新刊紹介:「前衛」7月号

「前衛」7月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/publish/teiki-zassi/zenei/zenei.html

 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは7月号を読んでください)

■特集「大震災・原発災害:生活基盤の回復・復興へ」
【「希望の光」を見いだすために:救援・復興と日本共産党の役割(太田善作)】
(内容要約)
「復興への希望がもてる施策、原発からの撤退をもとめる・大震災・原発災害にあたっての提言(第2次)」(http://www.jcp.or.jp/seisaku/2011/20110517_daishinsai_genpatsu.html)など日本共産党の取り組みの紹介。

【震災復興財源と消費税問題(垣内亮)*1
(内容要約)
・復興財源に逆進性が高く、消費意欲を冷やす消費税増税を計画するなど論外。政党助成金思いやり予算など「真の無駄遣い」のカットと、所得税法人税累進課税強化で対応すべきである(筆者によれば、日経新聞にすら「消費税増税はやめた方がいい」「東西ドイツ統合時の連帯税(所得税法人税の税率を暫定で上乗せする)のようなものはどうか」という記事が載ったという)。それでも足りない部分については「震災復興債(仮称)」の発行の検討も考えられる。

参考
赤旗
「どうする震災復興財源・日本共産党はこう考えます」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-06/2011040601_02_1.html
「復興財源・消費税頼みやめよ、衆院委 佐々木議員が追及」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-20/2011042002_04_1.html
政党助成金 なぜ返上しない、「復興財源に回せ」の声よそに:共産党は一貫して受け取り拒否」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-21/2011042101_02_1.html
「震災復興財源・大企業などの内部留保で、4.7%で15兆円生まれる」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-29/2011042905_01_1.html

【住まいの確保・改善は緊急課題(高瀬康正)】
(内容要約)
・避難所生活の改善と仮設住宅の供給が急務。
・生活再建にあたっては、被災者の声を吸い上げることが重要。上からの押し付けは論外である。

東日本大震災から地域経済をいかに再生するか(藤田安一)】
(内容要約)
・震災で被害を受けた産業への政府の支援が大切。もはや「市場原理主義」ではやっていけないことを今回の震災は明らかにした。

■「そもそもからわかる原発問題13問13答:原発のしくみから福島原発事故の原因、地震津波対策、原発なしのエネルギー政策の現実性まで、原発問題の理解がすすむ」(前田利夫*2
(内容要約)
Q1)原発の仕組みと福島原発事故の原因は?
A1)火力発電では石炭、石油、天然ガスを燃やし発生した熱で水を沸かして水蒸気を作り出しタービンを回して発電する。原発も原理は火力と同じだが、燃やすものがウランというのが違いである。
 今回の事故原因は、原子炉の熱を冷やすシステムが地震によって故障し、機能しなくなったことが原因である。


Q2)原発事故レベル7とは?
A2)IAEAが策定した事故の尺度は「0から7」まであり、今回の事故は最大の7という深刻な事故だったということである。


Q3)事故はどうすれば収束するのか?
A3)原子炉の冷却システムを復旧することが急務。それが実現しても、放射能汚染の処理問題、廃炉問題が残っている。


Q4)原発は技術的に未完成というのは?
A4)「今回のような事故をゼロにすることは不可能であり、かつ発生した場合、放射能汚染をゼロにすること(すぐに元通りに戻すこと)も不可能」「放射性廃棄物の処理方法も未確立」という意味である。


Q5)放射性廃棄物はどう処理されるのか?
A5)地下に埋める予定だが、地震で地下水汚染されるなどの危険性があり、反対運動も強いため全く処理の見通しは立っていない。


Q6)原発地震津波対策はどうなっていたのか?
A6)我らが吉井英勝同志*3など、きちんとした対策を求める声は以前からあり、対策していますと関係者(政府、東電)も言っていたのだが、ろくな対策をしていないことが今回の事故で明らかになった。なお、現在、地震の危険性がもっとも危惧されているのは浜岡原発であり、早急な廃炉が必要であろう。


Q7)原発の安全性に責任を持つ政府機関は?
A7)原子力安全・保安院である。保安院経産省の下部組織であり、規制の中立性・信頼性を守るため早急に、原発推進官庁「経産省」から独立した組織にすべきである。


Q8)誰が原発を推進してきたのか?
A8)政(原子力族議員)・官(科技庁(現・文科省)と経産省原子力官僚)・財(電力会社と、東芝などの原子炉メーカー)・学(原子力技術者)・労(電力企業や原子炉メーカーの労組)のいわゆる原子力村であり、原子力推進にはアメリカのバックアップもあった。菅政権は今回の事故が起きるまで、原発推進の立場であったし、菅政権が態度を若干改めた今でも、いまだに「原子力族議員」が「安全な地下原発」運動で暗躍していることに注意が必要だ。

参考
vanacoralの日記「小沢一派は「地下原発」を推進します」
http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20110610
 社民、共産以外はほぼ全政党から参加というのも恐ろしい話だ。

社団法人・日本原子力産業協会
http://www.jaif.or.jp/
 財界系の原発推進団体。平成23年4月現在、会長が今井敬氏(日本経団連名誉会長、元新日本製鉄社長)。ほかにも東芝、日立、三菱重工などそうそうたる大企業重役が役員を務めている。


Q9)原発安全神話とは?
A9)「日本の科学技術力のすごさはスリーマイル事故やチェルノブイリ事故を起こした国(アメリカや旧ソ連)とは違うのだよ」、「日本が原発を一番上手く扱えるんだ」(ガンダム風に言ってみよう)という話。
今回の事故で「嘘じゃねえか!」という話になってるわけだが。


Q10)原発地球温暖化防止に役立つの?
A10)その主張には専門家から疑問が呈されてるし、たとえCO2削減に本当に効果があるとしても、放射性廃棄物を発生させるような技術は推進すべきではないだろう。それに原発以外にもCO2を発生させない(あるいは発生が少ない)発電技術(地熱、風力、太陽光など)は存在する。


Q11)原発なしで電力供給は大丈夫か?
A11)そんなことをぐだぐだ言ってるより「原発なしで電力供給するシナリオを早急に描くべき」である。事故の危険性を考えたら、原発は現実的な選択肢ではもはやない。「原発なしの電力供給」は困難であっても中長期的には不可能なこととはいえないだろう。


Q12)原発から発生する放射性物質にはどんなものがある?
Q13)放射線の健康への影響は?
うまくまとまらないので省略させていただきました(Q13については「最悪死亡する」ぐらいのことしか書いてないし)。


■「大連立ジレンマのなかの菅政権の迷走:3・11後の国民的対決点」(二宮厚美*4
(内容要約)
・菅政権は参院のねじれに苦しめられており、その彼らが当初狙っていたことが震災を口実にした政治休戦(大連立)であった。
 しかし、菅をトップの大連立は自公や財界の認めるところではなく、ポスト菅を擁立しての大連立を民主党執行部はねらっている。大連立の目的は消費税増税であり、我々は大連立を許さない世論形成を早急に行う必要がある。
 ただし「ポスト菅に誰を立てるか」「自公にどの閣僚ポストを当てるか」などの意見の違いがあるし、大連立が国民の批判を受けることはほぼ確実なので大連立の実行はそれほど楽ではないだろうが。

参考
日刊ゲンダイ「野田/鹿野/小沢鋭/樽床/川端 ポスト菅 不毛抗争のバカらしさ」
http://gendai.net/articles/view/syakai/130952
 不毛という指摘自体は同感。ゲンダイにそれを言う資格があるかはともかく。

 
■「日本の政治に混迷と堕落をもたらした「政治改革」・【第二部】:現実政治で破綻が明らかとなった「21世紀臨調型改革論」」(小松公生)
(内容要約)
小選挙区制の導入は「少数意見の切り捨て」と「多数与党の横暴」しかもたらさなかった。導入理由「クリーンな政治の実現」が嘘であったことは、制度導入後の疑惑事件(村上正邦・元労相、小山孝雄が断罪されたKSD事件、新井将敬が自殺に追い込まれた証券疑惑、鈴木宗男のムネオ疑惑、松岡利勝農水相*5が自殺に追い込まれ安倍政権の支持率低下の原因にもなった事務所費疑惑、緑資源機構疑惑など)、特に制度導入の中心人物・小沢一郎西松建設疑惑で明白だ。
 小沢は民主党代表時代、福田内閣との大連立計画という筋の通らないことに手を染め「健全な二大政党による政権交代の実現」も嘘であることを見事に証明してくれた(毒)。今、話題になってる菅一派の大連立計画にも小沢一派は乗れるものなら乗っかる気満々のようだ。

参考
舛添要一「政治家の質を劣化させた小選挙区制を廃止せよ」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/535
言ってることはおおむね正論としながらも筆者は「小選挙区制の特徴を悪用した小泉郵政選挙を支持したくせに」「今は新党改革というミニ政党の党首だからだろ」と冷笑している。


■「TPPにかけるアメリカの投資自由化のねらい:TPP交渉参加をめぐりオバマ政権が陥った深刻な矛盾」(高田太久吉*6
(内容要約)
 オバマ政権はTPP実現をめざしアメリカ財界もそれを歓迎しているが、成功するかは不明である。
 アメリカ国内にも「アメリカ農業が破壊される(農家)」「労働者の権利が侵害されるのではないか(労組)」等、危惧の声が強いからである。またオバマ支持者の多くはTPPには批判的であるが、議会の多数を占める共和党はTPPに積極的という政治状況は、TPP問題で打つ手を間違えると、レイムダック化の一原因になりかねない(積極推進すれば支持者が離反しかねず、推進しなければ議会との対立が深まる)という意味でオバマにとって「深刻な矛盾」である。

■「この教科書で学んだらどんな子どもが育つのか:自由社育鵬社の歴史・公民教科書批判」(渡辺賢二*7
■「新教育基本法下の歴史教科書問題:「日本人の誇り」を記述する陥穽について」(佐藤広美*8
(内容会)
・どちらも「つくる会八木グループ(育鵬社)」「つくる会藤岡グループ(自由社)」のウヨ歴史・公民教科書への批判。
 歴史教科書では「神話万歳(はてなーに話題の「今上天皇は125代」はウヨ教科書の宣伝絡みらしい)」「天皇万歳」「植民地支配・侵略戦争正当化」「戦争犯罪矮小化」(例えば大江・岩波訴訟の仕掛け人の一人は藤岡であることを思いだそう)。
 公民教科書では「改憲万歳(現行憲法の価値の矮小化)」ということのようだ。
 こう言うのを問題にしないで、朝鮮学校教科書を非難するとはお前の脳みそは腐っているのか、id:noharra

■「『不破哲三 時代の証言』を読む:揺るぎない革命的人生と日本共産党の現代史」(山口富男
(内容要約)
読売新聞に連載された「時代の証言*9不破哲三」をまとめた「不破哲三・時代の証言」(中央公論新社)の紹介。内容的には「私の戦後60年」(新潮社)など過去の回想録とかなりダブるようだが、不破氏の回想録を持ってないが、不破氏に興味のある方はこの機会に買ってもいいかもしれない。

■「終わらぬ「戦後」―平和遺族会の25年と遺族行政」(柿田睦夫*10
(内容要約)
・平和遺族会は今年で結成25周年を迎える。平和遺族会結成のきっかけは中曽根首相の靖国公式参拝であった。中曽根の参拝を日本遺族会が問題視するどころか、応援していること。日本遺族会が事実上自民党の別動部隊と化していること(現会長・古賀誠自民党衆院議員。古賀は父親が戦没している遺族*11だが、歴代会長には父親(元厚生大臣橋本龍伍)が戦没していないのに厚生族議員ということで会長になった橋本龍太郎(元厚生大臣・首相)など遺族代表と呼ぶのが妥当か疑問な者もいる)。これらに疑問を持った遺族によって平和遺族会は結成された。
 平和遺族会の25年は「日本遺族会が遺族のすべてではない」ことを訴える25年であり、一定の成果を上げてきたといえるだろう。

参考

http://blogs.yahoo.co.jp/biwalakesix/26316872.html
自民離れ!遺族会の行方!
★愛知県の地方都市。今春、市の遺族会連合会役員十数人が集まりました。
話題は米軍普天間基地のことに。一人が「二度と戦争しないはずなのに基地があること自体がおかしい」と発言しました。
副会長以下誰も異論を唱えない。そればかりか、「参院選挙も自民党を支持するのか」との質問に、幹部は「もうやらないから」
「遺族の本音は同じなんだな」。旧町単位にある支部支部長、安間慎さん(68)は、そんな思いで議論を聞いていました。

★私でいいのか
遺族会連合会の副会長が、安間さんに支部長就任を要請したのは1年余り前のこと。
教員時代は愛知高教組の支部長で、いまは「憲法9条戦没者の遺言」と位置つける県平和遺族会の役員でもある安間さん。
「私でいいんですか」。副会長はすべて承知の上でした。
少し前までは考えられないことでした。遺族行政の窓口を握り、自民党と一体で活動してきた日本遺族会。今でも支部の会計に「自民党費」を計上するところも少なくありません。それが平和遺族会員に役員就任を求める。安間さんだけでなく、各地でそんな状況になっています。

★父を知らない奥さんの妙子さん
安間さんの奥さんの妙子さんは,父をしりません。
父の乗った「伊361号潜水艦」が山口県光市を出港し、サイパン沖で撃沈されたのは45年5月。妙子さんは、生後4カ月でした。
小学校入学時、母は父の軍服を仕立て直したスカートをはかせ、父の遺書を読んで聞かせました。
そんな妻の「父探しの旅」を支え励ましてきた慎さん。「軍歴を調べれば、どんな戦争でどんな死に方だったかがわかり、戦争に対する認識も深まる」。

★遺族同士、どう手を結んでいくのか。二つの遺族会役員を兼ねる安間さんは、いまそれを考えています。
しんぶん赤旗8月20日号14面「『遺族』運動のいま」より。

■論点
【国策による原発推進教育の構図(藤森毅*12
(内容要約)
はてなー大絶賛「わくわく原子力ランド」*13原子力ポスターコンクール」などへの批判。
子どもに「原子力は安全」って洗脳してるんじゃねえよと言う話。こう言うのを問題にしないで朝鮮学校がどうとか言うのはやはり在日への嫌がらせですか、id:noharra先生。

参考
俺の邪悪なメモ
原子力ポスターコンクール、その狂気の世界」
http://d.hatena.ne.jp/tsumiyama/20101129/p1
ティーンエイジのためのエネルギー情報誌『ドリーマー』のイラストコーナーがスゴい」
http://d.hatena.ne.jp/tsumiyama/20110419/p1

 福島原発事故前からポスターコンクールに目をつけているとはさすが罪山同志。いつもブクマ数の数がすごいだけのことはある。


【米軍犯罪 飲酒運転も公務中の欺瞞(前田政明)】
(内容要約)
「何でもかんでも公務認定して、一次裁判権日米地位協定で米軍にあると言って逃げてるんじゃねえよ、アメリカ。飲酒運転での死亡事故のどこが公務だ。基地の行事で飲んだからってそんなふざけた言い分が通ると思ってるのか」「日本政府(なお、この事件が起こったのは菅内閣)も追及しろよ、アメリカにびびってんじゃねえぞ、こら」「地位協定は改定すべきじゃねえのか」「そもそも自衛隊があるんだから米軍基地いらねえよ」と言う話。

参考

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-05-02/2011050202_01_1.html
赤旗論説
「米兵犯罪・国民に犠牲強いる「公務」とは」
 沖縄の米空軍基地や山口県岩国基地の米軍属が交通事故で日本人を死亡させたにもかかわらず、日本の検察が不起訴処分としたことに怒りが広がっています。
 検察が米軍属を不起訴処分にしたのは、米軍から「公務証明書」が送られてきたからだというのが日本政府の説明です。交通事故で日本人を死亡させた罪は重大です。日本の手で裁くのが当然です。米兵であれ軍属であれ、米軍が「公務中」とさえいえば、うのみにし、不起訴処分とするのでは、日本は主権国家といえません。
■米軍の勝手な運用
 沖縄ではことし1月沖縄市で、米空軍基地の軍属が運転する自動車が対向車線に進入し、軽自動車に正面衝突して日本人青年を死亡させる事故がおきました。自動車運転過失致死罪であり法定刑が7年以下という重い罪です。
 にもかかわらず政府は、「職場から帰宅する途中」(法務省官房審議官)という説明で「公務中」と判断し、不起訴処分にしました。所要の裏づけ捜査をしたとはいいますが、被害者の母親は、10分前に基地をでたことを示すタイムカードで「公務が証明されたといえるのか」と怒っています。帰宅途中にどこかに立ち寄ったのではないか、事故のさい飲酒の検知を行っていなかったのではないかなどの疑問にもこたえていません。
 今回の事故対応でも、米軍がだした「公務証明書」を検察が検証し、反論する姿勢がみられませんでした。それは基地と自宅の往復や公の行事で飲酒した場合の運転でも「公務」と認めた1956年の日米密約に従っているからです。56年の密約は72年の法務省刑事局長の「マル秘」資料にも収録され、いまも日本政府の手をしばっています。「公務中」を理由に日本の刑事裁判権を放棄した米軍地位協定の抜本的見直し以前にも、こうした密約による理不尽な米軍特権を正すことが重要です。
 日本共産党赤嶺政賢衆院議員の追及もあって、公の行事での飲酒が「公務」だという米側の言い分について、外務省も「社会的通念に合わない」と認め、日米間協議を始めるまでになっています。帰宅途中の自動車運転を「公務」とする密約も政府は米側と協議し、早急に是正すべきです。
 米側が第1次裁判権をもちながらその処分がきわめて軽いのも大問題です。昨年9月日本人を死亡させた犯人の岩国基地の軍属は、裁判を受けることもなく懲戒処分ですまされ、わずか4カ月間運転が制限されただけです。それも通勤を除いてです。しかも日米合同委員会の合意で処分結果を日本側に知らせることになっているのに、正式に通報さえしていない事例が多いのは許せません。
地位協定の見直しを
 米軍属を不起訴処分にした政府に抗議の声が広がっています。沖縄県議会は日本政府への抗議の意見書と米軍への抗議決議をあげました。嘉手納空軍基地に隣接する沖縄市嘉手納町の議会も抗議決議をあげています。政府は沖縄県民の声にこたえ、「公務証明書」を免罪符にする米軍のやり方を直ちに改めることが不可欠です。
 沖縄県民の総意に反して名護市辺野古への新基地建設の企てをやめるとともに、政府は県民が切実に要求している米軍地位協定の抜本的見直しをめざすべきです。

■暮らしの焦点
【福島の子どもへの放射能被害を防ぐ措置を(宮本岳志)】
(内容要約)
 うまくまとまらないので宮本氏のHPから該当部分を紹介。

http://www.miyamoto-net.net/column2/diary/1303894341.html
■文科委員会中断、破綻した文科省の校庭の放射線安全基準
 私は今日の質疑で、4月19日に政府の原子力災害対策本部と文部科学省が示した「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方」について質問。ここで示された校庭使用制限の基準である「毎時3.8マイクロシーベルト」という値について議論しました。
 文部科学省は、この基準を国際放射線防御委員会(ICRP)が2007年の勧告や本年3月21日の声明で「非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベルの1から20ミリシーベルト/年の範囲で考えることも可能」としたことから、「年間積算被ばく線量20ミリシーベルト」と定め、そこから子どもが一日8時間屋外にいることを前提として「毎時3.8マイクロシーベルト」という基準を定め、原子力安全委員会の助言をえて決定したというのです。
 しかしICRPの勧告は「1から20」という幅を持っており、しかもこの値は大人も含む「一般公衆」の年間放射線量です。子どもにその最大値を適応することの是非がまず議論になりました。
 今回文部科学省が定めた「20ミリシーベルト/年」というものは、政府が4月22日に発表した「計画的避難区域」の基準線量であり、大人でも避難を呼びかけているような年間被ばく量を子どもに適用して良いのかということが議論になりました。
 そもそもICRPがいう「線量限度」というものは、「ここまで被ばくしてよい」という値ではありません。「これ以上は絶対に被ばくしてはいけない」という上限値なのです。
 かつて線量限度のことを「許容線量」と呼んでいた時期がありましたが、「許容線量」という用語は「ここまで被ばくしてもよい」という間違った考え方に陥りやすい響きを持っているので、「これ以上は絶対に被ばくしてはいけない」という上限値であることがわかるように「線量限度」という用語に変更した経緯があります。
 子どもは一般に放射線感受性が高い、つまり子どもは大人に比べて放射線の影響を受けやすいというのは、もはや常識であるにもかかわらず、ICRPの示した参考レベルの上限値、つまり「これ以上は絶対に被ばくしてはいけない」という線量限度を基準にしたのは大問題だと指摘しました。
 その上で、今回、その「3.8マイクロシーベルト以下」という基準さえ、まともに守られていないのです。4月19日の時点で、この基準を上回ったのは、4月14日の放射線調査結果をもとに13学校・園だと発表されました。
 ところがその4月14日時点の調査結果を見ていると極めて不審な点があるのです。例えばこの調査で「福島市立福島第三小学校」は高さ1m地点で3.6マイクロシーベルト/時、高さ50cm時点で3.9マイクロシーベルト/時で「屋外活動の制限」を受けています。
 ところが、その表の一つ上にある「福島市立福島第一中学校」は、1mで3.7マイクロシーベルト/時、50cmで4.1マイクロシーベルト/時と、いずれも第三小学校を上回っているにもかかわらず「屋外活動の制限」を受けていないのです。
 なぜかと問えば、小学生と中学生では身長差があるためだというのです。つまり中学生は背が高いので1m時点の値で決める、そこが3.8以下なら、高さ50cmのところで基準を大きく超える4.1マイクロシーベルト/時の放射線が検出されていてもお構いなしということです。
 「これ以上は絶対に被ばくしてはいけない」という線量限度を基準にしておきながら、こんなずさんなやり方は許されません。私の問いに、文科省の基準に了承を与えたはずの原子力安全委員会でさえ、「そのような話は聞いていない」と答弁したものですから委員会は紛糾。
 しかも文科省が空間線量ばかりを問題にして、土壌放射能を無視していることを取り上げ、たとえば半減期が30年と非常に長いセシウム137でも19の学校・園で土壌放射能が5000ベクレルを超えていることを示し、これをなぜ考慮しないのかと迫りました。
 高木文科大臣の答弁は、「土壌放射能の吸引による体内被曝の影響は軽微」などというもの。ところが、これも原子力安全委員会は「決して軽微とは考えていない」と答弁し、大臣は答弁不能に陥りました。結果として委員会は、たびたび中断。こと子どもたちの健康に関して、こんなでたらめは絶対に許されません。

http://www.miyamoto-net.net/column2/diary/1304694935.html
■日帰りで上京し、文科省から校庭の放射線基準問題のレクを受ける
 今日は(中略)連休明け13日にも質問が予定されていますので、日帰りで上京し、文部科学省から福島県内の学校の校庭などの利用についての暫定基準問題について、つっこんだレクチャーを受けました。
 前回の委員会で原子力安全委員会文部科学大臣の答弁がくい違い、大臣が答弁不能に陥って立ち往生。委員会質疑がストップした後、この問題での初のレクチャーですから、役所の人たちにとってもずいぶん緊張したレクのようでした。
 しかも、私の質問直後に小佐古敏荘内閣官房参与(東京大大学院教授)が、政府が福島県内の学校・園の利用基準を、被曝限度を20ミリシーベルト/年に設定したことを「とても許すことができない」と非難して辞任するという事件も発生し、いま政府はこの問題に非常にナイーブになっているようです。
 小佐古氏は、年間「1ミリシーベルト以下」という値も口にされたようですが、これはICRP(国際放射線防護委員会)が定める「平常時の基準」であり、私は決してこの主張まで含めて小佐古氏に同調するものではありません。
 その後、小佐古氏が飲料水などに関しては政府の定めた基準値の10倍である3000ベクレルまで引き上げることを主張していたという事実も明らかにされました。私はこのニュースを、「さもありなん」という思いで受けとめました。
 そもそも小佐古氏は2003年以降の原爆症認定集団訴訟では、国側の証人として出廷し、国の主張に沿った証言を行ってきた人であり、もともとは「原発推進派」の一員であったことは紛れもない事実です。
 そんな小佐古氏にさえ「学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と言わせるほど、現政権の原子力災害対策本部や文部科学省の対応がずさんであることの深刻さは目を覆うばかりです。
 しかし同時に、小佐古氏や、同じく「原子力村」の住人で、環境問題などで問題発言*14を繰り返してきた武田邦彦中部大教授などが、掌を返したように、非常に厳格な「平常時の基準」である「1マイクロシーベルト/時」を叫びはじめたことについては、私は違和感を覚えざるを得ません。
 自民党から出ていながら「自民党をぶっ壊せ!」と叫んだ首相や、自・公に推されて府知事になり、自民党の議員を集めて「維新の会」なるものを結成しておいて、これまでの府政を口を極めて攻撃して見せる知事というようなものを、さんざん見せつけられてきましたからねえ。こういう「構図」は用心するにこしたことはありません。

『非常に厳格な「平常時の基準」である「1マイクロシーベルト/時」を叫びはじめたことについては、私は違和感を覚えざるを得ません。』
 現実を考えたらそれは無理ダロという話。

『こういう「構図」は用心するにこしたことはありません。』
 異議無し。武田だの小佐古だの絶賛してる自称「反原発」「脱原発」は脳みそが足りなさすぎ。小泉首相や橋下府知事についても支持することによってメリットを受ける人は別だが「改革者っぽい」レベルの支持者はバカとしか言いようがない。

http://www.miyamoto-net.net/column2/diary/1305276035.html
■暫定基準、現場でまったく信用されず、仕切りなおせ!
 今日は衆議院文部科学委員会が開催され、連休前に引き続き、私は学校などの屋外活動制限の放射線基準値の見直しと表土の除去を求めました。
 まず、私が前回の委員会で中学校は地上1m、小学校は50cmを基準に空間放射線量を測定し、たとえ中学校で50cmの高さで放射線量が高い値をしめしていてもノーマークになっている問題をとりあげて追及したら、文科大臣と原子力安全委員会の答弁が食い違って委員会が紛糾した問題を取り上げました。
 「計測方法は文部科学省の判断」と逃げる文部科学省に対して、「文科省の判断というなら、運用を変えればすぐにでもできるはずだ」と指摘。測定位置にかかわらず基準を超えたら活動を制限するよう求めました。
 文科省の合田隆史科学技術・学術政策局長は「趣旨を踏まえ検討する」と答弁。今後の運用については見直す方向を打ち出しました。
 また、福島県の現場ではそもそも「暫定基準」がまったく信用されていないません。現在、福島県で継続的な放射線量のモニタリングを実施している学校は56ありますが現在では「毎時3.8マイクロシーベルト」という基準を上回り屋外活動が制限されている学校はわずか1校のみとなっています。
 文科省の基準にてらせば、残りの55校・園には何の制限もかかっていないはずですが、現在屋外活動を「制限していない」という学校はゼロ。全ての学校で屋外活動を制限している事実を明らかにすると委員会室にどよめきが漏れました。
 もはや文科省の「暫定的考え方」など何の意味もありません。基準にもなっていなければ指針にもなっていないのです。こんな、県民から相手にもされていないようなものにしがみついて何の意味があるかと追及。現場の意見もよく聞き、広く科学的知見を集めて、みんなに納得され守られる基準を決め直すべきだと迫りました。
 もはやボタンを掛け違えてしまっているのです。文科省が、かたくなになればなるほど、国民から疑念をもたれ、傷口が広がるばかりです。見直しを求める日弁連会長声明に続いて、昨日ついに日本医師会も見直しを求める見解を発表しました。
 このような態度は早晩続かなくなります。かたくなに見直しを拒否する高木文部科学大臣に対して「間違えたときには思い切って引き返す勇気を持つべきだ」と厳しく指摘しておきました。

http://www.miyamoto-net.net/column2/diary/1306928463.html
文科省の「1ミリ以下を目指す」の意味は?
 文部科学省が5月27日に発表した「福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について」という文書について質問。この文書では「今年度、学校における児童生徒等が受ける線量について当面、年間1mSv以下を目指す」と書かれています。
 これを受けて「やっと年間20ミリが1ミリ以下に引き下げられた」と歓迎する声もありますが、実はこれは決して従来の「20ミリ」を引き下げたものではありません。
 これまでの「暫定的考え方」では、「年間20mSv」というものは、児童・生徒の24時間全生活を365日、1年間分対象にして論じてきましたが、今度の「1ミリ以下」というものは、「学校にいる8時間だけ」、それも休みを除いた「年間200日間だけ」というものです。ですから全く別の話なのです。
 しかも、この「当面の対応について」が年間1mSv以下を目指すという「今年度、学校において」という言葉の意味することは、4月14日の授業開始日以降ということなのです。だって4月14日以前は、福島県の学校はすべて休校していたのですから…。
 実は文部科学省の試算によっても、子どもたちの放射線被ばくのピークは震災当日の3月11日から学校が開始された4月14日の間にあります。そして文科省自身、その間に子どもたちが被ばくした線量を2.56ミリシーベルトと積算しています。「年間20ミリ以下」という議論の時にはこれは入っていましたが、いまやこれはすっぽりと抜け落ちているのです。
 結論だけ言いましょう。かりに今回文科省が発表した「今年度、学校において」目指すとした「年間1mSv以下」にそって1mSvに引き下がったとしても、子どもたちは少なくとも年間9.32mSv被ばくすることになります。全然1ミリ以下などにはならないのです。今日の委員会質疑では高木文部科学大臣も基本的に私の指摘を認めました。

http://www.miyamoto-net.net/column2/diary/1308113641.html
■子どもの被ばく軽減問題の会議など
 昨日、日本共産党として原発問題での政策提言を発表したのに続いて、私が文部科学委員会で取り上げてきた学校等の校庭・園庭の放射能汚染問題をはじめとする子どもたちの被ばく軽減問題を党全体でも取り組んでいくことになり会議が持たれました。
 政府と文部科学省が示した子どもの年間被ばく量20ミリシーベルトなどというのは論外ですが、いかに子どもたちの被ばくを低減するかは今日もっとも重要な、そして喫緊の課題です。
 文科省のように「子どもたちが学校にいる8時間だけ、休みの日を除いた200日だけ」というような姑息な議論でなく、24時間365日トータルで、いかに子どもたちの被ばく低減をはかるのかを真剣に考え、ただちに取り組まなければなりません。そういうことをしっかり踏まえた提言をおこなえるよう議論を尽くすとともに作業を急ぐことになりました。

■文化の話題
【演劇:再演がつくる感動―青年劇場『族譜』(水村武)】
(内容要約)
青年劇場の『族譜』(原作・梶山季之創氏改名がテーマ)の紹介。

参考)
青年劇場『族譜』公式サイト
http://www.seinengekijo.co.jp/s/zokuhu/zokuhu.html

梶山季之」(ウィキペ参照)
■人物
 土木技師の父が朝鮮総督府に勤務していたため、朝鮮の京城で生まれた。
 敗戦後引き揚げ両親の郷里、広島県佐伯郡地御前村(現廿日市市)で育つ。広島二中(現広島観音高)を経て広島高等師範学校国語科に入学。在学中に同人誌『天邪鬼』を創刊、後に地元の同人誌を糾合し広島文学協会を設立、同人誌『広島文学』に参加するなど精力的に活動した。また「中国新聞」学芸部の金井利博と知り合い、広島ペンクラブの設立、運営にも加わった。『天邪鬼』に一文を寄せていた作家原民喜の自殺に衝撃を受け、金井とともに原を記念する詩碑の建立に奔走した。
 あらゆるジャンルの作品を手掛けたが、生涯のテーマは、朝鮮・移民・原爆とも言われ、日韓併合期の朝鮮を題材にした「族譜」「李朝残影」などの作品も残している。
■作家活動
 小説の分野としては、生地である朝鮮をテーマにしたもの、トップ屋としての視点と情報収集力を活かした企業小説、推理小説、風俗小説、時代小説などがある。在学中の1952年に『広島文学』に日韓併合による創氏改名を扱った「族譜」を発表、同年本作を収めた短編集で、友人の坂田稔との共著『買っちくんねえ』を自費出版、「族譜」は後に加筆されて1961年に『文学界』に発表される。1958年『新思潮』に終戦の日を描いた「性欲のある風景」を掲載、1963年には提岩里事件*15を取り上げた「李朝残影」を『別冊文藝春秋』に発表し、直木賞候補となる。朝鮮、内地に帰って育った広島の原爆、母の経験したハワイ移民という三つのテーマをライフワークとしようとしており、それらを一つにまとめた作品を書こうと、1974年に題を『積乱雲』として資料収集、取材を進めながら執筆を開始していた(注:梶山の死去により『積乱雲』は未完)。
 原爆に関わるテーマの作品としては、1970年「憑かれた女」、1971年「ケロイド心中」がある。「ケロイド心中」を『小説現代』に発表した時には、広島県原水協、同被団協、原爆文献を読む会などから、被爆者差別を助長するとの抗議が寄せられた。これに対して梶山は、被爆者の立場で、実話をモデルにして書いたというコメントを『中国新聞』に掲載。何度か抗議の手紙が届いたが、それ以上のことにはならなかった。1969年に原爆被災資料研究会から金井利博が『原爆被災資料総目録』を刊行していたのに梶山が資金援助をしていたことが、死後明かされた。

ネトウヨは梶山氏を確実に反日認定だな(苦笑)。梶山氏は1930年生まれだからまだ存命でもおかしくないのに45歳で死去ってのは当時でも早死にだな。

■メディア時評
【新聞:震災のもとでの憲法記念日(金光奎)】
(内容要約)
改憲を唱えるウヨの「産経、読売、日経」と、改憲は唱えないが(社内に改憲容認派がいるので)批判するわけでもない「朝日、毎日」と言ういつものパターンを批判する筆者。

【テレビ:政府の施策に正念場のメディア(沢木啓三)】
(内容要約)
総務省
東北地方太平洋沖地震による災害に係る情報提供に関する日本放送協会及び社団法人日本民間放送連盟に対する要請」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu07_01000018.html
東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する電気通信事業者関係団体に対する要請」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_01000023.html
への疑問表明。そもそもこうした要請は言論の自由の観点からいかがなものかと筆者はしている。

■スポーツ最前線
「「故障者リスト」にみるMLBの選手保護」(上田龍)
(内容要約)
日本もMLBを見習い「故障者リスト」制度(故障で欠場しても登録扱いが続き安易にトレードや戦力外通知など出来ない制度)を選手のために作ろうという話。

*1:日本共産党政策委員会所属、著書に『財政危機からどう脱出するか―国民本位の「財政再建十ヵ年計画」』(共著、新日本新書)

*2:元・赤旗科学部長。最近の著書に『いのちの起源への旅 137億年』(新日本出版社

*3:別に深い意味はない。今後おふざけで「氏」のかわりに「同志」を使おうかと思う

*4:神戸大学教授。最近の著書に『新自由主義か・新福祉国家か <民主党政権下の日本の行方> 』(共著、旬報社

*5:松岡の後任の赤城徳彦遠藤武彦も金の疑惑で辞任に追い込まれ安倍政権はボロボロになり農水相ポストは当時、恐怖のポストと呼ばれた

*6:中央大学名誉教授。最近の著書は『金融恐慌を読み解く』(新日本出版社

*7:最近の著書『近現代日本をどう学ぶか』(教育資料出版会)

*8:東京家政学院大学教授。最近の著書は『改定教育基本法どう読みどう向きあうか』(共著、かもがわブックレット)

*9:「時代の証言」は著名人の回顧コラム

*10:赤旗記者。最近の著書は『現代葬儀考』(新日本出版社

*11:つまり古賀は二世議員ではない叩き上げということでそこは評価できるように思う。筆者は会長が古賀になった理由の一つは、「遺族以外が会長でいいのか」という平和遺族会の批判とみている

*12:日本共産党文教委員会責任者、著書に『教育の新しい探究―今こそ「まともなルールを」』(新日本出版社

*13:ネーミングが酷すぎると思う

*14:温暖化CO2原因否定論とか

*15:日本が起こした朝鮮独立運動弾圧事件