今日のMSN産経ニュース(8/18分)(追記・訂正あり)

【土・日曜日に書く】政治部・阿比留瑠比 やはり河野談話は破棄すべし
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120819/plc12081903120001-n1.htm
 何が「やはり」なんだか。そんな事を本当にやったら日韓関係は最悪の状態になるだろうに。断交まで行きかねませんよ。

「もう村山談話河野談話に縛られることはない」安倍晋三元首相は今年5月の産経新聞のインタビューでこう述べている。/手前が首相時代に継承すると言った癖に無責任きわまりないな、下痢便

と言うブクマを既につけてますが他の所にも突っ込みます。

 韓国の李明博大統領が、慰安婦問題に関して「法的にはもう決着している」(野田佳彦首相)とする日本政府の立場に「誠意がない」として、挑発的で常軌を逸した言動をとり続けている。

 これについては以下の赤旗の批判を紹介しましょう。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-12-26/2011122602_03_1.html
 日本政府は65年の日韓基本条約で、請求権の問題は「解決済み」といっていますが、これは通用しません。そもそも条約交渉当時、「慰安婦」問題は俎上にのぼっていません。交渉の日本側責任者であった椎名悦三郎*1外相も、条約の成立後「両国の解釈が重大な点において違うというような場合」は「両国の当局者が協議をすることも起こりうる」(65年8月5日、衆院外務委員会)とのべています。「解決済み」だとして韓国側の要求を拒否するのは成り立ちません。

「本当に、相手にするのがいやになるよ…」
 政府高官はこう嘆く。

 幼稚園のガキじゃあるまいし、韓国を激怒させかねないこんなアホ発言する高官なんかいるんですかね。

河野談話は、事実判断ではなく政治判断だった」
 石原氏(注:当時の官房副長官)は19年には、民主党の会合*2でもこう正直に語っている。

 産経は平気で「文章ロンダリング」するので石原氏の発言が本当に阿比留氏の言うようなものか疑問ですが仮にそうだとしてだから何なんですかね。
 少なくとも、河野洋平*3氏(当時、官房長官)はそんな事言ってないわけです。
 うがった見方をすれば『「河野談話」に否定的な、産経に近い歴史認識の石原氏を無視して河野談話を出した河野氏を恨んで、石原氏があることないこと言ってる』という可能性だってあるわけです。普段は「一人の証言では信用できない」と言う産経がこの件では河野氏宮沢喜一*4氏(当時、首相、今は故人ですが俺の記憶が確かなら生前からこの種のインタビューなんか産経は宮沢氏にはしていません)など他の関係者を無視して「石原さんがこう言ってる!」と騒ぐ姿はみっともないですね。

百歩譲って、河野談話慰安婦問題が解決したのならば一定の評価もできよう。だが、実際は事態を複雑化して世界に誤解をまき散らし、問題をさらにこじらせ長引かせただけではないか。

 事態が悪化したのは「河野談話を出したから」じゃなくて「河野談話を出したのにそれをひっくり返そう、チャラにしようとする勢力が与党にいて騒いでたから」ですよ。安倍晋三*5とか。
 全く何バカなこと言ってるのか。河野談話撤回運動なんてそういうバカなことをウヨがすれば「河野談話だけじゃ信用できない、官房長官談話よりもっとレベルの高いもの(首相談話とか閣議決定とか)で」なんて声が出たとしても、より高い要求が韓国から日本相手に出たとしても当然でしょう。

そもそも、政治家は歴史家でもその道の専門家でもない。歴史問題を扱う際にはもっと謙虚・慎重であるべきだろう。

 だから歴史学者の意見を聞いた上で談話出したんだろうが。まともな歴史学者河野談話の認識を否定する奴がいるのか?
 訳のわからないこと言ってるんじゃねえよ。その道の専門家でもないのにデタラメなこと言ってるのは河野談話否定派の方だろ。

有権者は政治家に、個人の内面にかかわる歴史解釈を一任しようと思って投票するわけではない。

 じゃあ、河野談話の撤回だって、現時点ではすべきじゃないよな。国民は「河野談話の撤回をしてほしい」と思って投票した訳じゃないから。選挙で「撤回すべきと思いますが国民の皆さんどうでしょう」と信を問わないとな(毒)。そんなことが外交上できるともすべきとも思わないが。

河野談話見直しについては、安倍内閣時代に検討されたが実現しなかったのが記憶に新しい。

 うっそー。「見直し検討」なんて聞いたことないぜ。それ安倍が辞任してからの極右支持者(例:阿比留や島田洋一)相手の「後出しじゃんけん」「醜い言い訳」なんじゃないの?
 実現しなかったも何も、「日韓関係が確実に悪化するから」実現する気すらないだろ、安倍には。
 もちろん実現しなくていいんだけど。

「かつて自民党は歴代政府の政府答弁や法解釈などをずっと引きずってきたが、政権復帰したらそんなしがらみを捨てて再スタートできる。もう村山談話河野談話に縛られることもない」
 安倍晋三元首相は今年5月の産経新聞のインタビューでこう述べている。

 後で、安倍のインタビューにも突っ込みますがまずは阿比留の文章に突っ込む。
 ブクマもつけましたが改めて「バカも大概にしろ」と思う。
 この男は宮沢内閣が河野談話を出した後、細川、羽田内閣時に自民党が下野してると言うことをもう忘れてるんでしょうか?
 で、橋本内閣で政権に本格的に復帰する(村山内閣時に既に与党ですが首相が社会党出身なので外しました)わけですがこの男の理屈だとそのときに「(下野してから)政権復帰したらそんなしがらみを捨てて再スタートできる」といって過去の政府見解を全てチャラにできたわけですが誰もそんな事はしないわけです。当たり前ですが。大体、こんなことを言う安倍が、「まずあり得ない話だが、奇跡的に」首相や外相、官房長官という重要ポストに今後就いたとして「河野談話撤回」を主張するかと言ったらしないでしょう。安倍政権時代、そんなことはしなかったんですから。
 ちなみに話はずれますが後に村山談話をくそみそに罵倒する奴の中に村山内閣で役職に就いてる奴がいるのは呆れます。それは以下の人間ですけど。どれだけ恥知らずなんだか。


【村山改造内閣
平沼赳夫運輸大臣
古屋圭司(法務政務次官


 で最後に、阿比留が紹介する「今年5月の安倍インタビュー」(http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120511/stt12051121400007-n1.htm)に突っ込み。

私は石原さん(注:の尖閣購入)を断固支持しますよ。

 首相在任中は訪中して日中友好をアピールした男が、退任したら石原の中国への挑発行為を支持するというのだからその無責任、デタラメぶりには恐れ入ります。

ただ、やはり都ではなく国が責任を持って島を所有すべきでしょう。実は小泉純一郎内閣で官房副長官だった当時、官邸で尖閣諸島の購入を真剣に議論したんですよ。私は購入を主張したんだけど、紆余曲折の末、平成14年から国が賃借することになった。

 ヘタレの安倍が「私は購入を主張」ってホントかよって思いますけどね。安倍首相時代に「尖閣購入論」なんか唱えてないわけですから。
 それとも首相だと言えなくても官房副長官だと「俺の主張で問題が起こっても採用したのは小泉首相福田官房長官といった俺より上の人だから俺のせいじゃないモンね」と無責任発言が言えるのが安倍なんでしょうか?
 まあ、ホントだとしてもそんな暴論を支持するほど小泉元首相はバカじゃなかったということです。賃貸自体すべきか疑問ですけどね。

民主党政権にはもう任せておけない」と多くの方が思ってるけど、残念ながら自民党の信頼回復につながらず、むしろ「既存政党はみんなダメだ」という流れになっている。

自民党はダメだ、民主に任せてみよう」→「民主もダメだった、でも自民も全然変わってない」→「自民も民主もダメだ」って話ですよ。
何でそんな程度の事が安倍にはわからないのか。

もちろんわれわれに反省すべき点もある。政権維持に汲々とするあまり、理念の実現をおろそかにしていなかったか。一時期*6を除くと調整型政治を重んじ、大胆な政策を打ち出せなかった面もあるんじゃないか。

安倍の敗戦の反省は酷いですね、ホントに。
「政権維持に汲々とするあまり」「理念の実現」「大胆な政策」をしなかったら負けたって要するに「党内外のハト派におもねって右翼的な政策の推進をしなかったから負けた」って事でしょうからね。
安倍にとっての「理念」とか「大胆さ」ってそういうことでしょうから。
何でそう言うとんちんかんな認識ができるのか。

 自民党も下野してずいぶん歯がゆい思いをしてきたが、ムダではなかったと思ってるんですよ。
 例えば先日まとめた憲法改正草案は平成17年の新憲法草案*7よりはるかに良くなったでしょう。前文に「日本国は国民統合の象徴である天皇を戴く国家」と記し、国防軍も明記した。やはり与党時代は現行憲法に縛られ、あらかじめ変な抑制を効かせちゃうんだな…。

 安倍って本当に右翼的なことにしか興味関心がないんだな、と思います。まあ産経もそう言うことしか聞かないんでしょうが。

 次の総裁選ですか?まあ、私は自民党総裁として19年の参院選で大敗し、辞任により党に大きなダメージを与え、国民の皆さんにもご迷惑をかけてしまった。だからこそ地位には恋々とせず、先の衆院選で失った有為な人材を復活させ、日本を今の危機から救うことに力を尽くしたいと思っているんですよ。

「辞任により党に大きなダメージを与え」
これどういう意味なんですかね。「所信表明演説直後の辞任」と言う時期が最悪という意味なら同感です。まさか「あのとき辞めなきゃ良かった、続ければ巻き返せた」なんて意味ではないでしょうね?
「地位には恋々とせず」
まあ、地位云々以前に多くの「安倍のせいで迷惑被った人(例:落選した自民党議員)」は「首相時代にさんざん迷惑をかけた癖に、執行部でもないのにマスコミインタビューでてるんじゃねえよ、謹慎してろ」と思ってるでしょうね。
 いずれにせよ、こんなこと言ってても周り(山谷えり子とか稲田朋美とか安倍に近い面子)から「安倍出馬論」とか出れば平気で乗っかって総裁選に出るのが安倍でしょうが。

*1:内閣官房長官、池田内閣通産相などを歴任

*2:たぶん民主党内ウヨ有志によるウヨ的な会合なんでしょうね。党の公式な会議なんかじゃなくて

*3:村山、森内閣外相、衆院議長などを歴任

*4:鈴木内閣官房長官、竹下、小渕、森内閣蔵相などを歴任

*5:小泉内閣官房長官を経て首相

*6:岸、中曽根、小泉、安倍内閣と言ったところでしょうか?

*7:このとき安倍は官房長官です。