■日本を問い直す村岡典嗣の復活 文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司
https://special.sankei.com/f/seiron/article/20181204/0001.html
11月に「ミネルヴァ日本評伝選」の一冊として、日本思想史学者の村岡典嗣(つねつぐ)の巻が出た。村岡は明治17年に生まれ、大正13年に東北帝国大学法文学部教授となり、日本思想史を講じた人物である。昭和21年4月、敗戦の混乱の中に61歳で没した。
この、戦後長らく忘れられていた日本思想史学者を四半世紀ほど前の「村岡典嗣−学問の永遠の相の下に」という批評文でとりあげて、今日の復権の先鞭(せんべん)をつけた私としては、とてもうれしい。ようやく「評伝選」に入るまでに村岡典嗣が復活したからだ。
ミネルヴァ書房のサイト(http://www.minervashobo.co.jp/)を調べれば分かりますが、「ミネルヴァ評伝選」では村岡の他にも
・折口信夫(おりぐち・しのぶ:1887〜1953年)
國學院大学教授。民俗学者。釈迢空(しゃく・ちょうくう)と号した詩人・歌人でもあった。
・金沢庄三郎(1872〜1967年)
國學院大学教授。国語学者。金沢の主張した「日韓両国語同系論」(1910年(明治43年))や「日鮮同祖論」(1929年(昭和4年))は、朝鮮半島併合を理論的に正当化するため、併合推進者が頻繁に引用した。
・北一輝(1883〜1937年)
戦前の右翼活動家。226事件で死刑。
・久坂玄瑞(1840〜1864年)
吉田松陰の弟子。禁門の変(蛤御門の変)で自決。
・西田天香(1872〜1968年)
右翼宗教「一燈園」の創始者。
・廣池千九郎(1866〜1938年)
右翼宗教「モラロジー」、麗澤大学の創始者。なおモラロジーは日本会議に参加している。また麗澤大には古森義久(元産経ワシントン支局長)、高橋史朗(元つくる会副会長)、八木秀次(元つくる会会長、現・日本教育再生機構理事長)といった右翼活動家が教員として在籍している。
・平泉澄(1895〜1984年)
皇国史観の中心人物として知られる右寄りの日本史学者。
・福田恆存(1912〜1994年)
劇作家、英文学者、右翼活動家。
・三島由紀夫(1925〜1970年)
作家。右翼活動家。
・満川亀太郎(1888〜1936年)
戦前の右翼活動家。大川周明(1886〜1957年)や北一輝らとともに右翼結社・猶存社を結成、猶存社解散後は安田共済事件を契機に北と決別するまで、右翼結社・行地社に所属。拓殖大学教授も務めた。
・宮崎滔天(1871〜1922年)
孫文支援者の一人として知られる戦前の右翼活動家。
・吉田松陰(1830〜1859年)
木戸孝允*1、伊藤博文*2ら、明治維新の志士たちに影響を与えた右翼イデオローグ。
・保田與重郎(1910〜1981年)
右寄りの文学者集団「日本浪曼派」の中心人物
(あいうえお順。以上の経歴についてはウィキペディアなど参照)
なんて「右よりの人物」が多数ラインナップされてますからねえ。
一方で左派はこの種の評伝で取り上げられてもおかしくない
・太田薫(1912〜1998年)
総評議長。
・小林多喜二(1903〜1933年)
プロレタリア作家。
・土井たか子(1928〜2014年)
日本社会党委員長、社民党党首。元衆院議長
・宮本顕治(1908〜2007年)
日本共産党委員長
(あいうえお順)
などは全然ラインナップされてません。「おいおい、ミネルヴァはどんだけウヨ大好きでサヨ嫌いなんだよ」ですね。
また「ミネルヴァ評伝選」ではありませんが、ミネルヴァ書房からは『評伝 小室直樹』なんて本も出ています。
単に「ミネルヴァ評伝選」および「ミネルヴァ書房」がウヨに好意的なだけに過ぎません。村岡再評価でも何でもない。
しかしさすがの産経も「ミネルヴァ評伝選」を理由に「平泉澄の再評価」とは言わないのでしょうねえ。
■睡眠剤混入懲役24年 遺族「刑期短い」 被告への不信感あらわ(千葉総局 橘川玲奈)
https://www.sankei.com/affairs/news/181204/afr1812040025-n1.html
殺害された同僚の山岡恵子さん=当時(60)=の次男(37)は記者会見に応じ、「懲役24年は短い。『あと何年刑務所で過ごせば刑務所から出られる』という希望を波田野被告には持ってほしくない」と語気を強めた。
まあ遺族的にはこういう感情論も仕方がないのでしょうが、非常識発言ですね。「被告人の年齢72歳」を考えれば懲役24年は決して短くない。24年まるまる服役したら、生きていたとしても96歳ですし、当然、獄中で病死する可能性もある。もちろん仮釈放も可能性としてはありますが、可能性に過ぎませんし、そもそも24年の懲役ではそう簡単に釈放など認められません。
『あと何年刑務所で過ごせば刑務所から出られる』という希望を波田野被告には持ってほしくない」
て、なら「無期刑にしろ」というのか。はたまた無期の場合「可能性としては仮釈放の可能性はゼロではない」ので死刑にしろとでも言うのか。どっちにしろ非常識発言でしかありません。
まあ、マスコミが垂れ流していい発言ではないですね。
「(波田野被告は)公判中、涙の一つもこぼさなかった」
いやー、こういう感情論遺族は「涙を流したところ」で「嘘泣きだ」とか言い出すんでしょうからねえ。完全な言いがかりですね。
老人ホームの寺田洋介施設長(46)もこの日会見を行い、「波田野さんは本当のことを話していないと感じた。自分のしたことにしっかり向き合ってほしい」と被告に反省を求めた。
事件前、老人ホームでは山岡さんが中心となり、地域との交流を進めてきた。設立から日の浅いホームの運営方針も寺田さんとともに考えていたといい、「今の施設は、山岡さんが目指していたにぎやかな場所になっていると思う」と志し半ばで亡くなった山岡さんをしのんだ。
「はあ?」ですね。産経が記事化してないだけかもしれませんが、「自分の施設の職員が問題をおこした」のに「大変申し訳ない」という「自らの反省の弁」はなかったんでしょうか?
「俺は悪くない、俺が命令してやらせたわけじゃない」なら無責任すぎるでしょう。一方でそうした反省の弁があったのに産経が書かなかったのなら、その産経の感覚はおかしいでしょう。
いずれにせよ反省の弁が仮になかったのなら、俺だったらこんな無責任な人間が施設長のホームになど、絶対に「自分が入りたくない」し、「親を入れたくもない」ですね(当面、親が元気なのでその予定はないですが)。
■水道法改正案、参院厚労委で可決 今国会成立へ
https://www.sankei.com/politics/news/181204/plt1812040017-n1.html
げんなりしますが、「水道の民営化が可能である」ということは、「水道を民営化しなければいけない」ということではないので「仮にこの記事の予測通り、法が成立したとしても」戦いが終わるわけではない。「カジノ法成立後の、各地でのカジノ阻止の戦い(今のところカジノは成立していません)」などのように、今後は各自治体での「水道民営化阻止の戦い」ということになるわけです。
「抽象的な民営化の是非」はともかく個々の「民営化の是非」においては、自民党支持層の一定の反対や批判も期待できるのではないかと思います。
その上で「民営化が可能な水道法の再改正を目指す」つうことになるでしょう。もちろん今回阻止できればそれが一番いいわけですが(追記:残念ながら12/6に参院本会議で可決成立しました。すでに書いた「各地での水道民営化の阻止」と「水道法の再改正」という新たな戦いが始まるわけです)。