今日のMSN産経ニュース(6/21分)(追記・訂正あり)

■【米村敏朗の物来順応】artificialな国家…集団的自衛権に想う
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140621/plc14062107000001-n1.htm
 米村さんについては以前も取り上げましたが、左派ではないにせよ、まあ、産経には珍しい穏健保守的な方とは言えるでしょう。今回の文章もそれほど産経的ではありません。

 最近まで(注:内閣危機管理監として)総理官邸に勤務していたためか、退官後、友人と歓談していてしばしば質問を受ける。集団的自衛権のことである。議論の材料として自分なりの考えを言うにしても、その前に断りがある。内閣危機管理監は「危機管理(国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処及び当該事態の発生の防止をいう)に関するものを統理する」(内閣法15条)のがその任務、すなわち現実の事態あっての危機管理、平素の内閣の政策形成には関知しないのが原則。したがって安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(いわゆる安保法制懇)の議論などは、あくまで傍らから一国民として関心を払ってきたに過ぎない。
 純粋に政策レベルの問題ならそれもいいのだが、今や日中対峙の焦点とも言うべき尖閣諸島問題、国有化の経緯については(注:野田*1政権に)事前に何ら知らされず、ある時「国有化しますので、これから色々あるかと思いますがよろしく」と言われ、「それならそれでもう少し前もって(注:相談してほしい)」と思った。

 米村氏は国有化の是非については何も言っていませんが「いきなり日中関係を悪くするようなことを私に相談もなしにやられて危機管理監、後頼みます、ってそんなの責任持てませんよ」と言う主旨のぼやきを書いてる以上、産経のような国有化万歳論でないことだけは確かでしょう。
 また「お断り」云々は「仮に私の意見が安倍政権と一致してもそれは偶然にすぎない」「私の意見が安倍政権に批判的でも問題発言呼ばわりされるいわれはない」という意思の表明でしょう。

友人の関心のポイントはこうだ。
(中略)
「具体的なケースを取り上げ、それについて一方は集団的自衛権の問題だと言い、他方では個別的自衛権で対応できると言う。その前に憲法改正が必要だ、いや解釈で対応できると言うが、一体どれがが本当なのか?」。
(中略)
 (注:友人の疑問は)なかなか厄介である。現に新聞各紙の社論も分かれ、国論を二分している感がある。と言いつつ、実は内心思うに、本当に我々国民はこの問題を、どれだけ真剣に考え、国の重要な現実問題として受け止めているのであろうか、むしろ私の関心はその点にある。友人の中には、「集団的自衛権の問題についてどう思う?」と聞くと、少し首を傾げて「戦争の話なんでしょうけど、なんとなく実感が湧かない」と答えるばかりで、それ以上議論が前に進まない人が結構いるが、実は実感が湧いてからでは遅いのである。

 要するに「安倍政権に賛成するにせよ反対するにせよまじめに考えよう」「よくわからないでこの問題を放置して、後で問題が起こってから嘆いてもそれでは遅いですよ、後で嘆くくらいなら今勉強して態度を決めましょう」という話です。安倍政権批判どころか、このレベルの文章すら産経には滅多に乗らず、もう「安倍さん万歳」ばかりですからなんか新鮮です。