今日のMSN産経ニュース(11/4分)(追記あり)

■【高木桂一の『ここだけ』の話】あのカリスマが「引退」!? 次期共産党大会の焦点は不破元議長の去就だ 
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131104/stt13110412010005-n1.htm
 まあ正直「こんな記事載せるなよ」レベルの内容です。だって「正体不明の共産党関係者(公安警察?)」による何の根拠もない話「近々、不破哲三*1(常任幹部会委員、党附属社会科学研究所所長)が役職を全て辞め勇退するんじゃないか」「市田忠義書記局長(党議員団長、参院議員)の後任局長に山下芳生書記局長代理(党参院議員団長)が内定したらしい」「志位氏の後任委員長(衆院議員)は東大卒の笠井亮政策委員会委員長代理(衆院議員)ではないか。過去の委員長である宮本顕治氏、不破氏、志位氏は東大卒だから。市田*2も山下氏*3も東大卒ではないので委員長になれないだろう(←そんな不文律がどこにあるの?)」「この間の参院選挙で当選した吉良佳子氏、辰巳孝太郎氏が党中央委員に抜擢されるんじゃないか」だのがただ延々続くだけですから。
 外れたら「真偽不明の噂話を記事にした」と言う意味で問題ですし、当たったら当たったで「公安警察が党内にスパイ放ってるのか?。しかも公安と産経は公然とつきあってるのか?」という意味で問題です。
 ただこういう記事を書くと言うことは産経なりに「参院選での共産議席増」が気になって仕方ないと言うことなんでしょうね。


■【主張】歴史教科書 違いを見極めて選びたい
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131104/edc13110403230000-n1.htm

もちろん「つくる会教科書を採択しろ」という話でしかないんですが、つくる会教科書を発行している産経(正確には子会社ですが)がそれを言うのは明らかに問題がある。朝日や読売など同業他社が似たようなことをしたら産経は明らかに「自画自賛だ」「お手盛りだ」「新聞倫理綱領に抵触するんじゃないか」などと非難するでしょう。産経も「俺の子会社を俺が褒めて何が悪い」と言う度胸はさすがにないようです。でもどーしても褒めたい。
そこでこういう奥歯に物の挟まったタイトルになるし、本文も奥歯に物が挟まってる。
 「これからはいいお友達でいましょう(お姉ちゃんがつきあってる男性と別れるときの言葉)」的な発言が続くわけです。「本当に友達づきあいするんだろうな?」「違いを見極めてつくる会以外を選んでもいいんだろうな?」と言いたくなりますよね。まあ、「産経のケースはともかく」、お姉ちゃんのケースでそういうことを言うのは大人げないですけど。

 歴史や公民教科書で記述内容の違いを点数評価して教科書採択に反映するよう求める請願が宮城県議会で採択された。
(中略)
 請願は「新しい歴史教科書をつくる会」の宮城県支部が提出した。

よくやるよなあ、ですね。「俺達の教科書が採択されやすい基準にしろ」って話ですからね。こういう人間がよく「愛国心」「道徳」だのふざけたことが抜かせるもんです。そして宮城県議会も良くこんなふざけた請願を採択するもんです。
宮城県津波で我欲を洗い流せ」

具体的には、歴史教科書では「神話」「古事記日本書紀万葉集」「日中戦争」など、公民では「宗教・家族」「自衛隊」「領土問題」などの項目を例示し、教科書を比べ点数評価した資料をつくり、教科書採択に反映するよう提案している。

とはいえこの請願が「つくる会教科書採択に直結している」わけではありません。
「神話」「古事記日本書紀万葉集」「日中戦争」だの「宗教・家族」「自衛隊」「領土問題」だのを基準にすれば当然につくる会教科書になるわけではない。これらが書いてない教科書なんてありませんから(追記:と書いたんですがよく考えると、神話について言えば微妙です。ただ全く触れてない教科書はないでしょうし、この件では神武天皇の東征伝説や神功皇后三韓征伐がまるで事実であるかのように書いてあるというつくる会教科書の方がむしろ「教科書の書き手が事実と神話を混同している(あるいは教科書の読み手に事実と神話を混同させかねない)」と言う意味で問題です)。
 さすがのつくる会も「つくる会に明らかに有利な基準にしろ」なんてそこまで露骨な請願は出来なかったわけです。
 もちろん実際に基準作り、点数表作りを宮城県がやるとしたら*4「宮城自民党」に「つくる会有利な基準作り」を県にさせてほしいと働きかけるでしょうが。

公共心や愛国心育成などを盛り込んだ教育基本法改正を踏まえ、平成20年の学習指導要領改定で、先人の生き方や文化遺産などを学ぶ教育が重視された。

 教基法改正や学習指導要領改定の是非はともかく、これらも宮城の請願同様「つくる会教科書」に直結してるわけではありません。
 「公共心」「愛国心」「先人の生き方や文化遺産を学ぶ」なんてことは他の教科書だって同じ事ですから。
 つうか「南京事件慰安婦は出来る限り矮小化したい」なんてつくる会教科書のどこに「公共心」があるんでしょうか?

生まれ育った国や郷土について深く知ることは、自分の国への愛情を自然にはぐくみ、他国を尊重することにもつながる。

「他国を尊重することにもつながる」
まあ、どんだけ面の皮が厚いのよって話ですよね。後でも触れますけど「自虐史観はやめよう」だの「中韓靖国問題内政干渉するな」だの言って「他国(中国、韓国)を尊重しない」産経の褒めるつくる会教科書で学んで「他国(中国や韓国)を尊重する心につながる」なんて誰が思うんでしょうか?
 それとも「ただしイケメンは除く」みたいな「他国は尊重しよう、ただし中韓は除く」なんでしょうか?。勝手に除くなよ。
 そもそも「生まれ育った国や郷土について深く知ることは、他国を尊重することにつながる」って産経の論理展開が意味不明ですけど。「他国について深く知ることは他国を尊重することにつながる」なら良く意味がわかりますけど。
 よほど「つくる会教科書は他国を敵視してる、反教育的だ」「この国際化の時代に時代錯誤だ」って批判が気になってるようですけどこんなの何の反論にもなってない。

「神話」は、古事記日本書紀などにある古代日本の物語で、その時代の人々の生き方や考え方を伝える貴重な遺産だ。ところが「作り話」などとして学校であまり教えられなくなった。日本書紀神武天皇の物語は、かつては祖父母や親から聞かされたが、いまは知っている子供が珍しく、取り上げる教科書も少数派だ。

だって作り話ですからね。下手に教えると事実と混同する子どもが出かねないし、「事実ではないならば何を意味するのか」というのを教えるのも相当に難しいでしょう。でそういう難しいことをつくる会教科書がやって成功しているかといったら、そうではなくて「戦前的な教え方」で「事実との混同を招きかねない」のだから話になりません。

近現代史を中心に、ことさら日本を批判的に描く自虐史観は、なかなか変わらない。

やれやれですね。「自虐史観など許せない」という主張と「他国の尊重」とどう両立するんでしょうか?

自衛隊を批判的にみる記述も相変わらずある。

 やれやれですね。「自衛隊違憲論など国民世論にマッチしていない」ならまだしも「自衛隊を批判的に記述するな」だそうです。軍事独裁国家じゃあるまいし「自衛隊万歳と教科書に書け」なんて正気なんでしょうか?。しかも「自衛隊を批判的に見るべき立場のマスコミ」がこれですよ。

特定の教科書に対し「戦争賛美」など内容を曲解した批判も行われてきた。

 はっきりと「つくる会教科書」と書かず「特定の教科書」と曖昧にごまかしてるところがせこすぎる。大体つくる会教科書は「大東亜戦争はアジア民族解放戦争」の立場なんだから「戦争賛美」で曲解どころか大正解じゃないですか。

地域によっては教委が十分内容を調べず、採択が形骸化している例*5もある。

 で、その地域ってどこ?。おそらく「沖縄」がそこに含まれる事は間違いないでしょう(沖縄以外にもあるかも知れませんが)。
 はっきりとどこの地域か書けないところがせこすぎる。 

*1:書記局長、委員長、議長を歴任

*2:立命館大学

*3:鳥取大学

*4:やるかわかりませんが

*5:実際には「首長の鶴の一声で全てが決まるような完全に形骸化してるケース」であっても「つくる会が採択さえされれば産経的にはオールOK」なのは言うまでもありません。