『新しい歴史教科書をつくる会』に突っ込む(2020年7月27日分)(追記あり)

今、文科省に何が起こっているのか前会長・顧問(『新しい歴史教科書』前代表執筆者)杉原誠四郎

 再申請の方針に納得できないでいる人は必ずやかなりいる。

 そりゃそうでしょう。「文科省のミスというならともかく不正検定だ、つうなら再申請したって通るわけ無いだろ。審査するのは同じ人間なんだから」「とっとと行政訴訟しろよ」つう意見が出るのは当たり前です。

 ある意味で、文科省にあって戦後最大の教育事件である。否、明治4年江藤新平初代文部大輔の下で発足した文部省はそれから約150年、最大の危機に陥っていると言え、本件はそのことを端的に示している事件だと言えるのだ。

 「話の本筋から外れます」が、何で「明治4年江藤新平初代文部大輔の下で発足した文部省」と言うのかすごく謎です。文部大輔(今の文科次官に当たる)の上には文部卿(今の文科相に当たる)と言う役職があって「明治4年の初代文部卿」は大木喬任(おおき・たかとう)と言う人物です(単なる偶然だが江藤も大木も佐賀藩出身)。
 でこの大木ですが、初代文部卿(1871~1873年)を務めただけでは無く、第7代文部卿(1883~1885年)、第1次松方内閣文相(1891~1892年)も務め、明治六大教育家 - Wikipediaと呼ばれることもある人物です。明らかに江藤よりも教育行政に影響を与えてるのに、そして文部省での「江藤の上司」なのに何で大木の名前がここで出てこないのか、わけが分かりません。
 それはともかく、吹き出しました。まあ、つくる会にマジレスしてもばかばかしいんですが戦前の教科書疑獄事件 - Wikipedia(教科書国定制度の口実に使われたことでも知られる事件)などの方がよほど衝撃度は高いでしょうよ。

 「南京事件」は存在しなかったと主張する側の研究者が虐殺があったと主張する側の研究者に公開討論を呼びかけても、虐殺があったとする側の研究者はそれを受けようとしない。何度呼びかけてもそうなのだ。

 そりゃ
1)「天地創造説の学者(?)」が「進化論の学者」に公開討論を呼びかけたり
2)「天動説の学者(?)」が「地動説の学者」に公開討論を呼びかけたり
3)「チンギスハン=源義経説の学者*1(?)」が「義経は衣川で死んだと見なす学者」に公開討論を呼びかけたり
4)「上杉謙信=女性説の学者*2(?)」が「謙信=男性説の学者」に公開討論を呼びかけたりする 
ようなもんで南京事件否定論なんてもんはおよそまともな主張では無いからです。相手にされないのは当たり前で逃げてるわけでは無い。
 つくる会の連中だってさすがに1)~4)について「公開討論に応じろ」とは言わないでしょう。そもそも「議論」イコール「公開討論」でもないし。

 「つくる会」の教科書では、1930年のロンドン軍縮会議に関して「英米日の補助艦の比率が10:10:7に定められ」と記してたところ、7は6.975と書くべきで「不正確である」として「欠陥箇所」に指定した。しかし日本文教出版の教科書では「補助艦(主力艦以外)の保有国の割合を米10、英10、日7と定めた」と書いていて、そこでは「欠陥箇所」として指定していないのだ。中学校の歴史教科書で、日本の比を6.975とまで詳細に教えなければならないとすることにも大いに疑問となるが、他の教科書で認めている大枠の数字を、「つくる会」の教科書にだけ認めないというのは、やはり「不正検定」の明確な証拠となる。

 だったらそれこそ「とっとと訴えろ」と言う話ですね。かつ本当にそこまで無茶苦茶やってるのなら、それこそ「つくる会不合格=安倍と萩生田の命令」の「傍証」ではないのか。安倍や萩生田の指示なしでそこまで無茶苦茶するわけも無い。

 他社の教科書で沖縄戦に関係して「沖縄を「捨て石」にする作戦だった」という偏った自虐的な記述があるようだ。当然「生徒が誤解するおそれのある表現である」か、または「生徒にとって理解し難い表現である」という検定意見は付されるべきものである

 「誤解も何も捨て石にしただろ、手前ふざけんな」「理解しがたいどころか十分理解できるだろ、アホか、手前」て話です。故・翁長氏がこの種の「沖縄戦の悲劇を矮小化」して恥じないウヨ連中を容認する自民党中央に憤激し、共産党沖縄社会大衆党など左派の支援も受けて県知事選に出馬したことがよく分かる酷い話です。

 萩生田文科大臣の周辺では、こんな深刻な問題も発生している。文科省丸山洋司初等中等教育局長は「11月5日の検定結果申し渡しの日に、『問題の40箇所を直せば年度内に再修正をさせてやる』と持ちかけたが、執筆者側は頑なにこれを拒否したから、不合格になった」という趣旨のことを、文科大臣及び問い合わせの国会議員に語ったという噂があるのである。

 「噂」だそうです。完全に腰が引けてますね。
 「俺は間違いなく丸山からそう聞いた!」と断言してくれる議員はいなかったようです。もちろん「そんな丸山発言は存在せず、つくる会のデマ」と言う可能性も充分ありますが、以下「思考実験」としてそうした丸山発言があったと仮定して話をしてみます。
 たぶん、「何でつくる会を不合格にしたんだ!」と丸山氏に抗議するような議員は「自民のウヨ議員しかいなかった」のでしょう。
 その結果、そうした丸山発言を聞いた議員は「自民のウヨ議員」しかいなかった。
 でその自民議員は「丸山が確かにそう発言したなんて言ったら安倍に後で何されるか分からない、河井案里という刺客候補を送られた溝手みたいに後で嫌がらせされたら嫌だ」「丸山の発言は事前承認か事後承認かはともかく、安倍や萩生田の了解があるに決まってる」ということで、しかしつくる会を完全に見すてることができずに「そんな噂を聞いた」つう情けない、頼りない話になったんでしょう。どっちにしろ噂なんて話では丸山氏は「根も葉もない、事実無根の噂」と言うでしょうし、それを萩生田や安倍も支持するでしょう。
 そもそも別記事でも書きましたがこの丸山氏、

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年7月21日):文部科学省
 最後に文科省の幹部人事です。本日の閣議におきまして、7月28日付け及び8月1日付けの局長級以上の人事について内閣の承認を得ました。内容については、すでにお渡しをしている通りです。文科省では、安倍内閣の最重要課題である教育再生の着実な実行、Soceity 5.0に向けた科学技術イノベーション政策の推進、開催日程が延期された2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会の成功に向けた取組などに加え、新型コロナウイルス感染症に対応した子供たちの学びの保障の確保など、喫緊の課題を着実に実施する必要があり、藤原事務次官*3を留任させ、引き続き、それらの取組の陣頭指揮に当たらせたいと考えております。また、退任をする山脇文部科学審議官*4の後任に、科学技術イノベーション政策に関する知見が豊富で高等教育分野の行政経験もある松尾内閣府政策統括官を、同じく退任する芦立文部科学審議官*5の後任に、初等中等教育分野の各種政策をはじめ教育行政全般に精通している丸山初等中等教育局長*6を登用することといたしました。なお、今回の人事で丸山局長を事務次官級に登用しますが、総合職*7以外の職員*8の次官級ポストへの登用は文部科学省として初めてとなります。私としては、適材適所を基本とした人事を行ったところであり、新たな布陣により、これからの文部科学行政をより一層強力に推進してまいりたいと考えております。(赤字強調はボーガス)

ということで明日(7/28)に「次の文科次官含み」で「文科省事務方ナンバー2の文科審議官」に就任することが決まっています(メディアへの「昇進」発表は7/21で、翌朝の7/22に各紙が報じましたが、実際に昇進辞令が発令されるのは7/28)。
 ちなみにこんな時期の異動になったのは勿論コロナの影響です。
 それはともかく、つまりはつくる会が丸山氏を悪口雑言しようが萩生田も安倍もそんなもんはガン無視して彼を出世させたわけです。
 これまた、「つくる会が完全に安倍と萩生田に見すてられてること」「つくる会不合格が安倍と萩生田の差し金であること」の傍証と言えるでしょう。
 うがった見方をすれば丸山氏の審議官(文科省事務方ナンバー2)就任は「つくる会教科書不合格」を「初等中等教育局長(教科書検定の担当局長)」として「安倍や萩生田の命令通りにやり遂げたこと」に対する「ご褒美」「論功行賞」なのかもしれません(まあ有能な方のようなのでつくる会不合格を安倍が画策しなくても、いやそれ以前に安倍政権で無く、民主党政権や石破政権であっても昇進自体はしたのでしょうが)。まあ、つくる会安倍信者としてその可能性は絶対に認めないでしょうが。

 文科省丸山初中局長の上記の噂の発言であるが、まず、この発言の内容は実際にあったかどうかということである。

 やれやれですね。「国会議員に語った」というのが事実ならば、その国会議員とやらを見つけ出し、「確かに丸山からそう聞いた」と証言させればそれで済む話です。「間違いなく聞いた」という国会議員が出てこない時点で「勝負はつくる会の負け」です。
 そんな発言がそもそも無かったのか、「発言はあったが安倍が怖くて誰も証言しないのか」はともかく。

 平成29年に改訂された中学校学習指導要領では、歴史教育に関してこれまで第1に掲げられていた「我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」という目標が最初に来なくなり、歴史教育のこの本来の神聖なる目標が軽視ないし矮小化されてきているのである。
 平成29年には、「面従腹背」で有名になった前川喜平氏が文科省事務次官をしていたのだ。

 平成29年と言えばもちろん「既に安倍政権」です。つまりは、「安倍の思惑が何でアレ」、安倍が「そうしてよろしい」と思ったからそうしたわけです。
 これが菅首相あたりなら「学習指導要領を改悪した菅を許さない」というであろうつくる会が「文科省が勝手にやった。安倍さんは悪くない」と言い出すのだから呆れて二の句が継げませんね。

 鹿児島市では西郷隆盛のことが載った教科書*9をほんらい採択するつもりいたが、共同採択地区に小さな村がいくつかあって、共同採択地区の村の意向で西郷隆盛の載っていない教科書を採択しなければならなかった。こういう馬鹿げたことが現在の共同採択地区制度で起こっているのである。

 西郷万歳のつくる会的には「馬鹿げたこと」なんでしょうがそれはつくる会の個人的見解にすぎません。
 どっちにしろ鹿児島市が「なら共同採択制度から脱退する」「とにかく我が市は西郷の載った教科書(というかこれがつくる会教科書なのでは?)を採択したい」等とは言わず、「小さな村」の意向を受け入れた以上、それで終わった話です。
 部外者のつくる会がどうこういう話では無い。ましてや「共同採択制度自体が無意味で廃止した方がいい」かのように言うなど無茶苦茶です。
 まあ、実際には「共同採択制度が常につくる会に不利になっているかどうか」は疑問ですが、そのようにつくる会は認識し、共同採択制度を敵視しているのでしょう。全く党利党略も大概にして欲しい。
 もちろん共同採択にも個別採択にもどちらにもメリットもあれば、デメリットもある。従って個別採択のメリットを重視して「共同採択より個別採択の方がいい」という方針の自治体があって一向に構わないのですが、それは「常に個別採択が正しい」と言う話では無い。
 「個別採択と共同採択」の是非は「男尊女卑と男女平等とどっちがいいか」と言う話(もちろん男女平等の方がいい)では無く「議院内閣制と大統領制とどっちがいいか」のようなもっと複雑な話です。一義的に「常に個別採択が正しい」と言える話では無い。つうか「それ、つくる会教科書検定不合格と関係ねえだろ」て話です。まあ、要するに「採択されなかった教科書=つくる会」なのでしょうが。

 今回の歴史教科書検定不合格事件について「つくる会」副会長の皿木喜久氏が友好団体「日本会議」の機関誌『日本の息吹』令和2年6月号で「今、教科書に何が起こっているのか」と題して本件の問題提起の記事を載せている。 
 日本会議といえば、「つくる会」とほんらい友好関係のある助け合わなければならない関係にある運動団体である。だが、平成23年に私が代表執筆者を務めて検定合格した『新しい公民教科書』につき、その年の採択戦の中で、この教科書をめぐる日本会議の評価について私は不満に思うところがあり、その不満を、改善を求めて日本会議の本部に行って伝えればよいのに、公開の場で、不満を述べてしまった。当時は私も運動に関わって経験が浅く、してはならないこと*10をしてしまった。それで「つくる会」と日本会議は距離ができてしまった。しかるに今回日本会議の機関誌で、「つくる会」副会長がこの事件の報告をしたということは、極めて喜ばしいことであり、感謝したいと思っている。

 おいおいですね。「我々は日本会議とはお友達です」と堂々と公言して恥じないのだから呆れます。

・友好団体で具体的に言えば、国家基本問題研究所も応援に立ち上がって欲しい
・日本の健全さの維持に心を砕いている全ての団体*11及び国民に応援をして欲しい。でなければこの問題は克服できないであろうと、私は思う。

 つまりは「応援に立ち上がってない」わけです。立ち上がってたらこんなことを言う必要は無い。こういうのを「語るに落ちる」と言います。国基研は今や「安倍政権と喧嘩なんかできない」「育鵬社は合格したんだからつくる会なんか要らない」と露骨につくる会切り捨てに動いてるわけです。
 もはや国基研はつくる会の友好団体では無い。だからこそ「任期満了」を口実に「国基研・副理事長」の田久保忠衛が最近、つくる会顧問を退任したわけです(<令和2年度定時社員総会>を開催!参照)。そういうことを実際には分かりながらも「俺たち、仲間じゃ無いか。見すてないでくれ」と泣き言を言ってるのがつくる会です。そしてその泣き言は、国基研に現時点で無視されてるし今後も恐らく無視され続けるでしょう。

 自民党にあっては、今も存在しているが「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(教科書議連)も新たに組織を懸けて頑張って欲しい。

 つまりは教科書議連も「応援に立ち上がってない」わけです。立ち上がってたらこんなことを言う必要は無い。こういうのを「語るに落ちる」と言います。教科書議連(自民ウヨ議員を中心とした集まり、安倍や萩生田も以前はここのメンバー)は今や「安倍政権と喧嘩なんかできない」「育鵬社は合格したんだからつくる会なんか要らない」と露骨につくる会切り捨てに動いてるわけです。そういうことを実際には分かりながらも「俺たち、仲間じゃ無いか。見すてないでくれ」と泣き言を言ってるのがつくる会です。そしてその泣き言は、教科書議連に現時点で無視されてるし今後も恐らく無視され続けるでしょう。


【産経抄】7月27日 - 産経ニュース

 ダラダラしているうちに4連休が終わってしまった、とお嘆きになっている皆さんも多いのではなかろうか。帝都の女帝サマ*12に「不要不急の外出は控えるように」と命じられ、しぶしぶ従った忠良な都民である抄子もその一人である。

 まあ小生もウチでゴロゴロして「ダラダラしているうちに4連休が終わってしまったダメ人間」ですね。

▼読書はコロナ蟄居(ちっきょ)の大いなる助っ人である。これまで買っただけで、読んだ気になっていた本をかなり消化できた。それだけでは足らずに、普段はあまり読まない(失礼!)「アサヒ芸能」(21日発売号)も手に取ってみたが、正直びっくりした。
▼『「北朝鮮スパイ」リストに「文科省調査官」の衝撃真相』というスクープが載っていたのだ。記事によると、韓国の情報当局が脱北者団体を家宅捜索したところ、「北朝鮮スパイリスト」が出てきて、教科書検定に関わっている文部科学省調査官の名前*13が記載されていた。
▼しかもこの調査官は、歴史教科書に「従軍慰安婦」の用語を復活させ、「新しい歴史教科書をつくる会」が提出した教科書を不合格にした張本人*14だという。事実なら由々しき事態である。
▼ご本人は、取材拒否*15したが、なぜこのような人物を、教科書の生殺与奪を握る調査官に任命したのか。出会い系バー通いを「女性の貧困調査」と言い募った*16事務次官が象徴するように、文科省は腐りきっている*17萩生田光一文科相、しっかりしないと、ミイラ取りがミイラになりますぞ*18

 ちなみに『アサ芸を読んでびっくりした』『「北朝鮮スパイ」リスト』云々の文章は登録してないと読めません。たぶん「登録しなくても読める部分」だけ読んだ方は『「北朝鮮スパイ」リスト』云々なんて与太は予想もしてなかったでしょうね。「何だ、今日はコロナ禍で読書に励んだという普通のネタか」と思ったんじゃ無いか。
 俺もログインしてこんなトンデモ文章を見たときはさすがに「予想の斜め上」で唖然としましたが。
 まあどう考えてもガセネタでしょうね。何で脱北者団体にそんなリストがあるのか、不自然極まりない。しかもよりによって「朝日新聞」「週刊朝日」やせめて「黒川賭け麻雀スクープ・週刊文春」や「財務次官セクハラスクープ・週刊新潮」ならまだしも「アサヒ芸能」とは「プッ、ゲラゲラ」「あそこ、怪しげな実話雑誌だろ(呆)」です。いやウヨ連中が今後無茶苦茶言い出す危険性を考えれば笑い事では無いかもしれませんが。
 「北朝鮮ガー」と言えば何でも正当化できると思ったら大間違いです。つうか「特定失踪者」とか、北朝鮮誹謗ネタほどウヨがデタラメなことぬかすネタもあまりない。
 まだ韓国、中国誹謗ネタはいくらかまともです。
 つうか「アンチ北朝鮮」産経ですら「産経抄でこうしてネタにはしても」現時点では後追い報道しない時点でガセネタ確実ですね。
 つうか「慰安婦用語の復活」はともかく「つくる会不合格」は「育鵬社合格」とセットで考えれば「つくる会潰しの謀略(黒幕は産経)」でしょう。自らが「つくる会不合格」の黒幕でありながらこんな記事を書くとはいい度胸です。まさにクズとしか言い様がない。


【追記その1】
”衝撃!北朝鮮の日本人スパイが文科省教科書調査官として「つくる会」教科書を検定不合格にした” | 電脳工廠・兵器(武器,弾薬)庫

 衝撃の「スパイリスト」に登場するX氏は、筑波大学を卒業後、同大学助手を経て、韓国・霊山大学の講師に就任。この時、韓国内で活動する北朝鮮工作員に「スカウト」されたという。
 その後、X氏は日本に戻り、都内の大学の講師に。中国流の共産主義毛沢東思想を称揚する著書*19も出版している。

 と言う経歴に該当するのは中前氏なので、まあ俺の邪推で正しかったようです。

新しい歴史教科書をつくる会
 教科書調査官・中前吾郎、北朝鮮工作員であったとの報道。文科省激震ですねえ。

というつくる会ツイートもありますしね。
 正直、「中前氏がアサ芸を名誉毀損で訴えてもいい」と思いますね。つくる会がアサ芸の与太を今後も垂れ流すようなら、つくる会も「名誉毀損で訴えてもいい」と思いますね。いずれにせよ、こんな酷い誹謗をしたことで教科書調査官たちは「中前氏に限らず」、「あんな酷い誹謗をする方々とまともな公開討論が成り立つとは思えない」という「格好の公開討論拒否の口実」を手に入れました。
 まあ、萩生田が「公開討論参加は望ましいとは思わない」と表明してるのでこの件がなくても公開討論参加はあり得ませんし、そもそもつくる会も本気で参加を期待していたわけでは無く「参加拒否を前提」に「調査官が逃げた、俺たちの大勝利」と宣伝したいだけでしょうが。
 それにしても「朝日、読売、毎日、日経(新聞)」「NHK、日テレ、TBS、テレ朝、テレ東(テレビ局)」「週刊朝日サンデー毎日(週刊誌)」などある程度評価されてるメディアならまだしも「怪しい実話雑誌・アサ芸の与太記事(後で触れます)」なんかで激震するわけ無いでしょう。
 女性スキャンダルで「事実上の引責辞任」に追い込まれた則定衛 - Wikipedia*20東京高検検事長

則定衛 - Wikipedia
 1999年、月刊誌「噂の眞相」5月号が「則定東京高検検事長が愛人ホステスを公費出張に同伴し偽名で宿泊、愛人と別れる際には慰謝料を、つきあいのあるパチンコ業者に肩代わりさせた」という女性スキャンダルをスクープとして報道し、朝日新聞が同年4月9日付でこれを引用する形で一面トップ記事としたことから主要新聞、スポーツ紙、週刊誌も大々的にこの問題を報じ、混乱の責任をとらされる形で則定は東京高検検事長を辞任に追い込まれた。

弁護士会の読書:『噂の真相』25年戦記
 「噂の真相」は何度も世間を動かしたことで有名です。法曹界でいうと、検事総長コースに乗っていた則定衛・東京高検検事長は、その椅子からこけてしまいました。銀座のクラブで働いていたA子さんから告発され、「噂の真相」の記事になるという予告記事が朝日新聞の一面トップを飾って大騒動になりました。やはり中味がひどいのです。パチンコ業界の接待で銀座の高級クラブを飲み歩くだけでなく、A子さんの中絶費用までパチンコ業者に払わせた。公務で関西出張していたときもA子さんを同伴し、その旅費まで公費で負担させていたというのです。呆れてモノが言えません。
 著者は私の1歳年長ですが、法政大学で新左翼の活動家でした。運動に挫折してマスコミ界に入ったわけですが、日本の深くて黒い闇の世界を暴くうえで、それなりに大きな役割を果たしてきたんだ、そう思いました。「噂の真相」が休刊*21となって、今の組織ジャーナリズムの不甲斐なさに歯がみしている私はそう思いました。

不祥事で辞職・懲戒免職…検察幹部、過去にも - 産経ニュース
 東京高検の黒川弘務*22検事長(63)が21日、週刊誌で報じられた賭けマージャン問題の責任をとって辞表を提出した。22日の閣議で辞職が承認される見通しだ。不祥事で検察幹部が辞職したり、懲戒免職になったりしたケースは、これまでも繰り返されてきた。
 平成11年、東京高検の則定衛(のりさだ・まもる)検事長(当時)が東京・銀座の元ホステスの女性を同伴して公務出張していた問題などが月刊誌に掲載されて発覚。最高検は「清廉であるべき検察への信頼を損ないかねず、厳重注意処分に付すのが相当」と判断。則定氏は厳重注意を受けて辞職した。
(後略)

ということで「朝日など有力メディアが『噂の真相』の則定批判を『信用性のあるもの』として後追い報道したから」辞任に追い込まれたのであり、「噂の真相」の報道「だけ」なら「怪しいマイナー雑誌(噂の真相)が怪しい記事書いてる」で終わり、則定氏も引責辞任せずに済んだでしょう。則定氏は検事総長にもなったかもしれない。で、このつくる会が騒いでる一件が「則定検事長スキャンダル」のように後追い報道があるかと言ったら無いでしょう(今のところ無いですし今後も無いでしょう)。産経ですら産経抄のネタにしただけでそれ以上何もしない。
 その状況では「怪しいマイナー雑誌(アサ芸)が怪しい記事書いてる」で終わりでしょう。
 むしろ「リクルート事件での高石元次官*23逮捕(リクルートからの収賄)」「最近の佐野元局長逮捕(東京医科大からの収賄)」等の方が文科省にとってよほど激震でしょうよ。
 むしろ「そこまでして、つくる会不合格が安倍と育鵬社の共謀であることを否定したいのか。そんなに安倍やフジサンケイと喧嘩したくないのか?」とつくる会に滑稽さと哀れみを感じます。
 個人的には萩生田光一 文部科学大臣の会見:文部科学省でこの件についてどっか(産経などウヨメディア)が質問するのか、質問したとして萩生田がどう答えるのかは興味があります。たぶん「この件で質問があったとしても」つくる会が期待するような回答を萩生田はしないでしょうが(もちろん質問なんかそもそも無いかもしれませんが)。
 「公安警察がスパイ容疑で捜査をしているわけでも無く、一メディアのあやふやな記事だけでは動きようがない。他社の後追い報道だって無い」「そもそもアサヒ芸能なんて信用に値するんですか?」で終わりじゃ無いか。


【追記その2】
【風を読む】教科書調査官と北朝鮮の闇 論説委員長・乾正人 - 産経ニュース
 既に上で突っ込んでるので改めては突っ込みません。一つだけコメントしておけば「産経の態度が明らかに腰が引けてる」点が重要ですね。
 産経抄やこの「乾コラム」などコラムで「アサ芸の報道ガー」と書いても、産経自ら、アサ芸の後追い報道はしないわけです。
 「アサ芸報道について文科省に調査を求めたい」の一言で片付けて逃げてしまう。「お前は調査しないのかよ、産経?」と言う話です。
 産経も「アサ芸の記事がガセだ」ということはよく分かってるのでしょう。結局、これは「我々産経はつくる会不合格なんか画策してないよ」「育鵬社合格とつくる会不合格が同時に起こったことは偶然にすぎない」「だからこうして調査官批判してるんじゃ無いか」と言い訳するためのアリバイ作り程度の話でしか恐らく無いでしょう。まあ、そんなせこい工作をしたところで「つくる会不合格の黒幕=産経」というのは完全にモロバレですが。
 つくる会だって本当は「黒幕は産経」とわかってるでしょう。それでも産経批判できないんだからつくる会一味も哀れな連中です。
 それにしても「産経の依頼」による「安倍の命令」で不合格にしてやったのに、感謝するどころか、その産経が「調査官に北朝鮮工作員疑惑ガー」とは調査官からすれば「手前、産経ふざけんな」「誰が俺に不合格にしろと命令したか全部バラしてやりたいわ(もちろん大本は安倍だが、調査官への直接の命令者は部課長?)」つうところでしょう。

*1:この立場に立った漫画が以前、週刊モーニングで連載されていた瀬下猛『ハーン』です。もちろん瀬下はあくまでも「ネタ(フィクション)として漫画」を描いていますが。

*2:この立場に立った漫画が現在、ビッグコミックスピリッツで連載されている東村アキコ雪花の虎』です。もちろん東村はあくまでも「ネタ(フィクション)として漫画」を描いていますが。

*3:文部省出身。文部科学省大臣官房会計課長、高等教育局私学部長、初等中等教育局長、大臣官房長等を経て現在文科事務次官

*4:科学技術庁出身。文部科学省科学技術・学術政策局基盤政策課長、研究振興局振興企画課長、官房審議官 (研究振興局担当)、内閣府政策統括官 (科学技術・イノベーション担当)等を経て文部科学審議官 (科学技術担当)(7月28日付けで退官予定)

*5:文部省出身。文部科学省スポーツ・青少年局競技スポーツ課長、高等教育局国立大学法人支援課長、大臣官房総務課長、大臣官房審議官(スポーツ・青少年局担当)等を経て、文部科学審議官(文教担当)(7月28日付けで退官予定)

*6:1981年に大分県立大分上野丘高等学校卒業後、1982年に大分医科大学事務局入局。上司の勧めで転任試験を受け、1988年 文部省配属。文部科学省初等中等教育特別支援教育課長、高等教育局私学部私学助成課長、大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、初等中等教育局長などを経て7月28日付けで文部科学審議官(文教担当)に昇格予定。

*7:いわゆるキャリアのこと

*8:いわゆるノンキャリアのこと

*9:たぶんこの「西郷の載ってる教科書」とやらがつくる会教科書であり、別に西郷云々で採択を決めたわけではないのでは無いか。

*10:別に「してはならないこと」でも無いでしょうが杉原の日本会議非難にマジギレした日本会議つくる会に対して敵対的に動いたが故につくる会から「どうもサーセン」と日本会議に泣きが入ったと言うことでしょう。政治力では「日本会議>絶対に越えられない壁>つくる会」のわけです。まあ、なんとも情けない連中です。「日本会議に絶対に逆らえない腰抜け=つくる会」がよくもまあ「朝鮮総連北朝鮮の言いなりだ」「民主党は連合の言いなりだ」とかいえたもんです。なるほどつくる会が安倍批判できない理由の一つは「安倍万歳の日本会議を敵に回すのが怖い」だったわけです。もちろんつくる会が怯えてるのは日本会議だけで無く自民党や産経相手にも怯えてるのでしょうが。つまりはつくる会とは「つくる会単体はでろくな政治力も無い」のでしょう。

*11:要するに歴史修正主義極右団体

*12:勿論小池都知事のこと

*13:名誉毀損を恐れてか産経が名前を出せない点が情けない。後でアサ芸をコンビニで立ち読みして名前を確認したいところです。まあ、俺の邪推(?)だと「韓国留学経験」があり、『初期毛沢東の思想』(2000年、近代文芸社)と言う著書がある中前吾郎氏かな?、と言う気がしますが。別に韓国留学経験があろうと毛沢東の研究書を書こうと北朝鮮スパイ呼ばわりされるいわれは全く無いですが、「近代ドイツ史専門の鈴木楠緒子氏(著書『ドイツ帝国の成立と東アジア』(2012年、ミネルヴァ書房))」「古代ギリシャ専門の橋本資久氏」「日本近代史専門の村瀬信一氏(著書『首相になれなかった男たち:井上馨・床次竹二郎・河野一郎』(2014年、吉川弘文館)、『帝国議会』(2015年、講談社選書メチエ)など)」に比べれば『毛沢東』『韓国留学』で印象操作しやすいでしょうからね。

*14:調査官は4人おり、その中で「一番偉い主任調査官(一番年上でもある)」は村瀬信一氏ですが、たぶん産経の言う張本人とは村瀬氏では無く、中前氏でしょう

*15:そりゃそんなばかばかしい話は普通取材拒否でしょう。「北朝鮮スパイで無い証拠を出せ」と言われてもそんなもん出せないし、どうせアサヒ芸能がまともな記事を書くわけが無いし。

*16:言いつのるも何も違法性は何ら認められなかった話をまた持ち出すとは産経も呆れたバカです。

*17:腐敗云々というなら先日、法廷が開かれた佐野元局長の収賄事件でも持ち出せばいいのに。アレは起訴事実が本当なら文句なく腐敗ですので。まあ、産経が前川氏の加計告発を恨んでるからこうなるわけです。

*18:つくる会不合格は「教科書版モリカケ」で黒幕は産経&安倍、萩生田なのによくもいったもんです。

*19:称揚する著書かどうか読んだことがないので知りませんが、調査官の中で中前氏だけが『初期毛沢東の思想』(2000年、近代文芸社)という毛沢東研究書を書いています。

*20:法務省大臣官房長 、法務省刑事局長、法務事務次官東京高等検察庁検事長など歴任

*21:とはいえ、LITERA - Wikipediaによれば、元「噂の真相」メンバー(元副編集長の川端幹人氏、元デスクの神林広恵氏など)が始めたのがLITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見のようでなかなか面白い安倍批判などをやってると思います。

*22:法務省大臣官房長、法務事務次官、東京高検検事長など歴任

*23:文部省大臣官房総務課長、社会教育局長、体育局長、大臣官房長、初等中等教育局長等を経て文部事務次官