新刊紹介:「経済」8月号

「経済」8月号について、簡単に紹介します。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
■世界と日本
【韓国財界団体「全経連」の没落】(洪相絃)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

http://www.sankei.com/premium/news/170512/prm1705120006-n1.html
■産経【経済インサイドサムスン現代自動車脱退 韓国の経済団体「全経連」名称変更で出直し 日本の経団連「交流」は無意味!?
 日本の経団連に相当する韓国の経済団体、「全国経済人連合会(全経連)」が3月に、名称を「韓国企業連合会(韓企連)」に変更することを発表した。単なる名称変更なら大きな問題はないのだが、政治と経済の癒着の温床と批判され解体の危機にあったのを、逃れるために、組織や予算を大幅に削減する改革に踏み切ることになった。経団連榊原定征会長は「これまでと同じように交流していく」と表明したが、韓企連自体の機能は大幅に削減され、連携の意味合いが薄れかねない状況だ。
 全経連が改革を迫られたのは、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の親友、崔順実(チェ・スンシル)被告が実質支配した2つの財団に対する寄付集めを主導したことや、保守系市民団体に資金支援をして集会を開くことを指示するなど、政界と財界の癒着の窓口としての役割を果たしてきたことが明らかになり、解体を求める声が高くなったからだ。


特集「トランプとアメリカ資本主義」
アメリカの労働者、労働運動の今(伊藤大一*1
■民主主義が生きるアメリカ(森裕之*2
(内容紹介)
 トランプ政権に対する批判運動が紹介されている。

参考
NHK『トランプ氏批判の米倫理局長 抗議の辞任へ』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170707/k10011047891000.html

 アメリカ政府でトランプ大統領の職務と関連する事業との利益相反の問題などを指摘してきた倫理局の局長が辞表を提出し、抗議の辞任と受け止められています。
 アメリカ政府倫理局のショーブ局長は6日、トランプ大統領に辞表を提出し、今月19日付けで辞任する考えを伝えました。ショーブ局長は、トランプ大統領を大統領職と不動産業など関連する事業との利益相反の問題で批判したほか、大統領の長女のイバンカさんのブランドの商品を購入するよう呼びかけたコンウェイ大統領顧問の処分を求めましたが、トランプ政権が応じなかった経緯があります。
(中略)
 議会下院の野党・民主党のトップ、ペロシ院内総務は声明を出し「局長が辞任するのはトランプ政権が倫理規定違反を続けている結果だ」として抗議の辞任という見方を示し、トランプ政権の対応を批判しました。


■「もり・かけ問題」から見えてきたもの(岡田知弘)
(内容紹介)
・「もり・かけ問題(森友・加計学園問題)」からは「内閣人事局(人事を悪用した恫喝)」「特区制度(特区を悪用した利益誘導)」の問題点が明るみに出たのでありこうした制度の一定の改廃が必要としている。


アベノミクス4年の虚と実:実感なき景気拡大と負の遺産(小西一雄*3
(内容紹介)
 アベノミクスによる「国債、株式購入」が限界に近づいていること、しかし「購入を下手に辞めれば」反動で株価安、円高が来かねないこと、その結果、安倍政権は「出口戦略を先送りにしていること」が批判される。

参考
■産経【経済インサイドアベノミクスに迫る「2018年問題」…秘かに取り沙汰される金融緩和「出口戦略の失敗」恐怖のシナリオ
http://www.sankei.com/premium/news/150206/prm1502060004-n1.html

 「2018(平成30)年」問題という言葉をご存じだろうか。この年、安倍晋三首相と黒田東彦日銀総裁がともに“任期”を迎えるのだ。
(中略)
 だが、“2人の総裁”が任期を迎える30年について市場は、「アベノミクスの節目」と捉える見方が多く、先行きを懸念する声が早くも上がり始めている。
(中略)
 日銀の大規模金融緩和は、国債を買って市場に出回るお金の量を大きく増やす仕組み。緩和マネーが金融市場に流れ込むと円安株高となり、銀行が企業にお金を貸し出しやすくなる。その結果、景気が回復し、物価も上向くというシナリオだ。
 しかし、原油安で物価低迷に歯止めが掛からなくなったため、日銀は追加緩和で国債の年間購入量を従来比30兆円増の80兆円に引き上げた。
 昨年末、日銀の国債保有残高は約200兆円に達し、国債発行残高の約4分の1を買い占めたようだ。
 三菱東京UFJ銀行によると、このままのペースで国債を買い続ければ、発行残高に占める日銀の保有割合は年々上昇し、29年末には52%(保有残高440兆円)と国債の大半を日銀が買い占める計算になる。
(中略)
「債券市場の機能は完全に失われた」
 最近、債券アナリストからは日銀に対してこんな批判が目立つようになった。
 日本の一般政府債務は1100兆円超という天文学的な数字。本来であれば、財政悪化による信用不安から金利上昇の圧力が強まるはずだ。しかし、日銀による“官製相場”で、金利は政府の財政悪化に警告を発する役割を発揮できなくなった。
 その一方、将来的に日銀が金融緩和の縮小に動くか、市場で「2018年問題」が意識されるようになれば、抑圧され続けた長期金利は一気に跳ね上がる恐れもある。
 国債の利子負担が膨らむほか、国債を買ってくれる人がいなくなり、「財政破綻」の懸念が現実味を帯びる。また、企業や家計が銀行から借り入れるお金の利息も急騰してしまう。
 BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「日銀は、国債価格の暴落(金利急騰)を避けるため、緩和を縮小できなくなるだろう」と警告。
 三菱東京UFJ銀の石丸康宏・経済調査室次長も「財政健全化への道筋が示されなければ、緩和終了に向かう日銀の『出口戦略』は難しくなる」と分析した。
 最近の超低金利は、2018年問題の深刻さを物語っているのかもしれない。

 少し古い記事ですが産経ですらアベノミクスに「明確な出口戦略がないこと」を危惧しているわけです。


■大企業の「減収・最高益」の秘密(小栗崇資*4
(内容紹介)
 「減収でも増益」というのは要するに「減収でも増益が出せるコストカット(賃金カットを含む)に励んでいる」ということであり、「実感なき景気回復」といわれる理由でもあることが批判的に指摘される。

*1:著書『非正規雇用と労働運動:若年労働者の主体と抵抗』(2013年、法律文化社

*2:著書『公共事業改革論:長野県モデルの検証』(2008年、有斐閣

*3:著書『資本主義の成熟と転換:現代の信用と恐慌』(2014年、桜井書店)

*4:著書『サステイナビリティと水資源環境』(2010年、成文堂)、『水危機への戦略的適応策と統合的水管理』(2011年、技報堂出版)など