「前衛」5月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは5月号を読んでください)
■「スターリン*1秘史:謀略のバルカン作戦(下)」(不破哲三*2)
(内容要約)
・連載の第16回目。
・1941年3/15、秘密裏にナチドイツと交渉を進めていたユーゴスラビア政府は「日独伊三国同盟加盟の議定書」に調印した。もちろんこれはドイツにとって「対ソ戦争の下準備」であった。これに対し、大規模な反政府抗議デモが発生。デモを背景に空軍参謀長シモヴィチがクーデターを起こし彼が首相に就任する。
・しかしシモヴィチは別に「三国同盟反対派」ではなく、あくまでも「政情不安を抑えようとしてのクーデター」であったため、三国同盟参加方針は変わらなかった。またシモヴィチはソ連と相互援助条約を結ぶこと(1941年4/5調印)によりドイツの侵攻を防ごうとした。
・しかしドイツはソ連・ユーゴ条約を無視、調印の翌日4/6にユーゴに侵攻した。これに対しソ連は何ら有効な対抗策を打たなかった。不破は「ヒトラーが持ち出した『日独伊ソ四国同盟による世界再分割』と言う構想(対ソ連戦争を見破られないための謀略にすぎないが)にすっかり有頂天になったスターリンはナチドイツのやること(ユーゴ侵攻)を大目に見る心境になっていた」「そしてそうした本心をスターリンはヒトラーに完全に見透かされていた」と評価する。
・こうしてソ連の支援が期待できない中でユーゴのパルチザン闘争を指導したのが有名なチトー(戦後、首相、大統領を歴任)である。「蒋介石勝利を予想してまるで毛沢東を支援しなかった」中国といい、「ナチスに気を遣いまるで支援しなかった」チトーのユーゴスラビアといいソ連スターリン主義が全然「兄弟党意識がないこと」「国益至上主義であること」がよくわかる。こうしたソ連の態度は後に「チトーや毛沢東がソ連から露骨に距離を置くこと」を助長した、つけを払わされたと言えるだろう。
・さてナチスドイツは、ユーゴと同時にギリシャ侵攻も実施、ユーゴとギリシャを完全に支配下に治める。こうしてナチスの脅威はより深刻なものになり「当然ながら」コミンテルンの任務も重大になるのだがこの時期にスターリンが画策したのが「コミンテルン解体」であった。
「『日独伊ソ四国同盟による世界再分割』と言う構想」にすっかり有頂天になっていたスターリンにとって「独ソ同盟」の妨げになるコミンテルンはもはや邪魔者だったのである。
特集「安倍壊憲政治を問う」
■「立憲主義否定の『解釈クーデター』:集団的自衛権行使へ疾駆する安倍政権」(小林武*3)
(内容要約)
・安倍の「過去の政府解釈を変更して集団的自衛権を認めて何が悪い」と言う暴論への批判です。小林論文においては「集団的自衛権の是非」よりも「安倍の手法の非立憲性」への批判に重点が置かれています。
参考にこの問題についての赤旗記事を紹介しておきます。
参考
赤旗
『歴代政権にも背く安倍改憲暴走、立憲主義否定 「最高責任者は私だ」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-15/2014021503_03_1.html
『「立憲主義守れ」共同広く、安倍流手法に批判噴出 与党・海外メディアからも』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-27/2014022701_01_1.html
■「戦争違法化の世界の流れに逆行する集団的自衛権行使容認(上)」(松井芳郎*4)
(内容要約)
・まず「集団的自衛権」が「ワルシャワ条約機構」「NATOや米州機構」といった米ソの軍事同盟を正当化するために第二次大戦後、国連憲章に書き込まれた物であることが指摘される。つまり集団的自衛権は「創設された権利」に過ぎないのであり、自然権でも何でもない。集団的自衛権の創設者は米ソであり、目的も「米ソ対立」をバックにしており、明らかに「平和維持」が目的ではない。「平和維持のための集団的自衛権」とは建前、お題目に過ぎないのである。
現実的にも「朝鮮戦争(中朝同盟や米韓同盟)」「ベトナム戦争(南ベトナムと米国の同盟)」「ハンガリー動乱、プラハの春弾圧などのソ連軍の東欧介入(ワルシャワ条約機構)」などと防衛と言うよりもむしろ「戦争を助長してきた」のが集団的自衛権である。
特に米ソが「集団的自衛権」を発動した場合「問題を国連安保理に持ち込むことが無意味になる(米ソが拒否権を発動するので)」と言う意味で集団的自衛権ほど厄介な代物はないと言える。
・なお、ソ連の崩壊によりワルシャワ条約機構は消滅。現存する軍事同盟は「中朝同盟」など一部を除き、ほとんどがNATO、日米安保など米国を中心とする物であり集団的自衛権容認論は明らかに米国に奉仕するものといえる。
・なお、集団的自衛権論とは直接見解ないが、憲法問題との絡みでは近年主張されている「人道的介入論」についても留意する必要があるだろう。ただし、一定の積み重ねがあるPKO、PKFと違い、「人道的介入」はほとんど蓄積がなく、「ユーゴ空爆」などはかえって事態を悪化させたという批判があることを指摘しておく。
■「安倍政権による『国策』の宣伝と教化:拡散する『放言の自由』と萎縮する『表現の自由』」(植松健一)
(内容要約)
麻生*5「ナチス発言」、百田「南京大虐殺否定発言」、長谷川「右翼テロ礼賛発言」など、権力の側が「放言の自由」を謳歌している反面、「はだしのゲン排除問題」「上野千鶴子氏講演拒否問題」など「表現の自由」が脅かされる事態への批判。べたではあるがこうした事態については愚直なまでに批判を続けていく他はないかと思う。
批判の結果、島根県は「ゲン排除を撤回」し、山梨市も「上野講演」を予定通り実行したわけだから。
参考
【放言の自由の例】
赤旗
『麻生氏ナチス肯定発言、異常な歴史観 世界から孤立 安倍内閣』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-05/2013080502_03_1.html
『NHK会長・経営委員 止まらぬ異常言動、今度は長谷川氏 テロ行為礼賛の暴言』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-06/2014020601_01_1.html
問われる安倍政権『百田氏の東京裁判否定論、侵略正当化で「戦犯政治」応援』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-01/2014030103_02_1.html
【「表現の自由」の侵害例】
朝日新聞
『上野千鶴子さん、山梨で講演 「紆余曲折」市長は陳謝』
http://www.asahi.com/articles/ASG3L6JTLG3LUZOB012.html
赤旗
『「はだしのゲン」閲覧制限撤回、市民の良識が勝った、原爆の実相、子どもの自主性を、松江市教委に反対意見・抗議次々』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-29/2013082903_01_0.html
『靖国参拝批判の作品 撤去要求、東京都美術館 「政治的メッセージ」、作者 「表現の自由侵す」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-20/2014022001_04_1.html
『憲法集会 市が後援断る、神戸や長野・千曲 引き受けてきたのに、「安倍改憲」に呼応か、「尊重擁護義務を放棄」の声』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-07/2014030715_01_1.html
■「安倍教育改革の道徳観と人間像:今、道徳教育をいかに進めるか」(佐貫浩*6 )
(内容要約)
・赤旗『文科相 「教育勅語」を美化、軍国教育の柱を「中身まっとう」』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-09/2014040901_04_1.html)でわかるように安倍一派の目指す道徳教育とは「滅私奉公」「国家への忠誠」を軸とした反自由主義、反民主主義的代物の訳です。で、こんな代物が道徳教育として適切なわけもないのであってそこはきっちり批判していく必要がある。これは「道徳教育についていかなる立場を取るか」と言うこととは全く関係ない話です。
・なお、どういう道徳教育を学校でやるか(もちろん道徳教育は基本的に家庭に任せるという立場もあり得ますが)という話はまず置いて、日本では道徳とは「べからず論(ゴミを道に捨てるな、など)」と誤解される事が多いと言う佐貫氏の主張は大事でしょう。民主主義、自由主義の世の中では、「あるべき道徳」とは「誰かが命令するから守る物」ではなく「自分が善だと思うから守る物」でないといけないわけです。当然「××するな」という消極的な物だけでなく「××しよう」という積極的な物も道徳としてあり得る。
「自分でルールを作りそのルールを守る」という形があるべき道徳でしょう。そう言う意味で「天皇が命令するから守れ」という教育勅語は全く論外なわけです。
■「首相が秘密を決め、チェックする欺瞞:希代の悪法・秘密保護法は廃止しかない」(山下唯志)
(内容要約)
「タイトルで出落ち」と言う感じの論文。秘密保護法の問題点はいろいろあるだろうが、本論文では政府が構想する「チェック機関」が中立公正な第三者的機関とはとても言えず、「検事と裁判官が一緒」の体を呈していることが批判される。
参考
五十嵐仁の転成仁語『ワタツネなどの「安倍一族」に日本が乗っ取られてしまいそうだ』
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2014-01-15
五十嵐氏も批判しているが監視機関の一つ「情報保全諮問会議」は「あのナベツネ*7が座長」なのだから全く監視機関として期待できない。ナベツネに権力批判を期待するのは「魚屋に野菜を買いに行くようなもの」だろう。そもそもこの機関、『個々の秘密指定が妥当かどうかを判断する権限を付与されていない』ので最初からザルではあるのだが。
信濃毎日新聞『秘密法を追う:国会監視機関・自民党の本音が見える』
http://www.shinmai.co.jp/news/20140409/KT140408ETI090003000.php
外部の委員で構成される情報保全諮問会議は1月に初回の会合を開いたきり開店休業状態で、次をいつ開くかも分からない。
というのだから全くあきれ果てた話である。何のための機関なのか。
なお、信濃毎日が
政府内に設ける三つの機関はいずれも官僚がメンバーになる。身内の組織であり、第三者機関とは言えない。
という3つの機関とは、「各省の事務次官をメンバーとする保全監視委員会」「内閣府に新設される独立公文書管理監と情報保全監察室(もちろんこちらも面子は全て官僚)」のことである。
これら3つの機関に対する批判としては、赤旗『指定・監視 首相指揮下に、秘密法 赤嶺議員が追及』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-22/2014022201_02_1.html)も紹介しておく。
赤旗『志位委員長が会見:秘密保護法の国会監視機関』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-28/2014032801_03_1.html
新たに国会に設置する監視機関に秘密指定が妥当かどうかを判断する権限を付与しない案を自民党が決めたことについて、「まったく無力な内容だと思います。」とのべました。
全く同感です。いやまともな監視機関を造ればいいという話ではないでしょうし、志位氏も廃止を主張してはいますが。
■「福島事故への反省なき、『原発永久化宣言』の暴走:世論を踏みにじる安倍政権の『エネルギー基本計画』の撤回を」(笠井亮*8)
(内容要約)
政府のエネルギー基本計画は脱原発どころか、「福島原発事故の反省」が全くないとする批判です。
参考に赤旗の関連記事を紹介しておきます。
参考
赤旗
『公約破りの「原発永久化」、エネルギー基本計画案 自公が了承』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-05/2014040501_08_1.html
『新たな「安全神話」許されない、エネルギー基本計画案・原発輸出 志位委員長が批判』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-05/2014040501_01_1.html
『「重要電源」の位置づけ批判、塩川議員 エネ基本計画撤回を主張、衆院本会議』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-12/2014041202_01_1.html
『新たな「安全神話」にもとづく原発推進路線の撤回を求める:「エネルギー基本計画」の閣議決定について(日本共産党幹部会委員長・志位和夫)』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-12/2014041202_03_1.html
■「安倍流教育委員会制度『改革』の暴走と矛盾:『対決・対案・共同』の前進のために」(藤森毅*9)
(内容要約)
・教育委員会の権限を弱め、首長の権限を強めることにより首長のトップダウンでの「改革」を可能にしようとする安倍の教委改革案への批判です。もちろん、こうした安倍の考えの裏には「首長の圧力でつくる会教科書採択を増やす(もちろんこれだけが目的ではありませんが)」といった党利党略も存在します。
参考に赤旗の関連記事を紹介しておきます。
参考
赤旗
『政治権力による教育支配への大改悪:安倍政権の「教育委制度改革」について、志位委員長が会見』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-21/2014022101_02_1.html
『教育委員会が首長の下請けに、自公「改革」案、際限のない支配・介入に道』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-14/2014031402_04_1.html
『教育の独立性を破壊、教委「改革」法案を閣議決定』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-05/2014040501_03_1.html
■新シリーズ・いま『大学改革』を考える「『大学の自治』を壊す安倍政権の『大学改革』」(土井誠)
(内容要約)
・「教授会の力を弱め学長権限を強める」「学長の選任を教授会から、理事会に移す(理事は学長が任命する)」などの「トップダウン改革」路線という意味では、「安倍の大学改革」は「教委改革」と同様の性格を持っていると言えます。そうした安倍路線への批判です。
また安倍の教育改革が「口は出すが金は出さない」と言う代物であることを指摘、私学助成など大学予算を大幅に拡充すべきだとしています。参考に赤旗の関連記事を紹介しておきます。
参考
赤旗
『大学学長に権限集中、中教審まとめ案 民主的運営破壊狙う』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-16/2013121602_03_1.html
主張『安倍流「大学改革」、大学自治の骨抜きを許すな』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-13/2014021301_05_1.html
『若者の未来 守れない、給付制奨学金実現迫る、衆院予算委 宮本議員 異常な高学費、貸付制告発』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-18/2014021801_01_1.html
■山梨からのリポート「党のネットワークを生かし大雪被害に立ち向かう」(志村清)
(内容要約)
・山梨の大雪被害で日本共産党及び友好諸団体(民青とか)の皆さんが微力ながら頑張りましたというお話。
参考
赤旗
『大雪 暮らし寸断、関東甲信 食・燃料不足 車両立ち往生』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-17/2014021701_01_1.html
『大雪災害 被災地との連携強化、共産党対策本部が会合』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-18/2014021802_01_1.html
『若い人が雪かきに汗、大雪の山梨 高齢者「ありがたい」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-24/2014022401_02_1.html
■「3・11後の「原発利益共同体」の現状と実態(下)」(小松公生*10)
(内容要約)
3.11後も政財官界の「原発推進」の姿勢は変わらないという批判です。
参考に赤旗の関連記事を紹介しておきます。
参考
赤旗
『トルコ原発輸出合意、三菱重など 安倍首相トップセールス』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-31/2013103101_04_1.html
■論点
【あらわになるTPPの貿易構造の欠陥】(北川俊文)
(内容要約)
・「TPP交渉の秘密主義」や「自民党の公約違反」、日本農業など各方面に与えるダメージの危険性などを批判。
参考
【自民党の公約違反】
赤旗
『TPP関税撤廃 “5項目 一部も対象”、甘利*11担当相が公約違反答弁、赤嶺議員が批判』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-08/2014030801_02_1.html
『甘利氏の発言 公約違反、紙氏 決議通りTPP撤退を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-17/2014031704_01_1.html
【TPP交渉の秘密主義】
赤旗
『TPP秘密交渉の弊害、共産党が当初から警告』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-25/2013082502_02_1.html
『TPP秘密交渉を批判、米14団体が連名書簡、“議会で内容見直す機会を”』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-26/2013102606_01_1.html
【TPPによる経済的ダメージの危険性】
赤旗
『農業所得 3483億円減、TPP試算 地域への影響明らかに、富山、米だけで4分の1喪失』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-23/2013052304_01_1.html
『TPP 10.5兆円生産減に、農業はじめ全産業へ波及、大学教員チーム試算』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-23/2013052301_03_1.html
【カドミウム問題の「全面解決」合意の意義】(水谷敏彦)
(内容要約)
タイトルのカドミウム問題とはいわゆる「イタイイタイ病問題」のことである。
どのような合意が行われたのかについては朝日新聞『イタイイタイ病、補償決着 三井金属、公害発生を謝罪へ』(http://www.asahi.com/articles/OSK201312140015.html)、日本経済新聞『イタイイタイ病が全面解決 三井金属、一時金と謝罪で文書調印』(http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG17005_X11C13A2CR0000/)、赤旗『イタイイタイ病全面解決、合意書交わす 三井金属が謝罪』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-18/2013121801_03_1.html)を紹介しておく。
ただし、筆者(イタイイタイ病弁護団)は今後の課題として以下のことを上げている。
1)カドミウム再汚染の防止
既に神岡鉱山は稼働していないようだがきちんと管理しないとカドミウム再汚染が起きかねないので監視する必要があると言う事らしい。
2)富山県のイタイイタイ病患者認定が不当に狭いので、適切な認定に改めさせる
3)イタイイタイ病の歴史を資料としてきちんと残し世界にも発信する
カドミウム汚染はともかく「地下水汚染」など、「公害自体」は今の日本においても決して過去の物にはなっていないし、ましてや発展途上国ではなおさら「過去の物」にはなっていないであろう。
■暮らしの焦点「建設業の人手不足解決は緊急課題:低賃金・労働条件の改善こそ」(影山政行)
(内容要約)
「タイトルで出落ち」という感がある論文。「いわゆる3K労働(Kは長時間労働で「きつい」、「危険」、「給料が安い」)」であることが人手不足の原因であり、それを「最低賃金引き上げ」などで政治が克服する動きを見せない限り、事態は改善しないと言う話。
参考
赤旗
『外国人労働者受け入れ拡大 政府が方針、低賃金と人手不足の悪循環』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-09/2014040905_01_1.html
『建設労働者の賃上げを、人手不足深刻 辰巳議員求める』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-10/2014041004_04_1.html
■文化の話題
【映画:戦争の時代へ募る痛み・山田洋次監督の『小さいおうち』】(児玉由紀恵)
(内容要約)
山田監督『小さいおうち』の紹介ですがうまくまとまらないので赤旗記事の紹介で代替。
参考
赤旗『きょうの潮流:2014年2月25日(火)』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-25/2014022501_06_0.html
【音楽:メディア機能を持ったオペラ劇場】(宮沢昭男)
(内容要約)
新国立劇場で上演されたオペラ「死の都」(http://www.nntt.jac.go.jp/opera/dietotestadt/)の紹介。
【演劇:一幕劇の醍醐味「名作劇場」】(鈴木太郎)
(内容要約)
シアターΧ(カイ)名作劇場(シアターX公式サイト:http://www.theaterx.jp/index.php)の紹介。
なお、シアターXのホームページにまだ掲載されていないが鈴木論文によると今年10月に第39回公演『母の死』(能島武文脚本)、『大臣候補』(長谷川如是閑脚本)が予定されている。
参考
シアターX名作劇場「過去の公演」
http://www.theaterx.jp/meisaku/
残念ながら初演から第29回公演(2009年公演)までしか掲載されていない。
第30回 シアターΧ名作劇場『茶の間』『囲まれた女』
http://www.theaterx.jp/10/100309-100314p.php
第31回 シアターΧ名作劇場『喪服』『芭蕉と遊女』
http://www.theaterx.jp/10/100831-100905p.php
第32回 シアターΧ名作劇場『ドモ又の死』『眠駱駝物語』
http://www.theaterx.jp/11/110308-110313p.php
第33回 シアターΧ名作劇場『恥』『うす雪』
http://www.theaterx.jp/11/110913-110918p.php
第34回シアターΧ名作劇場『暮春插話』『ある日の蓮月尼』
http://www.theaterx.jp/12/120313-120318p.php
第35回 シアターΧ名作劇場『ぢいさんばあさん』『風の中の羽のように』
http://www.theaterx.jp/12/121002-121007p.php
第36回 シアターΧ名作劇場『巳之助の衝動』『天井裏の散歩者』
http://www.theaterx.jp/13/130312-130317p.php
第37回名作劇場『貰い風呂』『月夜寒』
http://www.theaterx.jp/13/131002-131006t.php
第38回名作劇場『母のプライド』『湖の娘』
http://www.theaterx.jp/14/140304-140309t.php
・第35回公演『風の中の羽のように』の作者・水木洋子は映画「ひめゆりの塔」「ここに泉あり」「キクとイサム」(以上、今井正監督)、「あにいもうと」「山の音」「浮雲」(以上、成瀬巳喜男監督)などの脚本で知られる(ウィキペディア「水木洋子」、「水木洋子・市川の文化人」(http://www.city.ichikawa.lg.jp/cul01/mizuki.html)参照)。
・第37回公演『月夜寒』の作者・三宅大輔は1934年に結成された東京巨人軍の初代監督でその後も
巨人退団後、1936年には阪急軍*12監督、1944年には産業軍*13監督、1947年には国民野球連盟・大塚アスレチックス監督を歴任。1954年は水原茂監督の下でコーチとして、翌1955年は技術顧問として巨人の首脳陣に加わった。(ウィキペ「三宅大輔」参照)
と言う変わり種である。「どこからこんなマイナー作品を見つけ出してきたんだろう?」と不思議に思う。ググったところ『月夜寒』の内容は『レ・ミゼラブル』の翻案のようです。
■スポーツ最前線「差別許さぬJリーグ:サポーターで議論を」(和泉民郎)
(内容要約)
Jリーグの差別横断幕問題について触れたコラム。うまくまとまらないので赤旗記事の紹介で代替。
参考
赤旗
『浦和サポーターの横断幕問題、人種差別許さぬ議論を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-11/2014031112_01_1.html
『横断幕問題 Jリーグが下した重い処分、差別とたたかう世界のサッカー界、違い超え集うスポーツの本質守るため』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-15/2014031511_01_1.html
主張『サッカーの横断幕、リーグで差別の議論する場を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-19/2014031901_05_1.html
■メディア時評
【新聞:「3年目の『3・11』」】(金光奎*14)
(内容要約)
・河北新報(東北のブロック紙)、東奥日報(青森)、岩手日報(岩手)、福島民友新聞(福島)など被災地ローカル紙が震災問題を切実に感じているのに対し、全国紙は他人事ではないのかと批判。
【テレビ:被災地に寄り添えたか】(沢木啓三)
(内容要約)
・取り上げられている「3/11の番組」は
テレビ朝日:スーパーJチャンネル3時間スペシャル「3年後のすがた」(http://www.tv-asahi.co.jp/311_02/)
日本テレビ:news every特別版「被災地の声を聞く」
TBS:NEWS23「震災3年・復興と未来:”これから”のために」(http://www.tbs.co.jp/shinsaisannen/)です。まあ、おおむね好意的評価と言っていいでしょう。
一方、NHKについては「何の特番もしないなんてそれでも公共放送か」と手厳しい評価です。
*2:著書『スターリンと大国主義』(1982年、新日本新書)
*3:著書「地方自治の憲法学」(2001年、晃洋書房)、「人権保障の憲法論」(2002年、晃洋書房)、「憲法判例論」(2002年、三省堂)、「憲法と国際人権を学ぶ」(2003年、晃洋書房)、「いま憲法『改正』と人権を考える」(2005年、部落問題研究所)、「平和的生存権の弁証」(2006年、日本評論社)、「憲法『改正』と地方自治」(2006年、自治体研究社)
*4:著書「湾岸戦争と国際連合」(1993年、日本評論社)、「テロ、戦争、自衛:米国等のアフガニスタン攻撃を考える」(2002年、東信堂)
*5:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第1次安倍内閣外相などを経て現在、第2次安倍内閣財務相
*6:著書「『自由主義史観』批判と平和教育の方法」(1999年、新日本出版社)、「イギリスの教育改革と日本」(2002年、高文研)、「新自由主義と教育改革:なぜ、教育基本法『改正』なのか」(2003年、旬報社)、「教育基本法『改正』に抗して:教育の自由と公共性」(2006年、花伝社)、「学力と新自由主義」(2009年、大月書店)、「平和的生存権のための教育」(2010年、教育史料出版会)、「品川の学校で何が起こっているのか:学校選択制・小中一貫校・教育改革フロンティアの実像」(2010年、花伝社)など
*8:著書「政治は温暖化に何をすべきか:日本共産党、ヨーロッパを訪ねて」(2008年、新日本出版社)
*9:著書「教育の新しい探究:今こそ『まともなルールを』」(2009年、新日本出版社)、「いじめ解決の政治学」(2013年、新日本出版社)
*10:著書『原発にしがみつく人びとの群れ:原発利益共同体の秘密に迫る』(2012年、新日本出版社)