政治素人には「松原仁が大臣(国家公安委員長、拉致担当相)やめてよかった」以上、何とも判断のしようがない。今後、でるであろう様々な論評が頼りだ。
わかることとしては、
1)どういう判断基準か知らないが、留任閣僚(例:藤村官房長官、岡田行革相*1、玄葉外相、枝野経産相*2、森本防衛相など)が野田首相にとって大事*3で、退任閣僚(例:川端総務相*4、滝法相、平野文科相*5、小宮山厚労相など)はどうでもいいらしい
2)大幅改造なのでおそらく当面解散する気はない(もちろんその思惑が成功するかどうかは別)、といったところか。
河信基氏は
野田内閣改造の狙いは明確。来年夏の衆参同時選挙。
とツィートしてるが、来年夏の同日選かどうかはともかく当面解散はない(もちろん野党に追い込まれて解散はあり得るが)と俺も見る。
後で紹介する五十嵐氏は「選挙シフト」と見ているがいくら「挙党一致体制演出」云々と言っても改造即解散という無責任というか意味不明というかそういうことはさすがにやらないのではないか。だったら改造する必要が本来どこにもないだろう。
大幅改造してイメチェンして解散に打って出ると言う可能性もないではないが、今回の人事でそこまでのサプライズと言ったらせいぜい田中真紀子氏の入閣(文部科学相)ぐらいだろう。あとは、「イケメン」細野政務調査会長ぐらいか。
まあ、パフォーマンスでも真紀子氏が「小泉内閣外相時代のような伏魔殿(今回はもんじゅ原発官僚)に戦いを挑む勇者」を演じられれば支持率向上に多少は役立つかもしれないがどうなる事やら。改造後の支持率も判断ポイントだろうが解散に打って出られるほどの上昇はたぶんないだろう。戦前日本の「石油じり貧論」的考えで解散に打って出ても自滅するだけだし。
【追記】
1)大臣だけでなく、副大臣、政務官も大幅変更。変更理由はよくわからないが、解散する気がないらしいことはよくわかった。
2)映画「南京の真実」や「the facts」を支持する悪名高い「歴史修正主義極右」の一人・笠浩史が文科副大臣らしいと知り絶句。歴史認識問題で失言が出たらどうする気なのか。他にも俺が知ってるのでは農水政務官の鷲尾英一郎がその種の極右だ。他にもそういう奴がいるかもしれない。野ブタ総理も中国、韓国に対し、「日本の過去を反省している」というなら「政務三役から歴史捏造主義者は外して組閣する」ぐらいのことはしたらどうなのか?。いやまあ、野ブタはそういう人間だとは思ってはいたが。
3)政治学者の五十嵐仁氏の分析を紹介してみる。
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2012-10-01
10月1日(月) 野田第3次改造内閣の特徴はどのような点にあるか
野田第3次改造内閣が発足しました。副大臣や政務官などはまだですが、閣僚人事の骨格が明らかになりました。
野田さんは、これで支持の回復を図りたいところでしょうが、果たしてそうなるでしょうか。この内閣について、差し当たり、4つの特徴を指摘しておきましょう。
第1は、政策継続という点です。今回の改造で18人のうち10人という多数の閣僚が交代したにもかかわらず、この点ははっきりしています。
これまでの内閣を運営してきた閣僚の中心部分が変わっていないからです。内閣の要の藤村官房長官、税と社会保障の一体改革を推進してきた岡田副総理、尖閣諸島の問題を担当した玄葉外相、原発政策を所管する枝野経産相、オスプレイの沖縄配備や普天間の移設問題に関わってきた森本防衛相をはじめ、郡司農水相、羽田国土交通相、平野復興相は、いずれも留任しました。
ということは、これらの大臣が関わる政策も基本的に継続されるということです。この間拡大してきた国民の要求との乖離を政策転換によって是正し、縮小するという意思は、今回の改造によっても示されなかったということになります。
第2に、分裂回避のための改造であったという点です。これは党役員人事を含めた特徴だということになるでしょう。
とりわけ、幹事長人事を急ぎ、しぶる輿石さんを説得して続投させました。代表選が終わってすぐに野田首相がこのような行動を起こしたのは、国連総会に出席している間に新たな離党者が出ることを恐れたためだとされています。総選挙の先送りと党内融和を持論とする輿石さんの続投をはっきりさせ、若手に人気のある細野さんの(注:政務調査会長)起用を固めることで、挙党態勢に向けてのサインを送ったのでしょう。
閣僚人事では、民主党代表選を首相と争った原口元総務相、赤松元農林水産相、鹿野前農水相の陣営からの起用はなく、この点はそれほど明確ではありません。副大臣や政務官人事では若手や反主流グループからも登用することになるでしょうが、それが上手くいって離党の流れが収まるかどうかは今後の問題です。
第3に、論功行賞がはっきりとした人事だということです。このような特徴は代表選後の改造では通例のことで、今回もその例外ではありませんでした。
代表選でいち早く野田支持を表明した旧民社党グループの田中慶秋副代表を法相兼拉致担当相とし、もともと小沢さんに近かったにもかかわらず今回の選挙では早々と野田支持を打ち出した田中真紀子さんを文科相に起用しました。野田再選で功績のあった前原、樽床、城島などの党役員経験者はいずれも閣僚として入閣しています(注:前原→国家戦略担当相、樽床→総務相、城島→財務相)。
これは自民党の人事も似たようなものです。自分に近く、選挙に協力してくれた人をそれなりに処遇したいという欲求は、与野党共通のものだということでしょうか。
第4に、今回の改造だけの特徴として注目されるのは、選挙対策が意識されているということでしょう。この党執行部と内閣人事によって、野田さんは来るべき総選挙と参院選を乗り切ろうと考えているようです。
そのための人事として注目されるのは、政調会長に細野豪志環境相兼原発事故担当相、幹事長代行に安住淳財務相、国対委員長に山井和則国対副委員長を起用したことです。若くてイケメンと評判の細野さんを「選挙の顔」として活用したいということでしょう。
また、閣僚でも、知名度が高くて人気のある田中真紀子さんを文科相にしたのは、選挙での「人寄せパンダ」として活躍してもらおうという意図なのでしょう。その前に(注:過去にやらかした「おだぶつさん」などの)失言などで問題を起こす可能性も十分にあり、この起用が成功するかどうかは分かりませんが……。
ということで、「近いうち」に行われる可能性の高い総選挙に向けて、民主党は「戦闘態勢」を固めたということになります。対抗する自民党も、安倍総裁と石破幹事長を中心とした執行部を選出しました。
新しい執行部の下で、両者の綱引きが本格的に始まることになります。当面の攻防は、臨時国会の開催と総選挙の実施時期をめぐって展開されることになるでしょう。