「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年3/8分:荒木和博の巻)

ミセモンジ【調査会NEWS2943】(31.3.7): 荒木和博BLOG

 月曜から韓国に来ています。今回面白かったのは行く前に何人もの人から「今韓国に行って大丈夫ですか」と言われたことです。

 荒木の付き合う人間はその種のウヨばかりですからね。

 3・1独立運動から100周年ということもあり、日本でも行事のことが報道されていましたから、それを見たら「韓国にいったら日本人とわかると襲撃されるのではないか」と思った人もいたかも知れません。しかし現実には街中をぶらついても、ときどき3・1運動にかかわるポスターとかはありますが、それでどうということはありません。

 そりゃそうでしょう。日本人襲撃なんかやらかしてもメリットはありません。大体三・一運動の時だって日本人襲撃なんかほとんどないし、文*1大統領も

文在寅大統領演説(全文) (3.1独立運動100周年記念式) | ちきゅう座
 朝鮮人の抵抗で死んだ日本人の民間人*2は、一人もいませんでした。

として「三・一で日本人襲撃のような自体がなかったことは誇りだと思う」という趣旨のことを述べてるわけです。文大統領は安倍批判をしても反日をあおってるわけではない。

 残念ですが韓国における日本の存在感は30年くらい前と比べると格段に低下しています。日本語世代が退場したせいもあるのですが、日本の国力が低下したことも大きな理由です。

 まあ一方で「経済発展」により韓国の国力は増進し、中国の存在感が高まってるわけです。
 そう言う状況で安倍が無茶苦茶な戦前美化と嫌韓国をやり「自民党公明党およびその支持者はそれを容認してる」。
 もちろん野党支持層などは安倍の韓国への態度を批判してるが、それでも安倍政権が今年で7年目なんて状況で、韓国側で「日本は安倍*3嫌韓国なんか容認する、もうどうしようもない国だから無視しよう」「少なくとも安倍政権ではどうにもならない、ポスト安倍に期待しよう。野党に政権交代しなくても石破*4でも石原伸晃*5でも岸田*6でも安倍よりはマシだ」つう動きが出てくるのは「残念ながら」ある意味当然の話です。

 反日という意味では保守政権だった李明博*7政権も朴槿恵政権もそうでした。それは日本の存在が軽くなり、けなしても大丈夫だとこちらの人が思ったからでしょう。

 もちろんそんなことはありません。以下の話は荒木だって知ってるはずですが、まず韓国通には有名な事件で、第一に吉田*8政権(日本)&李承晩(韓国)時代の「久保田暴言事件(久保田妄言事件)」つうのがあります。
 ググってもいい記事が見つからなかったのですが、内容的にはあとで紹介する高杉事件とほぼ同じ、つまり「戦前日本は韓国を近代化してやった。だからカネなんぞ払う気はない」つう居直りです。実際この時期は本気で日本は払う気がなかったようですが(ただし高杉の時は「祝い金」という名目ですが払う方向になったわけです)。この時は、韓国側の反発で一時、正式な外交交渉が完全にストップします。「戦後最悪の日韓関係」とも言われる時期です。
 第二に佐藤*9政権(日本)&朴チョンヒ(韓国)時代の「高杉暴言事件(高杉妄言事件)」つうのがあります。
 これについては“メディアは事実を伝えるのが仕事だ”と主張する人に伝えておきたい政府・メディア共同で犯した隠蔽事件 - 誰かの妄想・はてなブログ版を参照下さい。
 この事件が赤旗によって暴露されると日韓両国は「赤旗のデマ」と強弁します。もちろんデマではないわけですが、それはさておき。
 この時、朴チョンヒは「この件はなかったことにしよう、日本の金が欲しいから」「久保田事件の二の舞は嫌だ」と思ったわけです。しかし、それでも彼は「高杉の妄言なんかどうでもいいだろ、カネがほしいんだ!」とは公言は出来なかった。それをやったら、かえって韓国民の反発で久保田事件の二の舞です。民族の誇りとはそう言うもんでしょう。
 なお、この時は高杉妄言を「うやむやにごまかした朴チョンヒ」ですが日本には複雑な思いがあったのでしょう。妻が殺害された文世光事件では

■文世光事件(ウィキペディア参照)
・この事件の為、日韓関係は日韓国交正常化後、最悪の状態に陥ったといわれる。
・文が所持していた拳銃が大阪府内の派出所より盗まれた物であった事、韓国側の主張によれば、「朝鮮総連の関与は明白であったにも関わらず、日本側がそれを明確に認めず、朝鮮総連への家宅捜索をしなかった事」による。
・日本側の対応に対し、朴大統領は「日本は本当に友邦なのか?」と憤激し、ついには「(田中政権が国交回復した)中国だけが一番なのか。(日本と断交しても)安保、経済に問題はない」、「日本は北朝鮮の赤化工作の基地となっている」という言葉まで出た。しかし、朴大統領の側近が「このまま国交が断絶してしまえば、今までの苦労が水の泡になってしまう」と説得し、日韓双方で、
1)日本政府が遺憾の意を表明する。
2)事件の再発防止。
3)日本から特使派遣をすること。
という内容で合意し、最悪の事態はまぬがれた。
・事件から4日後の8月19日に執り行われた朴の妻の葬儀(国葬)において、日本からは田中角栄*10首相が出席した。その際、田中首相の「えらい目に遭われましたね」という言葉に朴大統領は「言葉が軽すぎる」とかえって憤慨したと言われている。
 加えて、8月29日に木村俊夫*11外相が国会答弁の中で「客観的に見て、韓国には北朝鮮による脅威はない*12」と述べたことで、かねてから「日本国内でKCIAによって引き起こされた金大中事件」に対する日本からの韓国政府非難を受けたことにより鬱積していた反日感情が一気に爆発、連日日本大使館前には抗議のデモ隊が押し寄せ、9月6日には群衆が日本大使館に乱入し日章旗を焼き捨てる事態にまで発展した。その後急速に関係は悪化し、国交断絶寸前にまで至った。
 事態を見かねた日本政府は9月19日に自民党親韓派の重鎮である椎名悦三郎*13副総裁を政府特使として訪韓させた。朴は椎名との面談の席上で、「日本政府が私達を友邦と考えるなら、喪中にある大統領一家や国民が悲しみと怒りに満ちているこの時に、日本が引き続き、こんな風な姿勢を取れば、友邦とは認められないのではないか」、「(日本の姿勢は)政治と外交、法律に関係なく、東洋の礼儀上、ありえない事」、「日本外務省には秀才やエリート官僚が集まっていると聞いたが、どうやってこのような解釈ができるのか」など、激しい言葉で日本を糾弾した。退出した椎名は「長い公職人生でこれほど罵倒されたことはなかった」と憤懣やるかたない表情で語り、付き添っていた金鍾泌*14首相があわててなだめる一幕もあったという。

とまで日本政府相手にマジギレするわけです。
 第三に鈴木*15政権(日本)&全斗煥政権時(韓国)の教科書問題での「宮沢*16官房長官談話&近隣諸国条項」がある(これは韓国だけでなく中国への対応でもありますが)。
 第四に中曽根*17政権(日本)&全斗煥政権(韓国)時の「韓国併合は韓国の同意の下に行われた」と月刊文春で放言した藤尾*18文相が韓国側の抗議で更迭された「藤尾更迭事件」がある。
 以上見たように、保守政権(李承晩、朴チョンヒ、全斗煥)ですら荒木の主張ならすべて反日になってしまう。
 要するに「戦前日本には何の問題もなかった」と居直るウヨの荒木が非常識なだけです。
 一方金大中時代には日韓共催ワールドカップがされていますし

金大中ウィキペディア参照)
 1998年の来日に先立って、韓国政府として天皇を表す「日王」の呼称を取り止め、「天皇」を使用することを公式に宣言。また、愛子内親王の誕生に際しては「皇室と国民が待ちこがれた皇孫が誕生した事を、韓国国民とともに心よりお祝いします。皇室がこの度の慶事を機に、一層繁栄することを確信します」との祝電を送った。また、映画や音楽などの日本文化を正式に開放することも表明し、実際に実行した(それ以前は公式な開放ではないので扱いは海賊版)。 

という事実もあります。
 また、米国のキューバへの対応から、日本の北朝鮮への対応を考えてみる - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でわかるように金大中が拉致解決のために日本に協力した事実もあるわけです。
 首相が安倍ではない「小渕*19、小泉*20」なら金大中氏も協力するわけです。

韓国で徴用工だ慰安婦旭日旗だと事あるごとにあることないこと(ほとんどはないことですが)文句を言われ

 「ないこと」どころか「すべてあること」ですね。そして慰安婦問題も「河野談話(宮沢内閣)やアジア女性基金(村山内閣)」については韓国でも一定の評価がされています(もちろん一方では「ああした解決が解決策として不十分だから安倍なんぞが首相になったのだ(例えば女性基金は税金ではない)」つう批判もありますが)。問題はそれらを安倍がぶち壊しにしたことです。
 なお、荒木ですら、『すべてないこと』とはいえず『ほとんど』と書いてることは『すべて』といいきる事への躊躇が多少はあるのでしょう。とはいえ、「ほとんどということは一部少数は韓国が正しいわけですね。それは何ですか?」と聞いても荒木もまともには答えられないでしょうが。

 北朝鮮からは拉致被害者を取り返すこともできない現状が悔しいと思ったら、強くなりましょう。

 「強い」とかそういうことじゃないでしょうよ。世界最強の軍事大国アメリカですら、北朝鮮を自分の思い通りには出来ないわけです。
 そして日本は国際的には十分「政治力、経済力、軍事力」において強いでしょう(政治力、経済力はともかくハト派として、俺は軍事力の強さは評価できませんが)。
 何せ「安保理非常任理事国最多選出回数=日本」ですし。問題は拉致問題での「外交テクニックのなさ」「外交戦略のなさ」、これにつきます。
 「それなりの戦略があった小泉政権」は「拉致被害者5人」を取り戻したわけです。
 また過去にも「小泉訪朝」以外にも「鳩山一郎*21の日ソ国交正常化」「佐藤栄作の日韓国交正常化、沖縄返還」「田中角栄日中国交正常化」などの外交成果が日本にはあります。
 まあ、荒木の場合「戦略がない」以前に「北朝鮮叩きがしたいだけで拉致を解決する気なんかない」「だから拉致解決の戦略なんかつくる意思もない」わけですが。
 例えるならば、ここでの荒木の主張は「体力(もちろん政治力、経済力や軍事力のたとえ)をつければスポーツの試合で勝てる」並の与太です。多くの場合、単に体力があるだけでは「技術力(もちろん外交テクニックのたとえ)がなければ」「そしてその技術をどう試合で生かすかという戦略(もちろん外交戦略のたとえ)がなければ」スポーツの試合で勝つことはできません。
 例えば浅田真央*22が筋トレすれば、キムヨナ*23に勝てるのか。そう言う話じゃないわけです。「技術力をつけた上で」、『どうすれば審査員に評価されるか』『キムヨナはどういう演技をしてくるのか』などを考えた上で「試合でベストの演技をする」、そうすることでしかキムヨナには勝てないわけです。

 朝鮮半島は私たちの鏡でもあると思います。

 朝鮮半島だけでなく中国にせよロシアにせよ、すべての外国がそうだと思いますが、確かに「ある外国への日本の対応」は「日本の鏡」ではあるでしょう。
 そして韓国という鏡によって我々は「日本人多数がいかに戦争と植民地支配に無反省であったか」「いかに韓国などアジア諸国に差別的か」ということを「嫌と言うほど思い知らされています」。

*1:盧武鉉政権大統領秘書室長、「共に民主党」代表を経て大統領

*2:わざわざ「民間人」といってると言うことは、「警官や軍人」には死者がいたのでしょう。まあそれにしてもおそらくは「警官や軍人に殴られたからやり返す的な物」であり「警官や軍人を自分たちから大量殺害」ではにないでしょうが。

*3:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*4:石破派総帥。小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*5:石原派総帥。小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*6:岸田派総帥。第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長

*7:ソウル市長を経て大統領

*8:戦前、外務次官、駐イタリア大使、駐英大使など歴任。戦後、東久邇、幣原内閣外相を経て首相

*9:元運輸次官。政界入りし、吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、池田内閣通産相などを経て首相

*10:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相などを経て首相

*11:元運輸官僚。上司だった佐藤栄作(元運輸次官)の誘いで政界入り。佐藤内閣官房長官として沖縄返還に尽力。また田中内閣で外相を務めた。

*12:いや実際そうですが。

*13:戦前、岸信介商工大臣(東条内閣)のもとで商工次官。戦後、岸の誘いで政界入りし、岸内閣官房長官、池田、佐藤内閣通産相、外相、自民党副総裁(田中総裁時代)など歴任。岸の側近として知られる。

*14:KCIA長官を経て首相

*15:池田内閣郵政相、官房長官、佐藤内閣厚生相、福田内閣農林相、自民党総務会長(大平総裁時代)などを経て首相

*16:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相を経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*17:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官を経て首相

*18:鈴木内閣労働相、自民党政調会長(中曽根総裁時代)、中曽根内閣文相を歴任

*19:竹下内閣官房長官自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相を経て首相

*20:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*21:田中義一内閣書記官長、犬養、斎藤内閣文相を経て首相

*22:女子フィギュアスケートバンクーバー五輪銀メダル

*23:女子フィギュアスケートバンクーバー五輪金メダル、ソチ五輪銀メダル