テレ朝・おはよう時代劇『暴れん坊将軍9』第19話「江戸壊滅の危機! すい星激突の恐怖」(1999年放送の再放送)(2023年11月9日記載)

◆第19話「江戸壊滅の危機! すい星激突の恐怖」(2023年11月9日再放送)
 今回は「江戸に彗星が落ちてくる」という「伝説回」です。
参考

暴れん坊将軍9
第19話「江戸壊滅の危機!すい星激突の恐怖」
 ときどき魂の抜けるようなトンデモをカマしてくれて好き者にはたまらない暴将*1、わけても必見の怪作がコレ。お話自体は通常パターン、裏に尾張がいて江戸の町を混乱に陥れ吉宗失脚をはかるネタなのだが、「混乱」のもとの彗星の描きかたがトンデモ。箒星ネタは初期シリーズでもやっていて、思い切りちゃちい書割で大いに笑わせてくれたものだが、本作はCG?を駆使したリアル系で青い地球も映し出される。何度も挿まれる燃ゆる箒星は怪しの尾を曳き、遂に日野在にどどーんと落ちるが、もうスケールがヘンで抱腹もの…あれじゃセカンドインパクト起きて世界中ヤバい。落ちる野が一瞬映し出されるが、これがまたアリゾナの荒野みたいで見る者を混乱させる。上がる炎もガソリンまるだしで、このへんのいい加減さもすごい…けして馬鹿にしているのではなく、機会あらば是非見るべき痛快作と言いたいのである。
*天然系の学者は笹野高史。(ボーガス注:尾張藩と共謀する)陰謀の主の若年寄西沢利明

暴れん坊将軍 「江戸壊滅の危機!すい星激突の恐怖」: 時代伝奇夢中道 主水血笑録2006.5.3
 「江戸壊滅の危機!すい星激突の恐怖」というエピソードは、こんなお話。
 ある夜、望遠鏡を覗いていて地球に近づくほうき星を発見した吉宗(天文マニア)。地球への落下を懸念した吉宗は、在野の天文学者・西川如見を長崎から呼び寄せ、ほうき星の軌道を算出させようとする。が、その如見を襲う不逞浪人集団・世直し天狗党。実は吉宗のライバル・尾張宗春*2の配下である天狗党は、如見を利用してほうき星に対する人々の不安を煽らせ、その隙に江戸を騒がせて吉宗の権威を失墜させ(ボーガス注:宗春を将軍につけ)ようとしていたのだ。果たしてほうき星は江戸に落ちるのか!? そして吉宗は天狗党の陰謀を阻むことができるのか!?
 というわけで、「時代劇に彗星!」という素晴らしいミスマッチ感覚の今回。なんと申しますか、彗星と隕石がごっちゃになっていたり、ほうき星のビジュアルが歌舞伎で人魂を出す時に使う焼酎火みたいだったり、地表に落下したほうき星が豪快に炎をあげて爆発(結局ほうき星は江戸直撃を免れて日野に落ちるわけですが、まあ(ボーガス注:当時はまだ田舎だった?)日野ならいいや…ってよくねえ!というくらいの爆発でした)したりと、(期待通りの)突っ込みどころは色々ありましたが、(ボーガス注:世の混乱を利用し吉宗を失脚させ尾張藩主・徳川宗春を将軍につけるという)想像以上に真っ当なお話でした。
 これで「真っ当」と言ってしまうのはどうかと思いますが、小生の脳内では、吉宗が江戸の花火職人にこしらえさせた大玉で彗星を迎撃するエピソードと思いこんでいたので、これは小生の(明らかに狂った)期待のかけすぎというもの。内容的にはたまたま彗星だったのでナニですが、世を騒がす手段・きっかけが別のもの――米不足とか変な予言とか――だったら、まあ普通の時代劇かと思います。ほうき星の軌道観測のために呼ばれたのが西川如見だったり、妙なところでしっかりしているのも楽しいですね(西川如見が吉宗に招かれたのは史実)。
 それにしても、明治時代のハレー彗星騒動のことを考えれば、劇中でパニックに陥る人を笑えないし、天下を騒がす手段としては、如見を騙してほうき星の危機を町中で訴えさせ、その騒動に乗じて(ボーガス注:隕石の恐怖から救われると騙して)爆弾入り蝋燭(!)を配り、江戸を混乱させるというのは悪人の手としてはなかなかうまい手だなぁ…と真面目に分析してどうするのだ、私は。
 しかし、ちゃんと(?)ほうき星も江戸の近くに落ちてきたし、これに悪人たちの陰謀が重なったからいいものの、冷静に考えたら今回の話、望遠鏡で偶然観測した彗星を「地球に激突するかも知れん!」と将軍様がはた迷惑にエキサイトしただけじゃないかと…ほとんど、ほりのぶゆき先生の世界です。
 ちなみに脚本の井川公彦って「飯盛り侍」*3の原作の方かしら…。あと、女御庭番が東風平(こちひら)千香さん*4で驚いた。

 明治時代のハレー彗星騒動

空気のなくなる日 - Wikipedia
 1947年に発表された岩倉政治の児童向け小説。児童文学雑誌『子供の廣場』(新世界社刊)の11月号に初出。
◆ヒントとなった実話とあらすじ
 1910年、ハレー彗星の接近が間近に迫った時、欧米各国ではこの世の終焉が訪れるという噂が飛び交い、パニックとなったといわれる。フランスの天文学者で作家のカミーユ・フラマリオンの説などを信じて、彗星がもたらす有毒なガスを防ぐためのマスクや携帯用酸素吸入器が売れたという。
 日本でも、1910年5月19日の『大阪朝日新聞』が「フレンマリオン氏」の説として、「尾の内に含まれる水素が地球の空気中に存在する酸素と化合すれば、人類は皆窒息して死滅する」と報じた。
 本作は、こうした流言飛語にもとづいて庶民たちがそれぞれに生き残るために工夫し、あるいはこれを利用して一儲けしようとする姿を描いた。
 彗星が接近する「その年の七月二十八日」に5分間だけ「地球上から空気がなくなってしまうそうだという」「ばかばかしいうわさ」について、回顧調で語られている。この噂について、最初は、だれも信じなかったが、校長先生が県庁の役人もその噂を信じているらしいと言い出すと、学校や村中が大騒ぎになる。まず、子どもたちに5分間呼吸しない訓練をしようとする。しかし、それが不可能であるとわかると、自転車のチューブや氷ぶくろに空気をためておき、それを彗星の接近時の5分間に吸うという方法が見いだされた。しかし、多くの需要が集まり、一円二十銭だった氷ぶくろが何百倍にも高騰してしまい、貧乏な農家が多いこの村では、地主の子ども以外の生徒はだれひとりチューブや氷ぶくろを買えなかった。
◆テレビ版『空気のなくなる日』(1959年)
 1959年12月16日にJNN系列局の「日立劇場」枠で放送された。子役時代の風間杜夫(1949年生まれ)が本名(住田知仁)で出演している。
◆本作に類似した作品
 藤子・F・不二雄ドラえもん』第33巻(小学館、1985年4月)所収の「第10話:ハリーのしっぽ」(「小学六年生」1984年7月号初出)では、ハレー彗星が接近した時、スネ夫の先祖がチューブを買い占めるというストーリーになっている。

を紹介しておきます。
 しかし先日今日も「カス駄犬」「クズ駄犬」「クソ駄犬」ことkojitakenに悪口する(2023年11月3日記載) - bogus-simotukareのブログで紹介した「たまねぎおばさん」(1964年のNHKテレビ「こども劇場」枠、若き日の市原悦子主演)での「若き日の市原悦子」も見たいですが、子役時代の風間杜夫がすごく見たい。

【テレビ番組】暴れん坊将軍 彗星激突の回 - らんどくなんでもかんでもR2011.5.28
 冒頭で吉宗が夜空を望遠鏡で覗いていると、地球に接近するすい星を偶然発見します。
 これはひょっとして江戸に激突してしまうのではないか?。危惧を抱いた吉宗は市井の天才天文学者を偶然見いだし、すい星の激突地点を正確に計算させ危機を未然に防ごうとします。
 しかし、どこにすい星が落ちたとしても、暴れん坊将軍の力ではどうしようもないんじゃないのか。
 今回いつもの「余の顔を見忘れたか」&派手な殺陣は、やりようがないんじゃないかと見ながら心配していました。
 がご心配なく。
 すい星激突の恐怖を煽って一儲けを企む悪党*5が現れます。
 そんなこんなで一悶着している間にすい星はどんどん地球に近づいてくる。
 まさか暴れん坊将軍で、地球にすい星が近づくシーンが見られるとは(^_^;)
 天才天文学者の必死の努力もあり、すい星の落下地点が判明します。
 「わかりましたぞ。落下地点は多摩の八王子付近。今夜の牛の刻です!」
 もう絶対間に合わないじゃないのと思ったら、さすが上様落ち着いています。
 「良かった。江戸直撃は免れた。急ぎ早馬を飛ばして落下周辺住民を避難させよ。」
 そう指示して、自分は、すい星激突を煽って、厄除けロウソク*6を売りさばき一儲けした悪党退治に向かいます。
 そしていつもお決まりのセリフと結末で悪党を全員無事成敗。
 悪党退治にカタが付いた矢先、東京ドームくらいの大きさのすい星が吉宗の頭上をかすめます。
 それをなんとも言えぬ顔で見やる吉宗。
 多摩で住民避難に従事していため組の火消し達も、すぐ上空をかすめ飛ぶすい星に腰を抜かしますが、その数キロ先の山の向こうにすい星は激突します。
 普通なら、これで地球滅亡で、「暴れん坊将軍」最終回になってもおかしくない展開です。
 「ディープインパクト」などの映画ですと、そこからが本番という感じですが、「暴れん坊将軍」の場合は大きな爆発に火柱が上がっておしまい。
 地球はおろか江戸はおろか、直撃した八王子でさえ人的被害は全くありませんでした。
 これはすい星が激突したというよりは、うまく地球に着地したということなんでしょうか(^_^;)
 とにもかくにも今回も暴れん坊将軍の活躍で危機は未然に防がれ、悪党は成敗され、江戸泰平の世は続くのでありました。
 なんでもこの回は、暴れん坊将軍でも屈指の名(迷?)場面の回でマニアの間では有名だそうです。
 その他漂流してきたイスパニア人のフェンシングと殺陣をしたりする回*7などもあるようですが、自分は見たことがありません。一度見てみたいものです(^_^;)

さだまさし×マツケン、「暴れん坊将軍」あの神回語る! - サンスポ2018.8.6
 江戸に彗星(すいせい)が落ちてくる危機に、徳川吉宗(松平)が奮闘する。特撮をふんだんに盛り込んだSF仕立てのストーリーは、最近になって放送当時を知らない若い世代の間で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて「神回」「伝説回」と呼ばれるようになった。
 「最初に脚本を見たときには、こんなの時代劇でやるの?と思った。最近話題になっていると聞いて、SNSってすごいなと思いました」

真夏の天体ショー!「暴れん坊将軍」の伝説的神回“彗星回”が再放送 | マネーボイス2020.8.12
 花のお江戸にほうき星(彗星)が急接近しているのを、天体観測中にたまたま発見した八代将軍・吉宗。当世一の天文学者である西川如見に彗星の墜落時点を予測させた吉宗は、馴染みのめ組の面々と住民の避難を進めるが、この騒ぎに乗じて暗躍する勢力が現れ……というのが話の大まかなあらすじ。ストーリー自体、時代劇としてはかなり素っ頓狂なのだが、さらにお江戸に墜落する巨大彗星の映像の迫力っぷりにも、ある意味息を飲むこと間違いなしだろう。
 「暴れん坊将軍」の第9シリーズは、1998年11月から1999年9月まで、全38話放映されたもの。放映時間が時代劇としては少し早い夜7時からという異例の時間帯だったこともあり、お子様視聴者にも配慮してか、全体的にマンガ・アニメーションタッチの演出が強調されたシリーズとされている。

暴れん坊将軍IX 第19話「江戸壊滅の危機!すい星激突の恐怖」: 観測所雑記帳2023.3.24
 彗星の場面だけ見るとどこが時代劇なのか謎ですが、(中略)ちゃんと暴れん坊将軍でした。むしろよく話をまとめたものだと思います。1999年という初回放送は、前年に公開された映画「ディープインパクト」(地球衝突コースにのった彗星に立ち向かう)や「アルマゲドン」(地球衝突コースにのった小惑星に立ち向かう)の影響を受けたものでしょう。
 (ボーガス注:勿論メインの話はフィクションですが)意外にも史実の要素をふんだんに盛り込んでいます。
 吉宗は天文好きで江戸城内に天文台を設けて天体観測に取り組んでいましたし、西洋天文学を導入しての改暦も考えていました。ドラマ冒頭の吉宗の天体観測の場面や天文方への下問の場面、元になったネタがあるのです。また吉宗に献上されたと推定される望遠鏡も現存していて、神戸市立博物館が所蔵しています
 劇中で彗星の軌道を予測した西川如見も実在の人物で、1718(享保3)年に吉宗が江戸に招いています。如見の息子の西川正休は後に吉宗によって天文方に任じられています。

西川如見 - Wikipedia
 享保4年(1719年)に8代将軍徳川吉宗から天文に関する下問を受けた。暫く江戸に滞在し、長崎に帰った。
 息子の西川正休(忠次郎)は、ティコ・ブラーエなどの西洋天文学を初めて一般書として紹介した游子六の『天経或問』にさらに訓点をほどこして1730年に出版した。延享4年(1747年)、または宝暦年間の改暦(宝暦の改暦)の際(吉宗が没した1751年)に天文方に任命されている。
◆主な著作
両儀集説
 正徳2年(1712年)刊行。全8冊。天文学入門書。8巻に西洋天文学と中国天文学の比較がある。
両儀集説外記 天文義論
 正徳2年(1712年)著。全二冊。西洋天文学と中国天文学の比較評論に、自論を記している。

 「暴れん坊」のナレーションでも「如見の息子」が幕府天文方に任命されたことは簡単に触れられています。

*1:暴れん坊将軍」の略称

*2:第9シリーズ最終話の第38話「天下取りの野望! 吉宗VS宗春 涙の対決」で宗春本人(西岡徳馬)が登場し吉宗と対決します。

*3:井川香四郎名義で『飯盛り侍』(講談社文庫)を刊行。後に漫画化(アクションコミックス)されているが、漫画での名義は井川公彦

*4:1973年生まれ。テレビ東京超光戦士シャンゼリオン』(1996年)の南エリ役で知られる(東風平千香 - Wikipedia参照)

*5:と書いてありますが、本筋は暴れん坊将軍9暴れん坊将軍 「江戸壊滅の危機!すい星激突の恐怖」: 時代伝奇夢中道 主水血笑録も書くように「吉宗の失脚、宗春の将軍就任を狙った陰謀」です。

*6:と書いてありますが、本筋は暴れん坊将軍9暴れん坊将軍 「江戸壊滅の危機!すい星激突の恐怖」: 時代伝奇夢中道 主水血笑録も書くように「吉宗の失脚、宗春の将軍就任を狙った陰謀」です。厄除けろうそくも「火薬が仕込んであり江戸を混乱させること」が主目的です。

*7:第9話『疑惑の影 泣きぼくろの女』のこと