今日の産経ニュース(2020年9月23日分)

【最初に追記】
 育鵬社の教科書の採択地区が大幅に減少した(安倍晋三もやる気を失った?) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でこの拙記事をご紹介頂きました。いつもありがとうございます。
【追記終わり】
【主張】教科書採択 自虐史観の復活が心配だ - 産経ニュース

 来年度から中学校で使われる歴史・公民教科書の採択で、現在は育鵬(いくほう)社版を使っている市町村の多くが他社版に切り替えることが分かった。

 仮に法的な問題がない*1にしても「育鵬社」がフジサンケイグループであることを考えれば、こうした記事は「教科書内容の是非に関係なく」道義的に問題がありすぎでしょう(勿論俺はあんな極右歴史修正主義教科書の内容を評価しませんが)。
 朝日や読売、毎日や日経がグループ企業に教科書発行をやらせた上、紙面で「グループ企業の教科書の採択が減って残念だ。素晴らしい教科書なのに」等と書いた場合産経はそれを容認するのかと言う話です。
 恐らく容認しないのでしょうが、「ならば何故自分はやるのか」と言う話です。
 というか、以前読んだ「噂の真相」によれば、そもそも産経が教科書出版などやりたくないところ、

SAPIO小学館
 「中韓でのドラえもんビジネスに支障が出かねないから断る」
→もちろん不買運動はあり得ますが、それ以前に

ディズニー「ムーラン」で犯した痛恨のミス | The New York Times | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
 1990年代後半、ディズニーはダライ・ラマに同情的とされるマーティン・スコセッシ監督作品『クンドゥン』の配給元となったことで、アニメ版『ムーラン』の中国公開を8カ月間妨害されたことがある。結果的にアニメ版『ムーラン』は中国では失敗に終わった。

のような「ドラえもん映画の中国国内での上映許可遅延」などの報復措置に中国政府が出てくる危険性もあります。
PHP研究所
 「中韓パナソニック不買運動が起きかねないから断る(PHP研究所の創設者はパナソニック創業者・松下幸之助)」

などということで、「他に引き受けるところが無いから」という理由で扶桑社での出版をやらされたあげく、

◆俺のような「産経グループ会社である扶桑社の教科書の宣伝を産経紙面で大々的にやるのは、仮に違法ではないにしても教科書採択の公正性に反するのでは無いか、政治的、道義的にまずいのでは無いか」という批判
◆フジテレビから「扶桑社からあんな教科書を出されては、韓国でフジテレビボイコット運動が起こるなど、フジの韓流ビジネス(フジ番組の韓国での放送、韓国ドラマのフジでの放送、韓国芸能人のフジ番組への出演など)に支障が出かねない、なんとかしてくれ、扶桑社以外で発行できないのか?」と泣きつかれたこと
→「噂の真相」に寄ればそもそもフジが韓国のテレビ局や芸能事務所から『扶桑社からあんな教科書を出されてはフジと付き合ってる我々が将来「まさに親日派、土着倭寇売国奴の意味)!。それでも韓国人か!」「フジとの付き合いなど辞めろ」などと韓国内で非難されかねない。なんとかしてくれ。日本にはいくらでも出版社はあるだろう。扶桑社での発行を辞めることはできないのか』と泣きつかれ、フジは当初「扶桑社はフジとは別会社だ、関係ない*2」と言い逃れしたところ、「扶桑社から『踊る大捜査線』『古畑任三郎』などフジドラマのノベライズが出るなど明らかにフジと密接な関係があるのに何を言ってるのか!(韓国側)」と「当然の批判」をされたとのこと。

をさすがに気にして、新たに育鵬社をつくったと言うのだから呆れた話です。
 とはいえ、「育鵬社は扶桑社の子会社」であり産経と完全に縁が切れたわけではなく、姑息な行為でしかないですが。 
 しかし、ここで

 今回の教科書検定では、「新しい歴史教科書をつくる会」が主導した自由社版の歴史教科書が不合格となった。育鵬社版と同様、自国への愛情を育むことを編集方針としていたが、採択のスタートラインにすら立てなかった。

つくる会教科書不合格問題は「アリバイ作り程度の簡単な言及」で流され「何で、育鵬社の教科書採択が減ってるんだ!(今まで育鵬社だったところが他社に変更)」「育鵬社への抗議、批判運動は不当ないいがかりだ!」ばかり言ってることが滑稽ですね。産経にとって「育鵬社が一番大事、つくる会なんか不合格になったって知ったことじゃない」という本心がモロバレです。
 というかどう見てもあの不合格は育鵬社側によるつくる会潰しでしょうが。「育鵬社の教科書採択が減る」ということがなければおそらく、産経は「社説でつくる会教科書不合格問題をいかなる形でも取り上げなかったであろう事」は容易に推測できます。
 それにしてもつくる会も当初は「文科省許すまじ!」と吹き上がっていたところ、安倍首相(当時)も萩生田文科相もそれを無視しているからか、今や
新しい歴史教科書をつくる会新しい歴史教科書をつくる会【公式】 (@Tsukurukai) | Twitterも全く更新しないのだから呆れます。
 新しい歴史教科書をつくる会は最終更新が8/21で、新しい歴史教科書をつくる会【公式】 (@Tsukurukai) | Twitterに至っては最終更新が7/30です。
 新しい歴史教科書をつくる会は1ヶ月近く、新しい歴史教科書をつくる会【公式】 (@Tsukurukai) | Twitterに至っては2ヶ月近く更新なしとは「お前ら活動してるの?」ですね。
 新しい歴史教科書をつくる会【公式】 (@Tsukurukai) | Twitterは例の「アサ芸の『教科書調査官が北朝鮮工作員』云々」と言う与太記事への好意的コメントが最終更新ですが、アサ芸以外には後追い記事は無く、萩生田からも「調査したがそのような事実は確認できなかった。不合格に問題は見当たらない」と一蹴されるや黙りです。「つくる会に活発に活動して欲しいわけでは無論ありませんが」どれほど無様なのか。

 こうした中、尖閣諸島を行政区域とする沖縄県石垣市与那国町と共同採択)は育鵬社版を継続して採択した。

 石垣市長って本当に極右なんだな、石垣市民は何でこんな奴を容認するの?、と心底呆れます。もちろん育鵬社版は「沖縄集団自決での軍強制を否定する立場」なんですが「それでも採択するの?。沖縄県民なのに?。集団自決の犠牲者に対して何とも思わないの?。人として恥ずかしくないの?」ですね。
 翁長氏が「自民を離れ、オール沖縄からの県知事選挙出馬を決意した大きな理由」は、本土自民党が「沖縄集団自決での軍強制を否定」する立場を教科書検定によって露骨に示した事への「怒りだった」と聞きますからねえ。
 なお、この記事でウヨ連中のデタラメぶりが明らかになります。
 『新しい歴史教科書をつくる会』に突っ込む(2020年7月27日分)(追記あり) - bogus-simotukareのブログで以前触れましたが、実はウヨ連中(つくる会)は以前

つくる会今、文科省に何が起こっているのか]前会長・顧問(『新しい歴史教科書』前代表執筆者)杉原誠四郎
 鹿児島市では西郷隆盛のことが載った教科書*3をほんらい採択するつもりいたが、共同採択地区に小さな村がいくつかあって、共同採択地区の村の意向で西郷隆盛の載っていない教科書を採択しなければならなかった。こういう馬鹿げたことが現在の共同採択地区制度で起こっているのである。

として「共同採択制度それ自体」が不適切であるかのような物言いをしていました。ところが『育鵬社を採択した石垣市与那国町と共同採択)』のように自分らにとって都合が良ければ共同採択制度を容認するわけですからご都合主義が酷すぎます。


【参考:翁長前知事と教科書検定

命かけ民意貫いた翁長知事/県民が心一つになるために
 転機となったのが、旧日本軍による集団自決の強制を否定した教科書検定問題でした。県民は怒り、2007年9月、保守も革新も一丸になった県民大会が開かれ、翁長氏は反対運動の先頭に立ちました。

守った沖縄の誇りと矜持 命削り翁長雄志さんが伝えたこと【金平茂紀の新・ワジワジー通信(37)】 | タイムス×クロス 金平茂紀の新・ワジワジー通信 | 沖縄タイムス+プラス
 翁長さんは元々、保守政治家だった。それが政府に抗(あらが)うようになったきっかけは何だったのか。ここでは三つのことを記しておく。一つは2007年の教科書検定の際に、沖縄戦のさなか日本軍から強制された住民の「集団自決(強制集団死)」の記述が削除されたことへの強い怒りがあった。これはご本人が語っていたことだ。「日本政府はこういうことまでやるのか」と。


都構想住民投票 否決なら「政治家終了」と松井市長 - 産経ニュース
 「否決直後、即刻辞任します」ではなく「次の市長選(2年半も先の令和5年4月)には出ない」つうあたりがせこい。狂信的な維新支持者でない限り「その2年半の間に話を反故にする気だろ」としか思いません。
 いずれにせよ「即刻辞める」といえない辺り、1)強気を装う松井ですら「即刻辞める」といったところで、住民投票で勝利できるか分からないと思っている、2)「即刻辞める」といって府知事をやめたら元タレントで『タレント業に復帰した』橋下と違い、「ただの人になってしまう」危険性が高いとびびってることはうかがえます。


合流も新党効果なく 枝野氏アピール必死 特派員協会で会見 - 産経ニュース
 「自民応援団」産経らしいくだらないネガキャン吹き出しました。枝野に限らず、政治家がさまざまな機会を捉えてアピールに励むのは当然の話でしょうに。


大国の干渉招く“小国の悲哀” ベラルーシ抗議デモはどこに向かうか(1/3ページ) - 産経ニュース

・過去の大統領選でも選挙不正は疑われたが、国民は半ば当然視し、大きな抗議デモには発展してこなかった。
・その従順だったはずの国民が今回、なぜ立ち上がったのか。
・結論から言えば、ルカシェンコ氏が国民の求める利益を与えられなくなったのが根本的要因だと考えられる。この意味で、「利益が保証される限りは支配を容認する」という歴史的な国民性が変わったわけではない。
 ルカシェンコ氏への不満の第1の理由は経済だ。同国ではルカシェンコ政権の前半期は経済発展が続いたが、近年は国営企業中心の古い経済体質が制度疲労を起こし、国内総生産(GDP)は毎年縮小。経済低迷が深刻化し、国民生活が悪化していた。
 第2の理由は社会政策の失敗だ。ルカシェンコ氏は新型コロナウイルスに対し、「ウオッカを飲めば予防になる」「心配する者は精神障害だ」と強弁した。具体的な対策をとらずに流行を招き、「国民の命を軽視している」と猛反発を受けた。
 ルカシェンコ氏がもたらす不利益が、独裁を容認するメリットを上回ったとみなされたタイミングでの選挙不正疑惑が、国民の不満を噴出させた格好だ。

 ということでやはり「経済失政」など「生活に直結する問題」では国民の批判も大きくなるわけです。

*1:もしかしたら違法行為かもしれませんが俺はその辺り無知なので分かりません。

*2:当たり前ですがこういうときに「そんなこというなら、あなたら韓国企業とはと付き合わない」と言うほどフジもバカではありません。

*3:たぶんこの「西郷の載ってる教科書」とやらがつくる会教科書であり、別に西郷云々で採択を決めたわけではないのでは無いか。