テレ朝・おはよう時代劇『暴れん坊将軍9』第36話「悪徳商法をつぶせ!二人の父を持つ若女房」(1999年放送の再放送)(2023年12月4日記載)

◆第36話「悪徳商法をつぶせ!二人の父*1を持つ若女房*2(2023年12月4日再放送)
 以下の通り、記事を紹介しておきます。

番組詳細|テレビ朝日
 江戸の町に大店ばかりを狙った騙り商いが横行していた。手口は、上方の大店や諸藩の御用商人を名乗り、大量に買うと見せかけて商品を搬入させたあと(ボーガス注:金を支払わず)姿を消してしまうというもの*3で、忠相(田村亮)も必死の探索を続けていた。そんな中、辰五郎(北島三郎)の養女・おさよ(古柴香織)と銅細工師・文吉(山崎まさや*4)の夫婦が、辰五郎のもとへ相談にやってくる。(ボーガス注:安売り商売の)大店の主人・沢右衛門(小沢象)が文吉の細工物を法外な金で買ってくれたのだが、そんな事をされるいわれはなく気味が悪いと言い

 暴れん坊将軍9

悪のディスカウント店「安売り大将」のあるじに小沢象、こいつが捨てた娘を辰五郎が養育という情話もある

とあるように
1)「沢右衛門(小沢象)」が捨てた娘がおさよ(古柴香織)であり、悪党とは言え、娘がかわいい彼が罪滅ぼしとして「娘の夫・文吉(山崎まさや)」の商品を大量に高額購入したが「父の名乗りを上げること」はできなかった
2)なお、沢右衛門の過去は「盗賊の梅吉」なる人物(おさよの父)で、おさよの「育ての父」辰五郎(北島三郎)とは旧知の仲
 奉行所に追い詰められた梅吉は娘を捨てて逃亡→辰五郎が彼女を引き取って育てる
3)辰五郎は沢右衛門の正体(梅吉)に気づいていなかったが、沢右衛門の方は辰五郎のことを覚えていた。自らの正体がばれることを恐れた沢右衛門は口封じとして辰五郎を襲わせる。しかし、それでかえって「当初は沢右衛門の正体に気づいていなかった」辰五郎に正体を気づかれてしまいます。
 最後に御庭番に成敗される二人の悪党は勘定奉行・村上肥後守(柴田侊彦*5)と「取り込み詐欺一味の首領」久兵衛*6(大竹修造)。
 「悪党とは言え、娘のことを思いやり、『娘の夫の商品を大量購入』する設定*7」で予想の範囲内ですが、沢右衛門(梅吉)は今回は成敗されず、前非を悔いて「娘に父であること」を告げることなく喉を突いて自決します。
 なお、小沢氏は「暴れん坊将軍9」においてはテレ朝・おはよう時代劇『暴れん坊将軍9』第14話「どんどん好きになっていく!将軍に惚れた女」(1999年放送の再放送)(2023年11月2日記載) - bogus-simotukareのブログで紹介した第14話「どんどん好きになっていく!将軍に惚れた女」でも

暴れん坊将軍9
※注目は、小沢象演じる「女の父」材木商の甲州屋。お腹の子の父としてやってきた新さんに思いっきりエラソーにするし、普請奉行に賄賂使って談合してるあたりは(ボーガス注:悪役常連の小沢氏が演じる)いつも通りのワルなんだけど、娘の芝居に付き合ってくれた新さんが将軍と鋭く気付き恐れ入って改心→「南町(ボーガス注:奉行・大岡)」へ全てぶちまけにゆく道で暗殺。(ボーガス注:悪人だが娘には優しいとか、改心した結果、暗殺されるとか)こういう小沢象はかなり珍しいかも。

暴れん坊将軍9 #14 どんどん好きになっていく!将軍に惚れた女 | その日の暮らし
 新さんの正体を知るパパ、新さんを追いかけて悔い改めると、「南町奉行所に悪行をバラしに行きます!」と別れてすぐに(ボーガス注:普請奉行・黒崎勘解由によって)まさかの射殺。
 「黒崎勘解由、山吹色の黄金に巣食うその方の悪行に、幕が降りる時が来たな…。(ボーガス注:貴様が暗殺した)甲州屋と立花慶三郎が三途の川の入り口で待っておるぞ、冥土へ案内して貰うが良い」

と言う今回とよく似た設定(悪党だが実の娘には愛情があり、その結果改心するが、結局死亡)を演じています。

暴れん坊将軍9
第36話「悪徳商法をつぶせ!二人の父を持つ若女房」
 取り込み詐欺多発、思いきり怪しい安売り店は果たして騙し取ったブツを捌いていた。勘定奉行(村上肥後守(柴田侊彦))とグルの悪のディスカウント店「安売り大将」のあるじ(ボーガス注:角屋沢右衛門)に小沢象、こいつが捨てた娘を辰五郎が養育という情話もあるが、見せ場は騙りをハメる上様チーム総動員の、ターゲットの薬種問屋になりすましての大芝居。

【1】「薬種問屋になりすましてはめる」ですが問屋主人が側用人「有馬彦右衛門(名古屋章)」、番頭が「吉宗(松平健)」。
 かえって悪党連中から金を奪い取ってしまいます。
【2】勘定奉行(村上肥後守(柴田侊彦))の甥「村上政之介」として、放送当時(1999年)山崎まさやとお笑いコンビ「ジョーダンズ(1997~2007年)」を組んでいた三又忠久*8(ジョーダンズ当時の芸名(本名でもある):現在は三又又三に改名)が出演し、当時彼がやっていた「金八のモノマネ」でお茶らけています。
 ただし政之介は「おじの共犯」ではなく、おじの犯行(取り込み詐欺)を知らない「お人好し」だが「世間知らずのバカ殿」として描かれており、むしろ、村上家乗っ取りを企むおじによって暗殺されそうになります(勿論、吉宗らによって救われ、事なきを得ますが)。
 事件が全て終わった後、政之介についてはバカ殿だが「絵の才能」はあるとして、吉宗によって幕府御用絵師を統括する役職に任命されます。
 「最後に悪は必ず滅びる」などのお約束は勿論あり、「マンネリ」と言われがちな勧善懲悪時代劇ですが、今回のように「当時の人気お笑いコンビ」を出演者に入れるなどの試みもしているわけで話はそんなに単純でもない。

魔境夢御殿
 『暴れん坊将軍9』第36話「悪徳商法をつぶせ!二人の父を持つ若女房」。冒頭の役人を演じるのは俳優・山形透*9こと「この回の監督、村川透*10」である。
 続くシーン。後列真ん中の商人は(ボーガス注:2002年に死去した)遠山金次郎と思われる。1999年初放送だから最晩年の出演作。
 彼の事を福本清三先生は聞き書き本で「大部屋(ボーガス注:俳優)の神様」と紹介していた。東映京都の映画とテレビに半世紀近く出続けた文字通りのレジェンド。

*1:生みの父「角屋沢右衛門こと梅吉(小沢象)」と育ての父「辰五郎」(北島三郎)のこと

*2:おさよ(古柴香織)のこと

*3:いわゆる取り込み詐欺です

*4:1970年生まれ。1992年に三又忠久(1967年生まれ)とジョーダンズを結成。1997年からフジテレビ『ボキャブラ天国』にコンビ出演し人気を博すも、2007年2月に解散。解散後は山崎も三又もピン芸人として活動(山崎まさや - Wikipedia参照)

*5:1943年生まれ。劇団俳優座養成所第15期生。父が俳優の潮万太郎(1909~2000年)、姉が女優の弓恵子(1936年生まれ)、兄が元俳優の柴田昌宏(1940年生まれ、柴田昌宏 - Wikipediaによれば現在は俳優を引退し鍼灸師太極拳講師)という役者家族に育つ。声優としても活躍し、NHKが1975年~1982年に放送した海外ドラマ『大草原の小さな家』でマイケル・ランドンが演じた「インガルス一家の父」チャールズ・インガルスの吹き替えが特に知られる(柴田侊彦 - Wikipedia参照)

*6:角屋沢右衛門(小沢象)は首領ではない設定

*7:他にも「娘の登場」で弱気になり「もはや自分も年だし、詐欺商売も成功の見込みがついたので部下に全てを引き継いで引退したい」と述べ、勘定奉行・村上から「もはやワシとお前は一蓮托生、お前がこの商売から身を引くのはお前が死ぬときだ(ワシがお前を殺す)」と脅され前言撤回するシーンもあります。

*8:ドラマ『3年B組金八先生』で武田鉄矢演じる坂本金八の物真似で人気を博するが、2004年頃に髪型を「金八のような長髪」から坊主に変更(三又又三 - Wikipedia参照)

*9:村川氏は山形県村山市出身であり「山形」は出身地からの命名か?

*10:1937年生まれ。目撃者役、人質役、タクシー運転手役など監督作品へのカメオ出演が多いことで有名である。山形透の芸名を用い、出演者としてクレジットされることも多い(村川透 - Wikipedia参照)