新刊紹介:「経済」2月号

「経済」2月号について興味のある記事だけ紹介してみます。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
■巻頭言「大河ドラマ『オリンピック』」
(内容紹介)
 「すばらしいドラマを期待したい」と言う期待と「愛国主義万歳や、2020年五輪万歳でしかないんじゃないか」という不安と危惧の混じった文章ですね。特に筆者が気にしてるのは「1936年のベルリン五輪や、1940年の幻の東京五輪(日本が返上)をどう描くのか」つうことです。下手な描き方をしたら戦前賛美になってしまう。
 たとえば「1936年五輪では前畑*1が頑張りました」で終わらせたら「ナチ賛美がしたいの?。バカなの?。脳みそ湧いてるの?」つう評価になりかねないわけです。孫基禎*2なんかも下手な取り上げかたしたら「韓国併合を正当化したいの?(以下略)」になりかねないわけです。

参考
■リテラ『クドカンは大河で五輪をどう描くのか:宮藤官九郎のオリンピック大河ドラマナチスの「民族の祭典」になるのか、それとも五輪ナショナリズムを解体するのか』
http://lite-ra.com/2016/11/post-2708.html


■随想「電通過労自殺に思う」(浪江巌*3
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■主張『電通女性社員自殺、国の責任で働かせ過ぎなくせ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-10-16/2016101601_05_1.html
電通に「時短優良マーク」、当時の厚労相「反省」、小池政策委員長指摘
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-10-31/2016103102_01_1.html
電通過労自殺 もう二度と…、長時間労働の法的規制急げ、4野党が法案再提出 罰則規定強化
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-11-20/2016112003_01_0.html


■世界と日本
【中国の貧困解消計画(平井潤一)】
(内容紹介)
 ネットの記事紹介で代替。

■産経『中国、「貧困者」1千万人移住計画 今年は200万人 経済開発区などに』
http://www.sankei.com/world/news/160510/wor1605100028-n1.html
ニューズウィーク日本版『中国、貧困層移住で14兆円超投資へ 1000万人の貧困撲滅へ』
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/11/14-1000.php
■ダイヤモンド・オンライン『中国、2017年に貧困地区の600万戸を改修へ』
http://diamond.jp/articles/-/112842


【韓国の鉄道ストライキ(洪相絃)】
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。なお、「経済」誌なのでストには好意的でむしろ「労組との交渉に応じようとしない朴政権」に批判的である。

ハンギョレ
■韓国政府の強硬対応の背後には「鉄道民営化」政策がある
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/25330.html
■韓国政府、ブレーキなき強硬対応…鉄道ストライキ長期化様相
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/25427.html


特集「2017年の日本経済をどう見るか」
■日本経済の長期停滞と構造問題(工藤昌宏*4
(内容紹介)
 おおざっぱに要約すれば「アベノミクス内需の拡大を全く考えておらず」、その結果として消費税増税や年金支給額減額といった国民負担増により国民の収入を減らし、内需を縮小させ、不況を深刻化させていると言う話。
 アベノミクスは「円安誘導による輸出増」で不況克服を狙ったが
1)内需の落ち込みが大きいため輸出増でリカバリーしきれない
2)「1980年代の円高不況対応」などで生産拠点のかなりの部分が海外に移転しているため、現在、日本経済は「円安で輸出増という経済構造ではない」こと
から景気回復の効果を上げていない。「国民負担を減らす」などで内需を増大させることが景気回復の本道であり、またそれが「格差問題の解決」など景気拡幅にとどまらない効果を上げるとしている。

参考
赤旗『“アベノミクス不況”脱出を、大企業景況感悪化 小池氏が表明』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-04-02/2016040202_01_1.html


■異次元緩和と金融・財政問題の深刻化(山田博文*5
(内容紹介)
 アベノミクスの異次元金融緩和で景気回復という主張については、当初から批判派から「過去に前例がなく経験上正しいと言い難い」「理論的にも景気回復ができるか疑問*6」との批判があったが、安倍政権4年の成果(賃金のアップや消費の拡大が認められない)によって「誤りであることが明白になった」といえる。
 なお、株価高については「景気回復の成果」というより「政府の異次元緩和(大規模な株式や国債購入の成果)」と見るべきである。
 政府の株式購入予算ももちろん無尽蔵ではなく、いずれ限界が来る。「限界が来たときの反動株価安」「限界に行くまでに投入する政府支出による財政悪化」が危惧される。
 早急な「大規模な株式購入の見直し」が必要であるが、厄介なのは「あまりにも大量購入しすぎたため」下手に見直しを表明するとそれが「反動株価安」をもたらしかねないことである。
 その結果、安倍政権は「異次元緩和を続行し続けている」がこのような政策はあまりにも無謀である。

参考
赤旗
■主張『日銀金融政策検証、破綻した政策 固執し続けるな』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-09-22/2016092201_05_1.html
■異次元緩和 失敗明らか、宮本岳志議員 日銀の姿勢ただす、衆院財金委
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-11-03/2016110308_01_1.html
■知りたい聞きたい「日銀の国債購入に限界は?」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-11-05/2016110506_01_0.html


■公的マネー40兆円で株価対策(垣内亮*7
■年金積立金の在り方を考える(河村健吉*8
(内容紹介)
 山田論文「異次元緩和と金融・財政問題の深刻化」と一部内容がかぶるが、垣内論文、河村論文は「安倍政権が景気対策のため、従来の国債購入中心の年金積立金運用を変更し、大量の株式購入をしていること」について「年金積立金の赤字を招きかねないリスキーな行為」であり直ちに止めるべきとしている。

参考
赤旗
■年金運用損失5兆円超、安倍政権が株式運用を倍増、15年度
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-07-02/2016070201_02_1.html
■首相が“消した年金”5兆円、積立金使い株価つり上げ、“ギャンブルで すった”安倍政権
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-07-05/2016070503_01_0.html
■年金資金に大穴あけた安倍政権の責任は重大、小池書記局長が会見
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-07-30/2016073001_03_1.html


■安倍成長戦略・第4次産業革命の陥穽(藤田実*9
(内容紹介)
 藤田氏が赤旗日曜版に書いた記事(http://blog.goo.ne.jp/uo4/e/6251a0ec8c6f57dc2b4cd7cd80c60197)がネット上で紹介されているのでその記事紹介で代替。いわゆる第四次産業革命の意義については藤田氏も認めているが、安倍政権においてはそれが「非正規雇用の増大」などとセットにされている疑いが濃厚であり、「安倍政権の施策について」は警戒と監視が必要としている。


■安倍政権下で進む兵器産業の育成・強化(金子豊弘)
(内容紹介)
 武器輸出三原則の廃棄による武器輸出の原則自由化、軍事予算の増大などといった安倍政権の「兵器産業の育成施策」を批判。

参考
赤旗
■軍拡暴走の強権姿勢象徴、政府予算案 小池書記局長が談話
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-23/2016122303_02_1.html
■主張『軍事予算過去最大、あまりにも異常な軍拡やめよ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-24/2016122401_05_1.html
軍学共同予算激増に抗議、研究者ら、制度廃止求め声明
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-29/2016122901_03_1.html


■安倍政権下の働き方改革をどうみるか(牧野富夫*10
(内容紹介)
 働き方改革の内容として「長時間労働の是正(過労死の撲滅)」を重要な要素としてあげた上で、「日本版ホワイトカラーエグザンプション導入」をもくろむ安倍政権にそうした姿勢があるか疑問としている。

参考
働き方改革 官邸主導、実現会議 公労使3者構成崩す
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-08-13/2016081302_01_1.html
■主張『「残業代ゼロ」法案、長時間労働の促進許されない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-09-24/2016092401_05_1.html
長時間労働規制法案を提出、4野党 電通問題を受け罰則強化
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-11-16/2016111601_03_1.html
■主張『働き方改革、賃上げに内部保留活用不可欠』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-11-18/2016111801_05_1.html?_tptb=032


■安倍政権の農協「改革」とTPP(田代洋一*11
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■主張『規制改革農協提言、協同事業の事実上解体やめよ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-11-27/2016112701_05_1.html
■農協事業の弱体化狙う、政府「プラン」決定 企業参入進める
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-11-30/2016113001_03_1.html
■牛・豚肉7割で関税撤廃 参院特別委、国会決議違反 紙氏「TPP批准反対」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-09/2016120901_02_1.html


特集「2017年世界経済の動向2」
■世界を揺るがす中国鉄鋼業の供給過剰(大場陽次)
(内容紹介)
 中国や世界の鉄鋼業に不況をもたらしている「中国鉄鋼業の過剰生産能力」が取り上げられている。
 「大量の失業者を産み出すなどの問題をうまない形で」という条件付ではあるが、生産調整が必要であろうとした上で、そうした調整に中国政府が充分取り組んでいるとは言えないのではないかとして一定の批判をしている。

*1:1932年ロス五輪200m平泳ぎ銀メダル、1936年ベルリン五輪200m平泳ぎ金メダル。

*2:1936年ベルリン五輪ラソン金メダル。

*3:著書『労働管理の基本構造』(2010年、晃洋書房

*4:著書『日本海運業の展開と企業集団』(1991年、文眞堂

*5:著書『これならわかる金融経済(第3版)』、『国債がわかる本』(以上、2013年、大月書店)など

*6:この辺りの理論は小生にはうまく説明できないが

*7:著書『消費税が日本をダメにする』(2012年、新日本出版社

*8:著書『企業年金危機』(1999年、中公新書)、『娘に語る年金の話』(2001年、中公新書)、『年金格差とアベノミクス』(2015年、かもがわ出版)など

*9:著書『3.11からの復興と日本経済再建の構想』(2012年、かもがわブックレット)、『日本経済の構造的危機を読み解く:持続可能な産業再生を展望して』(2014年、新日本出版社)など

*10:著書『労働ビッグバン:これ以上、使い捨てにされていいのか』(共著、2007年、新日本出版社)、『アベノミクス崩壊』(編著、2016年、新日本出版社)など

*11:著書『農協・農委「解体」攻撃をめぐる7つの論点』(2014年、筑波書房ブックレット)、『官邸農政の矛盾:TPP・農協・基本計画』(2015年、筑波書房ブックレット)、『TPPと農林業・国民生活』(2016年、筑波書房)など