今日のMSN産経ニュース(9/22分)(追記あり)

国防軍反対デモ 第10回の参加者は赤穂浪士並み
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130923/plc13092318000003-n1.htm
 所々産経らしい「何だかな」記述があるので突っ込み。なお、タイトルも何だかなあと思うが、タイトルから予想されるほどには「数の少なさ」を小馬鹿にしてるわけではない。

ケロロ軍曹』は朝日新聞の基準では“愛国エンタメ”にあたるのだろうか

いや当たらないだろ。別に日本軍絶賛してるわけじゃないし。いきなりケロロ軍曹がでるところといい、愛国エンタメとかとんちんかんを言うところといいさすが産経。本気なのか、「こういう文章を書かないと産経社員としてやっていけないから仕方なく書いてるのか」知らないが、何だかなあ。

ガールズ&パンツァーガルパン)』は、さすがに“愛国エンタメ”かなあ

ガルパンは見たことがないのでわからん(興味もないし)。つうか本題に関係ないこと書くなよ。

今回はデモ隊への潜入取材で堂々と車道を歩こうかとも考えたが、デモ隊に知り合いが参加しているかもしれないし(何しろ護憲派の方々にもインタビューを重ねているので)、心にもないことを叫ぶのも気が引けるので、歩道からおとなしく取材することにした。

いや取材に来たんだから、別にスローガン叫ばなくてもいいだろ。堂々と車道で取材すればいい。

ちなみにプリンセス*1の動向については『週刊新潮』が8月15・22日号などで報じているので、興味のある方はそちらもどうぞ。

「そちらもどうぞ」じゃねえよ。フジサンケイグループの雑誌ならまだしも何で産経紙面で週刊新潮の宣伝が始まるのやら。ま、どうせ週刊新潮じゃ難癖つけてるだけだろうから読まないけど。

ところで少しだけ自画自賛しておくと、産経新聞憲法論議の報道にあたって、護憲派の主張もかなり詳しく紹介している。紙面ではここ1年余り、毎月1回「金曜討論」コーナーにて憲法問題を取り上げているが、護憲派の論客にも多数、登場いただいた。テーマと質問は当方が用意しているものの、護憲派の主張を存分に展開してもらって紹介している。

・そんなの自慢する事じゃないだろ。同業他社だって両論併記だし。つうか「金曜討論コーナー」以外に両論併記なんて自画自賛するほどやってたっけ?

 読者からは「なぜこんな主張を無批判に垂れ流しているのか」といった厳しい声もいただくが、あくまでも立場の対立する識者の声を並べて紹介し、その当否の判断は読者に委ねる、というスタイルを堅持している。

 産経読者らしい右翼なご意見(笑い)。しかしまじめな話「その当否の判断は読者に委ねる、というスタイル」って金曜討論コーナーぐらいじゃないの?。コラム正論とかではさんざん護憲論を糞味噌に言ってると思うが?

たしかに、産経新聞の紙面でここまで紹介していいのか、という意見も中にはあり、記事にまとめる立場としても(会社がここまでの表現を認めてくれるだろうか…)と冷や汗もの

 護憲論を紹介するだけで「上が認めてくれるだろうか?」と冷や汗が出る会社ってのもどうかと思うぞ。

護憲の立場が色濃い朝日新聞などは、改憲派の声を紙面できちんと紹介しているのだろうか。他紙を読んでいると、憲法問題について読者に一方の情報を与えないような偏った紙面づくりにはなっていないだろうか…という気が、しないでもない。

産経さんがそういう偉そうな事言っちゃう?。産経の両論併記って金曜討論コーナーだけだろ、ぶっちゃけ。
コラム正論とか他は思い切り改憲派寄りに偏ってるじゃん。

米国の「空爆する」という脅しがなかったら、この展開はなかったはずだ。

いや、その脅しが「国内外の反対で実行できそうになかったこと」や、それもあって米国がロシア提案をのんだことを無視するのもどうかと思うぞ。

日本の周辺の国々を見渡しても、果たして「世界の流れは非暴力」というのは現実認識として正しいのだろうか。中国、韓国、北朝鮮といった国々がこぞって軍事費を削減しているとでもいうのであれば、その認識は正しいのかもしれないが、はて。

いやいや近隣諸国に日本とドンパチやろうなんて国はないでしょ。それはともかく「韓国」云々ってまさか産経は韓国まで仮想敵国扱いなのか?

軽々しく「国連憲章を守れ」と訴えていいのか、聞いているこちらが心配になってくる。国連憲章第42条では「軍事的措置」について定められているが、もし安全保障理事会の決定に基づいてシリアに空爆を加えるという状況になった場合、国防軍反対デモに参加している方々は果たしてこれを支持するのだろうか。

 この場合の「国連憲章を守れ=憲章違反行為(この場合だと安保理決議なしのシリア攻撃)をするな」ってのは「国連が決めたことは全て従う」って意味じゃないんだけどね。
 「国会ルールを無視するな」と言う主張に「国会が決めたことなら何でも従うのか」と言うレベルの詭弁だよな。

国防軍反対デモとしても「今の自衛隊の実力でも北朝鮮のミサイルは無力化できる。中国が仮に尖閣諸島に押し寄せても、島の守りは万全だ。法制度上も何ら問題ない。だから改憲なんて必要ない!」といった具合に主張したほうが説得力が増し、より沿道の聴衆に聞いてもらえるのではないか、と助言してみたくもなる。

「今の自衛隊の実力でも北朝鮮のミサイルは無力化*2できる。中国が仮に尖閣諸島に押し寄せても、島の守りは万全だ。法制度上も何ら問題ない。だから改憲なんて必要ない!」
 うん、その通りだね。ってさ、これ書いてることが全くの正論なんだけど産経さんは国防軍化に反対なのか?。デモ参加者への皮肉のつもりだとしたら全く皮肉になってないぞ。

徴兵制については「国防軍徴兵制反対」と書かれたプラカードもあった。なぜ国防軍=徴兵制となるのか、不可解だ。現実は、デモ隊の表現を借りるならば「世界の流れは志願制」なのである。だいたい今の日本で徴兵制などを導入しようものなら、自衛隊の規模が一気に現在の数倍に膨れあがって大変なことになる。これでは国家財政が破綻しかねない。一体、どんな政治家が徴兵制の導入をたくらんでいるというのだろうか。

「どんな」って自民党タカ派にごろごろいるだろうに。ここまで言いきったからには徴兵制主張する政治家が自民党にいたら「非常識発言は辞めろ」とぼこぼこに批判するんだろうな?
 しかし記事を見る限り、デモ参加者にインタビューした形跡が全く見られないのに苦笑。単に見物に行っただけじゃ取材とは言えないと思うが。
 この文章の書き手・溝上健良記者の過去の文章を一個だけ取り上げてみます。


■【鉄道ファン必見】平和憲法号がゆく 土佐電鉄 ごめん! 力走むなしく護憲派大敗
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130816/plc13081612000008-n1.htm

平和憲法号」。側面には「守ろう平和憲法!! 平和憲法は世界の宝」、反対側には「守ろう9条・25条を!!」とも大書され、護憲をアピールしている。

 で普通の人間だったら「なぜこのような電車が走っているのだろうか?。土佐電鉄に聞いてみた(まあ、普通に考えて高知の護憲派団体がやったんでしょうけど)」→「土佐電鉄のつてで護憲派団体にも話を聞いてみた」と言う記事を書くでしょう。単に「へえ、こんな電車があるんだ」では何のための新聞記者なのか。
 しかしびっくり仰天なことに溝上記者は「こういう電車が走ってました」で取材(?)を終わらせてしまいます。お前何しに高知まで行ったんだよ、観光か?と突っ込まざるを得ません。
 であとは相当なページ数を使いながら「こんな電車走らせても共産は参院高知選挙区で敗戦してるの、ざまあ*3」という高知まで取材に行かなくても書ける護憲派への悪口雑言*4だの、「費用が安いので高知までは飛行機ではなくフェリーで行きました」という話の本筋とまるで関係ないことだのしか書かないんだから「産経はまともな記者教育してるのか?」「上司は何でこんな記事通すの?」と苦笑せざるを得ません。


■【正論】筑波大学大学院教授・古田博司*5 歴史の善悪に拘泥してはならぬ
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130923/art13092303310003-n1.htm

もちろん「日本の戦争が悪か善かなんてどーでもいいじゃないか」という自分勝手な話に過ぎません。他国の問題だと「ナチスホロコーストは悪」「原爆投下は悪」「ソ連北方領土侵攻は悪」「文革は悪」「朝鮮戦争北朝鮮の侵略で悪」とか平気で言うわけですから。

わが日本国では明治以来、大学の哲学科はドイツ中心なので、あまり役に立たないドイツ哲学ばかりを究めてきた。

ドイツ哲学に失敬きわまりないですね。古田はドイツ哲学専門家じゃないし、どうせまともにドイツ哲学を理解もしてない癖に。
大体何で「歴史捏造主義正当化」に「ドイツ哲学への無茶苦茶な言いがかり」が始まるのか良く訳がわかりません。
別に「ドイツ哲学者が特に戦前日本に批判的」なんてこともないでしょうし。
まさかとは思うけど「ドイツ人・マルクスの哲学なんか大嫌い」→「マルクス以外もどうせドイツ哲学なんてあんなもんなんだろ。大嫌い」とかいう幼稚な話ですか?

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が日本経済を改変してくれる*6のは当たり前なのに、まずそれがどれほど悪か善かばかり議論しようとする。

 善か悪かではなく「日本経済にプラスかどうか」ですね。賛成派(例:政府自民党や財界)も反対派(例:農協、医師会)も、「主張内容の是非はともかく」、「TPPでは日本農業が崩壊する」「TPPでは国民皆保険制度が危ないんじゃないか」など、当然、実利的な議論をしているのですが、勝手な決めつけで「実利的な議論をしていない」という古田には呆れます。古田は一体何が議論されてると思ってるんでしょうか。

原発の有用性と危険性は誰にも認識できる*7のに、市民派新聞*8原発を端(はな)から悪と決めてかかる。

これまた「悪」ではなく「危険すぎて使えない」「むしろ代替エネルギー(風力、地熱、潮力、太陽熱など)に力を入れた方がいい」という実利的判断をしているだけです。ま、善悪判断など常に無意味とでも言いたげな産経には「それでええんかい、道徳論とかどーでもええわけないやろ」と思いますが。

事故前は有用だったのだから、コペルニクス的転回だといえる。

考えが変わることなど別に世の中で珍しくもないでしょうに。問題は「変わった理由が正当かどうか」「変わった後の意見がまともか」「変える前の意見についてきちんと反省しているかどうか」でしょうに。
なお、朝日新聞毎日新聞東京新聞は「考えが変わった」と言っていいのでしょうが、福島事故以前から原発批判派は当然いました。

人間の動機に善悪はない。

 「ええ?」ですよね。つうことは産経が非難しまくってる「北朝鮮の核開発」なんかも「動機に善悪はない」んでしょうか。「オウムのサリン事件」などの犯罪についても「動機に善悪はない」んでしょうか?。まあ古田の引用を信じても、「ベンサム」は「動機に善悪はない」と言ってるとしても「結果に善悪はない(結果なんかどーでもいい)」とまでは言ってないでしょうに。

最近のマスコミ報道を見ていても、初めから善悪を決めてかかろうとすることが実に多い。
(中略)
最初に善悪を決めつけて取材してはいけないのである。

反日自虐史観だの何だのと気にくわない個人、団体に非難レッテルを貼り付けて恥じない産経こそが「初めから善悪を決めてる」典型でしょうがそういう理解はないようです。
 産経の場合、「善悪の決めつけ」ではないですが「結論の決めつけ(結論ありき)」も多く、「最近表舞台に姿を見せない江沢民*9は死んでるに違いない、死亡発表はされてないが中国が隠してるんだ、きっとそうだ」という勝手な決めつけで、同業他社がそんな記事は書かないのに、一社だけ「江沢民死亡記事」を書き、「後で江沢民生存が判明して」大恥をさらしたこともあります。

もっとも、よく言われるように、歴史とは勝者の歴史である。第二次大戦後の世界秩序も、日独伊のファシズム国家を連合国が打ち負かして作り上げた勝者の国際秩序だ。そんな言論空間に歴史問題を放り込んでも日本に勝ち目はない*10靖国参拝はやめた方が賢明だと言わんばかりの人がいた。

やれやれですね。歴史認識問題も靖国の重要な問題ですが、「政教分離問題」「富田メモ問題」はどこに行ったのでしょうか?
ま、産経や古田だと
政教分離原則問題」:「憲法政教分離なんか米国の押しつけだ、無視していい」または「靖国参拝政教分離に反しない」
富田メモ問題」:「富田氏の捏造に決まってる。昭和天皇はそんな事言わない」
で終わりでしょうが。

*1:本文読めばわかるが吉良佳子参議院議員共産党)のこと

*2:厳密に言えばミサイルを百発百中で打ち落とすなんて自衛隊に限らず技術的に無理なので「被害ゼロ」という無力化は無理だ。ま、「撃ったらこちらは反撃するぞ」と言う形の「無力化(?)」になる。

*3:ググったところ、電車を走らせたのは社民党らしいのですが。この書きぶりでは溝上記者が『共産が走らせた』と思い込んでる可能性すらあります。

*4:悪口雑言はタイトルから予想がつくでしょうが

*5:著書『東アジア「反日」トライアングル』(2005年、文藝春秋)、『朝鮮民族を読み解く』(2005年、ちくま学芸文庫

*6:「改変してくれる」というのも随分奇妙な表現だと思います。単に「改変する」でいいでしょうに

*7:いや、認識できないから福島事故が起きたんでしょうに

*8:どこのことを言ってるのかよくわかりませんが、朝日ですか、毎日ですか、東京新聞ですか?

*9:電子工業相、上海市長・上海市党委員会書記、党総書記・党中央軍事委員会主席・国家主席・国家中央軍事委員会主席を歴任

*10:「勝ち目はない」も何もそういう国際秩序を基本的に認めた上で日本は国際社会に復帰したんですが、それを今更チャラに出来ると産経や古田は思ってるんでしょうか