今日の産経ニュース(2/7分)(追記・訂正あり)

■【編集者のおすすめ】「近代を開いた」を明快に否定 『明治維新という過ち:日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト』原田伊織著
http://www.sankei.com/life/news/150207/lif1502070019-n1.html
 本の担当編集者が「この本はいいんですよ」という「本の宣伝コーナー」です(書評ではない)。

 日本の近代を開いた明治維新
 著者は、日本近代史の大前提となっているこの視点に異議を申し立てる。そして、明治維新を成し遂げたとされている著名な事件、事象の実相を詳しく整理し、幕末動乱の一連のムーブメントを狂信的原理主義によるテロリズムであったと説く。そのテロ行為の実態をもつぶさに列挙し、これまで語られてきた麗しい「明治維新物語」を明快に否定する。たとえば、「吉田松陰」は長州軍閥山県有朋*1が創作した虚像*2だった、といったように…。
 特筆すべき点は、歴史解釈に長い時間軸を引く必要性を強調し、明治維新を、その後の昭和、平成に至る歴史と同じ時間軸に乗せて、「薩長のテロ革命さえなかったならば、日本が大東亜戦争に突入することはなかったであろう」と断じている点である。
 長州勢力の東北列藩に対する残虐行為にまで詳細に触れ、倫理観を殊更重視して語る著者のいちずともいえる筆致は、曖昧さの支配する現代社会に生きる私たちには鮮烈なインパクトを与える。著者の執念を感じさせる力作である。

 ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、内容の是非*3はともかく、この種の「徳川慶喜会津藩へのシンパシーなどから薩長を否定的に描く本」てのは星亮一『偽りの明治維新会津戊辰戦争の真実』(2008年、だいわ文庫)、『偽りの幕末動乱:薩長謀略革命の真実』(2009年、だいわ文庫)など、以前から存在します。別に珍しくありません。不思議なのは、「明治維新万歳」「大東亜戦争はアジア解放の聖戦」のはずの産経が「薩長をテロリスト呼ばわり」し、「大東亜戦争は起こらなければ良かった」とするこの本の宣伝に何故協力してるのかて事です。産経的にはこれは「打倒すべき自虐史観」のはずなんですが。
 なお、ここまで薩長を否定していいかはともかく「薩長に問題があったこと」それ自体は事実でしょう。維新万々歳で済ませていい話ではありません。

*1:陸軍大輔、陸軍卿、内務卿、伊藤、黒田内閣内務大臣、首相、参謀総長、枢密院議長など政府の要職を歴任。元老の一人。

*2:仮に「虚像」だとしても松陰の弟子で後に出世した人は山県以外にも「伊藤博文」「井上馨」などいますので「山県だけがつくった」みたいに言うのは違うと思いますが

*3:小生は是非を論じる能力はないと自覚してますので特にコメントしません。