「前衛」3月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/publish/teiki-zassi/zenei/zenei.html
以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは3月号を読んでください)
■小池晃「国民との共同広げ、情勢を切り開く―党大会、日本共産党の役割を語る」
(内容要約)
・筆者は参議院議員、日本共産党政策委員長。
・「政治とカネの問題」(小沢疑惑、鳩山疑惑)と言い、普天間基地問題(県外移設じゃなかったのかよ!。下地島とか何を寝ぼけたことを(以下略))と言い民主はヒドイ。しかし自民党は論外である。今こそ共産党の支持を広げよう、参院選で1議席でも増やそうではないか、云々という内容。
■垣内亮「財源問題から見る新政権の矛盾」
(内容要約)
・財源問題を解決するためには、「軍事費」と「大企業・大資産家優遇税制」という「2つの聖域」にメスを入れることが不可欠である。にも関わらずそれをせず、庶民増税(消費税増税、扶養控除廃止、たばこ税増税など)を企む民主党にも困ったものである。
■特集「問われる日本経済のあり方」
【山川大「雇用政策の転換は可能」】
(内容要約)
・新自由主義的な雇用政策は転換される必要があるし、それは(新政権にやる気、能力があるかという問題をひとまず置けば)実現可能と考える。ヨーロッパは日本よりもずっと、人に優しい雇用政策を実施しているのだから。人間らしい生活を保障することが、雇用政策の原点である。
【牧野富夫「財界の雇用戦略の矛盾・破綻と「新たな攻撃」」】
(内容要約)
・小泉構造改革のイデオローグの一人・八代尚宏は近著「労働市場改革の経済学」で構造改革は間違っていなかったと強弁しているので、それに対する批判。
・八代は著書の中で、「同一労働・同一賃金」を支持するとしているが、八代においてはそれは正社員叩き(正社員の賃金が高いから非正規が苦労している)とセットになっており、とても手放しで評価できない。平たく言えば、「安い賃金でみんな一緒」が八代の言う「同一労働・同一賃金」である(お前がまず助教の賃金で生活しろよ、八代!)。
【藤田宏「内部留保を活用し雇用の安定と賃上げを」】
(内容要約)
・大企業はかなりの内部留保をため込んでおり、それを労働者に還元すべきである(こう言うと内部留保全部は還元できないとか言う人が出てくるのだが、そんなことは共産も言ってはいない。還元する姿勢が全く見られないと批判しているのだ)。
・労働者の雇用を保障し、賃金を上げることによって長期的には「内需拡大→景気回復」で企業にとってもメリットと言える。
【岡崎祐司「社会保障の再生へ「構造改革」からの転換を」】
(内容要約)
・小泉構造改革によってヒドイ状態になった社会保障を今こそ立て直す必要がある。
・しかし保育所の規制緩和でも分かるように民主党政権は新自由主義から完全に離脱したわけではなく今後の監視が必要。
参考:
しんぶん赤旗「福祉施設・国基準を原則撤廃、地方分権計画を閣議決定」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-12-16/2009121601_03_1.html
■浅井春夫「子ども・家族の現実と子育て支援をめぐる諸課題―新政権の保育政策・子育て政策の問題点にもふれて」
(内容要約)
・新政権の保育政策・子育て政策について母子加算の復活が行われたことなどは一定の評価が出来る。
・しかし、保育所の規制緩和でも分かるように(以下略)。
・保育所待機児童をどう解消していくかは喫緊の課題である。
■《新シリーズ》安保改定50年―日本の異常をただす
【山根隆志「「グローバルな日米同盟」の特徴と展開」】
(内容要約)
・イラク派兵、アフガン派兵で分かるように今や日米同盟は日本防衛が目的ではない。日米同盟は解消されてしかるべきである。
・インド洋での給油支援が中止されたことなど民主党政権には一定の評価が出来る。
しかし、小沢幹事長がISAF参加論を過去に唱えたことから分かるように、民主党には自衛隊の海外での武力行使に積極的な政治家が明らかにいる。今後の監視が必要である。
【佐々木隆爾都立大学名誉教授に聞く「安保条約下の日米関係とはどういうものか(下)―新安保条約の成立と変容」】
(内容要約)
・岸内閣によって安保条約は改定されたが、それは安保闘争を引き起こし、岸も退陣に追い込まれた。結果として、日米両政府は憲法9条の明文改定といった強硬手段をあきらめざるを得なかった。
・ベトナム戦争の激化は沖縄の基地問題を深刻化させた。アメリカは基地を失わない形での沖縄の日本への返還を目指さざるを得なくなる。
・ソ連のアフガン侵攻を機に、日米両国はソ連の脅威への対応を唱え、軍事力を強化していく。
・冷戦の終了は日米同盟を平和的な物に変える好機であったが、アメリカが世界の警察官として振る舞い、日本をその副官として使おうとしたため、そうした方向には向かわなかった。
■論点
【日野徹子「労政審答申は派遣法改正の願いにこたえるのか」】
(内容要約)
・労政審答申には多くの抜け穴があり、手放しでは評価できない。例えば、均等待遇について「派遣先の労働者との均衡を考慮する」とただの努力義務である。
・政府は答申の抜け穴をふさいだ案を提出すべきである。もしそうしない場合、野党が穴をふさぐ努力を行うべし。
【松本秀典「国保組合の維持・発展は国の責任−建設国保の役割と社会的正統性」】
(内容要約)
・筆者は東京土建国民健康保険組合専務理事。
・最近発覚した建設国保の不正事件は関係者として慚愧に堪えない。制度面の改正などただすべきはただすべきである。
・しかし朝日新聞など、一部メディアの国保組合や国保制度をまるで不当な利権であるかのように、いたずらに敵視する報道には怒りを覚える。至当な批判は当然受けいれるべきだが不当な攻撃にはきちんと反論していくつもりである。
(朝日新聞記者様の方が大金持ちのくせに、特権呼ばわりですか。どこの在特会だよ、死ねばいいのに)
■文化の話題
【映画:ヨーゼフ・ボイス−よみがえる革命(武居利史)】
(内容要約)
・昨年10月から今年の1月まで水戸芸術館現代美術センター(http://www.arttowermito.or.jp/art/)で開催されていたドイツの現代芸術家ヨーゼフ・ボイス(1921〜1986年)の展覧会「BEUYS IN JAPAN−ボイスがいた8日間」の紹介(詳しくは、水戸芸術館現代美術センター「BEUYS IN JAPAN−ヨーゼフ・ボイス、よみがえる革命」(フィルム・アート社)参照)
・ボイスは「スーパーニッカ」(ニッカウヰスキー)のTVCM(キャッチコピー「私はおいしいウィスキーを知っています」)に出演したことがあるので、年配の方は「ああ、あのCMね」と分かるかも知れない。
参考:ボイスの出演CM(http://www.youtube.com/watch?v=APXhp0Ly5NE)
【映画:『アンダンテ〜稲の旋律〜』(伴毅)】
(内容要約)
・しんぶん赤旗に連載され、多喜二・百合子賞を受賞した旭爪あかねの小説「稲の旋律」(新日本出版社)の映画化の紹介。
・出演俳優をネトウヨの皆さんが共産党認定するのかと思うと今から楽しみだな(笑い)。
・主人公が人生に挫折した若い女性とか、農業がテーマとかジブリの「おもひでぽろぽろ」みたいとふと思った。
参考:
・映画『アンダンテ〜稲の旋律〜』公式ホームページ(http://andante.symphie.jp/)
・ウィキペディア「多喜二・百合子賞」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E5%96%9C%E4%BA%8C%E3%83%BB%E7%99%BE%E5%90%88%E5%AD%90%E8%B3%9E)
(追記)
(1)ググったら面白い感想文を見つけたので紹介。
「MWAVEのずらずらら日記:新妻聖子 & 紗綾 @ アンダンテ 〜稲の旋律〜」(http://d.hatena.ne.jp/MWAVE/20100124/andante)
アイドル映画なんですね、わかります。
松方弘樹さんが鯛を持って表れた時は爆笑しました。世界を釣るのかよ。笑いと言えば、新妻さん演じる主人公が「エリーゼのために」を弾いた際に、紗綾さんや筧利夫さん演じる登場人物が「エリーゼ美味しいよね!」って言っていたのが笑いました。この映画、ブルボンも協賛なんですよね。
いやあ、実に面白そうだな。冗談はともかく、前衛の紹介文は少し硬いんだよな。もう少し柔らかくても良いのに。
参考:
「ブルボン・エリーゼ」(http://www.bourbon.co.jp/catalog/item?category=17&item=17)
「ブルボン・エリーゼ北海道ミルク」(http://www.bourbon.co.jp/catalog/item?category=16&item=326)
(2)この映画をなぜか産経も紹介していることに気づいたので紹介。産経だからか「赤旗で連載されてたこと」には全く触れられてないが(笑い)
産経新聞「「アンダンテ〜稲の旋律」、新妻聖子が映画初出演」http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/091208/tnr0912080759004-n1.htm
産経新聞「【シネマ通信簿】アンダンテ〜稲の旋律」http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/100122/tnr1001220812004-n1.htm
ちなみに【シネマ通信簿】は「社会性5、癒やし4、感動3、ユーモア3」(数字は5段階の評価)とのこと。産経なのにずいぶん高評価だな(赤旗連載小説が原作だから叩くかと思ったのに)。
夕刊フジ「アノ女優が“アレまみれ”で「温かくて気持ちよかった」」 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/entertainment/stage/353882/
タイトルが釣り狙いで下品すぎ。さすが夕刊フジ。
【演劇:『出雲の阿国』と『どん底』(関きよし)】
(内容要約)
・劇団前進座の『出雲の阿国』(有吉佐和子原作)と俳優座の『どん底』(ゴーリキー原作)の紹介。
・ただし『どん底』は舞台をロシアではなく明治初期の日本に置き換えているとのこと。
・なお、『どん底』は既に終演してしまったが、『出雲の阿国』は場所によってはまだ見られるようだ。
参考:
劇団前進座『出雲の阿国』(http://www.zenshinza.com/stage_guide/okuni/2009okuni_index.htm)
俳優座創立65周年記念公演『どん底』(http://haiyuza.co.jp/info/donzoko.html#repeat)
■スポーツ最前線「労山創立50周年、権利としての登山めざして」(川嶋高志)
(内容要約)
・筆者は労山事務局長。
・日本勤労者山岳連盟(労山)の様々な取り組みの紹介。
参考:日本勤労者山岳連盟ホームページ(http://www.jwaf.jp/)
■メディア時評
【新聞:安保を賛美する全国紙の影響力(金光奎)】
(内容要約)
・全国紙5紙の安保改定50周年の社説を安保賛美と厳しく批判。沖縄の沖縄タイムス、琉球新報の社説とは大きな違いだと嘆く。改定安保の時のいわゆる7社共同宣言(朝日の笠信太郎が中心だったと言われる。要するに朝日は昔から左などではないのである。)をきちんと反省しないからこういう事になるのだと酷評。
・一応、ネトウヨから左呼ばわりされる朝日と毎日だけ一部紹介する。読売や日経、産経は紹介する必要はないだろう。朝日や毎日のどこが左なんだか?
朝日:
「在日米軍は日本の防衛だけでなく、アジア太平洋地域の安全に役立つ」
毎日(http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100119k0000m070114000c.html):
「日米同盟の基軸は軍事である」
「米国との同盟関係を(中略)発展させることは日本の国益に資する」
【テレビ:民主党政権下の放送行政の行方(沢木啓三)】
(内容要約)
・民主党の放送行政は自民党と変わらないと酷評。特に、「マスメディア集中排除原則」の緩和方針(地上デジタル化による地方局の負担の軽減が目的?)を「言論の多様性」の面から問題としている。
参考:
朝日新聞「マスメディア集中排除原則緩和へ、総務相「地方に配慮」」
http://www.asahi.com/national/update/0105/TKY201001050483.html
東京新聞「マスメディア出資緩和、地方局救済が狙い」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/trend/CK2010012602000080.html
・一方で原口総務相は「新聞と放送、様々なメディアを同一資本が一色で支配すること(「日テレ・読売」「TBS・毎日」「フジ・産経」「テレ朝・朝日」「テレ東・日経」でしたっけ?)は言論の多様性に問題がある」と言論の多様性を守るため、新聞と放送の株の持ち合い(クロスオーナーシップと言うらしい)を規制する考えがあるかのように述べている。筆者も指摘しているが、原口氏が何を考えているのかさっぱり分からないのだが?
参考:
日経新聞「新聞から放送局への出資規制議論へ、原口総務相が表明」
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20100119ATFS1900N19012010.html
■シリーズ「『韓国』併合百年と日本の進路」
【姜徳相「くりかえされた朝鮮の抵抗と日本軍の弾圧・虐殺」】
(内容要約)
・筆者は歴史学者。ググったら次の著書があることが分かったので紹介。
「朝鮮人学徒出陣」(岩波書店)、「朝鮮独立運動の群像―啓蒙運動から三・一運動へ」(青木書店)、「関東大震災・虐殺の記憶」(青丘文化社)、「呂運亨評伝1―朝鮮三・一独立運動」、「呂運亨評伝2―上海臨時政府」(新幹社)
・巧く要約できないので、一点だけ指摘。筆者の言うように、日本人と韓国人との間に韓国併合を巡って明らかに温度差があるのは否定できない。まずは真実を知ることだろう。
「韓国併合は当時の韓国民も望んだこと」とか嘘を垂れ流す産経みたいなメディアがあるから嫌なのだが。
■仁比聡平「青年のつどいで語る―働き方、核のない世界、日本共産党」
(内容要約)
・筆者は日本共産党参議院議員。
・昨年11月に福岡市で行われた青年のつどいでの話をまとめたものである。
・派遣切りに象徴される「ルールなき日本経済」、「核兵器廃絶問題」「米軍基地問題」などを中心に話はされている。