新刊紹介:「前衛」1月号

「前衛」1月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは1月号を読んでください)
 
■「スターリン秘史――39〜40年のヨーロッパ情勢」(不破哲三*1
(内容要約)
・連載の第12回目。スターリンがドイツと結んだ密約によって始めた「バルト三国併合」「フィンランド戦争」が取り上げられる。
 「三国併合」は三国(エストニアラトビアリトアニア)も目立った抵抗は出来ず、国際社会も支援をしなかったためスターリンの野望は完全に実現する。
 しかしフィンランド相手には「フィンランドの抵抗戦争」に苦しめられ、思うような成果は上がらなかった。フィンランドから一部領土を割譲するものの「当初ねらった衛星国化」とはほど遠い戦果だった。
スターリンフィンランド衛星国化計画の第一段階として亡命フィンランド人・クーシネンを首班とする傀儡政権フィンランド民主共和国をでっちあげた。スターリンとしては『フィンランド共産党書記長・トゥオミネン』を傀儡政権首班に担ぎ出すため、彼をモスクワに呼び出そうとしたが、不破論文に寄れば『モスクワに行ったら傀儡政権作りへの協力を強要され、断ったら最悪殺される、そんな目に遭わされてはたまらない』と認識していたトゥオミネンがあれこれ口実をつけてモスクワに行かなかったためクーシネン担ぎ出しになったようだ)


■「経済も社会も壊す安倍政権の労働法制の全面改悪」(寺沢亜志也)
(内容要約)
 「限定正社員」「ホワイトカラーエグザンプション」など安倍内閣がねらう労働法制改悪への批判、及び共産党の提出した「ブラック企業規制法案」の説明。

参考
【安倍政権の労働政策とそれに対する批判】
赤旗
主張『安倍政権の「雇用改革」、ねらいは正社員雇用の破壊だ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-21/2013052101_05_1.html
『「限定正社員」って何だ?!、解雇しやすく低賃金、政府・規制改革会議の答申』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-06-06/2013060603_01_1.html
『法の大改悪へ、厚労省研究会素案、派遣労働の永続使用を狙う、制度を「根本から再検討」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-20/2013082005_01_1.html
『「ブラック企業特区」 断念、安倍内閣が決定、世論と運動に押され、有期雇用は延長を狙う』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-19/2013101901_08_1.html
『安倍政権の労働法制大改悪、全労連も連合も反対』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-06/2013110601_03_1.html


共産党ブラック企業規制法案】
赤旗
ブラック企業規制へ法案、共産党 公約実践第1号 参院提出、志位委員長が会見』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-16/2013101601_01_1.html
ブラック企業規制法案の提案にあたって:2013年10月15日 日本共産党
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-16/2013101606_01_0.html
『「ブラック企業規制法案」要綱:2013年10月15日 日本共産党国会議員団』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-16/2013101606_02_0.html
主張『ブラック企業規制法、「人間使い捨て」やめさせよう』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-17/2013101701_05_1.html
ブラック企業対策 企業の離職率公表へ、規制法案と同じ方向 小池氏に厚労相
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-04/2013120401_04_1.html


 法案の三本柱として「労働時間の短縮(時短)」「採用情報の適正化(虚偽情報の掲載がないようにする)」「パワハラの撲滅」を掲げている。


■「大企業・お金持ち優遇の「アベノミクス」で庶民生活は痛みばかり」(山家悠紀夫*2
(内容要約)
Q&A形式で書いてみる。
Q「安倍内閣の消費税増税方針をどう見ますか」
A「びっくりしたのは、消費税増税で税収増が見込まれてるのが6兆円なのに、消費税増税による景気への悪影響を避けるために5兆円の景気対策を打つ、としていることです。まともな経済政策とはとても思えません。だったら消費税増税しなければいいのです」
Q「アベノミクスで景気が良くなったと言えるのでしょうか」
A「円安、株価高でそのような誤解もあるようですが、とてもそんな事は言えません。統計では、2013年8月のサラリーマン世帯の収入は0.2%増にとどまっています。円安による輸入品物価の上昇や、社会保険料負担の増加などを考えれば実質的な給与は減少したと見ていいでしょう。また雇用が増えたと安倍さんは言いますが増えたのは待遇の悪い非正規で正社員はむしろ減っています。これでは素直に喜べませんし、そもそも雇用増がアベノミクス効果かどうかも疑問です。アベノミクスである程度良くなっているのは円安の恩恵がある輸出大企業ぐらいのものでしょう。消費税増税が予定通り実行されれば景気にも国民生活にも大きなダメージを与えるでしょう」
「金融の量的緩和で円安、株価高を作り出すというのはバブルみたいなものです。実態がないのだからいずれ破局が来る。やるべきことは『社会保障の充実』や『雇用の安定』による内需の拡大でしょう。安倍政権は『社会保障切り捨て』『雇用の不安定化』という全く逆のことを目指しているわけですが」


■「憲法集団的自衛権:政府解釈の変更論を中心に」(浦田一郎*3
(内容要約)
・政府の従来の集団的自衛権解釈をまず説明。
・政府は「安保条約での武力行使集団的自衛権に該当しない」としてきた。その場合のポイントは「攻撃対象が在日米軍基地であり、日本の領域だから日本への攻撃と同一視できる」というものであった。当然ながら「日本領域外での米軍への攻撃」での「自衛隊の応戦」は想定されていない。
集団的自衛権は「国際法上の権利」であるが「義務ではなく権利である」ので「憲法で制約することには何の問題もなく、憲法上、集団的自衛権は認められていない」と政府は解釈してきた。
・その場合「必要最小限度の自衛権」は憲法上認められるが、「集団的自衛権は必要最小限度の自衛権とは言えない」とするのが政府解釈であった。
 こうした政府解釈からは、革新だけでなくいわゆる保守本流も「日本が攻撃されていないケースでまで米国の求めに応じて自衛隊を出すことは適切でない」という判断をしていたことが読み取れる。
・安倍政権はこうした従来の政府解釈を否定して「集団的自衛権も最小限度の自衛権に含まれる」と政府見解を変更して事実上の改憲をねらっているわけである。
・もちろん、こうした解釈改憲を安倍政権がねらっている背景には「明文改憲は困難」と安倍内閣が認識しているからである。
・ただこうした解釈改憲は、あまりにも無茶が過ぎるため「9条改憲派」の中にすら批判がある点に注意が必要である。このような解釈改憲を認めるならば「9条」に限らず、従来の政府見解を時の内閣の意思で好き勝手に変更できることになりかねず、あまりにもリスキーだからである。


■「原発を続ける経済性はない:エネルギー転換は今すぐ可能」(大島堅一*4
(内容要約)
・「原発の低コスト」とは「事故が起こった場合の損害賠償費用」「廃炉費用」「放射性廃棄物の処理費用」「原発に反対する地元を懐柔する為にばらまかれる補助金」をネグった「偽りの低コスト」であった。そうした物をカウントすれば「最も高コスト」なのが原発である。
 福島原発事故発生と「それによる東電の経営危機」によりそうした偽りが誰の目にも明白になったと言えるだろう。
・事故の現状について、東電に当事者能力があるとは思われず、政府が当事者として事故処理に乗り出すことが必要と考える。ただしそれは「東電の民事責任」をあいまいにするものであってはならない。 また東電の株主や貸し手銀行、東電と一緒に原発を推進してきた電力業界にもそれ相応の責任を負わせるべきと考える。東電処理に税金投入を行う場合にもそうしたことは曖昧にしてはならないと考える。
・国は「廃炉コストを電力料金に加えること」を認めているが企業の付け回しを当然に電気利用者に負わせるのはおかしいのではないか。
福島原発事故が収束していないにも関わらず、原発輸出を行ったり、原発再稼働を目指したりするのは無責任である。
原発から脱却し、再生可能エネルギーに転換していくことが必要である。その場合参考となるのは既に多くの論者が指摘していることだが「日本同様、以前は原発大国であったが、再生可能エネルギー推進の方向に動き一定の成果を得ている」ドイツの経験だと考える。
・また既に多くの論者が主張していることだが、再生可能エネルギーの普及を進めるためにはいわゆる「発送電分離の推進」が必要である。


■「米兵犯罪被害の救済に何が求められているのか:横須賀・米兵による女性強盗殺人事件国家賠償請求訴訟の成果と問題点」(中村晋輔)
(内容要約)
・筆者は『横須賀・米兵による女性強盗殺人事件国家賠償請求訴訟弁護団』の一員である。
・訴訟において一審・横浜地裁は「米兵の損害賠償責任」は認めたが日本政府の責任は否定。原告は控訴したが高裁、最高裁もそうした不当な判決を維持した。
・訴訟の成果としては一審横浜地裁が「勤務時間外の行為」でも米兵犯罪について米軍や国に民事賠償責任が発生しうる(勤務時間外と言うだけでは民事賠償責任は否定されない)とした点がある。地裁判決は「国の責任」は認めなかったが「勤務時間外の行為には責任を負うことはあり得ない」とした日本政府の主張を退けた点は評価できる。
・今回の訴訟やその他の訴訟から米兵犯罪の民事責任追及には以下の問題点があると言える。
1)米軍が情報公開に非協力的な事
 米軍は訴訟において原告側の情報開示請求に「軍事機密」を理由に拒否した。これは「民事訴訟に関する日米合意」が原因だと思われる。米軍の不当な情報公開拒否をもたらしているこうした合意は直ちに廃棄されるべきである。
2)米国がまともに見舞金を支払わない問題
 日米地位協定18条6項では米兵犯罪の見舞い金を米軍が支払うこととされているが、支払いが大幅に遅延することが少なくない。しかも「18条6項」では日本政府の支払い義務は定められていないために(米軍の代わりに日本政府が支払うことを被害者が求めても)日本政府は支払いを渋ることが少なくない。現行法制度を「日本政府がまず被害者に支払いを行った上で支払い分を米国に請求するという制度(つまり米国が損害賠償を踏み倒そうとした場合は被害者ではなく日本政府がダメージを受ける制度)」に改めるべきである。


参考
赤旗
『横須賀・女性強殺事件、日本政府と米兵を提訴 遺族』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-10-21/2006102115_01_0.html
『強殺米兵に賠償命令、横須賀女性殺害 国の責任は認めず、横浜地裁
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-05-21/2009052115_01_1.html
『米兵による女性殺害事件 最高裁での勝利を:山崎さん支援する会が集い、横浜』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-14/2012091404_03_1.html


■座談会「『古典教室』第2巻を語る」(石川康*5不破哲三*6山口富男
(内容要約)
 不破の著書「古典教室第2巻:第3課・エンゲルス『空想から科学へ』」(2013年、新日本出版社)についての座談会。
 なお、他に『古典教室』のシリーズとしては第1巻「古典教室第1巻:第1課・マルクス『賃金、価格および利潤』、第2課・マルクス『経済学批判・序言』」(2013年、新日本出版社)、「古典教室第3巻:第4課・エンゲルス『フランスにおける階級闘争』(マルクス)への「序文」、第5課・マルクスエンゲルス以後の理論史」(2013年、新日本出版社)がある。

参考
綱領・古典の連続教室
http://www.jcp.or.jp/kk_kyousitu/#fragment-1


■論点
【破綻した日本軍『慰安婦』の『強制連行はなかった』答弁書(山下唯志)】
(内容要約)
・『強制連行はなかった』答弁書とは第1次安倍内閣辻元清美議員の質問に対して行った答弁書である。
 この答弁書は後で指摘するように虚偽に基づいているが、「こういう答弁書を決定した安倍がそれでも河野談話を踏襲したこと」は重要なポイントである。
 つまり安倍は「本心はともかく」、建前では「河野談話と『狭義の強制連行否定論』は矛盾しない」という立場をとったのである。
 この安倍の立場を認める限り「狭義の強制連行否定論(後述するように全ての慰安婦がいわゆる『狭義の強制連行』ではないが、狭義の強制連行も存在するので間違った認識である)」を理由に河野談話は否定できないのだがそういう論理性がないのが産経のような極右・歴史捏造主義者である(そもそも河野談話その他が問題にしている慰安婦の問題性は「強制管理売春だったこと」であり「狭義の強制連行問題」に限定されないが)。
・この答弁書の虚偽性が赤嶺政賢議員の質問によって崩壊したという話である。赤嶺氏は「第一次安倍内閣答弁書では政府が発見した文書には強制連行を示すものはなかったというが、政府発見文書にはいわゆるスマラン事件裁判記録があるじゃないですか?」と問い詰め、第二次安倍内閣から「スマラン事件裁判記録は確かに政府発見文書にはあるがそれでも第一次安倍内閣答弁書は間違っていない」という「とんでもない認識」を引き出すことに成功した。この認識は詭弁にすらなってないと言えるだろう。
 この安倍の酷さについては以下のエントリを参考に紹介しておく。もちろん安倍を容認する自民党、マスコミ、日本社会が道義的に劣ってることは言うまでもない。


Apes! Not Monkeys! はてな別館『マスメディアがほとんどとりあげない安倍内閣の窮状』
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20131104/p1
誰かの妄想・はてな版「安倍政権にとって、軍人が民間人女性に売春を強要するために軍用売春宿に連行する行為は、強制連行にあたらないらしい」
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20130627/1372338319


【勤務実態調査からみえた教職員の労働実態と課題(蟹澤昭三)】
(内容要約)
・筆者は全日本教職員組合(全教)副委員長。本論文は全教が行った教職員の勤務実態調査をもとに教職員の世界においても異常な長時間労働が横行していることを指摘、「教員の増加」や「いわゆる教職員給与特別措置法の特例措置を廃止し時間外給与をきちんと支払うこと」などを求めている。

参考
赤旗
『先生の時間外労働月91時間、自宅でも仕事、過労死レベル、全教実態調査』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-18/2013101801_04_1.html


■暮らしの焦点「風力発電の建設は健康被害の解消といのち・安全の確保が必要」(埋橋忠彦)
(内容要約)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-08-30/2010083015_02_1.html
紙議員は「日本共産党はクリーンエネルギー推進の立場ですが、事業を進めるには情報を公開し、人体への影響と自然環境の破壊について、住民の疑問に答えることが必要です。事業者に説明を求めます」と話しました。

ということですね。もちろん「原発が事故ったときの放射能」とは比べものにならない*7ですが風力発電には騒音問題などが報告されており、一定の規制が必要という話です。

参考
赤旗
風力発電健康被害続発:民家からの距離など 設置基準が必要』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-10-21/2009102114_01_1.html
風力発電 健康は自然は、北海道小樽 紙議員が調査』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-08-30/2010083015_02_1.html


特集『安倍「教育再生」とどう戦うか2』
■「安倍政権の教科書政策の現況と課題」(石山久男*8
(内容要約)
 まあ、「安倍政権の教科書政策」とは要するに
1)「歴史教科書では戦前を出来る限り美化しろ、慰安婦とか南京事件とか書くな(出来ればこれらの事件がなかったと書きたい。いわゆる近隣諸国条項を廃止したい。河野談話村山談話もチャラにしたい)」「公民教科書では政府の政策を批判するな、イラク戦争国際法違反じゃないかとか、自衛隊派兵は違憲じゃないか、とか書くな」「そういう教科書が検定合格しないようにしたい」
2)「そう言う意味でつくる会教科書はすばらしい」「地方自治体がつくる会教科書をどんどん採用するようにしたい」「教育委員会制度を出来れば廃止したい(それが無理でも出来る限り、教科書採択権限など教委の権限を首長に移したい)」という話です。
 でそういう安倍の暴挙を許さない運動を強めようという話です。
 ただ「公民教科書では政府批判するな」はともかく、「歴史教科書で戦前を美化しろ」は公然と実行すると確実に日中、日韓関係が悪化する(すでに閣僚の靖国参拝などでいい加減悪化していますが)のでさすがに安倍にも「一定の配慮」が働くのだろうとは思いますが(まあ、米国からも確実に圧力がかかるでしょうね)。


参考
赤旗
『神奈川県教委が不当介入、実教出版「日本史」教科書 再検討求める、審議前に圧力』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-31/2013073114_01_1.html
『日の丸・君が代強制記す教科書、都教委また排除』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-23/2013082301_04_1.html
改憲誘導の公民教科書を押し付け、竹富町への「是正要求」指示、沖縄県文科相
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-19/2013101901_04_1.html
 紹介記事は必ずしも安倍政権の政策ではありませんが極右政権・安倍内閣の誕生に助長されているという面はあるでしょう。


■文化の話題
【音楽:ライマンのオペラ『リア』*9を見る(小村公次)】
(内容要約)
 日生劇場で行われたオペラ『リア』の紹介(公式サイト:http://www.nissaytheatre.or.jp/program/2013/04/program-674.html)。


【演劇:イッツフォーリーブズ公演『見上げてごらん夜の星を:ミュージカルこそわが人生』(水村武)】
(内容要約)
 いずみたく創始者の劇団『イッツフォーリーブズ』の公演『見上げてごらん夜の星を:ミュージカルこそわが人生』の紹介(公式サイト:http://miagete.tumblr.com/)。

【ものがたり】
 昭和30年代後半、高度経済成長期の真っ只中、日本では多くの働き手を求められ、中学を出たばかりの若者は“金の卵”と呼ばれ、学校よりも働くことが当たり前であった。そんな金の卵のひとり坂本*10は、自分の将来のために昼間は働き、夜は定時制高校に通っていた。坂本は昼間の高校で同じ教室の机を使っている女生徒・ユミコと机を介して文通を始める。坂本とその仲間たちにとって、まだ会ったことがないユミコはアイドルであった。ある日、坂本は自分の机の中に女性物の財布を見つけるのだか…。
【みどころ】
 永六輔いずみたくが初めて創ったオリジナルミュージカル「見上げてごらん夜の星を」。そのミュージカルから日本のスタンダードナンバーとなった同名の名曲が生まれました。和製ミュージカルの原点とも言えるこの作品を、いずみたくが立ち上げた劇団、ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズが昨年、いずみたく没20年を記念してリバイバル上演、多くの皆さまに好評を頂きました。そして2013年秋、いよいよ全国公演がスタートします。夢と希望を持って、愛する人と共に生きること、それがきっと日本の未来に繋がる…若き日の永六輔いずみたくが描いた青春群像劇にどうぞご期待下さい。

ということですね(以上イッツフォーリーズ公式サイトの引用)。「中卒者が金の卵」とは時代を感じさせます(今時中卒者なんかいない)。歌手・井沢八郎の「あゝ上野駅」(1964年)の時代ですね。井沢八郎というのは女優・工藤夕貴の父親です。つうても最近の若者は工藤夕貴知らんかも。映画が主戦場らしくて最近テレビで見ないからな。
・ただ、『ミュージカルこそわが人生』と言う副題で気付いた人もいるかも知れませんが今回の公演は初演版とは少し違います。

http://iwaki-enkan.jp/2013/08/%E3%82%A4%E3%83%83%E3%83%84%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E5%85%AC%E6%BC%94%E3%80%80%E3%80%8E%E8%A6%8B%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%81%A6%E3%81%94%E3%82%89%E3%82%93%E5%A4%9C%E3%81%AE/
 作曲家泉川*11はCMソング*12制作で仕事に追われていたが、今後もこの仕事に賭けるかどうか悩んでいた。そこへ作家の永田*13がミュージカル企画の提案を持ちかける*14

http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20120129/p2
 いずみたく没20年を記念してのリバイバル上演で、『オリジナル台本に「永六輔いずみたくが、当時何故ミュージカルを作りたかったのか」というサブストーリーを書き加え』たとのことだが、この潤色が、よく出来ている。
 もともとの「見上げてごらん夜の星を」では主人公を含めて7人いた夜学生の若者を6人にした代わりに、いずみたくに擬した作曲家と永六輔らしき放送作家を登場させ、ミュージカルの進行と並行して、その作り手である作曲家の苦心譚を挿入している。

ということで泉川(いずみ)・永田(永)コンビのミュージカル作りが本筋で「坂本とユミコの話」は「劇中劇」と言う扱いのようです。
・今や「見上げてごらん夜の星を」といえば「坂本九」の歌として有名ですが

元々は、1960年に永六輔いずみたくが制作・公演した同名ミュージカルの劇中主題歌であり坂本九とは別のコーラスグループが歌っていた。1963年5月1日に、坂本が東芝音楽工業(現:EMIミュージック・ジャパン)からシングルレコードとしてリリースすると大ヒットした(ウィキペ「見上げてごらん夜の星を」)。

ということで当初は坂本とは関係ありません。
 なお、1960年のミュージカルですがウィキペ『見上げてごらん夜の星を』によると『製作・大阪労音』だそうです。労音勤労者音楽協議会の略称で共産党色が強い団体だと言われています。ただウィキペ『労音』によると

週刊新潮2007年7月19日号で共産党は大嫌いだと発言した美輪明宏は、この発言以降も継続して労音コンサートに出演している

そうですが(ちなみに似た団体というか、創価学会労音に対抗して作ったと言われる『民音民主音楽協会)』というのがあります)。
 まあ、何が言いたいかというといずみたくとは熱心な共産党支持者として有名な人だったと言う事です(この論文に寄れば若い頃はいわゆる「うたごえ運動」に参加していたらしい)。ウィキペディアいずみたく」にも

1986年(昭和61年)、第二院クラブから参議院比例区に出馬するも落選。1989年(平成元年)、青島幸男辞職による繰り上げ当選となった。出馬の理由は、日本共産党支持者として有名であったが、同党がタレント議員に否定的だったためと言われているが、同党への支持は変わりなく、友人である青島幸男に強く請われたためだとする説も有力である。

とその当たりのことが書いてありますし、ライプチヒの夏『1973年の都議選における各政党を支持する有名人』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/31b365e5583a37c483a2655f751f9338)にも共産党支持者としていずみたくの名前が出てきます。


【美術:「小林多喜二から梅原龍三郎まで:プロレタリア美術のことなど」(朽木一)】
(内容要約)
 兵庫県立美術館で行われた「昭和モダン・小林多喜二から梅原龍三郎まで:絵画と文学 1926〜1936」の紹介(公式サイト:http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1311/)。前衛ですのでどうしてもポイントは「梅原龍三郎」よりも「小林多喜二(プロレタリア芸術)」のほうに置かれています。
ちなみにhttp://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1311/config.htmlで取り上げられてるプロレタリア美術家がわかりますが、豆知識。
 岡本唐貴というのは「カムイ伝」で知られる漫画家・白土三平(本名・岡本登)の父親です(ウィキペ「岡本唐貴」参照)。 


■スポーツ最前線「男子体操ニッポンの強さとリオ五輪にむけた戦略」(辛仁夏)
(内容要約)
 最近の男子体操は強い、と言う話ですね。

参考
赤旗『白井「金」17歳急成長、世界体操』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-07/2013100701_04_1.html
産経新聞『【世界体操】白井、日本史上最年少の「金」 内村「銅」 男子床運動
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/131005/oth13100522260015-n1.htm


■メディア時評
【新聞:秘密保護法案の粉砕を(金光奎)】
(内容要約)
・残念ながら粉砕できなかった(12/8発売なので当然ながら原稿の締め切りは法案が成立した12/6よりもずっと早い)わけだが今後は「抜本的改正または廃止」の戦いが始まるわけである。
・ほとんどの新聞は「与党とみんなの党の修正合意後」も「修正は不十分」「みんなの党は『合意ありき』『連立参加ありき』ではないのか」として、法案や「合意に踏み切ったみんなの党・渡辺執行部」に批判的態度を取った(そのことが、「修正合意で世論を丸め込めるはず」と甘く考えていたみんなの党に「迷走」を産んだ)
 しかし読売、産経は法案提出後、最初から最後まで政府案を支持し続けた(中曽根スパイ防止法には批判的態度を取った読売がそこまで右傾化したことが注目される。産経はスパイ防止法案にも賛成した新聞で、政府自民党万歳はいつものことなので意外でも何でもない)。
読売、産経にはジャーナリズム精神がないのかと疑う。
・政府案を全面的に支持することが多い日経ですら「法案の内容」や「審議のあり方」に批判を行ったことは注目される。


【テレビ:バラエティ番組の迷走(沢木啓三)】
(内容要約)
取り上げられている題材は以下の通り。
(1)フジテレビ『ほこ×たて』打ち切り
(2−1)フジテレビ『FNS27時間テレビ』のコーナー「生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル」に対し2013年12/22にBPOが批判意見を表明したこと
(2−2)フジテレビが2013年12/22に「笑っていいとも」打ち切りを発表したこと
(3)TBS『マツコの日本ボカシ話』の打ち切り

以下簡単に説明。
(1)『ほこ×たて』の打ち切りについては
産経新聞『フジ「ほこ×たて」放送打ち切り 不適切演出6件確認』
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/131101/ent13110118350011-n1.htm
参照。
 1)「スナイパー対ラジコン」対決3連戦を行ったところ、「ラジコンの3勝という圧勝で終わった」
 2)「しかしそれでつまらない、視聴率がとれない」と判断したフジサイドが「スナイパー側に有利な条件を設定」、結果「2対1」の僅差でスナイパー側勝利という結果になり、それが実際に放送された。しかしスナイパー側に有利な条件設定がされたということは番組内で一切説明されなかった
 3)しかし放送後、ラジコンサイドがこうした事情を暴露。その暴露が大筋で事実であることが判明。その後のフジの調査で他にも同様の「対決ルールを途中変更したにもかかわらず番組内で説明しない」などの「不適切演出」が6件あることが判明。
 「本当の対決をウリにしていた番組でこのような事態が判明しては視聴者の信頼が失われたと判断せざるを得ない。もはや打ちきりしかない」というフジの判断で番組打ち切りが発表された。
(2−1)についてはBPO『フジテレビ「生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!」で局の制作責任者らと意見交換』(http://www.bpo.gr.jp/?p=6886)、『フジテレビ「生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!」に関するBPO放送と青少年に関する委員会」の考え』(http://www.bpo.gr.jp/?p=6927)、メンズサイゾー『「爆烈お父さん」が封印される? BPOから『27時間テレビ』に“物言い”』(http://news.livedoor.com/article/detail/8038869/)参照。
 1)「生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル」でお笑い芸人がAKB48のメンバーに「おふざけでプロレスをかけるシーン」があったことについて視聴者からBPOやフジテレビに「道徳的に問題ではないのか」などとする抗議が出る
 2)それに対し、BPOがフジに苦言を呈する意見表明をしたと言う話。
(2−2)について。「いいとも打ち切り発表がBPOの意見発表と同時期だった」ため、放送業界から「BPO意見を目立たなくするためにあえてぶつけたのではないか」という批判が出ているという話。
 沢木氏は真偽不明としながらも「そうした疑念を招かないため別の日に打ち切り発表すべきではなかったか(もちろん真実がその通りなら姑息であり、論外である)」としている。
(3)について。「ボカシ話」打ち切りについてTBSは「ボカシ多用は局の内規に抵触する疑いがある」としたが沢木氏は「第1回が放送されたのにそんなことがあるのか」と疑念を呈している。
 そして「スポンサータブー(生保会社の反発)で番組がつぶれたのではないか(第1回は生保レディーの暴露話だった)」という説があることを紹介している。

*1:著書『スターリン大国主義』(1982年、新日本新書)

*2:著書『「構造改革」という幻想―経済危機からどう脱出するか 』(2001年、岩波書店)、『「痛み」はもうたくさんだ!―脱「構造改革」宣言』(2007年、かもがわ出版)、『暮らし視点の経済学―経済、財政、生活の再建のために』(2011年、新日本出版社)など

*3:著書『自衛力論の論理と歴史: 憲法解釈と憲法改正のあいだ』(2012年、日本評論社)、『政府の憲法九条解釈 ―内閣法制局資料と解説』(編著、2013年、信山社

*4:著書『再生可能エネルギーの政治経済学』(2010年、東洋経済新報社)、『原発のコスト:エネルギー転換への視点』(2011年、岩波新書)、『原発はやっぱり割に合わない:国民から見た本当のコスト』(2012年、東洋経済新報社

*5:著書『マルクスのかじり方』(2011年、新日本出版社)、『若者よ、マルクスを読もう:20歳代の模索と情熱』(共著、2013年、角川ソフィア文庫

*6:著書『マルクスは生きている』(2009年、平凡社新書

*7:言うまでなく共産党脱原発派であり、風力発電を含む再生可能エネルギー推進の立場です。風力発電を全否定しているわけではありません。

*8:著書『十五年戦争をどう教えるか』(1989年、あずみの書房)、『近現代史と教科書問題』(1998年、新興出版社、1998年)、『教科書検定』(2008年、岩波書店

*9:シェイクスピアリア王」のオペラ化

*10:坂本九とは関係ありません

*11:もちろんいずみたくがモデル

*12:代表作「伊東へ行くならハトヤ」「チョコレートは明治」「バーモントカレーの歌」など

*13:もちろん永六輔がモデル

*14:実際はどちらが持ちかけたのかはこれではわからないでしょうが