジネス活動であり、両国に大きな利益をもたらし、オーストラリアの政府と国民にも歓迎されている。オーストラリア各界が中国企業との協力を客観的、理性的に受け止めることを希望する。この世論調査について、「オーストラリアの国防・安全保障高官はこの協力がオーストラリアへの脅威にならないと考えている」とターンブル首相がすでに表明したことには私も留意している。


■【主張】西洋美術館の登録 誇れる遺産次代に伝えよ
http://www.sankei.com/column/news/160522/clm1605220003-n1.html

 コルビュジエは19世紀後半、スイスに生まれ、フランスを中心に活動した。両国や日本、アルゼンチン、インドなどの住宅や教会、行政機関建物群など17件を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が世界文化遺産として登録勧告した。

 つまりは「コルビュジエ遺産の一部としての登録」ですがそれなのに「西洋美術館が登録されたぜ、イヤッホウ」的な事しか言わないのて「人間として器が小さくね?」と思います。
 ちなみにウィキペディアル・コルビュジエの建築と都市計画』によれば西洋美術館以外は次の通りです。

・ヴァイセンホフ・ジードルングの住宅(ドイツ)
・クルチェット邸(アルゼンチン)
・ギエット邸(ベルギー)
・ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸、ペサックの集合住宅、サヴォワ邸、ナンジェセール・エ・コリ通りのアパート、ユニテ・ダビタシオン、サン・ディエ工場、ロンシャンの礼拝堂、カップ・マルタンの小屋、ラ・トゥーレットの修道院、フィルミニのレクリエーション・センター(フランス)
チャンディーガル*19の公共建築(高等裁判所、議事堂など)(インド)
レマン湖畔の小さな家、イムーブル・クラルテ(スイス)

*1:なおこの国防相は「パレスチナとの和解」を訴え、ユダヤ人入植の一時中止を主張するイスラエル平和団体「ピース・ナウ」を「ウイルス呼ばわりした前科がある御仁」でありどう見ても極右です(ウィキペ「モーシェ・ヤアロン」参照)。その極右ですら非難するとはネタニヤフはどれほど極右なんでしょうか。

*2:後に和平方針を敵視するユダヤ人右派テロリストによって暗殺される。

*3:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政調会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相、第二次安倍内閣法相など歴任

*4:小泉内閣財務副大臣公明党政調会長など歴任

*5:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相を歴任

*6:「二階先生の力でもどうにもならないほど人望がないんじゃどうしようもない」「二階先生もこれで長男を政界入りさせることはあきらめるだろう」つう扱いで恐らく二階氏への影響はあまりないでしょう。

*7:「主席大臣=首相」という理解でいいのでしょうか?

*8:「病気を口実にトンズラしてる甘利」や今の舛添都知事などのように問題が表面化すればマスコミから批判もされれば、人気も落ちるでしょう。批判がデマに基づく物でない限り、批判される方が悪いのですが?。何でミルズ氏が批判されたのか、政治スキャンダル(例:収賄やセクハラの疑惑など)か、政策への批判(例:景気が悪いのはミルズのせい)か、詳しく書かない辺り、産経も「ミルズに非があった」と本心では思ってるのでしょう。

*9:「公式訪問中に失脚」つうのがよくわかりませんが「首相がアボットからターンブルに変わった時が党内選挙の結果だったように、党内選挙でNT州政府主席大臣が決まる」ので「公式訪問中に欠席裁判的な形で党内選挙で更迭」だったんでしょうか?。まあ、本人不在でそう言うことをやるのは異常事態ではありますね。

*10:もちろんアボット失脚理由も親日だ、親中国だ、とは関係ありません。

*11:普通に考えて「軍事部門」は貸さないでしょう。

*12:我々は「中国、米国、英国、ソ連」などに注目して、つい忘れがちですが、日本は先の戦争で連合国の一員・オーストラリアを攻撃して死者も出しています。

*13:国際石油開発帝国石油経営統合により誕生。筆頭株主経済産業大臣

*14:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相

*15:日本の豪州攻撃は違法な軍事攻撃ですから信じるも何も「立派な侵略」です。まあ本文を読めば「豪州侵略=豪州を日本領にするための日本軍による豪州本土上陸作戦計画」の意味であることは分かります。そう言う計画は確かに存在しないでしょうが「豪州侵略説が信じられている」とは何ともミスリーディングな表現だと思います。「豪州本土上陸計画説」とか「豪州日本領土化計画説」とか書くべきじゃないか。

*16:しつこいですが、正確には「日本軍が豪州本土に上陸し、満州国のような傀儡政権を立てていた」とかそういうことでしょう。以下この記事の「侵略」とは全てそう言う意味です。

*17:ビクトリア州の州都

*18:現在、パプアニューギニアの首都

*19:パンジャブ州の州都