■京都府知事選、西脇氏が当選確実 復興庁前事務次官
http://www.sankei.com/west/news/180408/wst1804080034-n1.html
覚悟はしていましたが実に残念です。ただし、落選は残念ですが、それよりもむしろ「相乗り対共産」で、最大野党立民が平然と自公系候補に相乗りしたのに呆れますね。本来、自ら候補を立てた上で、共産など他野党の支援を要請するのが、最大野党の責務でしょうが、せめて自主投票にできなかったのか。
こんなんでは「地元の事情がある」だの「加計森友は追及する」だの立民が言いわけしても説得力に大いに欠けます。最大野党がそんなことで政治不信を招かないと思っていたら大間違いです。
■「教育守る義務放棄」前川喜平氏、文科省批判 授業内容報告要請
http://www.sankei.com/affairs/news/180408/afr1804080009-n1.html
そりゃ批判するでしょう。当たり前の話です。
しかも「教育内容を理由に嫌がらせ」でも十分問題ですが、もっとレベルは低くて、単に「加計告発して気にくわないから嫌がらせ」ですからね。不正行為の告発という正当行為に、首相が逆ギレなんて話になりません。
■【自民党総裁選】野田聖子*1総務相、総裁選で夫婦別姓の推進訴える 「避けて通れない問題」
http://www.sankei.com/politics/news/180408/plt1804080009-n1.html
まあつまりは野田にとって夫婦別姓は
1)安倍は夫婦別姓に反対なので、安倍と差別化できる(安倍と違う「女性の味方、穏健保守、保守リベラル」イメージをアピールできる)
2)かつ今や自民党内や財界にも夫婦別姓支持派がかなりいるので気軽に主張できる
3)しかも「加計森友問題での安倍批判」、「慰安婦問題での安倍批判」など安倍がマジギレし「適当な理由をでっちあげて野田を大臣から更迭するなど」、野田に報復しかねないほどリスキーなネタではない
つう認識があるんでしょうねえ。野田が「女性活躍担当相を兼務してる」のも、まあ、「夫婦別姓アピールする」野田の希望だったんでしょうね。で本心では「女性活躍など何の興味もない安倍」としてはその野田の希望を拒否して別の人間(例えば前任者の加藤*2厚労相)を「女性活躍担当相に任命する気もなかった」と。
■【日曜に書く】論説委員・長辻象平*3 CO2での温暖化は集団催眠か 本当は寒冷化の始まりではないか?
http://www.sankei.com/column/news/180408/clm1804080007-n1.html
丸山氏の名前でぐぐると『「地球温暖化」論に騙されるな!』(2008年、講談社)、『地球温暖化対策が日本を滅ぼす』(2008年、PHP研究所)、『科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている』(2008年、宝島社新書)、『今そこに迫る「地球寒冷化」人類の危機』(2009年、KKベストセラーズ)といった著書がヒットします。まあCO2温暖化原因否定説のトンデモさんですね。
なお、ググったところこの種のトンデモ本は他には
・薬師院仁志*4『地球温暖化論への挑戦』(2002年、八千代出版)
・伊藤公紀『地球温暖化』(2003年、日本評論社)
・伊藤公紀、武田邦彦、薬師院仁志、渡辺正ほか『暴走する「地球温暖化」論:洗脳・煽動・歪曲の数々』(2008年、文藝春秋)
・武田邦彦*5、丸山茂徳『「地球温暖化」論で日本人が殺される! 』(2008年、講談社)
・伊藤公紀、渡辺正『地球温暖化論のウソとワナ』(2008年、ベストセラーズ)
・赤祖父俊一*6『正しく知る地球温暖化:誤った地球温暖化論に惑わされないために』(2008年、誠文堂新光社)
・桜井邦朋『眠りにつく太陽:地球は寒冷化する』(2010年、祥伝社新書)、『日本列島SOS:太陽黒点消滅が招く異常気象』(2015年、小学館新書)
・武田邦彦『温暖化謀略論:米中同時没落と日本の繁栄』(2010年、ビジネス社)
・広瀬隆*7『二酸化炭素温暖化説の崩壊』(2010年、集英社新書)
・深井有『気候変動とエネルギー問題:CO2温暖化論争を超えて』(2011年、中公新書)、『地球はもう温暖化していない:科学と政治の大転換へ』(2015年、平凡社新書)
・渡辺正『「地球温暖化」神話・終わりの始まり』 (2012年、丸善出版)
などがあります。「文春、講談社、集英社、中公、平凡社、小学館」といった大手からこんな本が過去に出されたことがあるとは、日本の将来がマジで心配になります。
まあ、もちろん
・明日香壽川『地球温暖化:ほぼすべての質問に答えます!』(2009年、岩波ブックレット)
・鬼頭昭雄『異常気象と地球温暖化:未来に何が待っているか』(2015年、岩波新書)
・小西雅子『地球温暖化の最前線』(2009年、岩波ジュニア新書)、『地球温暖化は解決できるのか:パリ協定から未来へ!』(2016年、岩波ジュニア新書)
などのまともな本も一方ではあるわけですが(やはり安心の岩波ブランド)。
それはともかく、産経以外の全国紙ではまず読むことのできないエセ科学記事です。なるほど「自民党ですら反対しない」温暖化防止の国際協定すら「CO2原因否定論」を持ち出し公然と否定する産経にとってはある意味「河野談話否定論」をかますのは何の問題もないのでしょう。
これが「本気なのか」、それとも「温暖化CO2原因説否定のトランプが大統領だから、トランプにこびてこういうこと言ってる。今の大統領がああいう変人でなければこういうこと言わないのか」気になるところです。
まあ、この与太記事、社論ではなく、長辻某の個人的見解に過ぎないかもしれませんが、会社の紙面を与えてる以上、社論だと思われても文句は言えません。そもそもこんなエセ科学主張は「両論併記」を理由に載せることが許されるもんじゃありませんし。
こんなのを乗せていいのなら「ホロコースト否定論」でも「天地創造説」でも何でもありになってしまいます。
■【書評】天皇への愛と苦悩の生涯 『孤高の国母 貞明皇后』川瀬弘至著
http://www.sankei.com/life/news/180408/lif1804080020-n1.html
今時、国母ですよ、奥さん。正気を疑いますね。つうことはあれですか、「貞明皇后の夫(大正天皇)」は国父ですか?。
まさかとは思いますけど、この国父、国母ってさすがに「戦前の天皇、皇后限定」ですよね?。まさか現天皇や美智子皇后、現皇太子や雅子さん(近々天皇、皇后になる予定)のことを「国父」「国母」とか言いませんよねえ?。
それともいっちゃうのか。
まあ、それはともかく、俺が国父と言って想像するのは
・米国にとってのワシントン(初代大統領)
・旧ソ連にとってのレーニン
・旧ユーゴにとってのチトー(初代大統領)
・中国にとっての毛沢東(中国共産党主席)or孫文
・台湾(国民党)にとっての蒋介石(中国国民党主席)or孫文
・北朝鮮にとっての金日成(国家主席、朝鮮労働党総書記)
・ベトナムにとってのホー・チ・ミン(ベトナム労働党主席、ベトナム国家主席)
・インドにとってのネール(初代首相)orガンジー
・ミャンマーにとってのアウン・サン
・インドネシアにとってのスカルノ(初代大統領)
・シンガポールにとってのリー・クアンユー(初代首相)
・トルコにとってのケマル・アタチュルク(初代大統領)
・イランにとってのホメイニ師
(他にもいるでしょうが思いつかないので省略)
つまり、「建国の父(初代首相や大統領)」ないしそれに匹敵すると見なされる人間(中国共産党にとっての孫文*8)ですね。
もちろん「単に初代首相、大統領」では国父にはなれません。ある種の権威がないといけない。
韓国初代大統領であっても、不正選挙の抗議デモでハワイに亡命した李承晩なぞ韓国人のほとんどが国父と思ってないでしょう。
あるいは俺が国父としてあげたメンツも「レーニン」「チトー」は是非はともかく今はそういう評価されてないでしょう。
台湾においても「蒋介石統治時代」はもう蒋介石も孫文も間違いなく国父ですが、今はそうは言いがたいでしょう。
本書のエピローグには、宮中祭祀(さいし)の簡略化を企図する侍従長に皇太后の遺志を継ぐ香淳皇后が抵抗する姿が描かれ、この歌が引用されている。
ああ、はいはい、「伝統墨守、伝統墨守」ですか。そういう、「開かれた皇室派」への当てこすりはげすいからいい加減やめればいいのに。
つうか、侍従長と香淳皇后(昭和天皇の妻)の考えが違うつうことはこんなもんある意味「絶対の正解」なんかどこにもないわけですよ。
ちなみに
http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20151009/1444397688
「実録」には今城誼子という女官が出てくる。源氏名を浜菊といい、皇太后節子(貞明皇后)についていた女官だ。皇太后が亡くなったあとは香淳皇后に出仕する。天皇が高齢になったとき、入江相政侍従長が健康のために祭祀を減らそうとするのに今城が反対する。彼女は、祭祀を軽んじると大変なことになるという貞明皇后の影響を受けている。それに香淳皇后が感化されていく。入江はその日記で彼女のことを「魔女」と呼んでいる。
参考
■今城誼子(いまき・よしこ、1908年(明治41年)〜1993年(平成5年)2月12日)
1971年まで香淳皇后付の女官を務めた人物。今城定政子爵の子女。
1929年より当時の皇太后(貞明皇后)に出仕。皇太后は宮中祭祀に熱心で、旧来の皇室の慣習を厳格に守る人物であり、今城は出仕中に強くその考えに傾倒したものと思われる。1951年の皇太后の崩御後、当時の侍従次長・甘露寺受長の紹介で香淳皇后に出仕することとなった(女官昇任は1953年4月10日)。皇后の信頼が極めて厚くなり、それを背景に宮中で強い影響力を振るうに至ったが、入江相政(1969年〈昭和44年〉〜1985年〈昭和60年〉まで侍従長)ら昭和天皇付の側近と対立、最終的には昭和天皇の支持を得た天皇側近たちによって、1971年(昭和46年)、自主退職に追い込まれる。入江は1965年(昭和40年)以降、その日記で「魔女」というニックネームで今城のことを記述しているほど、彼女を忌み嫌っていた。
*1:小渕内閣郵政相、福田、麻生内閣消費者問題等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)などを経て第四次安倍内閣総務相
*2:ただし女性活躍担当相在任中は厚労相ではなく一億総活躍等担当相。
*3:著書『江戸の釣り:水辺に開いた趣味文化』(2003年、平凡社新書)、『釣魚をめぐる博物誌』(2003年、角川選書)など
*4:著書『日本とフランス 二つの民主主義』(2006年、光文社新書)、『社会主義の誤解を解く』(2011年、光文社新書)、『ポピュリズム』(2017年、新潮新書)など
*5:『早死にしたくなければ、タバコはやめないほうがいい』(2014年、竹書房新書)などトンデモ著書多数
*6:著書『オーロラへの招待』(1995年、中公新書)、『オーロラ』(2002年、岩波新書)など
*7:著書『恐怖の放射性廃棄物:プルトニウム時代の終り』(1999年、集英社文庫)、『アメリカの経済支配者たち』(1999年、集英社新書)、『アメリカの巨大軍需産業』(2001年、集英社新書)、『アメリカの保守本流』(2003年、集英社新書)、『FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン』(2011年、朝日新書)、『原発ゼロ社会へ! 新エネルギー論』(2012年、集英社新書)、『ロシア革命史入門』(2017年、集英社インターナショナル新書)など
*8:本来、孫文は共産党と関係ないのですが「事情がどうであれ」生前、彼が国共合作していたこともあり「反共・蒋介石に比べれば国共合作した孫文は偉い、孫文は共産党を政治運動の同志として認めていた」「孫文の合作路線を蒋介石は逸脱した、我々共産党こそが本当の孫文の後継者だ」という形で持ち上げられていくことになります。「白猫でも黒猫でもネズミをとるネコがいい猫だ」的な現実主義(改革開放や香港の一国二制度など)が「孫文評価」においても「蒋介石の前任者として批判するより、取り込めるなら取り込めばいい」として見事に採用されたわけです。