「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2020年12/28日分:島田洋一の巻)

島田洋一
 腐っても鯛。「桜を見る会の前夜の食事会の費用の明細書」が最重要課題*1の日本の国会とは大違いだ。日本の議員の大半はチベットウイグルがどこにあるか*2も知らないだろう 
米国でチベット人権法成立 後継者選定介入で対中制裁も:時事ドットコム

 「戦前の桂太郎内閣を超えて」日本の歴史上、最長期間の内閣でありながら 首相在任中に安倍がそんな法案を提出などしなかったことを「平気で無視できる」島田のデタラメさには唖然とします。安倍が「安保関連法や特定秘密保護法働き方改革法の制定」「入管法改定」並の熱意を持って動けば「そうした法律の制定」は決して不可能ではなかったでしょうに。そんなに「そうした法律の制定がないこと」を不満に思うのならまず島田が批判すべきは安倍ではないのか。

島田洋一
 日本を取り巻く環境はいよいよ厳しい。菅*3首相は、安倍*4前首相に比べ、外交が得意でなく、国際的人脈も薄い。安倍氏が首相特使として、特に対米、対北朝鮮で重要な役割を果たす局面が必ず来る。そうした中、「桜を見る会の前夜の食事会の費用」云々のつまらぬ話*5安倍氏の政治力を削ぐこと*6国益にかなう*7のか。

 「首相特使としての安倍」など馬鹿馬鹿しくて話になりません。
 「首相の地位を失った安倍」など海外首脳もろくに相手しないでしょうし、そもそも菅も安倍にそんな役目を与える気も無いでしょう。
 大体

◆第二次伊藤*8内閣の治外法権領事裁判権)撤廃
◆第一次桂*9内閣の日英同盟締結
◆第二次桂内閣の関税自主権回復
◆鳩山*10内閣の日ソ国交正常化、国連加盟
◆佐藤*11内閣の日韓国交正常化、沖縄返還
◆田中*12内閣の日中中国交正常化
福田赳夫*13内閣の日中平和友好条約締結
◆宮沢*14内閣の天皇訪中
◆小泉*15内閣による北朝鮮拉致被害者帰国

に値するような「特筆すべき外交成果」が首相としての安倍のどこにあるのか。
 そもそも島田も本気ではないと思いますがそれはさておき。
 田中角栄ニクソン*16の政治的能力(少なくとも二人とも安倍よりはマシでしょう)をいかに政治家として評価しようともそれは「ロッキード事件ウォーターゲート事件」で彼らの法的、政治的責任を追及してはならない、などという話には全くなりません。島田の主張は「田中やニクソンは偉大な政治家だからそんな疑惑など追及するな」と言うレベルの暴論です。しかも安倍は「田中やニクソンほどの政治力が無い」わけですから「なおさら暴論」です。
 これがまだ「ギヨーム事件」のような話なら「デタント外交でノーベル平和賞までもらったブラント*17」を「確かに落ち度ではあるが、故意ではなく過失だし、首相を辞めさせて本当にいいのか?」と言っても良いかもしれませんが。
 しかし「ギヨーム事件」が起こっても「ブラントのデタント外交それ自体は否定されなかった(後継政権にも継承された)」のだから、「ドイツ人は賢明だ」と思いますね。日本で同じようなことが起こった場合に「そのような冷静な態度を国民が示せるかどうか」は「残念ながら」非常に疑問符が付くかと思います。

*1:最重要課題かどうかはともかく「前首相の犯罪疑惑」が重要視されるのは当たり前の話です。

*2:詳しい場所はともかく大体の場所くらいは知ってるでしょうよ。

*3:第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官などを経て首相

*4:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官などを経て首相

*5:もちろん政治資金規正法違反、公選法違反という重大な疑惑です。産経や島田らの言いがかりである「蓮舫民進党代表(当時)の二重国籍問題」などとは全く違います。

*6:そもそも安倍が野党の要求に応じて清廉潔白であることを示せば「すぐに済む」話です。それが出来ないのは要するに「安倍が真っ黒だ(にもかかわらずそれを認めて議員辞職も自民離党もする気が無い)」ということであり、それを島田ら安倍信者が詭弁でかばってるという話です。

*7:「安倍の不正を容認することがどう国益にかなうのか?」と言う話です。

*8:首相、貴族院議長、枢密院議長、韓国統監など要職を歴任。元老の一人。韓国の民族活動家・安重根によって暗殺される。

*9:第三次伊藤、第一次大隈、第二次山県、第四次伊藤内閣陸軍大臣、首相、内大臣など歴任

*10:戦前、田中義一内閣書記官長、犬養、斎藤内閣文相など歴任。戦後、日本民主党総裁、自民党総裁、首相など歴任

*11:運輸次官から政界入り。自由党幹事長、吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*12:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*13:大蔵省主計局長から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*14:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣外相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*15:宇野内閣厚生相、宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相などを経て首相

*16:アイゼンハワー政権副大統領を経て大統領

*17:西ベルリン市長、キージンガー内閣副総理・外相などを経て首相