今日のロシアニュース(2023年1月12日分)

◆フランスが戦車を、米独が歩兵戦闘車を提供と発表

「欧米製で初」 フランス、ウクライナに軽戦車供与へ:朝日新聞デジタル
 フランスのマクロン大統領は4日、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話協議で、フランス製の軽戦車「AMX―10RC」を提供すると伝えた。仏大統領府が発表した。欧米製の戦車がウクライナに供与されるのは初めてとしている。

米独が歩兵戦闘車をウクライナに提供へ 仏に続く軍事支援で協働歩調:朝日新聞デジタル
 米国のバイデン大統領とドイツのショルツ首相は5日、電話で協議し、兵士の輸送に使う*1両国の歩兵戦闘車ウクライナに供与することで一致した。ウクライナへの軍事支援では、フランスが4日に軽戦車の供与を発表。
 ウクライナには昨年4月、北大西洋条約機構NATO)加盟国のチェコ旧ソ連製の戦車と歩兵戦闘車を提供している。ウクライナのゼレンスキー大統領は米国や他の欧州の国にも同様の支援を求めてきた。米独両国は今回、初めて戦闘車を供与することを決めた。

英国、ウクライナに主力戦車の供与検討か FT報道: 日本経済新聞
 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は9日、英政府がウクライナに戦車を供与することを検討していると報じた。提供を検討しているのは主力戦車の「チャレンジャー2」。

ウクライナに初の戦車供与か…ドイツ製レオパルトを多国協力で、ポーランド大統領が見通し : 読売新聞オンライン
 ロイター通信によると、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は11日、訪問先のウクライナ西部リビウで、「(ドイツ製戦車の)レオパルトが多国間協力の一環として(ウクライナに)引き渡されるだろう」との見通しを示した。

ポーランド、ウクライナに戦車提供へ 3首脳が会談: 日本経済新聞
 ポーランドのドゥダ大統領は11日、ウクライナに対してドイツ製戦車「レオパルト2」を提供すると明らかにした。ロイターによると14台の提供が見込まれるという。

 以前TBSラジオ森本毅郎スタンバイ」でコメンテーター伊藤芳明氏も指摘していましたが、「いい加減支援に疲れてきた」ということでしょう。
 当初は「経済制裁でロシアがすぐ降参する」「ロシアと対立し過ぎて不測の事態が起きることは避けたい」「あまり積極的に軍事支援してウクライナが軍事強国になりすぎても困る(ロシアと戦争中の今ならそんな余裕はウクライナにはないだろうが、終戦後、周辺国への軍事的恫喝など変なことをされたら困る)」と思っていたのか「ウクライナの言いなりに何でも軍事提供してきたわけではない(例えば、上で紹介した記事に寄れば、米英仏独は従来、戦車や歩兵戦闘車は提供してこなかったとのこと)」ところ、いつまで経っても戦争が決着しない。
 このまま今の支援を「2年も3年も継続するのは避けたい」「体力がとても続かない」「国民の批判も受ける」ということで「一気にてこ入れすることで片をつけたい」「もう『ロシアの反発で不測の事態』『ウクライナの軍事大国化』の懸念と言ってる場合ではない」と言う話でしょう(とはいえ、それでも「重戦車ではなく軽戦車*2(フランス)」「戦車では無く歩兵戦闘車(米独)」「最終的にはマスコミ報道のように提供するかもしれない*3が、現時点では正式決定ではない(英)」ということで『ロシアの反発で不測の事態』や『ウクライナの軍事大国化』への懸念を全く無視してるわけでもなさそうですが)。
 何せ

ウクライナへの軍事支援、ロシアの国防予算に匹敵か 現地報道 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル
 ロシア国営タス通信は11日、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、ウクライナが西側諸国から受け取った軍事支援額は、ロシアの国防予算に匹敵すると報じた。

です。「こんな多額の軍事支援をしている!」と米英仏独などの厭戦世論を煽りたいロシア側発表とはいえ「全くの虚偽」ではない*4でしょう。
 いかに「米英仏独が経済大国」で「分担で負担」とはいえ「トータルでロシアの国防費に相当」なんて負担はやはりきついでしょう。
 「米英仏独によるは戦車や歩兵戦闘車提供」は1)ウクライナの軍事能力を向上させ、ロシア軍に対する勝利の可能性を高めると共に、2)「いい加減、ロシアは降参してくれ、このまま、ウクライナが軍事強国化してもいいのか」というアピールでもあるでしょう。

*1:歩兵戦闘車 - Wikipediaによれば戦車ほど強力な火砲でないとは言え、歩兵戦闘車も火砲を備えているので単に「兵士輸送しかしない」かのような誤解を与えるこの文章は問題です。朝日が1)無知なのか、2)この軍事支援を「軽微なモノ」と読者に誤解させようと故意にこうした文章を書いてるのかはともかく。

*2:ググったところ、「チャレンジャー2(英)」「レオパルト(独)」が重戦車のようです。

*3:2023年1月16日追記:英国、初の戦車供与へ ウクライナ大統領に伝達: 日本経済新聞主力戦車提供 英首相が表明 ウクライナへ | 毎日新聞によれば提供が正式に決定されました。

*4:俺の予測ですが、多分これに米英仏独は表だって反論しない(できない)でしょう。ロシアが「多少盛ってる」にせよ「全くの嘘(例えばロシアの額は実際と10倍以上違う)ではおそらくない」でしょうし、であるなら反論することでかえって厭戦世論を強めかねないからです。