今日の産経ニュース(7/13分)(追記・訂正あり)

朝日新聞『2人の死刑執行 金田法相では2度目 1人は再審請求中』
http://www.asahi.com/amp/articles/ASK7F3C54K7FUTIL00C.html
 再審請求中でも死刑執行ができる現行制度は明らかにおかしいでしょう。法改正されて当然だし、法改正されるまでは「再審請求中の執行を自重すべき」です。まあそもそも死刑は廃止されるべきだとは思いますが。
 お断りしておきますがこうした「再審請求中の死刑執行の危険性」は何も今回のような「量刑不当を理由とした再審請求」に限りません。
 実際に再審無罪判決が出た「免田事件」「財田川事件」や「冤罪の疑いが強いとされる袴田事件」など「無実を理由とした再審請求」でも執行は可能です。単に「世間の反発が怖くてできなかった」にすぎません。
 しかし谷垣法相時代の11人執行はすさまじいですね。「血に飢えた狼」とでも呼ぶべきでしょうか?


【ここから産経です】
■朝日社説「蓮舫氏の戸籍公開はあしき前例」こそ「勘違い」
http://www.sankei.com/politics/news/170713/plt1707130037-n1.html
 もちろん朝日の社説が正論で産経こそが言いがかりです。朝日が言うように事は彼女にとどまらない危険性があります。
 本来、朝日のような正論の立場に立って蓮舫には「戸籍公開なんかしない」と突っぱねてほしいもんです。そのくらいのことができなくて何が最大野党党首か、という思いがあります。


安倍晋三首相「甘い事態ではない」 政治評論家らに認識示す
http://www.sankei.com/politics/news/170713/plt1707130023-n1.html
 こういう時に安倍と飯を食う政治評論家「森田実」とは要するに安倍の太鼓持ちなのでしょう。まあ,安倍はこういう苦しいときに敢えて苦言を言う人間を呼ぶような人間じゃありませんし。


劉暁波氏死去 獄中でノーベル平和賞
http://www.sankei.com/world/news/170713/wor1707130060-n1.html
 まあ末期ガンと言う事なので予想された死ではあります。「61歳という若死にで無念の死だったろう」「同じ平和賞受賞者でもマンデラ(大統領)やアウンサンスーチー(外相)のように結局表舞台には復権できなかったんやな」程度しかコメントが思いつかないのでこれ以上のコメントは特にしません。


安倍晋三首相「残業代ゼロ法案」修正を表明 神津里季生*1連合会長と会談、容認へ
http://www.sankei.com/politics/news/170713/plt1707130033-n1.html
 予想はしていましたが「やれやれ」ですね。連合執行部とはどれほど政治センスがないんでしょうか。
 五十嵐仁氏の記事『「残業代ゼロ法案」の条件付き容認に転じた連合は労働者を守る気がないのか』
によれば

http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2017-07-14
 この方針転換の経緯は極めて不透明であり、非民主的なものです。今日の『朝日新聞』は、「傘下の労働組合の意見を聞かず、支援する民進党への根回しも十分にしないまま、執行部の一部が『方針転換』を決めていた」と報じています。
 実は、執行部の側は「3月の末から事務レベル」で働きかけており、それを「転換」ではないとして「組織内での議論や了承は必要ない」と強弁しているようです。「水面下の交渉」に当たってきたのは「逢見直人*2事務局長、村上洋子総合労働局長ら執行部の一部メンバー」で、「神津氏も直前まで具体的な内容を把握していなかったようだという」のも問題でしょう。
(中略)
 連合組織内からも公然と強い批判の声が出てくるのは当たり前です。
 派遣社員や管理職などでつくる連合傘下の「全国ユニオン」は、鈴木剛会長名で下記のような反対声明を出しました。その批判にどう答えるのでしょうか。
 連合は労働組合として労働者を守る気があるのかないのか。働く者の代表としての存在意義が問われています。
 以下に、「全国ユニオン」が鈴木剛会長名で出した反対声明の一部を紹介しておきましょう。
(後略)

だそうです。


■【政治デスクノート】中曽根*3大勲位は「反安倍」ではない 改憲できるのだろうかと懸念しているのだ(政治部次長 今堀守通)
http://www.sankei.com/politics/news/170713/plt1707130001-n1.html

 加計学園問題をめぐっては、ネットで「中曽根大勲位は『反安倍連合』に加担した」という記事もみられる。加計学園問題に火を付けた前川喜平・前文部科学事務次官(62)は、中曽根康弘元首相(99)の長男、中曽根弘文*4元外相(71)の義兄(弘文氏の妻の兄)という関係から指摘したのだろう。

 吹き出しました。「弘文氏はともかく」どう見ても中曽根大勲位は「改憲したい」というただそれだけで「安倍にのめり込んでる」と思いますが。正直、改憲派とは言え、中曽根が「河野談話否定派」安倍をろくに批判せず持ち上げるほどのバカだとは思っていませんでした。こうなると中曽根が「藤尾正行*5文相」を「韓国併合正当化発言」に対する国内外の批判を理由に更迭したのも「更迭しないと政権が持たないからにすぎなかっただけ」ではないかと疑います。正直、安倍に比べたら藤尾の方が未だマシじゃないか。
 それはともかく、もちろん弘文氏にしたってオヤジほどの改憲派、安倍シンパではないとしても反安倍ではない。
 そもそも「縁戚関係がある」からといってそれは「前川氏の行為を義弟・中曽根氏が支持してる」つう事には全くならない。まあウヨにとっては「義兄弟のつながりはそれほど重い」のでしょうけど。
 しかし「俺が中曽根嫌いだ」ということはもちろんありますが、元総理とは言え99歳の爺が未だにでかい顔してることにはうんざりします。

都議選の自民惨敗が「安倍政権の終わりの始まり」になるとはかぎらない。

 イヤー、どう見ても終わりの始まりでしょうね。正直、産経はもはや「ポスト安倍」に期待すべきでしょうが「ポスト安倍では、それが石破*6元幹事長であれ、石原*7経済財政担当相であれ、岸田外相であれ、谷垣*8元総裁であれ、誰であれ改憲できるか分からない」と産経は思ってるのでしょう。自民党にとって改憲がその程度のモノだったら改憲するな、て話ですが。

改憲の発議に持ち込むのが難しい状況に陥れば、(ボーガス注:小泉郵政選挙のように)最後は衆院解散に持ち込む、というシナリオはどうか。

 小泉*9郵政ブームほどの支持は安倍の改憲論にはないでしょう。
 つうか森友・加計疑惑をほったらかしでそんな衆院解散しても反感を買うだけでしょう。産経の行為は客観的には安倍に自滅をそそのかしてるようなもんです。野党が政権交代に至るほど大勝できるかはともかく、今の状況で解散すれば自民党議席を減らし、野党が議席を増やすことは目に見えています。


■【政界徒然草】「ゲスの極みではないか」と蓮舫氏が噛みついた発言の主は? 自民「魔の2回生」だけじゃない 重鎮も放言三昧(政治部 石鍋圭)
http://www.sankei.com/politics/news/170713/plt1707130003-n1.html

 歴史的惨敗を喫した東京都議選の前に豊田真由子*10衆院議員(42)ら衆院当選2回の「魔の2回生」の不祥事が目立った自民党だが、実は重鎮も放言三昧だった。安倍晋三首相(62)は政権への批判について「真摯に受け止め、政権を奪還したときの初心に立ち返る」と誓うが、若手だけでなく老壮青すべての引き締めが必要といえそうだ。
(中略)
 6月16日の党役員連絡会で、学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画をめぐり、首相に官僚の忖度が働いていると民進党などが批判していることについて「野党の一部にあるゲスの勘ぐりを払拭してほしい」と訴えた。
(中略) 
 「ゲス」呼ばわりは褒められたものではない。案の定、この表現に野党側は激怒した。民進党蓮舫*11代表(49)はさっそく「それこそゲスの極みではないか」とかみつき、泥仕合の様相を呈した。
 高村氏*12をたしなめたのが自民党二階俊博*13幹事長(78)だ。二階氏は「ゲスの勘ぐりなんていう言葉は、ほとんど使用禁止用語だ。今後そういうことがないようにしていきたい」と身内に苦言を呈した。

 本心そう思ってるのか、「副総裁にしてくれた安倍への媚び」か知りませんが高村もお粗末です。

 さすが党を束ねる幹事長と感心したのもつかの間。今度はその二階氏が失言の当事者となった。
 「よく変なものを打ち上げてくる」
 6月29日に都議選の自民党候補を応援する集会でこう話した二階氏の口からその後、報道陣をあぜんとさせる言葉が飛び出した。弾道ミサイルの発射を強行する北朝鮮を揶揄する中で(ボーガス注:キチガイという)差別用語を使ったのだ。完全に使用禁止用語である。北朝鮮への批判には同調するが、決して公人が使ってよい表現ではない。
 二階氏もこれはまずいと考えたのか、集会後、記者団に「表現として必ずしも適切でないものが一部あった。注意していきたい」と釈明した。
 これで幕引きかと思ったが、二階氏は翌30日の演説でも怪気炎を上げた。自身の差別発言に関する報道内容に対し「言葉一つ間違えたら、すぐにいろんな話になる」などとメディア批判を展開した。
 二階氏は「どういうつもりで書いているか知らないが、お金払って(新聞などを)買ってもらっていることを忘れてはだめだ」と述べた。さらに「落とすなら落としてみろ。マスコミの人たちが選挙を左右すると思ったら大間違いだ。マスコミが偉いと言ったって限度がある」と持論を展開した。

 別に二階発言「落とすなら落としてみろ」は都議選惨敗の主原因ではないでしょうが「落とすなら落としてみろ」といって惨敗してしまったのですから無様です。しかもマスコミ相手に逆ギレした理由の一つが「自らの失言(キチガイ云々)への批判」というのではお粗末です。

 麻生太郎*14副総理兼財務相(76)も7月1日の都議選の応援演説で「マスコミは言っているだけで責任は何もとらない」などと報道への不満をぶちまけた。二階、麻生両氏の発言は、豊田氏(ボーガス注:のパワハラ問題)や稲田朋美*15防衛相(58)の(ボーガス注:「防衛省自衛隊防衛大臣自民党としても(都議選での自民党支持を)お願いしたい」という)問題発言などが連日取り上げられ、自民党に強烈な逆風が吹いたことへの不満とみられる。しかし、すべて身から出たさびで、責任転嫁でしかない。
 都議選後の各メディアの世論調査では、内閣支持率自民党支持率ともに平成24年12月の第2次安倍政権発足以降、最低水準を記録しているが、若手だけに責任があるとはいえない。

 産経には珍しく正論です。


■【産経抄】サンマは中国にかぎるでは、洒落にもならない 7月13日
http://www.sankei.com/column/news/170713/clm1707130003-n1.html
 サンマの不漁が「台湾・中国の漁船だけのせい」であるかのように書く産経ですがそうは言えそうにないことは以下の記事で明白でしょう。もちろん「中国や台湾がとりすぎ」なら規制すべきですが。

参考
■読売新聞『台湾・中国のせいだけではなかったサンマ不漁のワケ』(国立研究開発法人「水産研究・教育機構」主任研究員 巣山哲)
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160928-OYT8T50067.html

 サンマが記録的な不漁に陥っている。その原因として、台湾や中国の漁船による公海上での「先取り」の影響が指摘されている。だが、調べてみると、そう単純な問題ではなさそうだ。国立研究開発法人水産研究・教育機構で長年にわたり水産資源管理の調査・研究に従事してきた巣山哲・主任研究員に、最新の研究成果を解説してもらった。
(前略)
 資源減少の原因として、これら外国漁船による漁獲がどの程度影響したかを評価するのは難しい。サンマの漁獲量の変動は、外国船が増加する以前から見られた
(中略)
 先に述べたように、日本近海でサンマが減った海域ではマイワシやマサバが増加している。1980年代前半にもマイワシ資源が増えたが、このころサンマの漁獲量が減少し、漁場も沖合化するなど、現在とよく似た状況になっていたので、他魚種との関係の中でサンマの資源量や分布域が変化する可能性が指摘されている。また、エルニーニョなどの海洋環境の変化や、稚魚が生育する黒潮周辺の水温の変化が資源量に影響を与えるとの研究結果もあるが、その関係はまだはっきりしていない。

https://thepage.jp/detail/20161116-00000003-wordleaf
■秋の味覚・サンマが不漁、原因は10〜20年で繰り返す自然の周期
 巣山主任研究員によると、サンマの漁獲量は、だいたい10〜20年周期で増減しているのだそうです。「以前から、周期的に増えたり減ったりしていました。ですから、今は減る時期にきているのかな、と感じます」と説明します。
 たとえば、1999(平成11)年における日本のサンマ漁獲量は13万4944トンでしたが、2008(平成20)年は34万3225トンと、おおむねその周期通りに増えたり減ったりしています。サンマだけではなく、マイワシやカタクチイワシなども同じく周期的な増減があるといいます。

https://nikkan-spa.jp/970942
■日刊スパ『サンマ不漁と中国・台湾の乱獲は関係ない!? 国際資源の管理と日本漁業の問題点とは』
(前略)
 前出・勝川氏*16も、「太平洋の北側から日本の近海にやってくるサンマは毎年200万t程度。そのうち中国・台湾の漁獲量は合わせても25万t程度で、日本のサンマ不漁は2国の乱獲が原因とするのは無理がある。単純に日本漁船が通常サンマ漁を行う排他的経済水域(以下、EEZ)に入る前にサンマたちが南下してしまった可能性が高い」と言う。

*1:新日鉄住金労組会長、基幹労連日本基幹産業労働組合連合会)事務局長、連合(日本労働組合総連合会)事務局長などを経て、連合会長

*2:UIゼンセン同盟副会長、UAゼンセン同盟全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟)会長などを経て連合事務局長

*3:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官を経て首相

*4:小渕、森内閣文相(科学技術庁長官兼務)、麻生内閣外相、自民党参院会長など歴任

*5:鈴木内閣労働相、自民党政調会長(中曽根総裁時代)、中曽根内閣文相を歴任

*6:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*7:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相を経て第三次安倍内閣経済財政担当相

*8:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政調会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相、第二次安倍内閣法相、自民党幹事長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*9:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*10:第三次安倍内閣で文科大臣政務官

*11:菅、野田内閣行政刷新担当相、民主党代表代行(岡田代表時代)を経て民進党代表

*12:村山内閣経済企画庁長官、小渕内閣外相、森内閣法相、第一次安倍内閣防衛相などを経て自民党副総裁

*13:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て幹事長

*14:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二次、第三次安倍内閣副総理・財務相

*15:第二次安倍内閣行革相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)を経て第三次安倍内閣防衛相

*16:著書『日本の魚は大丈夫か:漁業は三陸から生まれ変わる』(2011年、NHK出版新書)、『漁業という日本の問題』(2012年、NTT出版)、『魚が食べられなくなる日』(2016年、小学館新書)など