「どうする家康」雑感(2023年4月11日)

「どうする家康」は、どうすればいいのだろうか?視聴率アップのカギとは(渡邊大門) - 個人 - Yahoo!ニュース
 結局「日本人が保守的である(だから自民党政権も続く)」と言う話にすぎないんじゃないか。
 「どうする家康」が作品としていいか悪いか、面白いかつまらないかはともかく。
 従来の家康作品においては「家康は若い頃から英雄」でした。そういうイメージが定着し、それこそが日本人の好みになっている。
 しかし、「どうする家康」の家康はそうではない(ドラマの描写が何処まで史実に合致してるのかはひとまず無視します。そもそも俺には評価するだけの歴史知識もありません)。
 彼が「桶狭間合戦」を契機に織田信長についたのは「どうする家康」では積極的にそうしたと言うよりは、主君・今川氏真が援軍を送ってくれず「そうせざるをえなかったから」です。今川義元(氏真の父)の死で「これ幸い」と積極的に織田方についたわけではない。
 武田信玄と共同で今川氏真を攻め*1、氏真を滅ぼす家康ですが「旧主を殺すには忍びない*2」と氏真を北條氏(氏真の妻の実家)に送ると、信玄から「俺の同意もなく勝手なことをするな!」「事前にそんな話はなかった」と恫喝される。
 これを機に「いっそ北条と手を組んで武田を討っては?」と言う家臣の言葉には「信玄に勝てる保証はなく、そんな危険なことはできない」「何とか信玄をなだめてくれ」と外交担当の家臣に懇願する。
 織田信長の上洛要請に応じて、わずかな家臣で京都へ行く家康ですが、そこで信長から「上洛要請に応じない朝倉義景を討つ」と上洛要請時には聞かされてもいない話を突然聞かされる。
 「それではいったん領国に戻って軍勢を率いねば」という家康に「織田軍で十分圧勝できるのでそんなことはしなくていい」と言われて「自分は信長に評価されてないのか」と憮然となる家康です(実際には浅井長政の『予想もしなかった裏切り』で信長が窮地に追い込まれ、最終的には勝利し、朝倉義景浅井長政を自害に追い込み、朝倉、浅井氏を滅亡させたとは言え戦争が長引いた)。
 「そういう頼りない家康が成長していくという話*3」で新たな面白さを狙ったのでしょうが。
 だからこそ、となりのチカラ - Wikipediaで「悪人ではないが、今一つ頼りない男」「妻の尻に敷かれ、またこどもたちからも頼りない存在と見なされてる」主人公を好演した松本潤*4が家康なのでしょうが。
 正直、「どうする家康」の初見での俺の感想は「となりのチカラみたい」でした。
 しかしそれは今のところ「今までの家康と違う」ということで恐らく「過去の家康」イメージに慣れた人(特に高齢者)からは好感が得られないのでしょう。
 従って「家康が頼りある存在」になった際には視聴率は上がるのでしょう(今ひとつ頼りない存在として描かれる当面はどうしても上がらない)。
 正直「ここまで視聴率が酷い」とは予想してなかったにせよ、NHKサイドも「今までとは違う家康」なので「視聴率低迷」はある程度覚悟していたのではないか。
 勿論「悩みや挫折」は「死ぬまで家康には当然ある」でしょうが、「豊臣政権の五大老」「江戸幕府初代将軍」ともなれば今ほど頼りない描き方はされないでしょう。

*1:但しこれも積極的にそうしたと言うよりは「バスに乗り遅れるな(信玄の今川攻めに氏真は対抗できないだろうから、参加した方が家康にとって領土拡大の好機でプラス、氏真支持は勿論、傍観もすべきでない)」という感じの描き方でしたが

*2:単なる善意ではなく、家康のイメージダウンを恐れたという話です。織田信長も「足利義昭」を追放したモノの、殺してはいないように、旧主殺害は実はそう多いものではないようです。

*3:ドラマほど頼りない存在ではないにせよ、当初の家康が小大名にすぎず次第に成長していったことは事実でしょう。その意味で今回の大河が「家康の当初の頼りなさ」を誇張(過小評価)しているにせよ、過去の大河は逆に家康を「最初から英雄だった」ように過大評価の方向で誇張してないか。

*4:まあ松本も『となりのチカラ』以外では切れ者弁護士を演じたTBSドラマ『99.9-刑事専門弁護士- - Wikipedia』など、「頼りがいのある人物」も勿論演じていますが。