暴力の悪循環を止める自制を強く求める/パレスチナのハマスとイスラエルの戦闘について/志位委員長が談話
一、ハマスの無差別攻撃と民間人の連行は、国際人道法の明白な違反であり、いかなる理由があっても決して許されず、強く非難する。
一、これに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は、「長期の厳しい戦争」を言明し、ガザ地区を大規模に破壊しつくす構えで、同地区への電力、食料、燃料などの一切の遮断措置も発表した。おびただしい犠牲を生む無差別の攻撃は、占領下にあって保護されるべき人々に対する集団的懲罰であり、正当化できない。
一、今日の事態の根底には、イスラエルがこの間、住民の強制排除をおこないながら国際法違反の入植を拡大し続け、ガザ地区には封鎖と、空爆や侵攻を繰り返してきたという問題がある。
民間人殺害許されない/ハマスの大規模攻撃/背景にイスラエルの占領政策
イスラム組織ハマスは、イスラエルへの大規模攻撃の目的を「パレスチナ人と聖地の解放だ」と述べました。しかし、どのような理由であれ民間人を殺害したり、拉致*1したりすることは許されません。
一方、イスラエル軍による報復攻撃でガザでも多くの死者が出ています。
イスラエルのネタニヤフ首相はハマスに対し、強力な報復を行うと宣言しました。バイデン米大統領はイスラエルへの全面支持を表明しました。
イスラエル軍がガザに地上侵攻するのではないかとの懸念も出ています。戦闘が続けば民間人の犠牲が増えます。ハマスとイスラエル双方に速やかな戦闘の停止を求める国際的な声が上がるのは当然です。
暴力の背景には、イスラエルが国連諸決議に反してパレスチナを占領し続けていることがあり、それに対するパレスチナ人の強い怒りがあります。
イスラエルは国際法に反して入植地を拡大し続け、ユダヤ人入植者によるパレスチナ人への暴力が相次いでいます。イスラエル軍はヨルダン川西岸でパレスチナ人住居への襲撃も行ってきました。
イスラエル警察がイスラム教徒にとって神聖なアルアクサ・モスク(イスラム教礼拝所)に突入する事態も起きています。
イスラエルの意に沿う政策を進めてきた米国の責任は重大です。
トランプ前政権はエルサレムをイスラエルの「首都」と認定しました。国際社会の大多数はこれを認めていません。にもかかわらず、バイデン政権は前政権のこの決定を撤回していません。
イスラエルが1967年の戦争で占領した土地から撤退し、パレスチナ独立国家の樹立を認め、互いの存在を認めて共存を図るよう、国際社会がイスラエルに迫ることが必要です。
青字部分がハマス批判、赤字部分がイスラエルや米国批判です。
「イスラエルの無法」を理由にハマスの全面正当化は許されませんが、一方で「イスラエルの無法」「それを容認する米国のえこひいき」について目を塞ぎハマスを一方的に批判するのも不適切です。双方を批判する赤旗のような態度が適切でしょう。
なお、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(10/11)の「日本全国8時です」では伊藤芳明氏*2が「ハマスが騒がれるので、パレスチナ自治政府=ハマスと誤解している人もいるようだがそうではない、その点を我々マスコミもわかりやすく伝える必要がある」とした上で「パレスチナ自治政府(アッバス議長)」の存在感がないことを深く嘆いてました。
「パレスチナ自治政府は『ハマスには打つ手がない』と逃げ腰になるのではなく、もっと自己アピールすべきだし、パレスチナ自治政府を事実上無視してるイスラエルやハマスの振る舞いは不当だ」という伊藤氏の主張には俺も同感です。
*1:民間人の拉致については例えばハマス、ドイツ人女性らも誘拐か 独紙報道 - 日本経済新聞、ハマス、ドイツ女性ら拉致 外国人の巻き添え死、相次ぐ:東京新聞 TOKYO Web(以上、2023.10.9)を紹介しておきます。
*2:毎日新聞カイロ特派員、ジュネーブ特派員、ワシントン特派員、外信部長、編集局長、専務・主筆等を歴任。著書『アラブ:戦争と生活』(1991年、岩波書店)、『ボスニアで起きたこと:「民族浄化」の現場から』(1996年、岩波書店)(伊藤芳明 (ジャーナリスト) - Wikipedia参照)