テレ朝・おはよう時代劇『暴れん坊将軍9』第37話「悪妻教育指南! ニセ将軍になった吉宗」(1999年放送の再放送)(2023年12月5日記載)

◆第37話「悪妻教育指南! ニセ将軍になった吉宗」(2023年12月5日再放送)
 以下の通り、記事を紹介しておきます。
18日の「暴れん坊将軍」(BS朝日)”ニセ将軍”ネタやるらしいよ - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-2021.6.18
ということでこの作品、「地上波(テレビ朝日)ではなくBS朝日」ですが、実はたった2年前の「2021年6月18日」に再放送されています(勿論この作品だけでなく「暴れん坊将軍9」全体が約2年前に放送されています)。「暴れん坊将軍」シリーズにおける「暴れん坊将軍9」の高い人気が窺えます。

番組詳細|テレビ朝日
 釣りに出かけた吉宗は、何よりも釣りと酒が好きだという人のよさそうな侍と知り合った。ところが、その侍と別れた直後、侍は覆面姿の男たちに襲われ*1、危ういところを気づいて駆けつけた吉宗に救われる。数日後、吉宗は先日の侍が岩村藩藩主・内藤直正(赤塚真人*2)だと知った。どうやら直正は家臣に襲われたらしい。さらに、岩村藩は藩主派と奥方・お美濃の方(西川峰子(現:仁支川峰子*3))派に分かれて内紛を起こしている事がわかった。そんな中、再び直正と出会った吉宗は

 この書きぶりでは「藩主襲撃の黒幕」は「奥方・お美濃の方」のように見えますが、実は奥方は「ツンデレ」キャラであり、「感情のすれ違いや意見の違い」はある(内紛と言うほどではなく襲撃も奥方とは関係ない)ものの、本心では夫である藩主を熱愛してるというハッピーエンドの落ちではあります。
 暴れん坊将軍9にあるように襲撃犯の黒幕は領地を併呑しようとする隣藩の老中であり最後に成敗されるのも老中。江戸家老も老中と内通して「老中の藩乗っ取りに加担しようとする裏切り者(獅子身中の虫)」であることが判明します。但し、今回は「直正夫婦のドタバタとそれに巻き込まれる吉宗(コメディ部分)」にかなりの時間が割かれ「老中の悪党ぶり」「江戸家老の裏切り行為」はそれほど詳しくは描かれません。

暴れん坊将軍9
 新さん(松平健)が夜釣りで知り合った太公望は小藩岩村藩の殿様・内藤志摩守直正(赤塚真人)、加賀前田家から迎えた気位の高い奥方(西川峰子)に辟易する彼に手を貸すことに。辰五郎プランで「ニセ吉宗」として奥方や加賀派*4家臣を諌めにいった行為は、隣藩(信濃国・福山藩*5)の老中・本多伊勢守(亀石征一郎)が(ボーガス注:岩村藩の)領地を併呑しようとする悪企みに利用されかかったり。
※志摩守に赤塚真人、気の弱い恐妻家を好演。老中は亀石征一郎*6、だんだん怖さを増す凶相が傑作、(ボーガス注:領地併呑目的で)志摩守夫妻を心中仕立てで殺そう*7とするが興奮のあまり「首を刎ねてしまえ」と喚いたり。そんな心中はないだろ。

ヤスオウの館−時代劇 幕府−
暴れん坊将軍:悪妻教育指南! ニセ将軍になった吉宗(99/09/16放送)
 ある小藩大名と、釣りを通してすっかり意気投合した、新さん & 長次郎。
 最初はお大名とは知らなかったものの、知ってからでもお節介な二人 + 辰五郎。
 大藩から輿入れしてきた女房殿に頭の上がらない、でも惚れきってるそのお大名の為に一肌も二肌も縫いで、夫婦円満に一役!
 (ボーガス注:暴れん坊将軍の設定では吉宗は独身なのに「直正夫婦を円満にとりもったのは俺の手柄」と冗談を飛ばす吉宗に)「おいおい、人のこと心配してる場合?」って思ってたらやっぱり最後は爺*8に(ボーガス注:「そんなことより早く結婚して欲しい」と)やりこめられて。
 そこで見て見ぬ振りする越前もまた面白いし、面白そうに吉宗と爺のやりとり見てるし。

 夜釣りで吉宗と知り合った直正は「徳田新之介」が「過去に拝謁した吉宗」と酷似であることに気づきますが、人のいい彼は「吉宗=徳田」と気づかず、「徳田=本物の吉宗」にも関わらず「徳田=ニセ吉宗」として奥方や加賀派家臣を諌めるという「徳田&辰五郎(北島三郎)」の計画にのることになります。
 さて、「ニセ吉宗計画」は後に岩村藩江戸家老・原田刑部(五十嵐義弘)に見破られ、原田から老中・本多伊勢守(亀石征一郎)やお美濃の方(西川峰子)に内通されますが、滑稽なのは誰も「ニセ吉宗(徳田新之介)=本物の吉宗」と気づかないこと(当然、最後のシーンで『ニセ吉宗』呼ばわりする老中・本多に対していつもの決め台詞『うつけ者め、余の顔を見忘れたか』も出てきます)。
 お美濃の方(西川峰子)は「ニセ吉宗計画」を知らされ、徳田に会いますが、「嘘つき」として徳田を糾弾するどころか「自分がそこまで夫を追い詰めてるとは知らなかった」「あなたには感謝している」「誰が何と言おうとあなたは私たち夫婦にとって吉宗公以外の何物でもない」「今後夫婦円満に努めていきます」として感謝の弁を述べ、実は奥方が「ツンデレ」キャラであり、「感情のすれ違いや意見の違い」はあるものの、本心では夫である藩主を熱愛してることが明かされます。
 最後に御庭番二人に成敗されるのは「隣藩の老中・本多伊勢守(亀石征一郎)」と「伊勢守と内通する獅子身中の虫である岩村藩江戸家老*9・原田刑部(五十嵐義弘)」。

虚実歴史・漢字論・ナツメロ
暴れん坊将軍9」第37話「悪妻教育指南! ニセ将軍になった吉宗」
 信濃国(長野)岩村藩藩主・内藤直正は架空の人物か。
 岩村藩は、信濃(長野)でなく美濃国岐阜県)の岩村城を拠点とする藩だったようで、吉宗の治世における藩主は松平乗賢*10

 なお、内藤氏が藩主の「信濃国岩村田藩と言う藩があるので「岩村田藩→ドラマの岩村藩」と見るべきでしょう。
 1万6千石なのでドラマでの「小藩」という設定にも合致します。
 吉宗将軍時代は内藤正敬(二代藩主)が藩主です。
 またドラマの藩主「内藤志摩守直正」という人物はいませんが、

内藤正直岩村田藩初代藩主・内藤正友の子、第2代藩主・内藤正敬の弟。兄の正敬が家督を相続した際、佐久郡1000石(岩村田知行所)を分知され、旗本寄合に列する)

内藤志摩守正興岩村田藩第4代藩主。第3代藩主内藤正弼の子、第2代藩主・内藤正敬の孫)

という人物はいます(岩村田藩 - Wikipedia参照)。

*1:黒幕は福山藩主の老中・本多伊勢守(亀石征一郎)であり、「直正暗殺→不祥事であるとして改易→老中職権を悪用し福山藩に統合」の企み

*2:1951年生まれ。1967年の東宝映画『でっかい太陽』の生徒役で本格デビュー。三枚目かつ善良な役が定番であり、『同胞』(1975年)、『男はつらいよ・寅次郎純情詩集』(1976年)、『幸福の黄色いハンカチ』(1977年)、『男はつらいよ・知床慕情』(1987年)、『男はつらいよ・寅次郎の青春』(1992年)、『たそがれ清兵衛』(2002年)、『隠し剣鬼の爪』(2004年)、『武士の一分』(2006年)、『母べえ』(2008年)といった山田洋次監督映画に多数出演。2002年には劇団TA2(2007年夏から「劇団裏長屋マンションズ」と改名)を旗揚げし東京の小劇場をベースに人情喜劇を上演し、座長として活動している(赤塚真人 - Wikipedia参照)

*3:1958年生まれ。1973年、『第3回全日本歌謡コンテスト』優勝をきっかけに芸能界入り。翌1974年、『あなたにあげる』で歌手デビュー。同デビュー曲はチャート1位になるなど、いきなり大ヒットとなり、一躍人気歌手となった。同曲で第2回FNS歌謡祭最優秀新人賞(1974年下期)、第5回日本歌謡大賞放送音楽新人賞、第16回日本レコード大賞新人賞など多数受賞。年末恒例のNHK紅白歌合戦には、初出場の1975年(第26回)から1978年(第29回)まで、4年連続で4回出場。その後、喉が潰れ声が思うように出なくなったこともあり、演歌歌手から女優に転向。1977年の映画『人間の証明』で女優デビュー(仁支川峰子 - Wikipedia参照)

*4:奥方と共に加賀藩から来た家臣の意味

*5:但し福山藩でググっても、「今の広島県福山市にあった福山藩」しか出てこないので架空の藩でしょう。

*6:1938~2021年。1959年に東映ニューフェイスの第6期に合格(同期には千葉真一(1939~2021年)、太地喜和子(1943~1992年)がいる)。東映入社後、1960年に映画『おれたちの真昼』でデビュー(1962年に東映の専属を離れる)。1970年代以降は徐々に悪役中心へと移行、テレビ朝日「必殺仕事人」シリーズ、フジテレビ「影の軍団」シリーズなど多くの時代劇に出演。千葉真一とは親友で、千葉が主宰するジャパンアクションクラブ (JAC) の重役を務め、千葉が主演(服部半蔵役)のフジテレビ時代劇『影の軍団IV』(1985年4~10月)、『影の軍団 幕末編』(1985年10~12月)では敵役・楯岡道雪を演じた(亀石征一郎 - Wikipedia参照)

*7:そしてその「ニセ心中」を理由に岩村藩を改易したあげく、老中職権を悪用し福山藩に統合するという計画

*8:側用人・有馬彦右衛門(名古屋章)のこと

*9:もともとはお美濃の方の出身である加賀藩藩士で、彼女の輿入れと共に岩村藩入りしたという設定

*10:奏者番若年寄、老中を歴任