新刊紹介:「前衛」4月号

「前衛」4月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。興味のある内容だけ簡単に触れます。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
■「スターリン*1秘史・巨悪の成立と展開:中国革命とスターリン」(不破哲三*2
(内容要約)
・連載の第27回目。
 まずスターリンが「中国共産党の内戦勝利」に懐疑的で、支援に冷淡だったこと、そのことで中国共産党との間に溝ができることが紹介される。
 スターリンはこの溝を中国共産党内に、親ソ連派を育成することで解消しようとし、高崗を支援した。しかし高崗の失脚によりその試みは挫折した。
スターリンはいわゆる「劉少奇テーゼ」を北京で開催されたアジア・大洋州労組会議で劉少奇に演説させた。当初は大して注目されていなかったこの演説が後に「日本共産党に中ソが武力闘争を押しつけて混乱を引き起こすこと」につながっていく。

参考

高崗(1905年〜1954年:ウィキペ参照)
 国共内戦が始まると、中国東北地方で活動し、党中央東北局第一書記、東北人民政府主席、東北軍区司令員(司令官)兼政治委員を務め、東北地方の党・政・軍を一手に掌握した。1948年には中華人民共和国の建国に先駆けて、「ソ連・東北人民政府貿易協定」を結ぶなど、独自の政治運営を行い、スターリン率いるソ連との関係を深めていった。
 1949年に中華人民共和国が建国されると、高崗は中央人民政府副主席に任命された。さらに東北行政委員会主席を兼任し、引き続き東北地方を掌握した。
 1951年10月、中央人民政府人民革命軍事委員会副主席を兼任。翌年、これまで活動の拠点としていた東北地方から北京に移り、新設された中央人民政府国家計画委員会の主席に就任、ソ連方式の経済建設の陣頭指揮をとることとなった。1953年1月より、高崗率いる国家計画委員会の主導で第一次五カ年計画が発動された。
 しかし、早くもこの年、後の反ソ連につながる権力闘争が始まった。すなわち、高崗が党のナンバー2である劉少奇・政府副主席や周恩来・首相に反対し、陰謀を仕掛けたというのである。1954年2月、第7期4中全会が開かれた。この会議において高崗と饒漱石(高崗の部下)は「反党分裂活動を起こした」と厳しく批判され、失脚に追い込まれた。いわゆる「高崗・饒漱石事件」である。1953年3月にはスターリンが死去しており、さらにスターリンと緊密だった高崗が失脚すると、毛沢東の経済政策は脱スターリン化が進んでいった。
 高崗は第7期4中全会の最中に自殺未遂を起こし一命を取り留めたが、結局1954年8月17日に服毒自殺した。そして翌年3月31日、党全国代表者会議において「高崗・饒漱石反党連盟に関する決議」が採択され、高崗は東北を「独立王国たらしめようとした」と批判されて党籍を剥奪された。


■「安倍政権の「戦争立法」策動を阻止する」(小沢隆*3
■「集団的自衛権行使容認で日本はどう変わるのか」(川口創*4
(内容要約)
 集団的自衛権行使容認の閣議決定を元に安倍が成立を目指す「自衛隊海外派兵の恒久立法(従来は時限立法)」に対する批判です。

赤旗
■主張『自衛隊海外派兵法、戦争参加へ歯止めがなくなる』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-23/2015022302_01_1.html
■『安保法制 与党協議資料、自衛隊派兵の恒久法、国と社会の軍事化』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-28/2015022802_04_1.html
■『安保法制 二つの重大問題、与党協議から浮かんだ「戦争する国」への道』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-02/2015030201_05_1.html


■「安倍「地方創生」では地方の衰退をとめられない」(藤田安一)
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■主張『「地方創生」議論、「反省なき国策」で地域壊すな』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-17/2014101701_05_1.html
■『反省なき安倍政権「地方創生」、衰退させているのは誰なのか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-05/2015010502_01_1.html


■「「大阪都」構想ストップ、「維新政治ノー」:日本共産党の躍進と広範な共同を」(中村正男
■「大阪都構想アベノミクスの地方版では大阪の将来が展望できない」(中山徹*5
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■『公明党方針転換で復活 橋下維新の「都」構想、究極の大阪破壊』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-14/2015011403_01_1.html
 公明と橋下の恥知らずな野合への批判です。


■『安倍首相と橋下市長、改憲・「都」構想で連携、住民投票なら国政影響も』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-27/2015012702_02_1.html
 安倍と橋下の野合を考えれば都構想を潰すことで安倍の企みにも痛撃を与えることができるという話です。


■『「大阪都」構想 三つの大問題:維新のウソとホント』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-24/2015022403_01_1.html
■主張『「大阪都住民投票」、中身もやり方もとんでもない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-23/2015012301_05_1.html
 都構想の内容への批判です。


■『「大阪都」構想「反対派」の出演、橋下市長 テレビ各局に異議』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-07/2015030704_04_1.html
 都構想の内容自体も問題だが、反対派を敵視し、メディア出演を「メディアを恫喝して」中止させようとする橋下一味への批判です。今のところ攻撃対象は「藤井聡京都大学教授、内閣官房参与」だけですが橋下が藤井攻撃に成功すれば攻撃のターゲットを広げていくことは当然予想できます。
 産経文化人の藤井氏を小生は嫌いですが「橋下の攻撃のデタラメさ(まともな藤井批判ではなく言論封殺の企み)」を考えればこの件では藤井氏を応援せざるをえません。現時点では藤井氏が「橋下に屈しない」としている点は評価出来ます。


■「安倍暴走政治のもとで消費者行政機関が果たす重要な役割:消費者庁・消費者委員会発足から5年―成果と課題をみる」(吉田信雄)
(内容要約)
 基本的には消費者庁、消費者委員会、国民生活センターといった現行制度を評価した上でそのさらなる拡充(予算や人員の配置)を求めています。


■シリーズ いま「大学改革」を考える(8)「大学の自治と学問の危機:大学の「今」の歴史的位置について」(川村肇*6
(内容要約)
 「近年の学長権限を強める形での文科省の制度改正」や「北星学園大学への脅迫事件」などといった大学自治を巡る問題を指摘。大学自治侵害を許さない戦いの展開が必要としている。

参考
赤旗
■主張『学校教育法改悪、大学の自治守る共同をさらに』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-24/2014062401_05_1.html
■『大学の自治守ろう、学長経験者ら迎えシンポ、大阪』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-13/2014071304_01_1.html
■『ストップ「大学の自治」破壊、学者・研究者らシンポ、京都・党後援会』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-05/2014100504_02_1.html
■『卑劣な脅迫に負けるな、北星学園大学問題 教員ら「会」結成』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-07/2014100701_02_1.html


■「諌早湾干拓問題の現状:確定判決を守らせ、開門させる国民的たたかいへ」(松橋隆司*7
(内容要約)
 開門を命ずる確定判決を無視する国を批判した上で、一日も早い開門の必要性を訴えている。

参考
赤旗諫早干拓 国への制裁金命令確定、最高裁、国の抗告棄却』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-24/2015012401_02_1.html
毎日新聞社説『諫早湾干拓事業、司法に責任転嫁するな』
http://mainichi.jp/opinion/news/20150224k0000m070120000c.html


■論点
【労働者の犠牲で積みあがる内部留保】(吉川方人)
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■『大企業の内部留保、一部使えば雇用・賃金・景気が改善、国公労連が試算』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-29/2014122909_01_1.html
■『大企業内部留保 最高の285兆円、月2万円賃上げ可能 労働総研調べ、実質賃金減 経済に打撃』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-29/2014122901_02_1.html


■暮らしの焦点
【問題が激化するコンビニ業界の現場】(植田忠義*8
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■『日本社会のゆがみ正す、志位委員長 FC加盟店協会と懇談』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-06-30/2012063002_01_1.html
■『不利益解消求める、FCコンビニ店 穀田議員が追及、衆院予算委分科会』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-03/2014030304_01_0.html


■文化の話題
【美術:地方コレクションの東京移転】(朽木一)
(内容要約)
 石橋財団*9石橋美術館(福岡県久留米市)の運営から撤退し、コレクションはブリジストン美術館に移管されることが発表された。単純に「コレクションを石橋美術館に残すべきだ」とは言えないし、今さら状況を変えることも不可能だが残念なことである。今後は久留米市石橋美術館を運営するとのことだが「閉館」という悲劇が起きないよう、今後の努力に期待したい。


【演劇:『パルレ』 ピュアーマリー】(水村武)
(内容要約)
 ミュージカル「パルレ」の紹介。

参考
■「パルレ」公式サイト
http://www.puremarry.com/html/file_bballae.htm


【音楽:オペラ「白墨の輪」の再演】(小村公次)
(内容要約)
 オペラ「白墨の輪」の紹介。

参考
■「白墨の輪」公式サイト
http://www.konnyakuza.com/syusai_b.html
朝日新聞『こんにゃく座、「白墨の輪」25年ぶり再演』
http://www.asahi.com/articles/DA3S11582907.html
■読売新聞『林光のオペラ「白墨の輪」上演』
http://www.yomiuri.co.jp/culture/classic/clnews/01/20150203-OYT8T50157.html


■スポーツ最前線『暴力的指導が子どもの心にもたらすもの」(和泉民郎)
(内容要約)
 「暴力的指導」とは要するに「体罰」「しごき」のことです。本論文ではもちろん体罰批判がされているわけです。ネタとしては「小川直也*10が経営する小川道場での体罰疑惑(小川側は現時点では体罰を否定)」「園田隆二・全日本女子柔道代表監督の体罰事件」が取り上げられています。

参考
赤旗
■『体罰はスポーツの否定(スポーツ部長・和泉民郎)』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-11/2013011103_01_1.html
■『柔道女子代表監督暴行問題:日本のスポーツ界への告発』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-31/2013013101_03_1.html
■主張『体罰・暴力問題、スポーツ指導の根本問われる』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-09/2013020901_05_1.html


朝日新聞『柔道の小川直也氏、道場の子どもに暴力か 訴訟に陳述書』
http://www.asahi.com/articles/ASH1Z53DRH1ZUTQP00Q.html

■女子柔道強化選手による暴力告発問題(ウィキペ参照)
 2013年1月29日に女子柔道の国際試合強化選手15名が、全日本女子ナショナルチーム監督である園田隆二を始めとした指導陣による暴力行為やパワーハラスメントを訴えていたことが発覚した問題。2月1日に園田は暴力行為を認めて監督を辞任した。


■書評『ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか?:ナベテル弁護士が教える残業代のカラクリ 』(渡辺輝人、旬報社
(内容要約)
 ワタミの初任給には「朝四時までの残業代が当然のものとしてカウントされてるから」という異常きわまりないワタミの実態が批判されているとのこと。つまり実労働時間を考えれば「ワタミの初任給は明らかに日銀より安い(日銀は公的機関であり、朝4時までの残業を正当化するわけにはさすがにいかないから)」「そしてそのことをワタミは卑怯にも隠している」のである。

参考
■ナベテル業務日誌(渡辺輝人ブログ)『ワタミの大卒初任給はなぜ日本銀行より高いのか?』
http://nabeteru.seesaa.net/article/410592924.html
紙屋研究所『渡辺輝人「ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか?」』
http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20141228/1419770189


■メディア時評
【新聞:農協「改革」を見る視点】(金光奎*11
(内容要約)
 「憲法九条」「歴史認識」などでは意見の分かれること*12もある全国紙の論説は一様に安倍政権の「農協改革」を評価しており、全国紙が財界目線、農水省目線であることが理解できる。この点、地方紙が「農協改革を批判したり」、あるいは批判しないまでも「農協や各農家など、現場の声に耳を傾けた上での慎重な対応」を求めていることとは大きく違っており全国紙各紙批判せざるをえない。

赤旗
■主張『農協「改革」、合意なき強行は発展阻害する』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-18/2015021801_05_1.html


【テレビ:ジャーナリストの戦争取材 】(沢木啓三)
(内容要約)
 水島宏明氏*13のブログ紹介で内容要約に代替。

■水島宏明『後藤さん殺害事件で「あさイチ」柳澤キャスターの珠玉の1分間コメント』
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20150202-00042730/

(前略)
『僕*14も後藤さんとはおつきあいがあったものですから、一番、いま、強く思っていることは、ニュースではテロ対策とか過激派対策とか、あるいは日本人をどうやって守ればいいか、が声高に議論され始めているんだけど、ここで一番、僕らが考えなきゃいけないことというのは、後藤健二さんが一体、何を伝えようとしていたのか、ということ。
 戦争になったり、紛争が起きると弱い立場の人がそれに巻き込まれて、つらい思いをするということを、彼は一生懸命に伝えようとしていたんじゃないか。
 それを考えることが、ある意味で言うと、こういった事件を今後、繰り返さないための糸口が見えるかもしれない・・・。
 われわれ一人ひとりにできることというのはものすごい限界があるんですけど、この機会にそういうことを真剣に考えてみてもいいのでは・・・。
 それが後藤さんが一番、望んでいることじゃないか。そう思ったものですから、冒頭なんですけど、ちょっとお話をさせてもらいました。』
(後略)

*1:ソ連共産党書記長

*2:スターリン関係の著書に『スターリン大国主義』(1982年、新日本新書)。また本連載「スターリン秘史」が既に『スターリン秘史・巨悪の成立と展開(1):統一戦線・大テロル 』(2014年、新日本出版社)、『スターリン秘史・巨悪の成立と展開(2):転換・ヒトラーとの同盟へ』(2015年、新日本出版社)として刊行されている。これについては■赤旗「『スターリン秘史―巨悪の成立と展開』第1巻を語る、人民戦線と「大テロル」が並行』」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-13/2015011308_01_0.html)を紹介しておく。

*3:著書『ほんとうに憲法「改正」していいのか?』(2002年、学習の友社)など

*4:個人サイト(http://kawaguchihajime.com/)。著書『「立憲主義の破壊」に抗う』(2014年、新日本出版社)、『徹底議論!半田滋×川口創 集団的自衛権で日本を滅ぼしてもいいのか』(共著、2015年、合同出版)など

*5:個人サイト(http://www.nara-wu.ac.jp/life/resed/nakayama/)。著書『地域社会と経済の再生:自治体の役割と課題』(2004年、新日本出版社)、『人口減少時代のまちづくり:21世紀・縮小型都市計画のすすめ』(2010年、自治体研究社)など

*6:著書『在村知識人の儒学』(1996年、思文閣出版)など

*7:著書『宝の海を取り戻せ:諌早湾干拓有明海の未来』(2008年、新日本出版社

*8:全国FC加盟店協会事務局長。著書『「激変の時代」のコンビニ・フランチャイズ:オーナーたちは、いま』(2010年、花伝社)、『フランチャイズは地域を元気にできるか:誰も書かなかったその役割と課題』(2011年、新日本出版社

*9:ブリヂストン創業者の石橋正二郎鳩山由紀夫元首相の母方の祖父)から寄付を受けた財産を中心に設立

*10:バルセロナ五輪銀メダリスト

*11:著書『マスコミはなぜ権力に弱いか』(1994年、新日本出版社

*12:もちろん多くの場合「安倍翼賛(読売、産経、日経)」と「安倍批判(朝日、毎日)」だが

*13:著書『内側から見たテレビ:やらせ・捏造・情報操作の構造』(2014年、朝日新書)など

*14:柳澤キャスターのこと