今日の産経ニュース(1/16分)(追記・訂正あり)

■【歴史戦WEST】中国の文化「侵略」 尖閣危機尻目に「親中派」が沖縄で進める「龍柱」建造 かつて和歌山、奈良でも騒動が…
http://www.sankei.com/west/news/150116/wst1501160007-n1.html

 青く澄んだ「美(ちゅ)ら海」に面した那覇市若狭の沿岸部が、ある論争の舞台となっている。同市が中国・福州市*1との友好都市30年を記念したシンボルモニュメント「龍柱(りゅうちゅう)」を建造する計画が浮上。昨年11月の沖縄県知事選で初当選した翁長雄志(おなが・たけし)氏が那覇市長時代から進めている事業だが、元来、龍は中国皇帝のシンボルとされる。その上、国の沖縄振興一括交付金を財源とする事業なのに中国の原材料を使い、現地業者が製作するという計画に、尖閣諸島(同県石垣市)の奪取を虎視眈々と狙う中国に臣従して国民の税金まで“貢ぐ”のか−と保守系の市議や市民らから批判が相次いでいるのだ。和歌山や奈良でも近年、中国ゆかりの建造物設置をめぐる騒動が持ち上がり、背後には「親中派」の存在が浮かび上がった。専門家*2は「中国の『侵略』は文化から始まる」と警鐘を鳴らしている。(永原慎吾)

 産経以外の全国紙ではまず読むことのできない「街宣右翼の機関紙」レべルの反中国記事です。
 「街宣極右アジビラと同レベル」の産経が「全国紙であること」は日本人として実に恥ずかしいですが「街宣ウヨの主張がお手軽に分かる」と言う意味では実に便利な新聞です。
「えーと、龍柱とやらを作っちゃ何故いけないのかしら?」「和歌山や奈良のモニュメントだって産経が言うような問題はどこにもない*3ジャン」「つうか、仮に問題があるとしてもいわゆる『箱物批判』ならともかく、何その『侵略』云々て?。アホと違うか?」と呆れますね。
 この間の「塚本幼稚園記事(http://www.sankei.com/west/print/150108/wst1501080001-c.html)の服部素子記者」といい、今回の「永原慎吾記者」といい「お前ら正気なのか?」「それとも『俺だってこんな記事書きたくないけど、産経で出世するにはこの道しかないんだ、阿比留さんを見ろよ』と居直ってるのか」と聞きたいですね。

 日中関係に詳しい独立総合研究所社長の青山繁晴氏は、那覇市の龍柱設置事業について「龍は中国皇帝の象徴であり、国内に建てるというのは中国の侵略をウエルカムだと言っているようなものだ。当然、建設は中止すべきだ」と憤る。

 「アホか」としか言いようがないですね。まあこんなあほな主張をする人間なんか極右活動家の青山しかいなかったわけですが。産経は「まともな中国学者・ジャーナリスト」をこの件で引っ張ることに失敗したわけです。当たり前ですけど。「元産経記者の中国ウオッチャー福島香織*4」ですら「龍柱?。別に作っていいんじゃないですか?。少なくとも『侵略ウェルカム』なんて話じゃないですよ」「いくら私がアンチ中国だってそんなアホ主張にはつきあえませんよ」とあきれ顔でしょう。そういう「常軌を逸した反中国」「反中国なら何でもあり」という産経路線には「中国に批判的で右寄りでも、一定の常識がある」福島はさすがについていけず会社を去るわけです。まあ、「経営難で希望退職者を募ってました」しね。福島よりもどう見ても能力が劣る阿比留が出世するのを見たらばかばかしくて産経にいたくないでしょう。

龍柱を設置する意義について、市の担当者は「首里城をはじめ、沖縄の建物や敷地の入り口には龍柱やシーサー像が置かれていた。龍柱は日中双方の文化が融合した沖縄文化の一つだ」と強調する。

 なら「中国ルーツの龍柱を設置するなんて翁長は中国の手先か」と言うこの産経記事はのっけから言いがかりじゃないですか。つうかぶっちゃけ産経がこういう事言ってるのって「翁長氏が共産、社民、沖縄社会大衆党などの支援を受けて自公支援の仲井真知事の対立候補として出馬した上、当選までしたから『翁長の野郎、サヨとつるみやがって』と恨んでるから」であって、那覇市長ずっと続けてれば何も言わないよね?。それとも「今も那覇市長」でも「翁長は中国の手先だ」「龍柱は絶対に阻止しよう」て叫んでたの?。

 原材料は中国から切り出された石材が使われ、現地で加工された。一括交付金が中国の業者を潤わせているのだ。
 市は「発注したのは県内の業者で、中国の業者はその下請け」としている

 やれやれですね。中国業者で何か問題があるのか。
 じゃあ「原材料が日本の石材で加工もオール国内業者なら産経は文句言わない」のか。まあ、その場合でも「龍柱は中国がルーツだ」て因縁つけてるのは間違いないでしょうが。

 中国ゆかりの石碑や銅像などの建造物を設置しようとして物議を醸したケースは過去にもある。
 和歌山県田辺市では15年、日中国交正常化30周年の記念として、中国の江沢民*5国家主席(当時)の自筆の「登高望遠 睦隣友好」の揮毫(きごう)を刻んだ石碑を市有地の公園に建立する計画が持ち上がった。
 計画を推進したのは、同県選出で現在は自民党総務会長を務める二階俊博*6。二階氏ら地元の有力者が発起人となり、県日中友好交流推進協議会を組織して、市に計画を持ち込んだという。
 ところが、「なぜ公の場に江氏の碑を建てるのか」「江氏は(注:小泉)首相の靖国参拝を非難するなどの発言をしており、賛成できない」といった異論が相次ぎ、市民団体が抗議文を市長に提出する事態に発展。市は公園用地の提供を見合わせ、計画は頓挫した。

 ウヨが言いがかりをつけたと言うだけの話です。

 奈良県でも22年、平城遷都1300年記念事業の一環として、先の大戦で県の文化財を米軍の空襲から守ったとされる中国の建築家、梁思成(りょうしせい)氏(1901〜72年)の銅像を県文化会館(奈良市)に設置する計画が浮上した。
 梁氏は大戦中、米軍に奈良・京都を空襲目標から外すように進言した“古都の恩人”とされ、中国側が日中友好協会を通して銅像の建設を提案。銅像を中国側、台座を日本側が製作する予定だったが、梁氏のエピソードは中国側が持ち込んだもので事実関係が明らかではなかったことから、研究者から疑問の声が上がった。
 これを受けて荒井正吾知事は「梁氏の進言で奈良への爆撃が回避されたかについては、県として確たることが言えるわけではない」と撤回を決めた。

 まあ、ググったところ「梁思成氏のエピソード」は今ひとつ根拠が曖昧で「事実ではない都市伝説の疑いがある」ようなのでそう言う意味では作らなくて良かったかなとは思います。ただ産経の場合「根拠が明白」でも「中国人の銅像を建てて中国に媚びるな」て因縁つけることがほぼ確実に予想されますからね。
 なお、これらのモニュメント話(沖縄、和歌山、奈良)には勿論「中国人観光客を引っ張りたい」て思いはあるでしょうね。今や中国人は日本観光のお得意さんのわけです。


■【経済インサイド】このままではアジア太平洋は中国の影響下に置かれる…日米もたつく間に「中国版アジア開発銀行」がインフラ投資で支配力
http://www.sankei.com/premium/news/150116/prm1501160006-n1.html

 中国が2015年発足を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)への支持がじわじわと広がっている。4日には先進国から初めてとなるニュージーランドの参加が発表され、参加国は24カ国となった。支持拡大の裏側には、米国や日本が主導してきた途上国への開発支援のための国際金融システムがスピード感に欠けることへの不満がある。
(中略)
 中国が主導するAIIBは日米主導の世界銀行アジア開発銀行の対抗馬と目され、これまで先進国からの正式な参加表明は出ていなかった。それでもニュージーランドが参加を決めたのはアジア太平洋地域で経済的にも軍事的にも存在感を高める中国に完全に背を向け続けることは難しいからだ。
 同様の思惑はアジア太平洋地域の他の先進国でも表面化している。豪州のキーティング*7元首相は昨年10月下旬、地元メディアのインタビューで、豪政府のAIIB参加見送りについて、「アボット*8政権発足以来、最悪の判断ミスだ」と強い言葉で批判。中国国家開発銀行の顧問も務めるキーティング氏は野党労働党所属だが、アボット政権内でもホッキー財務相やロブ貿易・投資相らがAIIB参加を主張しているという。
(中略)
 もちろんインフラ開発に巨額の資金を必要とする途上国はAIIBを歓迎している。アジア開発銀行によると、アジア各国で10〜20年に必要となるインフラ整備額は約8.2兆ドル(約970兆円)。しかし途上国にこうした需要に応じるための資金がないことは明白で、中国の朱光耀財政次官は昨秋、ワシントン市内でのイベントで「インフラ開発の需要と開発支援の間には大きなギャップがある」と指摘し、AIIBの必要性を強調した。
 参加表明済みの24カ国には中国と南シナ海で領有権をめぐる争いがあるベトナムやフィリピンも含まれている。またウズベキスタンクウェートパキスタンの参加で地域的な広がりも出ているうえ、インドやインドネシアといった地域の大国も加わった。
 途上国がこぞってAIIBになびく背景には、日米主導の体制が途上国のニーズに応えられていないという事情もある。なかでも現在の体制の官僚主義的な手続きの多さの結果として、融資決定のスピードが遅くなりがちな問題への不満は大きい。これに対して中国の意思決定の迅速さには定評があり、途上国での勤務経験がある国際金融関係者は「われわれが移動中に道路の状態の悪さに気付いて『整備せねばならないね』と話した翌日には、中国政府の支援で工事が始まっていることがあったぐらいだ」と明かす。
(中略)
 米国は国際通貨基金IMF)で途上国の発言力を強めるための改革にも反対を貫く。米議会で承認を得られる見通しがないことが原因だが、こうしたかたくなな態度が中国による新たな秩序作りに正当性を与えている面もある。
 関係者の間では「アジアのインフラ需要は大きく、世銀やアジア開発銀行が、中国主導のアジアインフラ投資銀行と競合することなく棲み分けることは可能だ」との見方も出ているが、中国が独自に周辺国への影響力を行使することが国際情勢に変化を与えることも考えられる。(ワシントン 小雲規生)

 阿比留などはやたら中国を敵視しますがそれがいかに非現実的かよく分かる記事です。

*1:福建省省都

*2:極右活動家・青山繁晴のこと

*3:ただ後で触れますが「奈良は設置することの是非はちょっと微妙かな」と思いますが、まあ産経の主張はただの反中国ですからね。

*4:当然、「産経出身の」彼女のスタンスは「右寄り」「反中国」ですが

*5:電子工業大臣、上海市長・党委員会書記などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*6:小渕内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相を歴任。

*7:ホーク内閣財務相を経て首相

*8:ハワード内閣環境相、健康保険相を経て首相