今日の産経ニュース(10/11分)(追記あり)

■外務省、慰安婦「強制」記述をHPから削除 「アジア女性基金」拠金呼びかけ文
http://www.sankei.com/politics/news/141011/plt1410110005-n1.html
 やれやれですね。これで日本は世界に向かって「女性差別国家」「歴史修正主義国家」「嫌韓国家」ということを宣伝したわけです。外相が「宏池会(いわゆる保守本流)」*1の岸田氏*2でこれですから今の自民には保守本流はなくなったと言っていいのかも知れません。しかしこれで安倍政権もどの面下げて「河野談話を踏襲した」といえるのか。事実上、談話を骨抜きにしよう、否定しようとしてるじゃないですか。


■【産経抄】10月11日
http://www.sankei.com/column/news/141011/clm1410110004-n1.html

「自称・鉄の女」は何人もおられたが

「日本版・鉄の女」「日本版サッチャー*3」を自称してた人間なんかいるんですかね?。小生の知る限り「他称を喜んで黙認してた人間*4」はいても、さすがに自称してた人間はいないかと思いますが。
 なおサッチャー当時は珍しかった「女性宰相」も今ではメルケル*5・ドイツ首相、朴クネ・韓国大統領などかなり一般的になったとは言えるでしょう。

国会論戦で、野党は5人の女性閣僚に攻撃の的を絞っている*6。大半はうまく防御しているが、朝日新聞出身である松島みどり*7法相の旗色が悪い。

 確かに松島は朝日出身ですがここで「朝日出身」と書く意味が何かあるのか。たとえば、石原伸晃*8は「日テレ出身」、後で触れる小渕優子経産相は「TBS出身」ですが彼らについて書くときに必要がなければ誰も「日テレ出身」「TBS出身」*9とは書かないでしょう。
 この「朝日出身」という記述は産経が朝日に敵意を持ってるから(そして朝日出身の松島にも敵意を持ってる?)としか思えません。もちろん安倍の子分になるような松島が「記者時代はともかく」、大臣の今は「朝日的な考え」からはかけ離れてることは言うまでもありませんが。
 また「大半は防御」て、高市*10総務相、山谷*11国家公安委員長の「極右(日本版ネオナチ、在特会)との交友問題」て防御できてるんですかね。
 単に
1)「安倍政権が極右に甘く、だから高市らをかばってる*12」のに対し松島の「うちわだの、議員宿舎だの」はかなり「松島個人の問題」と言う性格が強いので安倍も積極的にはかばわない
2)高市や山谷に比べ松島は安倍にとってどうでもいい存在なのであまりかばわない、松島は右だが、高市や山谷に比べればまだマシな方、つまり「安倍や産経にとってその右翼度が物足りない存在」である、実際第一次安倍政権で大臣(高市)や首相補佐官(山谷)にしてもらった高市や山谷に比べたら松島は「大臣政務官」という低い扱いである
3)安倍がかばわないから松島に攻撃が集中してる
だけじゃないんですかね。少なくとも国際社会的には松島の問題より「高市や山谷の極右との交友問題」の方が大問題でしょう。
 イタリアやドイツの閣僚がネオファシスト、ネオナチとつきあうようなもんですから。まともな国ならとっくの昔に高市と山谷のクビはとんでるでしょう。全くもって国辱です。

女だから、という理由のみで入閣させたわけではあるまいが

 野田聖子*13は入閣できなかったんだからおっしゃるとおりです。高市総務相、山谷国家公安委員長、松島法相、有村女性活躍等担当相のように「右翼的な意味で安倍に近くなければ」入閣できず、一方、「極右ではない野田」は安倍に嫌われ三役(総務会長)を外され、入閣も出来ない訳です。
 「小渕優子*14経産相」は安倍に近くなくても入閣できましたがそれは
1)彼女が「永田町的にまだ若い」ので客よせパンダに使えるという判断
2)安倍に近くないが野田聖子のように岩波世界に登場するなど安倍の感情を害することはしないと見なされた
3)彼女の父親が小渕元首相*15という大物
だからにすぎません。

 政府は、役員や管理職への女性登用の数値目標設定を民間企業に義務づける法案を準備中だが、本末転倒もはなはだしい。
 政治がやるべき仕事は、男女ともに働きやすい環境づくりである。

やれやれですね。「数値目標が絶対に必要だ」とは俺個人は思いません。しかし産経は「数値目標なんぞいらない」「働きやすい環境作りをすればいい」といいながら「数値目標に変わる政策提言」「どうやって働きやすい環境作りをするかという具体的提言」をしないんだからその本心は見え透いています。
 巣くう会が「拉致問題解決」を主張しながら解決を妨害してるように、「女性の社会進出には反対しない」といいながら、「保守的な家族観」からそれを妨害してるわけです。
 なお、安倍政権だって少なくとも建前では「働きやすい環境作り」は否定していません。それが最近*16話題の「ワークライフバランス」のわけです。

数値目標という手法からは、彼女が最も忌み嫌った社会主義の腐臭が濃く漂ってくる。

おいおいですね。数値目標が社会主義なら
1)「物価上昇率に数値目標を設定するインフレターゲット政策(アベノミクス)」
2)「JOCのメダル獲得目標」
なんかも社会主義になってしまいます。産経はそれらを否定するのか。まあ聞くだけ野暮で肯定してるでしょうが。あらゆる物事で数値目標を否定するというのはまともじゃない。
 大体、安倍の設定する「女性登用」目標は当然ながら「努力目標」でしかありません。努力目標ですら「社会主義」なのか。

*1:河野談話発表時の宮沢喜一首相、河野洋平官房長官宏池会なのですが(河野氏は元々は父・河野一郎元建設相の子分である中曽根康弘元首相の中曽根派に所属しましたが、新自由クラブ結成後に自民党復党したときは考えが近かったからか、宏池会に所属しました)

*2:小泉内閣文科副大臣、第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相を経て第二次安倍内閣外相

*3:ヒース内閣教育科学相を経て首相

*4:田中真紀子元外相、小池百合子元防衛相なんかがそうか?

*5:コール内閣婦人・青少年担当相、環境・自然保護・原子力安全担当相、CDU(キリスト教民主同盟)幹事長などを経て首相

*6:攻撃されてるのはスキャンダルが噴出した高市総務相、山谷国家公安委員長、松島法相の3人だけでしょう。まあ、有村女性活躍担当相は「日本会議議連所属なのに女性活躍担当相に適任か」という批判を、小渕経産相は「原発再稼働方針は適切か」という批判を受けてますがそれを「攻撃の的」と表現する事は妥当でないと俺個人は思います。

*7:第1次安倍内閣外務大臣政務官、第1次安倍改造、福田内閣国交副大臣、第2次安倍内閣経産副大臣を経て現在第二次安倍改造内閣法相

*8:小泉内閣国交相自民党政務調査会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長代理(麻生総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相を歴任

*9:彼らのような政治家の子息を入社させることは「李下に冠を正さず」と言う意味で非常に問題だと思います。

*10:第一次安倍内閣沖縄・北方等担当相、自民党政務調査会長(第二次安倍総裁時代)を務めた安倍の側近

*11:第一次安倍内閣首相補佐官教育再生担当)、教育再生会議事務局長を務めた安倍の側近

*12:そしてそれを容認する日本社会も「極右に甘い」といっていいでしょう。まさに国辱です

*13:橋本内閣郵政政務次官小渕内閣郵政相、福田内閣食品安全等担当相、麻生内閣消費者問題等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)などを歴任

*14:麻生内閣少子化等担当相、第二次安倍内閣財務副大臣を経て第二次改造安倍内閣経産相

*15:佐藤内閣郵政政務次官、田中内閣建設政務次官、大平内閣沖縄開発庁長官、竹下内閣官房長官自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相などを経て首相

*16:最近でもないか?