今日の産経ニュース(11/24分)(追記・訂正あり)

■【産経・FNN世論調査衆院解散は「適切でない」7割超 比例投票先は自民1強鮮明
http://www.sankei.com/politics/news/141124/plt1411240020-n1.html
 「比例投票先で自民42%」とは、先日の時事通信調査の「自民25%」とはあまりにも数字が違うので「本当かいな」という感じですね。
 なおこの「比例投票先で自民に有利な結果がでた」という産経調査ですら

衆院解散は「適切でない」7割超
・「アベノミクス」への評価は、「成功していると思う」が27.2%にとどまり、「成功していると思わない」が60.7%と「成功」を大きく上回った
内閣支持率は48.9%で前回調査(10月18、19日実施)より4.1ポイント下落、不支持は40.9%で前回より3ポイント上昇した。

と言う点*1が重要でしょう。安倍の立場は「安倍も自覚してる」ように盤石のものでは決してないわけです。今回の選挙で自民議席を少しでも減らすことが大事ですが、一方で「選挙結果がどうであれ、1)安倍が選挙後、よほどの起死回生の一手を打つか、2)最大野党・民主党がよほど重大な失敗でもしない限り、安倍に上がり目などないであろう」と言うことも明白でしょう。


■ロシアとアブハジアが「集団的自衛権」で調印へ グルジアから一方的独立、実効支配着々と
http://www.sankei.com/world/news/141124/wor1411240036-n1.html
 グルジアアブハジア*2を攻撃したらロシアがアブハジアを支援するという「集団的自衛権について定めた条約をロシアとアブハジアが締結した」と言うニュースです。
 安倍政権や産経の「集団的自衛権擁護論」と違い
1)集団的自衛権と軍事同盟の区別など現実的にはできない
2)集団的自衛権は紛争抑止どころか紛争を助長していること(この締結にグルジアは反発するだろうから)
がわかるニュースです。


■高齢者の万引は「寂しさ、孤立と結びついている」と識者
http://www.sankei.com/west/news/141124/wst1411240044-n1.html
 厳罰論ばかり掲載する産経とは思えないまともな論です。いや「高齢者の万引きは寂しさ、孤立と結びついており経済問題では必ずしもなく、またその性質上、厳罰で解決になるか疑問」という「某識者の見解」が正しいかどうかは知りませんが、こうした分析それ自体は大事なことでしょう。


■【正論】対中経済関係を良好に維持せよ 青山学院大学教授・榊原英資*3
http://www.sankei.com/column/news/141124/clm1411240001-n1.html

(前略) 
 (注:中国の成長率は最近は以前より低下しているが)しかし、他の先進国に比べると、高い成長率を今後も維持するので、おそらく2025年から2030年の間に中国のGDPは、アメリカを抜いて世界ナンバーワンになると思われる。
(中略)
 日本の一部論壇*4では最近、嫌韓論、嫌中論が強く、中国、韓国を過度に低く評価する傾向が少なくないが、これは問題ではないだろうか。確かに中国の高度成長期は(注:日本で高度成長期が終焉し安定成長期に移行したように)終焉(しゅうえん)し、安定成長期に移行しつつあるし、移行は必ずしもスムーズに進まないかもしれない。また、(注:日本でバブルが崩壊したように)高度成長期のバブルが崩壊する面も少なくないだろう。住宅バブル、地方政府の過剰債務、シャドーバンキングといった問題点が顕在化していることも、また確かではある。
(中略)
 こうした移行期には当然、さまざまな問題が噴出するし政策の運営も難しくなる。
 現在の中国がそうした状況の中にあって苦渋していることは確かだろうし、習近平*5体制もまだ発足して1年半だ。新しい支配体制が盤石になるまでは、まだまだ時間を要するだろう。
(中略)
 (注:しかし)中国は日本の最大の経済パートナー。日本の輸出の18・1%、輸入では21・7%と輸出入の合計では2位のアメリカを大きく引き離している。アジア全体では輸出が全体の54・3%、輸入は44・3%だ。要するに日本の最大の貿易相手はアジアであり、その中心は中国なのだ。
 対外直接投資でも対中国投資はアメリカに次ぐ額になってきている。2011年の日本の対外直接投資の総額は1088億ドルで、そのうち12%が中国向け。対米投資(14%)とほぼ匹敵する額になっている。
 13年、14年には中国沿岸部の賃金の上昇や、対日関係の悪化で減少しているものの、中国が貿易でも直接投資でも、日本の重要な経済パートナーになっていることは十分認識されなくてはならない。
 政治体制が異なり、政治的には摩擦がしばしば起こるものの、対中経済関係を良好に保つことが日本経済にとってきわめて重要なことを、日本の政治家たちもしっかりと留意しなくてはならないだろう。

 産経には珍しくまともな論です。「安倍の日中首脳会談があったからか」、はたまた「産経内部にもまともな人がいるのでたまにはこういうまともな論が載るのか」は知りませんが。


■袴田さん「死刑なくして」 集会後、法相事務所に要請
http://www.sankei.com/affairs/news/141124/afr1411240022-n1.html
 死刑冤罪の被害者・袴田氏がこういうのは実に自然な話です。

*1:まあ、それなのに前回の時事通信調査と言い今回の産経調査といい「比例投票先が自民一位」というのは俺にはわけが分かりませんし、自民批判派の端くれとして大変がっかりしますが

*2:グルジア領内の自治共和国グルジアから独立を宣言しそれをロシアは認めたが、グルジア及び欧米はアブハジア独立を認めていない。ただしグルジアの統治は及んでおらず事実上の独立状態にある。

*3:元財務官僚。著書『国際金融の現場』(1998年、PHP新書)、『インドIT革命の驚異』(2001年、文春新書)、『人民元改革と中国経済の近未来』(2005年、角川oneテーマ21)、『財務省』(2012年、新潮新書)など

*4:その一つは皮肉にも榊原氏がこの論文を書いた産経ですが

*5:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席