今日の産経ニュース(11/16分:その2)

■【島が危ない 赤サンゴ 迫る群影(4)】中国密漁船とイタチごっこ 「尖閣との二正面作戦」で海保の警備手薄 「自衛艦派遣で領海断固守れ」の声も
http://www.sankei.com/premium/news/141116/prm1411160026-n1.html

 海保は平成13年12月、鹿児島県奄美大島沖のEEZで国籍不明の不審船*1を発見。不審船は再三の停船命令を無視して逃走したため、巡視船が船体射撃を行ったことがある*2
 海上保安庁法では武器使用について外国船舶が逃走し続け、ほかに手段がない場合に限り武器の使用ができると規定している。だが、今回は停船命令を無視して逃走しても巡視船が追いつき、拿捕(だほ)しているため適用される可能性は低い。

 「銃器を使わなくても拿捕できる」→「他に手段がある」→「銃撃できない」のは当たり前でしょう。海保に限らず、一般警察官だって「銃器を使わずに犯罪者を確保できる」のに銃撃することなんかありません。
 何でそんなに銃撃したがるのか。「天才バカボンの本官さん」かよ。

 海保だけで対応できない場合には、自衛隊が出動して海上での人命・財産保護や治安維持に当たる「海上警備行動」がある。過去に3度発令されたことがあるが、海保幹部は「現行の対応で一定の効果は上がっている」と選択肢には入れていない*3

 ウィキペ「海上警備行動」によればその3回は以下の通りです。ウィキペディアは「怪しい記述も多い」のですがこういう時に便利です。

能登半島沖不審船事件(1999年:小渕内閣
 北朝鮮工作船と思われます。この事件を機に2001年に海上保安庁法が改正。一定の条件に限って、巡視船が、停船命令を無視して逃走・抵抗する船舶に対して射撃し乗員に危害を加えても、海上保安官の違法性が阻却されること(殺人等の犯罪に該当しないと言う事)が明記されました(従来は「正当防衛や緊急避難」一般と同じという処理だったのでしょう)。それの実践版が2001年の「九州南西海域工作船*4事件」のわけです。
 なお、当時の野中*5官房長官は「朝鮮半島有事」など、事態の悪化を恐れて「海上警備行動」発令には反対していたとのこと。しかしこの時期が「安倍政権でなかったこと」は「不幸中の幸い」でしょう。安倍だったらイケイケドンドンで北朝鮮相手に何やらかすかわかったもんじゃない。それとも「チキンホーク安倍」は実際にこういう出来事がおこってウヨサイドから「北朝鮮は我が国を舐めてる、自衛隊威嚇射撃(1999年)や海保の撃沈(2001年)なんかで済むか、自衛隊北朝鮮攻撃しろ」*6と言ったら「そんな事はできるわけがないけどどうしたらウヨを抑えられるんだ」とか言って体調不良になったりするんでしょうか。
漢級原子力潜水艦領海侵犯事件(2004年:小泉内閣
 「漢級原子力潜水艦」てのは「漢」てのでわかるでしょうが中国の潜水艦です。なお「能登半島沖不審船事件」では不審船に対し威嚇射撃が行われましたが今回は「追跡のみ」で射撃は行われませんでした。やはり「中国と北朝鮮」だと対応が変わるんでしょうか。
 まあ、ウヨだと平気で「撃沈しろ」とか言いそうですけど。
ソマリア沖の海賊対策*7(2009年〜現在:麻生内閣以降)
 ただし2009年の海賊対処法成立後は根拠規定が「自衛隊法の海上警備行動規定」ではなく「海賊対処法」になります。
 なお、ウィキペ「ソマリア沖の海賊」によれば

AK47など小銃や携帯型ロケットランチャーで武装

だそうですので海賊は相当危ない連中です。

 
 つうことで漁船相手にそんなもん発動するわけないでしょ。産経的には「北朝鮮工作船」「中国軍の原子力潜水艦」「ソマリアの海賊」レベルに「中国漁船」はやばいのか。漁船に銃器が積まれてるのか。
 そんなわけないでしょう。


■【手帖】女性誌が母親向け「初めての憲法教室」
http://www.sankei.com/life/news/141116/lif1411160040-n1.html

 現在発売中の女性ファッション誌「LEE」(集英社)12月号が、「母親たちの初めての憲法教室」と題して5ページの小特集を組んでいる。
 弁護士の伊藤真さん*8が4人の母親を相手に講義、質問に答える形で、憲法と法律の違い、主要各国の憲法改正手続きと改正の回数、自民党が平成24年に発表した改憲草案の要旨などを紹介。集団的自衛権の行使を容認した閣議決定についても説明し「日本は着々と軍事行動ができる国に向かっています」などと解説している。

 伊藤氏は護憲派ですのでまあそういう企画です。産経なら悪口雑言が炸裂しそうですが、「LEEの特集を好評価しない」とはいえ、単なる事実紹介に過ぎず、阿比留的な罵詈雑言がない点は「いつもの産経と違って」評価出来ます。


■【衆院選】首相、「解散に言及していない。この言い方を今変える段階にない」
http://www.sankei.com/politics/news/141116/plt1411160024-n1.html
 マスコミ報道どころか、自公幹部(谷垣幹事長、山口公明党代表など)が解散前提の言動をしまくってるのに今さら「解散時期ならまだしも解散それ自体について隠すこともないだろ、隠して何かメリットあるの?」「あれだけ自公幹部が解散煽っていて、まさか解散しないなんて言う事があるの?」と思うんですが、安倍の考えはよく分かりません。


■【お金は知っている】民主党は「消費増税」をわびるべきだ 官僚の言いなりだった菅、野田両氏
http://www.sankei.com/premium/news/141116/prm1411160018-n1.html
 この記事の筆者「産経新聞特別記者・田村秀男氏」については「おいおい、お前何言ってるんだ?」ですね。いわゆる三党合意で「消費増税への道をしいた」のは確かに民主党・野田政権下ですが三党合意には自民党も勿論入ってるし、「実際に8%にあげた」のは安倍政権でしょうに。三党合意に問題があるなら今からでも安倍が「5%に戻せばいい」んですが安倍はそんな事しませんし、それを田村氏も批判しません。
 「10%見送り*9」程度でその安倍の罪が消えるとでも思ってるのか?
 「わびろ」というなら安倍もわびるべきだし、安倍も「消費税問題では官僚のいいなり」ということになるでしょうが、そうならないのがさすが産経です。
 また産経も「消費税増税反対が持論の田村記者はともかく」社論としては三党合意支持、消費税増税支持ですからわびるなら産経もわびるべきです(田村氏が「消費税増税支持メディア」として批判してるメディアは皮肉にも田村氏の古巣*10・日経*11であって産経の名前は全く出てきません)。
 まあ、田村記者としては「消費税増税批判」「民主党批判」はできても「明確な安倍批判は安倍万歳を社是とする産経社員だからできない」「産経社員として明確な自社批判はできない」からこうなるんですが。消費税増税反対とだけ書いてればいいのに「消費税問題で民主党だけ批判する」という愚挙で醜態をさらすとは本当に哀れな人です。


■米国務次官、ダライ・ラマと会談
http://www.sankei.com/world/news/141116/wor1411160042-n1.html
 この間の習国家主席との会談で「米中友好」をアピールしたオバマですがそれだけだと「中国に甘い」と言われるので最低限のアリバイ作りしておきました、て事でしょう。中国は猛反発するんでしょうがそれにしたって会談相手は「国務次官」であって「国務長官」でない辺りに中国への一定の配慮があると思います。


■観光分野にも日中韓“雪解け” 太田国交相、中国高官と「観光相会合の早期開催」で合意
http://www.sankei.com/politics/news/141116/plt1411160049-n1.html

 【上海=河崎真澄】上海市で開かれた国際観光フェア「2014中国国際旅遊交易会」の視察のため訪中した太田昭宏国土交通相は16日、記者団に対し、中国国家旅遊局の李金早局長との同日の会談で、2011年を最後に開かれていない日中韓の観光相*12会合の早期開催をめざすことで合意したことを明らかにした。
 太田国交相は、「年内は難しいが可能な限り早い時期に日程調整する」と述べ、年明け早々にも開催したい意向を示した。ビザ(査証)発給条件の緩和など日中間の受け入れ措置拡大でも合意した。
 日本政府は同観光フェアに「日本パビリオン」を出展。温泉など観光地紹介のほか、野外ステージで「和太鼓」「よさこい」などを披露した。今年1〜9月の中国からの訪日客数は累計で約179万人。円安などを背景に単月ベースでは昨年9月から13カ月連続で過去最高を更新している。

 まあ、経済を考えれば当然ですが産経他、ウヨ連中は不愉快でしょう。


■安倍首相懇談の要旨
http://www.sankei.com/politics/news/141116/plt1411160032-n1.html

 今回、日中首脳会談ができたのは本当によかった。戦略的互恵関係の原点に立ち戻って日中関係を改善させる大きな一歩になった。
ブリスベン 阿比留瑠比)

さすが安倍信者の阿比留、安倍の外遊についていったわけです。
 しかし首脳会談から間もない今の状況で安倍がこういう発言するのは実に自然ですが、阿比留も

 今回、日中首脳会談ができたのは本当によかった。戦略的互恵関係の原点に立ち戻って日中関係を改善させる大きな一歩になった。

なんて安倍発言を自ら書くのには「アンチ中国の右翼」として相当複雑な感情があるでしょう。まあ、これは阿比留に限らず櫻井よしこなどウヨ連中は皆「安倍の日中首脳会談」には複雑な思いでしょうが。

*1:北朝鮮工作船と見られています。まあ、「北朝鮮工作船以上に重武装してる中国漁船」なんてないでしょうから漁船に海保ではなく自衛隊を突っ込むなんて非常識です。

*2:いわゆる「九州南西海域工作船事件」のこと。不審船が銃器で反撃したため銃撃戦が発生。結果、不審船は撃沈。不幸なことですが乗組員は死亡しました。

*3:実際効果挙がってるでしょうよ。

*4:これも北朝鮮工作船と思われます。

*5:村山内閣自治相・国家公安委員長小渕内閣官房長官自民党幹事長(森総裁時代)など歴任

*6:まあ、当時の小渕政権(1999年)、小泉政権(2001年)に「そんな事言ってもやるわけがない」のでウヨも言わないわけですが安倍内閣だったらマジでいいそうです。

*7:共産党など左派はこの種の自衛隊海外派兵には否定的ですし、他の二つのような領海侵犯ケースと同列扱いはできないでしょう。

*8:弁護士。「弁護士、司法書士など」の資格試験予備校「東京リーガルマインド」の看板講師として活動。1995年に独立し、資格試験予備校「伊藤塾」を設立し塾長に就任。著書『泣き寝入りしないための民法相談室:クイズと司法試験全82問』(2003年、平凡社新書)、『中高生のための憲法教室』(2009年、岩波ジュニア新書)、『憲法は誰のもの?:自民党改憲案の検証』(2013年、岩波ブックレット)など

*9:中止でない点に注意

*10:田村氏は日経から産経に移籍した変人です

*11:「田村は古巣・日経に私怨があるのか」と疑われても仕方がない所業でしょう

*12:日本の場合は観光庁長官ではなく国交相なんでしょう。