新刊紹介:「経済」3月号

 「経済」3月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/

 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは3月号を読んでください)

■巻頭言「何か忘れていませんか」
(内容要約)
・消費税増税は避けられないかのような物言いをする菅直人仙谷由人氏らに対する批判。
 何故、法人税増税所得税累進課税の強化など、消費税以外の増税は議論の対象にすらならないのかという主張には同感。
 まあ、企業献金をもらっている以上、消費税増税しか言えないのだろうが。


■随想「判決のあとへの関心」(前野育三)
(内容要約)
・刑事事件は判決を出せば全てが解決するわけではない。加害者には更正してもらわなければならないが「判決を出す」=「更正する」ではない。また判決を出したからと言って、被害者の心の傷が癒えるわけでもないという話。


■世界と日本
【「オバマ政権の新雇用戦略:ウォールストリートからメインストリートへ」(合田寛)】
(内容要約)
オバマ政権の新雇用戦略が成功するかどうかは予断を許さない。ただし、政策立案に当たって、オバマが各地でJob Forum(公聴会みたいなもの?)を開催したことは民主主義の観点から評価できる。
 またオバマが「ウォールストリート(金融業界のこと)からメインストリート(一般庶民のこと)へ」をスローガンにしていることも興味深い。


【「欧州労組の「一〇春闘」」(宮前忠夫)】
(内容要約)
・欧州労組の幹部がマスコミインタビューに「我々は日本の失敗から学ばなければならない。日本は賃金水準が何年にも渡って下降を続けた」と言ったという部分が個人的にはつらかった。(要約になってなくてすみません)


■特集「アジアへの視点・日本の課題」
石川康宏さんに聞く「今日の東アジアをどう見るか」】
(内容要約)
・鳩山政権の東アジア共同体論はアジアの友好という観点で一定の評価が出来る。
・中国の経済外交、特にアフリカで展開している経済外交は世界政治に大きな影響を及ぼすだろう。注目していきたい。

(2/11追記)
石川氏のこの記事は、氏のホームページ上で全文が読めるので紹介。
http://walumono.typepad.jp/1/2010/02/%E4%BB%8A%E6%97%A5%E3%81%AE%E6%9D%B1%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%92%E3%81%A9%E3%81%86%E8%A6%8B%E3%82%8B%E3%81%8B.html

【経済リポート】
★韓国―失業と外需依存打開への課題(中村圭吾)
(内容要約)
・韓国経済は現在、プラス成長であり、経済危機をいち早く脱出したと言える。しかしいくつかの問題がある。
・問題1「雇用なき景気回復」:
 景気が回復したとは言え失業率は高止まりしたままである。
・問題2「貿易依存度が高い」:
 内需を拡大する必要があると言うこと。


★インド―経済成長の「光」と「影」(吉田敦)
(内容要約)
・インド経済の伸びは順調である(経済成長の「光」)。しかしその恩恵を受けるのは一部の人間に過ぎない。統計によれば、1日1ドル以下で生活する絶対貧困者数は、3億人も存在している(経済成長の「影」)。


■特集「『国のあり方』を考える」
【<討論>労働者派遣法の抜本改正・最賃引上げを(笹山尚人、井上久、小越洋之助)】
(内容要約)
・派遣法改正のポイントとしては「登録型派遣、製造業派遣の原則禁止」「派遣の(正社員との)均等待遇」「違法派遣の見なし雇用規定」「派遣先企業の団体交渉応諾義務」などがあげられる。
・派遣制限が失業を増やすという論には根拠がない。それに失業していないとは言え、生活が困難な低賃金ではまともな雇用と言えるのか。
・派遣制限は低賃金労働力を求める企業の海外流出を招くという議論にも根拠はない。そもそも、人件費で東南アジアと勝負することは事実上不可能である。
・現在の最低賃金はまともな生活をするには低すぎる。引き上げが必要。最低賃金を引き上げることで「内需拡大→景気回復」にもつながる。


【「地球環境と鉄鋼産業」(大場陽次)】
(内容要約)
・CO2削減には大量のCO2を排出する鉄鋼業界の自主努力がもっと必要である。


【「郵政民営化の見直し、問われる改革方向」(山下唯志)】
(内容要約)
・郵政見直しについて、郵便貯金簡易生命保険のユニバーサル・サービス義務付けの復活がなされるべきである。
・その際には現在の「分社体制」「株式会社形態」を「一社体制」「公社形態」に改めることが望ましいと日本共産党は考えている。


■特集「コンビニの社会経済学」
【「コンビニ会計の詐術・ロイヤリティ極大化のカラクリ」(関本秀治)】
(内容要約)
・コンビニで採用されている会計は通常の会計とは異なったものであるが、これはロイヤリティ算出においてきわめて本部に有利な会計(と言う事はオーナーに不利な会計)となっている(会計音痴なのでどのあたりが「本部に有利」なのかよく分からなかった)。
 違法とは言えないだろうが、正当性があるとは思えない。現状のコンビニ会計は改められるべきである。


【「米国のフランチャイズ法制と日本の課題」(長谷河亜希子)】
(内容要約)
・米国のフランチャイズ法制に比べ日本のフランチャイズ法制はないに等しい。特に本部のオーナーに対する「事前の情報開示規制」(きちんと事前に情報開示しろよという規制)が不十分である。
・米国のフランチャイズ法制はオーナーたちのロビー活動の成果である。日本でもオーナーたちの各種活動(裁判闘争、組合活動、政治家への働きかけなど)が活発になることを期待したい。


■「21世紀型金融恐慌と米国金融独占体(中)」(山脇友宏)
(内容要約)
・金融恐慌により、シティグループは大きなダメージを受けた。現在、シティグループは事実上、国の管理下にある。
バンク・オブ・アメリカは、生き残りをかけてメリルリンチ救済合併したが、メリルリンチの赤字は膨大で、共倒れになる恐れも否定できない。