「珍右翼が巣くう会」メンバー・黒坂真に突っ込む(2021年3月7日分)

黒坂真が吉岡正史をリツイート
 吉岡正史さん。日本共産党は日本が皇室を中心とする共同体である事*1がとにかく嫌なのですね。そこで夫婦別姓を手がかりにして、女系天皇、皇室解体と進めていきたい。
◆吉岡正史がリツイート
きょうの潮流 2021年2月27日(土)
▼夫婦同姓が法律で定められているのは、世界の中でも日本だけ。夫の姓にしたカップルが96%にも上ります。日本がジェンダーギャップ指数121位という現実がここに示されています
▼NHKの「ETV特集」「夫婦別姓 “結婚”できないふたりの取材日記」がこの問題に切り込みました。
▼夫婦同姓の始まりは明治時代の「家」制度。国家のもとでは天皇が父で、皇后が母、国民は天皇の子と見なされたのです。戦後、「家」制度は廃止されましたが、夫婦が同じ「氏」を名乗ることは残りました。番組の取材に応えて、共産党の志位委員長が「強制的夫婦同姓制度」とコメントしています
▼選択的夫婦別姓を求める声は年々高まり、いまや50代以下では8割以上との世論調査も。菅首相は昨年の国会で、過去に自身が選択制を提唱してきたことに「責任がある」と認めています(ボーガス注:例えば朝日新聞『首相、選択的夫婦別姓に「政治家として責任がある」』など)。選択的夫婦別姓の実現にもはや壁はないはずです

 吉岡氏も「無視して相手にしない」とはいえよく「ツイッターブロックしない(俺ならブロックしてますね)」と思いますがそれはさておき。
1)自民党議員(例:後で紹介する野田聖子*2井出庸生(井手氏については毎日新聞自民・井出庸生氏、選択的夫婦別姓「党内議論、熱冷まさずに」』参照))にすら別姓支持派がいるのに、そして、世論調査で「別姓容認が多数(まあ選択制ですからね)」なのに
2)世論調査女性天皇容認が多数であり、「悠仁君誕生」で死文化したとは言え、小泉政権の審議会「皇室典範に関する有識者会議」が「女帝容認」を答申した
3)「皇室典範に関する有識者会議」には「奥田碩日本経済団体連合会会長)」「園部逸夫*3 (元最高裁判事。外務省参与)」「古川貞二郎(元厚生事務次官、元内閣官房副長官)」(役職は全て当時)といった「保守派」がメンバーとして存在していた
4)国連の女性差別撤廃委員会でも複数の委員から「女性天皇を認めるべき」との意見が過去に出ていた
のにこの寝言。呆れて二の句が継げませんね。
 黒坂にとっては夫婦別姓容認「野田聖子」、「井出庸生」、「後で紹介する青野慶久サイボウズ社長」、女性天皇容認「小泉*4元首相」「奥田碩」「園部逸夫」「古川貞二郎」「国連女性差別撤廃委員会の委員」も「皇室解体」を狙ってるのか。いや黒坂のようなトンデモウヨだと本心か居直りかはともかく、「その通りだ」と言っても何ら意外性はありませんが。
 そもそもきょうの潮流 2021年2月27日(土)は「明治の天皇制と夫婦同姓には関係がある」とは言っていても「夫婦同姓と天皇制には関係がある」なんて一言も言ってない。ましてや「天皇制廃止のために夫婦別姓や女帝導入」なんて一言も言ってない(そもそも女帝導入論については書いてませんが)。
 「明治の天皇制と国家神道靖国)には関係がある」「戦前の天皇は軍最高司令官(大元帥)だった」というのは「天皇制と国家神道(戦前日本軍)には関係がある」ではないし、ましてや「国家神道靖国)や戦前日本軍への批判は天皇制廃止ではない」のと同じ話です。

【参考】

夫婦別姓、野田・青野氏「決着を」朝日地球会議plus:朝日新聞デジタル2021.3.1
 野田聖子自民党幹事長代行と青野慶久サイボウズ社長が、3月3日からオンライン配信する「朝日地球会議plus」で、選択的夫婦別姓をテーマに議論した。
 野田氏は、自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる議論が始まったことについて、「これだけ動きが活発化しているので、そろそろ(ボーガス注:別姓制度導入で)決着をつけたい」と法制化に向けて強い意向を示した。一方、青野氏は「企業として選択的夫婦別姓に賛成といいたい企業が増えているのではないか。(声を)集めて政治家に伝えてみたい」と経済界から声を上げることに意欲を見せた。
 青野氏は結婚後、自分が名字を変えて通称として「青野」を名乗っている。
 青野氏は2018年に、夫婦別姓を認めない戸籍法は憲法違反だとして訴訟を起こしている。
 野田氏は「同氏を名乗るのも自由、別氏を名乗るのも自由。様々な家族の形態をみんなが認めていく。そのスタンスは20年前と変わっていない」として、一貫して選択的夫婦別姓を求めてきたと語った。
 また選択的夫婦別姓をめぐる自民党内の状況について、「安倍政権では、首相自らが反対なのだから議論をしないというのが暗黙のルールみたいになっていた」「自民党が(2009年に政権を失って)野党になってから、自分たちの立ち位置を民主党(当時)の個人主義*5と対比させる形で、家父長制とか明治時代のように、お父さんが一番偉くてお母さんは台所でごはんを食べるみたいな、そういう『イズム』に少し*6シフトしている気がする。以来この7、8年、(夫婦別姓の議論は)封印されてきた」と説明した。そのうえで「これだけ(党内で)動きが活発化しているので、そろそろ(ボーガス注:別姓制度導入で)決着をつけたい」と述べた。
 選択的夫婦別姓を求める人たちが個人で何ができるかについて、野田氏は「ネットやSNSであればお金はかからないし、世界中の人たちにアクセスすることができる。世界の人から『おかしいよね、変えたらどう?』というムーブメントも起こせる」とネットの活用を勧めた。
 例として女性蔑視発言で森喜朗*7元首相に世界中から批判が集まり、東京オリンピックパラリンピック大会組織委員会の会長を辞任したことを挙げた*8
 他にも野田氏は、(ボーガス注:選択的夫婦別姓を求める人たちが個人で何ができるかについて、)選挙で選択的夫婦別姓に賛成する議員を応援すること*9なども提案した。

自民・井出庸生氏、選択的夫婦別姓「党内議論、熱冷まさずに」 | 毎日新聞2021.3.6
◆記者
 どのような思いで選択的夫婦別姓制度の推進に取り組んでいますか。
◆井手
 3年ほど前、選択的夫婦別姓制度を求めて裁判を起こしたソフトウエア会社「サイボウズ」の青野慶久社長から、配偶者の名字に改姓したときの苦労を聞きました。今の民法では、夫婦のどちらが改姓してもいいのですが、実態は96%は女性が改姓している。民法に照らせば、男性も結婚のときに考えなければいけない問題です。青野さんに話を聞き、当事者意識を持たなければいけないと気付かされ、国会議員として、制度の改善に取り組むべきだと思いました。
◆記者
 丸川珠代*10男女共同参画担当相が選択的夫婦別姓制度に反対する文書に名を連ねていました。
◆井手
 丸川大臣は「男女共同参画担当大臣と個人の思いは切り離してやっていかないといけない」とおっしゃっていて、それはその通りだと思います。担当大臣としては、橋本聖子前大臣が選択的夫婦別姓の導入を進めようと取り組んできたことをしっかりと引き継いでいってほしい。
(この記事は有料記事です。)

 ということで今や自民党内にも別姓支持が広がってるわけです。なお、井手氏は

◆祖父:三木内閣官房長官を務めた井出一太郎。なお井手一太郎の弟が「マスコミ九条の会呼びかけ人」を務めた井出孫六*11、妹が評論家の丸岡(旧姓:井手)秀子
◆伯父:村山内閣厚生相、新党さきがけ代表を務めた井出正一(井手一太郎の長男)

なので自民党内では「比較的リベラル」なのでしょう。「寄らば大樹の陰」で「野党(民進党)から自民入り」したとはいえ、同じような経歴(民進党から自民党入り)の「自民党執行部にへいこらしかしない細野豪志*12」なんぞに比べれば余程好感が持てます。今の自民党内で「選択的」とはいえ、夫婦別姓支持を表明することは正直政治的な意味でメリットは無いでしょう。

選択的夫婦別姓の導入、自民が検討チーム設置へ…党内には賛否 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン2021.3.4
 自民党は、選択的夫婦別姓の導入を検討するプロジェクトチーム(PT)を新たに設置し、近く議論を再開させる方針を固めた。

 どんな結論が出るか分かりませんが、仮に結論が「今から結論ありき」で「その結論が別姓不可」だとしてもこれは「野田聖子など自民党内の別姓支持派を抑えるための行為」だということです。例えば「女性天皇導入」「外国人地方参政権導入」のPTは「将来はともかく」現時点ではつくらないわけですから。
 つまりは「夫婦別姓などやらない」の一言では片付けることが出来ないほど、自民党内において「別姓支持が広がってる」。
 「PTで充分検討したから従え」という形で無いと押さえ込めない。
 一方で「女性天皇導入」「外国人地方参政権導入」などは自民党内において現時点では「無視しても問題ない」からPTなんかつくらない。
 黒坂の寝言「夫婦別姓天皇制解体」がいかに馬鹿げてるかという話です。まあ、黒坂も本気では無く「故意のデマ垂れ流し」でしょうが。

*1:黒坂の言う「皇室を中心とする共同体」が何を意味するかにもよりますが「天皇を中心とする神の国(森首相発言)」なんてのは俺は勘弁して欲しいし、「極右を除き」ほとんどの日本人(自民支持層ですら)は「俺と同意見」でしょう。どっちにしろ「天皇制の是非」と「夫婦別姓の是非」は関係ない話です。赤旗記事きょうの潮流 2021年2月27日(土)天皇制批判なんかしていない。

*2:小渕内閣郵政相、福田、麻生内閣消費者問題等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣総務相などを経て現在、自民党幹事長代行

*3:著書『最高裁判所十年』(2001年、有斐閣)、『皇室制度を考える』(2007年、中央公論新社)、『皇室法入門』(2020年、ちくま新書)など

*4:宇野内閣厚生相、宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相などを経て首相

*5:そんなに民主党個人主義だとも思いませんが。

*6:「少し」どころの話ではないですが、まあ「大臣、自民党三役の経験者・野田だからここまで言える」のであって他の議員だとこの程度ですら言えないのでしょう。

*7:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相

*8:野田以外の自民議員が発言したら「野党議員の森批判を支持するのか!」「森氏に失礼だ!」などと悪口されかねませんね。

*9:野田以外の自民議員が発言したら「野党議員への支持を呼びかける気か!(言うまでも無く明らかに野党の方がそうした議員は多い)」などと悪口されかねませんね。

*10:第三次安倍内閣環境相、五輪担当相(男女共同参画担当相兼務)などを経て菅内閣五輪担当相(男女共同参画担当相兼務)

*11:1931~2020年。著書『秩父困民党』(1979年、講談社現代新書)、『小説 佐久間象山(上)(下)』(1987年、朝日文庫)、『歴史紀行 峠をあるく』(1987年、ちくま文庫)、『その時この人がいた:もうひとつの昭和史』(1990年、ちくま文庫)、『抵抗の新聞人桐生悠々』(1991年、岩波新書)、『満蒙の権益と開拓団の悲劇』(1993年、岩波ブックレット)、『峠の廃道:秩父困民党紀行』(1995年、平凡社ライブラリー)、『石橋湛山と小国主義』(2000年、岩波ブックレット)、『野口英世』(2004年、岩波ジュニア新書)、『終わりなき旅:「中国残留孤児」の歴史と現在』(2004年、岩波現代文庫)、『中国残留邦人』(2008年、岩波新書)など(井出孫六 - Wikipedia参照)

*12:野田内閣環境相民主党幹事長(海江田代表時代)、政調会長岡田代表時代)、民進党代表代行(蓮舫代表時代)、「希望の党憲法調査会長など歴任