エヘン、とすこし胸を張って言えば、日本の決勝トーナメント進出は予想していた。周囲にも公言していた。とはいえサッカーに詳しいわけでもない。最近のサッカー界の「意外性」を感じ「苦戦」を予想する大方の見方に逆らってみただけである。
・サッカーに詳しくないのに、大方の見方に逆らいたいという理由だけで決勝トーナメント進出と言うのはただの「へそ曲がり」「あまのじゃく」と言います。日本チームにも失礼では?。全国紙の一面コラムでそんな物を自慢しないでください。
・大体、決勝トーナメント進出ってそんなに意外ですかね?。私も前回同様一勝も出来ずに敗退という予想も大会前にはあったのでサッカーに詳しくない(あまり興味もないし、試合もろくに見ていません)のに、カメルーン戦前は「苦戦」を予想する大方の見方同様、今回は決勝トーナメント進出は前回同様ダメかなと思っていました。練習試合でもあまり良い結果ではなかったようですし(岡田監督、どうも済みません)。
ただカメルーン戦以後はこれは何とかなるんじゃないかなと思いました。二位までに入ればよいわけですから、「一勝一敗一分け」(勿論、一敗はオランダです)に持ち込めば、得失点差で何とかなるんじゃないか、うまくいけば「二勝一敗」もありうるんじゃないかと(失礼ながらさすがに三戦全勝は無理だろうと思っていました)。「3−1」でデンマークに勝つとは正直、苦戦予想から思っていませんでしたが(勝つとしたら「2−1」や「1−0」)。
・ただし、id:pr3氏によればデンマーク戦の試合内容自体は敗北したオランダ戦の方が評価できる内容だそうです。点差だけ見ると日本の圧勝のようですが、日本が負けていてもおかしくない互角の試合だったとのこと。日本もレベルアップしたとは言え世界の強豪と比べたらまだまだと言うことでしょうか。
・しかし、岡田氏も幸運な人ですね。勝利自体は選手と岡田氏の力による物ですが、前任のオシム氏が病気に倒れなければ岡田氏の目はなかったわけですから。
恐らく日本を見下しているであろう相手に、まず守りを固め「こんなはずでは」と焦りを誘う。その心のスキをついて攻撃するという作戦のようだった。
サッカーに詳しくないので思いつきなのですが、「守りを固め」ているのは、単に不要な失点は避けるという安全第一主義なのでは?。「焦りを誘う」とか「心の隙」とか言うのは何が根拠なのでしょうか?
それにカメルーン、オランダはともかく崖っぷちのデンマークは「日本を見下して」などいなかったでしょう。
この姿から時代もスケールも全く違うが、日露戦争のときの日本を思い出す。当時、日本がロシアに勝てるなど、世界の誰も予想しなかった。しかし、日本のトップたちは冷静に相手を分析し、短期決戦なら勝てると判断、停戦の仕方まで考え開戦に踏み切ったのだ。
・平和なスポーツで昔の戦争などを思い出すのは産経だけでしょう。そもそもカメルーン戦勝利以後は決勝トーナメント進出は充分予想できることでした。
・なおロシアに勝ったと言っても、局地戦の勝利に過ぎないことには注意が必要です。革命運動の高揚でロシアは戦争継続が不可能になりますが、戦争を長期化されたら日本は困ったことになったでしょう。だからこそ日露戦争では賠償金を取れなかったのでしょう。
・ちなみに私の持っている、黒羽清隆「日米開戦・破局への道」(明石書店)によれば、日露戦争開戦前に明治天皇は最も信頼していた伊藤博文を呼び、「もしもこの戦争に負けたとき、お前は私と運命をともにしてくれるだろうな」と言ったそうです。やはり明治天皇も大国ロシア相手の戦争は不安だったのでしょう。
(なお、何故「日米開戦」の本でそう言うことが書かれているかというと黒羽本によると日米開戦の時の昭和天皇も、最も信頼していた近衛文麿を呼び「もしもこの戦争に負けたとき、お前は私と運命をともにしてくれるだろうな」と言ったからだそうです。残念ながら、近衛は服毒自殺し、天皇との約束を破ってしまいますが)
・なお、日露戦争時の首相は桂太郎、日米開戦時の首相は東条英機ですが、彼らには伊藤や近衛と違ってここまであけすけに物を言うことはできなかったのでしょう。
国民も厳しい戦いであることを承知で協力を惜しまなかった。
協力と言うより応援ですけどね。サッカーの試合に国民がどう協力するんでしょうか?(苦笑)
【追記】
「本日の産経SHOWと阿久根政界NOW:金髪狼」(http://d.hatena.ne.jp/slapnuts2004/20100626/p1)を読んでいてふと気づいたのだがこの協力とはサッカーではなく、日露戦争のことだろうか?。だとしたら上の私のコメントは外してるな。
改めて突っ込み直すと、当時の日本ではマスコミも政府も戦争世論を煽っていたので勇気と知性のある人でなければ戦争反対とはとても言えないだろう。
また上で紹介したエントリも突っ込んでいるが、協力したのは「実入りがある」と思ったからで、ロシアから賠償金が取れないと分かると、日比谷焼打事件と言う暴動が起こっているのだが?(桂内閣が事件後に総辞職してるのもおそらく国民の反発をかわすためでしょう)
今、参院選の最中でもあり、サッカーにばかり関心をあおると叱られそうだ。
既に叱っている人がいますね。
「五十嵐仁の転成仁語:6月25日(金)サッカーW杯での決勝進出はめでたいけれどニュース・ジャックは許せない」
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2010-06-25
だが彼らが日本人の美徳のようなものを思い出させてくれるとすれば、その功績や大というものである。
彼らが立派な日本人であることは事実かも知れません*1が、無理矢理、愛国主義に結びつけないで欲しい物です。
大体、「日本人の美徳のような物」を思い出させてくれるほのぼのニュースは他にいくらでもありますし。
*1:なぜ「知れません」と書いたかというと優れたスポーツ選手だからと言って人格まで優れているとは残念ながら限らないと思うからです。最近の大相撲スキャンダルはその良い例でしょう。