新刊紹介:「経済」12月号

「経済」12月号の詳細については以下のサイトをご覧ください。興味のある記事だけ紹介してみます。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
■巻頭言「リアル図書館戦争
(内容紹介)
 「図書館戦争」(角川文庫)てのはご存じの方もいるでしょうがテレビアニメ(フジテレビ)やテレビドラマ(TBS)、映画(東宝)にもなった有川浩の小説です。ただここでは有川の小説は別に関係ない。話の内容は武雄市その他で問題になってるいわゆる「ツタヤ図書館問題」でのツタヤ批判です。図書館運営がどうあるべきかは難問だと思います。
 小生個人は必ずしも「ツタヤのような図書館業務への新規参入を否定する立場」ではありません。
 ただし「ツタヤ図書館」に話を限ればそれ以前の問題でしょう。「ツタヤは企業として酷すぎるから図書館運営などすべきでない」つう話でしかないでしょう。もちろんツタヤの酷さは「安易な民間企業委託は駄目だ、最終的には自治体のチェックが必要だ、ツタヤみたいな悪徳企業があるから」つう話にはなり得ても「民間企業委託は駄目、直営がベスト」つう話ではないことはお断りしておきます。
 まあ、ツタヤ図書館問題は「図書館問題が多くの自治体においてなおざりにされていた」ことを表面化したという意味では「ある意味怪我の功名」でしょう。ツタヤのせいで酷い目にあった武雄市民その他に大いに同情しますが。

http://news.livedoor.com/article/detail/10824992/
 よく指摘されるのが『旧約聖書出エジプト記』が旅行の棚にあるなど、その分類があたかも(ボーガス注:中身を詳しく調べないで)タイトルを頼りに(ボーガス注:素人が思いつきで)振り分けているとしかみられない点だ。

http://biz-journal.jp/2015/10/post_11764.html
(ボーガス注:ツタヤの運営会社)CCCが選書して購入した(注:武雄市立図書館の)図書の中に、なぜか『ラーメンマップ埼玉2』(ラーメン探検隊/幹書房)、『ウインドウズ98/95に強くなる』シリーズ(メディア・テック出版)、『公認会計士第2次試験2001』(TAC出版)など、出版年度が著しく古く資料価値が低いタイトルが数多く含まれていたことが市民の情報公開によって発覚。しかも、それらの古本の仕入れ先が同社と資本関係のある新古書店だったとなれば、「図書館を(ボーガス注:ツタヤグループが保有する)在庫処分に利用し(ボーガス注:購入の必要もない図書を購入し)たのではないか?」との疑惑の声が渦巻くのも無理もない。市民団体が同図書館のCCCへの委託を推進した前市長を相手取って損害賠償を求める事件にまで発展しているのだ。

http://news.livedoor.com/article/detail/10558852/
「ネット上でも批判されている通り、『食』コーナーの書棚を埋めていたのは、なぜか埼玉県のラーメン本。館内のスタッフに聞いたら『当館の選書方針に則って購入しています』って(苦笑)。いやいや、武雄で埼玉のラーメン事情を知ったところで意味ないんじゃ」
 この”疑惑の選書”について、武雄市図書館を何度も視察している、図書館問題に詳しい慶応義塾大学の糸賀雅児(まさる)教授にも検証してもらった。
 まずは、ネット上でも「この選書はひどい」と批判されまくっているグルメ本『ラーメンマップ“埼玉”』シリーズから。武雄市図書館は2巻、4巻、5巻、6巻、8巻、9巻、10巻、11巻と歯抜けで購入していた。ちなみに、武雄市と埼玉県は1千km以上離れていて、姉妹都市協定を結んでいるわけでもない。
糸賀教授
「例えば、札幌ラーメンや博多とんこつなど全国のラーメンに関連する資料を網羅的に収集しましょうという図書館の選書方針があるのなら埼玉のラーメンマップがあってもおかしくありませんが、武雄市図書館でそんな話は聞いたことがありません」
 『ラーメンマップ埼玉』2巻の出版年度は1997年。すでに閉店しているラーメン店もかなり多そうだ…(苦笑)。続いては、古すぎる試験問題集『公認会計士第2次試験“2001”』(2001年2月出版)。
糸賀教授
公認会計士の資格を目指している人は、武雄市にも一定数はいるでしょうから、その問題集が2001年分だけ欠号していて、それを埋めたというのなら理解はできます。でも、武雄の場合はそんな風にはやっていないのではないでしょうか」
 事実、武雄市図書館の公式HPで資料検索してみると、やはり『2001年版』しかヒットしない。試験では必須知識となるであろう、企業の会計基準や関連法は2001年以降も改正されている。『ブックオフ』でも店頭に2015年度版が並んでいるというのに、どうしてこんなに古い問題集を購入したのだろう。
 他にも、『エラーが分かるとWindows98/95に強くなる』(1999年3月出版)、『パソコン検定試験“P検オフ”99』(2004年出版)など「今さら誰が読むの?」と突っ込みたくなる本が多数並んでいた。

なんて「デタラメな図書分類」「ツタヤグループの在庫処分疑惑」は事実ならば*1「ツタヤグループの図書館運営の是非を論じるなどという高尚な話以前の話」であり、まともな図書館とは到底言えません。よくそんなていたらくで図書館運営に参入しようと思えるもんです。いやそんなクズ企業だから躊躇なく参入するのか。もはや「ある種のブラック企業、悪徳企業=ツタヤ」でしょう。ツタヤ不買運動を呼びかけたいほどです。まあ俺に限れば「漫画や雑誌ばかりで、品揃えが悪い」のでツタヤではほとんど購入しませんが。

参考
産経
■『愛知・小牧のツタヤ図書館は白紙化 反対多数の住民投票受け契約解消』
http://www.sankei.com/west/news/151020/wst1510200048-n1.html
■『「ツタヤ図書館」新設反対の署名活動スタート、山口』
http://www.sankei.com/west/news/151118/wst1511180058-n1.html
■読売『ツタヤ図書館、また賛否…山口で住民投票へ動き』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151112-OYT1T50015.html


■随想『「我が故郷」台湾への想い』(長崎真人)
(内容紹介)
 自分史(その内容の一部はhttp://www.machida-zeikei.sakura.ne.jp/n04_history/index.htmlで読めます)で「幼少期の台湾経験」を書いた筆者が改めて「台湾への想い」を書いている、つう話です。
 ネット上から筆者の「台湾への想い」が伺える部分(台湾植民地支配への批判意識)を引用しておきましょう。

http://www.machida-zeikei.sakura.ne.jp/n04_history/h_1/his1_05_3.html
「確かに日本はひどい事もやったけれども、台湾の開発、経済社会の近代化に尽くした功績も大きかった」「台湾を作ったのは日本人だ」「日本人は胸を張ってよい」と言う意見があります。最近特に、そのような主張を見ます。
 私は、この主張に組する事は出来ません。
(中略)
 台湾開発の成果を、一概に日本の植民地経営の功績と言う事はできないと言う事。
 領台*2前の台湾は、決して全く未開の僻地ではありませんでした。むしろ、台湾は全中国で最も豊かな近代化の進んだ地域となっていました。山地を除く耕地の大部分の開発も進んでいましたし、港湾、鉄道、電信等の基盤整備も進められつつありました。
 日本の領台時には、北端の基隆から中部の新竹まで鉄道が走っていたと言う事を、恥ずかしながら私は最近まで知りませんでした。これは、日本で新橋=横浜間の鉄道開通“汽笛一声新橋をはや吾が汽車は離れたり”の歌に遅れる事わずか15年後の事。電信電話、中国本土との海底電線もすでに開通していました。
(中略)
 台湾平定に日本の軍事力の大半を注ぎ込み「台湾戦争」と軍司令部が称したほどの武力を行使し、ほぼ平定と言い得るまでに結局20余年を要したと言う事。これが、ポツダム宣言受諾で終わる全占領期間50年の4割の年数になると言う事は、日本の台湾統治の本質を示すものとして、明らかにしなければならない事だと私は思います。

http://www.machida-zeikei.sakura.ne.jp/n04_history/h_1/his1_05_6.html
 兄と二人でお祭に行く途中、(中略)上半身裸の台湾人が、両手に高く椅子を持ち上げて正座しているのを見ました。幾時間そうしていたのか判りません。疲労で手が下がると、後ろに立った警官の容赦ない鞭が音を立てて肌に食い込みました。幾筋もの血の筋が裸の体に走っていました。その血の色と「アイゴーアイゴー」と言う声は、今も幼い日の記憶に鮮明です。
 台湾では警察官の権限は絶大で、この台湾人もどんな罪を犯したのか判りませんが、裁判も経ずに残虐な刑を課せられていたのだと思います。台湾には、“笞刑”と言う前近代的な刑罰が、台湾総督府の条例で定められていました。

http://www.machida-zeikei.sakura.ne.jp/n04_history/h_1/his1_09_5.html
 大陸では、日本軍が侵略を欲しいままにしていた時代です。「日本勝ったシナ負けた。負けて逃げるはシナのチャンチャン坊主」などと子供の遊びの中でも口にされていました。何の頓着もない日本人の同級生の悪童が、その台湾人の子に対し(中略)「お前なんか大和魂あるか」と毒づきます。その子は真っ赤に高潮した顔で「僕だって日本人、大和魂あるさ」と言い返します。  
 こんな事が教育の場で、何気なく行われていました。これが恥ずべき植民地の実態と言わなければなりません。台湾人から台湾人としての自覚・プライドを奪い取る教育、社会的風潮が、軍国主義と共に強められていました。


■世界と日本
EU揺るがす難民問題】(宮前忠夫*3
(内容紹介)
 シリア内戦によって発生している難民問題について論じています。短期的には「どうやって難民を引き受けていくか」、長期的には「どうやってシリア内戦を終わらせるか」つう問題でしょう。
 まあ、どっちも難問ですけど。

参考
赤旗
■『難民流入 苦悩の欧州、イラク・シリア内戦で急増、独など関係国 きょう対応協議』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-08-27/2015082707_01_1.html
■『内戦・貧困 解決求める、難民・移民問題 国連で各国首脳』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-01/2015100107_01_1.html


【韓国の「賃金ピーク制」】(洪相鉉)
(内容紹介)
 韓国朴政権が推進している「賃金ピーク制度」への批判です。要するに「中高年労働者の賃金に上限を設定したところでそれが若者の雇用増加(政府が主張する制度目的)に結びつく保証はない」という批判です。

参考
■レイバーネット日本『韓国:賃金ピーク制を導入した公共機関でむしろ採用は減少』
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2015/1446825352717Staff


■「戦争法廃止に向けて:新しい民主主義の前進と社会変革」(佐藤学*4
(内容紹介)
 「過大評価は禁物だが」と断った上で「それでも戦争法反対デモが空前の規模となった事は意義あることだと思う、この成果を発展させたい(そして戦争法の発動阻止や廃止、あるいは安倍政権打倒につなげたい)」という話です。

参考
赤旗・主張『「我々は屈しない」、戦争法廃止へ運動発展さらに』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-18/2015101801_05_1.html


特集「アベノミクス批判」
■「第二ステージへ向かうアベノミクス:骨太方針2015の税財政方針批判」(梅原英治*5
(内容紹介) 
・いわゆるアベノミクス第二ステージ(アベノミクス三本の矢)について「GDP600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロ」と目標設定はされているが、具体的手法が明確になっていない点を批判。
・安倍政権の政策を「福祉切り捨て路線」と批判し、そのような路線をとる限り「希望出生率1.8、介護離職ゼロなど実現できない」と批判。
・「GDP600兆円」を主張するように安倍政権は「景気回復」を掲げているがこれについても「国民負担増や福祉切り捨て政策で内需を冷やしては達成できない」とし、国民負担の軽減や福祉充実を主張している。

参考
赤旗
■主張『「新3本の矢」、絵空事で国民はごまかせない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-09-27/2015092701_05_1.html
■『アベノミクス新「3本の矢」 設計図は経団連発、法人税率引き下げ 消費税19% 社会保障抑制』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-15/2015101501_01_1.html
■主張『「1億総活躍社会」、国民をどこに追い立てるのか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-31/2015103101_05_1.html


■「大企業の「史上最高益」の構造:国内経済とのギャップ」(垣内亮*6
(内容紹介) 
 まず大企業の「史上最高益」の反面、労働者収益があがっておらず当然国内消費も増えていないことが指摘される。
 その理由として「企業収益が国内販売によるものではないこと」が指摘される。「海外での販売」「財テク」「コストカットの推進」が企業利益の増大理由であるため「労働者への還元」という考えは企業にはあまりなく、その結果「労働者収益があがっておらず当然国内消費も増えていないこと」になるわけである。
 筆者はそうした事態を是正し、「労働者収益の向上、国内消費の増加」を目指すことこそ真の景気回復策としている。

参考
■『2015 とくほう・特報:行き詰まるアベノミクス
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-30/2015013003_02_0.html


特集「隠された財政危機:国債リスク」
■「日本を借金大国にした公債制度の特異性」(岩波一寛*7
(内容紹介) 
 日本の財政制度は戦前の反省から財政法第4条により「国債発行を原則禁止」し、ただし公共事業については、国会の議決を条件に「国債発行が可能」としている(いわゆる建設国債)。
 あくまでも4条の建設国債発行は「例外」であるがしかし、日本では「自民党が多数党であること」もあって事実上、いわゆる建設国債がほとんど制約無しで発行されてきた。
 当初はいわゆる赤字国債については発行されていなかったが
1)財政法は「財政についての一般法に過ぎず」いわゆる特例法、特別法の存在を否定しているわけではない
2)「建設国債以外発行できないのでは財政支出に支障を生じる」
と言う理屈から「特例法制定による赤字国債」も発行されるようになり、現在、財政法第4条は空文化し、日本に巨額の財政赤字をもたらしている。財政法4条をどう実質化していくかが問題である。


■「異次元金融緩和の虚構と急増する国債」(村高芳樹)
■「ユーロ圏から見た日本国債金利リスク」(代田純*8
(内容紹介)
 異次元金融緩和によって日銀が国債を大量購入することによって以下の問題が発生していると批判する。
1)「国債発行が野放図になり財政破綻を招く危険性がある」として財政法第5条で禁止されている「日銀による国債の直接引き受け」に限りなく近い状況になっている。
2)「日銀が大量購入したため」、市場に出回る国債が少なくなり、その結果「小規模な売り買いでも国債価格が乱高下する」恐れがある。
3)大規模な金融緩和からのいわゆる出口戦略の困難性。金融緩和はいずれは「中止すべき政策」だが、下手に金融緩和をやめると、「急激な金利上昇を招き、経済に打撃を与える危険性がある」。

参考
赤旗
■『日銀の国債保有急増、「異次元金融緩和」 宮本氏指摘』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-18/2015061805_03_1.html


■「安倍「法人税改革」による金融業界優遇策」(丸井龍平)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

参考
■主張『法人税減税の強行、消費税増税と矛盾感じないか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-26/2014062601_05_1.html
■主張『法人税減税上積み、破綻した政策を繰り返すのか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-11-14/2015111401_05_1.html


■データで見る日本経済20「外国人観光客と国内消費:中国人の爆買いが国内消費を支える」
(内容紹介)
 副題の「中国人の爆買いが国内消費を支える」で既に結論は出ています。
 「マスコミ報道」「観光地や商業街(秋葉原等)で中国人観光客らしき集団を見かけること」などから、感覚的にも「中国人の爆買いが国内消費を支えている」と多くの人が認識していると思います。
 そして、政府の経済統計データもそれを裏付けているという話です。
 ちなみにこの記事に寄れば2014年データで外国人観光客の消費額は「1位中国(香港を含む)」で約6953億円(外国人観光客消費額総額の約34.3%)。「2位台湾」で約3544億円(約17.5%)。「3位韓国」で約2090億円(約10.3%)でこの参加国で約62.1%を占めるわけです。
 ここからは
1)アベノミクス景気と宣伝されているもののかなりの部分は中国景気によるもので安倍の手柄ではない(したがって中国景気が今のように減速すると日本景気にも悪影響が出る)
2)実利的な面を考えても右翼的な反中国路線は現実性がなく「キャメロンの英国」「メルケルのドイツ」「オランドのフランス」「馬英九の台湾」といった「近年、中国首脳と会談するなど友好関係を深めようとしている」諸外国のような「中国とそれなりのおつきあいをする路線」が現実的であるということ、そうした意味で安倍のような戦前賛美、反中国右翼政治家がいかに有害であるかが「改めて」よくわかります。
 まあ、宮崎正弘、三浦小太郎、I濱Y子、id:Mukkeとか言った「反中国極右の諸君」は「中国の強い経済力に日本が依存してる」という事実は絶対に認めたくないことではあるでしょう(皮肉)。

参考
■読売『「爆買い」押し上げ、ラオックス利益8倍に急増』
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20151112-OYT1T50093.html
産経
■『“爆買い需要”で過去最高益…新関空会社中間決算 商業収益67%増』
http://www.sankei.com/west/news/151111/wst1511110104-n1.html
■『“爆買い”訪日客で中部空港は過去最高益 前年同月比で56%増 9月中間決算』
http://www.sankei.com/west/news/151118/wst1511180097-n1.html
■【お金は知っている】中国人の「爆買い」に支えられる日本経済 今こそ「消費減税」決断を(田村秀男)
http://www.sankei.com/premium/news/151121/prm1511210005-n1.html


■「橋下大阪市・府政の清算と住民自治」(森裕之*9
(内容紹介)
 大阪ダブル選挙を前にして橋下批判派の一人である、森氏の橋下批判。

参考
赤旗
■『大阪「維新」 不祥事だらけ、政活費で高級車・ゴルフコンペ景品、チラシ作らず計上、「維新」府政 7年間で 暮らし1551億円も削減』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-11-14/2015111415_01_1.html

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-23/2015102303_02_0.html
■『橋下「維新」政治の異質な危険、終止符打つのは府民大義、大阪ダブル選』の一部引用
・危険その1 大阪市がつぶされる
 「大阪都」構想とは、大阪市も24区もなくして五つの特別区に分割し、権限も財源も「都(府)」に吸い上げ、「1人の指揮官(知事)」の下でやりたい放題の体制をつくろうというものです。「何度もやるものではない。1回限り」(橋下氏)と強引に実施した5月17日の住民投票で反対多数・否決となり、橋下氏は「政界引退」表明に追い込まれました。
 ところが、「大阪維新」はダブル選で「大阪都」構想への再挑戦を掲げました。「湾岸区という名称が評判良くなかった」など「バージョンアップ」の中身は区割りや名前の変更ばかり。大阪市を廃止・解体することに変わりはありません。
・危険その2 暮らしがつぶされる
 「身を切る改革」が「大阪維新」の売り物ですが、切ってきたのは市民サービスです。
 高齢者住宅改造助成を廃止、特養ホーム建設補助を1床あたり371万円から270万円に削減、大阪府済生会千里病院千里救命救急センターと大阪赤十字病院救命救急センターへの補助を廃止―など、「大阪維新」府政7年で府民の命や暮らしに関わる予算が1551億円も削減されました。
 橋下氏は、柳本氏が打ちだした「敬老パスの改善(乗車ごとの50円負担廃止)」の公約にかみつき、お年寄りの負担を強いる「大阪維新」の「敬老パス改革」を誇る始末です。
 その一方で、「大阪維新」は(中略)税金の不正使用も相次ぎ起こしています。
(中略)
 「大阪維新」の地方議員の政務活動費の不正使用も「高級自動車のローンに支出」「架空のチラシの配布に支出」など目に余ります。
・危険その3 民主主義がつぶされる
 「選挙で勝ったらなんでもできる」と独裁的な手法で対立と混乱を招いてきたのが、橋下「維新」政治です。
(中略)
 「国旗・国歌」強制条例を強行し、「君が代」斉唱をしているか、校長による教職員の“口元チェック”が問題になりました。この校長は橋下氏の友人で、橋下知事時代に民間人校長として府立高校に着任し、松井知事が府教育長に登用。パワハラ問題で、辞任に追い込まれました。
 大阪市が市職員に対して行った「思想調査アンケート」は、大阪地裁で違憲だと断罪されました。
 自由と民主主義を取り戻す課題は切実です。


■「国連が多国籍企業規制の条約づくりを開始」(筒井晴彦*10
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗多国籍企業の規制必要、ISD条項の批判など次々、国連本部で討論会』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-09-27/2013092706_01_1.html


■「日本の人口減少問題を考える」(友寄英隆*11
(内容紹介)
 安倍政権の少子化対策への批判。
 いわゆる少子化白書が少子化原因の一つとして「非正規低賃金労働者の増による生活不安」を上げているのに対し、「非正規低賃金労働者増加を助長するようなちぐはぐな政策」では少子化は絶対に克服できないとしている。
 なお一部ででている外国人移民導入論については「日本に比べ人権意識が高いとされ、移民についてそれなりの実績もある欧州ですら排外主義が無視できない広がりを持っていること」を指摘し「それなりのプランをたてて実行するのならともかく、安易な移民受入は排外主義や外国人差別を助長する」として批判している。

参考

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-10/2015061001_05_1.html
赤旗主張『出生率9年ぶり減、若者支える政治へ転換を急げ』の一部引用
 2005年に合計特殊出生率1・26を記録した翌年、政府の「少子化社会白書」は「少子化の原因」を次のように指摘しました。「結婚や結婚後の生活の資金がないこと、雇用が不安定であるため将来の生活設計が立てられないこと、結婚すると仕事と家庭・育児の両立が困難となること」。さらに育児や教育にかかる費用の重さなど多くの課題も列挙しました。それから10年近くたつのに、数々の課題は改善に向かうどころか、ますます深刻化するばかりです。
(中略)
 安倍晋三政権が強行しようとしている労働者派遣法改悪案や「残業代ゼロ」法案は、若者の「使い捨て」を加速する最悪の逆行です。
 日本の少子化は、大企業の大もうけのために若者たちを犠牲にしてきた政治・経済の行き詰まりがもたらしているものです。大企業優先政治のゆがみをただし、若者が結婚・出産・子育てに希望が持てる政治への転換が必要です。


■「ピケティ*12マルクス:貧富の格差拡大に対して」(屋嘉宗彦)
(内容要約)
 筆者の理解では「資本主義には格差を拡大する傾向がある(格差は一時的に拡大することはあっても、最終的には縮小傾向にあると考えるクズネッツ*13カーブ仮説への批判)」「それを政策で是正する必要がある」とする点ではマルクスとピケティには共通点がある(もちろん「どうしてそう言う傾向があるのか」「どうすれば是正できるのか」と言う点においては色々と違いがあるが)。
 一方で筆者はピケティとマルクスの理論の違いももちろん指摘した上で自らの見解を述べているが、その点は今ひとつ理解できなかったので紹介は省略する。


■対談「偽りの「大筋合意」・TPPはいらない」(内田聖子*14、真嶋良孝*15
(内容紹介)
 TPP大筋合意批判です。
 対談では
1)大筋合意であり細部まで合意が成立しているわけではないこと
2)議会の批准が各国とも必要なこと
3)TPP反対派「民主党*16の左派バーニー・サンダース*17」の批判に対するものであり「オバマ政権国務長官としてクリントンはTPPを推進したため、どこまで本心かすこぶる怪しい上、サンダースと違い反対ではないものの」、民主党最有力候補ヒラリー・クリントン*18が「批判派の意見に耳を傾けて白紙で検討したい(当然に推進するわけではなく反対もあり得る)」と言いだしていること
が指摘され、「今後の戦いが重要」とされている。

参考
赤旗
■主張『TPP「大筋合意」、秘密交渉の結果押し付けるな』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-07/2015100701_05_1.html
■『「大筋合意」 国会決議違反は明白、TPPからの撤退迫る 参院予算委 紙議員が追及』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-11-12/2015111201_01_1.html


■書評『ルポ・にっぽんのごみ』(杉本裕明、2015年、岩波新書)(評者:畑明郎*19
(内容紹介)
・『官僚とダイオキシン:“ごみ”と“ダイオキシン”をめぐる権力構造』(1999年、風媒社)、『環境犯罪:七つの事件簿(ファイル)から』(2001年、風媒社)、『ごみ処理のお金は誰が払うのか:納税者負担から生産者・消費者負担への転換』(共著、2005年、合同出版)、『赤い土・フェロシルト:なぜ企業犯罪は繰り返されたのか』(2007年、風媒社)、『廃棄物列島・日本:深刻化する廃棄物問題と政策提言』(編著、2009年、世界思想社)『ゴミ分別の異常な世界:リサイクル社会の幻想』(2009年、幻冬舎新書)、『環境省の大罪』(2012年、PHP研究所)といった著書がある環境ジャーナリスト・杉本氏の新刊の紹介。

*1:ツタヤが抗議して記事が撤回されたなんて話は聞かないので残念ながら、おそらく事実でしょうが。

*2:「日本の台湾領有」のこと

*3:著書『人間らしく働くルール:ヨーロッパの挑戦』(2001年、学習の友社)

*4:『安保関連法に反対する学者の会』(http://anti-security-related-bill.jp/)発起人の一人。著書『「学び」から逃走する子どもたち』(2000年、岩波ブックレット)、『学力を問い直す:学びのカリキュラムへ』(2001年、岩波ブックレット)、『習熟度別指導の何が問題か』(2004年、岩波ブックレット)など

*5:著書『関西、その活力の源をさぐる:産業集積と起業家精神』(2000年、法律文化社

*6:著書『消費税が日本をダメにする』(2012年、新日本出版社

*7:著書『どうする自治体財政:再生へのオルタナティブ』(編著、2001年、大月書店)

*8:著書『ロンドンの機関投資家と証券市場』(1995年、法律文化社)、『日本の株式市場と外国人投資家』(2002年、東洋経済新報社)、 『日本の国債・地方債と公的金融』(2007年、税務経理協会)、『金融危機と証券市場の再生』(2010年、同文館出版)、『ユーロと国債デフォルト危機』(2012年、税務経理協会)、『ユーロ不安とアベノミクスの限界』(2014年、税務経理協会)など

*9:著書『公共事業改革論:長野県モデルの検証』(2008年、有斐閣)、『これでいいのか自治アウトソーシング』(編著、2014年、自治体研究社)、『雇用・暮らし・教育の再生の道:大阪都構想・カジノからの転換』(共著、2014年、自治体研究社)、『大阪市解体・それでいいのですか?:大阪都構想・批判と対案』(2015年、自治体研究社)、『2015秋から・大阪の都市政策を問う』(共著、2015年、自治体研究社)、『大都市自治を問う:大阪・橋下市政の検証』(編著、2015年、学芸出版社)など

*10:著書『働くルールの国際比較』(2010年、学習の友社)

*11:著書『「新自由主義」とは何か』(2006年、新日本出版社)、『変革の時代、その経済的基礎:日本資本主義の現段階をどうみるか』(2010年、光陽出版社)、『「国際競争力」とは何か:賃金・雇用、法人税、TPPを考える』(2011年、かもがわ出版)、『大震災後の日本経済、何をなすべきか』(2011年、学習の友社)、『「アベノミクス」の陥穽』(2013年、かもがわ出版)、『アベノミクスと日本資本主義:差し迫る「日本経済の崖」』(2014年、新日本出版社)、『アベノミクスの終焉、ピケティの反乱、マルクスの逆襲』(2015年、かもがわ出版)など

*12:著書『21世紀の資本』(2014年、みすず書房)、『トマ・ピケティの新・資本論』(2015年、日経BP社)

*13:1971年のノーベル経済学賞受賞者。

*14:アジア太平洋資料センター(PARC、http://www.parc-jp.org/)事務局長。個人ブログ(http://uchidashoko.blogspot.jp/

*15:農民連(http://www.nouminren.ne.jp/index.shtml)副会長。著書『いまこそ、日本でも食糧主権の確立を!:このままでは食べ物がなくなる? ウソのようでホントの話』(2008年、本の泉社)

*16:民主党所属ではないが民主党と共同会派をくんでおり、今回、民主党の大統領予備選挙に参加。

*17:バーモント州下院議員を経て上院議員

*18:ニューヨーク州上院議員オバマ政権国務長官を歴任

*19:著書『深刻化する土壌汚染』(編著、2011年、世界思想社)、『福島原発事故放射能汚染:問題分析と政策提言』(編著、2012年、世界思想社)、『イタイイタイ病とフクシマ:これまでの100年 これからの100年』(共著、2014年、梧桐書院)など