今日の産経ニュースほか(5/26分)(追記・修正あり)

雁屋哲ブログ『我々の自己責任』
http://kariyatetsu.com/blog/1978.php

 森友学園問題、加計学園問題、自衛隊イラク日報問題、などで安倍晋三内閣は大きく揺らいでいますが、2018年5月24日現在持ちこたえており、このまま内閣を維持し続けることが出来るようです。
 21日の読売新聞電子版によると、内閣支持率は3ポイント上がって42%になったそうです*1

 雁屋氏の憤りと嘆きには全く同感ですね。加計森友疑惑発覚後、既に問題は「安倍の極右路線を認めるのか」などという問題ではなく「加計森友のような不正を認めていいのか」というより深刻な問題になっています。まともな人間ならあんな不正を認められるもんではないのですがね。


毎日新聞『中曽根氏、27日100歳 首相経験者2人目、なお存在感』
https://mainichi.jp/articles/20180526/k00/00m/010/106000c
・中曽根や奥野誠亮*2(1913〜2016年)のような「俺が全く評価してない人間」が無駄に長生きしてると不快になってきますね。
 これが

・張学良(1901〜2001年)
  西安事件の首謀者の一人。第二次国共合作のきっかけを作った。
ボー・グエン・ザップ(1911〜2013年)
  元ベトナム国防相ディエンビエンフーの戦いによってその名を高める。

ならそんなこともないのですが。
・まあ今の中曽根*3は「床の間の置物」みたいな存在でしょう。首相経験者であり、かつ「安倍にとっては改憲派という意味では同じ立場」だから安倍らが適当に持ち上げてるだけで、実質的な政治力はもはやないでしょうねえ。
 ちなみに存命の首相経験者では村山氏が中曽根に次ぐ94歳の高齢です。他は海部氏*4が87歳、福田氏*5が81歳、細川氏、森氏*6が80歳、麻生*7が77歳、小泉氏*8が76歳、鳩山氏、菅氏が71歳、現首相の安倍*9が63歳、野田氏が61歳ですね。他の首相経験者は既に皆故人です(ウィキペディア内閣総理大臣の一覧』参照)

「自主憲法制定」を訴えて政治活動を続け、1982年から約5年の首相在任中には「戦後政治の総決算」を掲げた。

 とはいえ中曽根の首相時代は護憲を掲げる社会党が最大野党として強い力を持っていましたし、今と違って公明党も一応「護憲」を掲げていました。
 自民党内においても宮澤喜一*10・中曽根内閣蔵相(当時)など護憲派宏池会など)が強い力を持っていました。首相としての中曽根にとっては改憲は現実的目標ではなく、むしろ電電、専売公社、国鉄民営化など改憲以外が現実的目標とされたわけです。

 孫の中曽根康隆衆院議員は、祖父の近況について「元気に週に2、3日はネクタイを締めて外出している。知識欲、勉強欲はまだまだ旺盛だ」と説明。

 何でここで息子の中曽根弘文*11が登場しないのか?

旧中曽根派の流れをくむ自民党の派閥「志帥会」を率いる二階俊博*12幹事長

 とはいえ二階氏自身は竹下*13派出身で「中曽根派出身じゃない」ですからねえ。伊吹派(伊吹氏*14は中曽根派出身です)と二階派が合併したから「流れをくむことになっただけ」で。
 むしろ山崎拓*15派の流れをくむ石原*16派の方が「中曽根派の流れをくむ」といった方がいいかもしれない。
 とはいえいつまで経っても派閥を譲らない中曽根ら長老と袂をわかって独立したのが山崎氏ですが。


【ここから産経です】
■【特派員発】韓国軍による虐殺が50年後も隠蔽されている ベトナム・ハミ村 吉村英輝
https://www.sankei.com/premium/news/180526/prm1805260016-n1.html
 何で韓国がベトナムで虐殺するかと言えば、韓米軍事同盟を理由に韓国はベトナム戦争で米国と共同軍事作戦したからです。
 それにしても産経がやってる南京事件否定論を棚上げにして、あるいは日本のベトナム戦争支持をよくもこんなことがいえたもんです。
 大体産経はよく「ベトナム親日だ」とかぬかしますけど、「太平洋戦争の侵略」「日本のベトナム戦争支持」でベトナムの対日感情はそんなに単純じゃないでしょう。単に「日本の金目当て」に貧乏国ベトナムが黙ってるだけです。で「韓国軍の虐殺の隠蔽*17」とやらにしても事情は同じでしょう。
 「韓国の金目当て」に貧乏国ベトナムが黙ってるつう面があるわけです。
 産経もその点は

 ベトナム政府は韓国政府に虐殺事件の補償も謝罪も求めていない。背景には、経済的な結びつきを強める韓国への反感を押さえ込もうとの配慮(中略)があるようだ。

と書いています。
 ついでにいえば韓国が枯れ葉剤被害などで米国を厳しく批判しないのも「米国の金目当て」つう面があるわけです。もちろんこれはベトナムだけじゃない。「朴チョンヒ時代の貧乏国・韓国が日本の金目当てに日本批判控えてた」とか「ノルウェーサーモンを中国に買ってほしいから、ノルウェー首相がダライラマに会わない(例のid:Mukkeノルウェーに霞を食えとはいえない』案件)」とか、いくらでも例はある。id:Bill_McCrearyさんのいう『経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ』という話です。
 それはともかく、とにかく産経が韓国軍批判するなら日本軍だって批判して当然です。
 日本軍批判しない産経はおかしい。産経の場合、「ベトナム人の人権擁護」とか反戦平和主義とかじゃなくて「韓国による慰安婦追及」などを相対主義でごまかそうというゲスな事を考えてるからこうなるわけですが。

 国交樹立(1992年)以降の韓国政府の対応を見ると、98年に当時の金大中(キム・デジュン)大統領がベトナムを訪問した際、「不幸な時期があった」と「遺憾」を表明。2001年に金氏が訪韓したチャン・ドク・ルオン国家主席(当時)に対し首脳会談で、「不幸な戦争に加わり、本意ではなかったがベトナム国民に苦痛を与えたことについて申し訳なく思う」と初めて公式に謝罪した。
 金氏の発言に対し当時、野党や退役軍人らから「謝罪は行き過ぎだ。参戦将兵の名誉を傷つける。大統領の歴史認識を疑う」などとの批判が出た。特に、野党ハンナラ党副総裁だった朴槿恵(パク・クネ)前大統領は、ベトナム参戦を進めた朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の長女で、「自由民主義体制に対する確固たる信念がない」と語り、金氏の国家観に疑問を呈した。

 不十分な点があるにせよ一定の謝罪をした金大中がまともであり、金を非難した「朴チョンヒの娘」クネが「まともでないクズ」であることがよくわかりました。
 金大中を尊敬し、クネを軽蔑する俺にとって喜ばしい話です。


■【加計学園問題】加戸守行前愛媛県知事の話 「違和感覚えていた」
https://www.sankei.com/politics/news/180526/plt1805260018-n1.html
 「部外者のお前に何が解るんだよ。」「お前どんだけ安倍かばえば気が済むんだよ」「さすが高石邦男事務次官収賄で有罪判決)の側近で、リクルートの過剰接待で文部省を辞めた灰色官僚(当時、官房長)は言うことが違いますね」といいたくなります。
 しかし「キジも鳴かずば撃たれまい」つうか加戸もこういうバカなことを言わなければ「リクルート疑惑の灰色高官」なんて黒歴史が「日本全国に知れ渡ることもなかった」でしょうにねえ。


■【自民党総裁選】「参院選負ければ終わり」 総裁候補巡り竹下亘*18
https://www.sankei.com/politics/news/180526/plt1805260013-n1.html
 加計森友による安倍内閣支持率の低迷を理由に「三選は当然の前提ではない」とする竹下氏です。はっきり「安倍総理には辞めてもらいたい」といえないことや「選挙のことしか言わないこと(法治国家としての政治的道徳の問題を無視)」は彼の限界ですが、それにしても安倍批判派として「風向きは安倍批判へと変わりつつある」と思いたいところです。


働き方改革法案の29日衆院通過に意欲 自民・森山裕*19国対委員長
https://www.sankei.com/politics/news/180526/plt1805260011-n1.html
 過労死遺族の反対の声を平然と踏みにじるなど、言ってることが全く無茶苦茶ですね。野党やマスコミの奮起を期待したいところですが最悪可決されても「再改正が可能」ということを思えば「決して終わってはいない」と考え反撃を目指すべきでしょう。しかし自民、公明もやることがどんどん無茶苦茶になってますね。


■加計、実際にはなかった総理との面会「活路見いだせると考え」 コメント全文
https://www.sankei.com/west/news/180526/wst1805260042-n1.html
 加計学園側が「そうした発言を愛媛県にしたのは事実。だから文書は愛媛県の嘘じゃない。しかし首相も嘘はついていない。つまり私、加計学園が嘘をついていました」といいだしたようです。
 まあ、安倍も愛媛県も正しいとするならこのいいわけ以外ないでしょうが、これを信じる人間はいないでしょう。何せ柳瀬首相秘書官(当時)の「首相案件発言(愛媛県文書に記載)」がありますし、前川元文科事務次官も「木曽*20内閣参与や和泉*21首相補佐官から加計の獣医学部は首相の意向だと言われた」と証言してますし。加計発言と「愛媛県文書に記載された柳瀬発言」「前川証言(木曽や和泉が首相の意向だと言った)」が全て「首相の意向」で一致してるのはどう見ても偶然ではなく「やはり加計発言は事実ではないのか」でしょう。
 また、野党も「ならば加計学園関係者を証人喚問だ」でしょう(与党は詭弁はいて拒否しようとするでしょうが)。
 というか、これが事実だとしても*22「ありもしない事実でも首相との関係をほのめかせば、オールOKという理解の元、加計がでたらめ三昧やっていた」ということになり、「加計の獣医学部申請について全てチェックしよう」つう話にしか本来ならないでしょう。加計が「ドーモスイマセン」と一言言えば済むような話ではない。
 つうかこれが事実なら安倍本人が加計学園に激怒して、この問題についての徹底調査を指示すると思いますよねえ。まあ指示しないのでしょうし、そのこと自体が今回の加計の言い訳が嘘と言うことを証明してると思います。
 もう本当にいい加減安倍を首相から辞めさせなければ日本は本当にやばいことになるでしょう(既にかなりやばいですが)。日本人であることに日々屈辱と恐怖を感じずにはいられませんね。


■【主張】米朝の中止を通告 偽りの非核化は通じない 日米は対北圧力強化へ結束を
https://www.sankei.com/column/news/180526/clm1805260001-n1.html
 例の核実験場廃棄についていえばIAEA査察など専門家の確認がないので、評価は難しいのは確かです。とはいえ産経のように「偽りの非核化」呼ばわりするのは明らかに不適切でしょう。
 それにしても

トランプ米大統領米朝首脳会談の中止を通告した。極めて妥当な判断である。

という社説を産経が書いたあとに

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018052501389
時事通信『6月12日会談「あり得る」=北朝鮮と再調整模索−米大統領
【ワシントン時事】トランプ米大統領は25日、中止を24日に通告した米朝首脳会談に関し、当初予定されていた6月12日の開催も「まだあり得る」と述べ、北朝鮮側と接触を続けていることを明らかにした。ホワイトハウスで記者団に語った。

です(苦笑)。少なくともトランプが産経程アンチ北朝鮮でないことだけは確かでしょう。


■【野党ウオッチ】1・2%+1・7%=1・0%!? ご祝儀相場とは無縁の国民民主党、奇跡の「支持率マジック」
https://www.sankei.com/premium/news/180526/prm1805260012-n1.html
 産経らしい駄記事です。そんなことをあげつらって何の意味があるんでしょうか。
 なお、「考え方や政治的動き方はいろいろと違う」とはいえ、岡田*23元代表、野田*24元首相、細野*25元幹事長といった元民進党幹部連中が国民民主不参加を表明してるのだから支持率が下がるのは別に不思議でもないでしょう。
 一方で「民進党支持層主流」の支持を得る党としては枝野*26代表、福山*27幹事長、長妻*28政調会長、辻元*29国対委員長、菅*30、海江田*31最高顧問などといったメンツの立憲民主党があります。
 そもそも国民民主に限らず「足して増える」つう程話は単純ではありません。一緒になることで「一緒になって良かった」と増える場合もあれば「一緒になって失望した」と減る場合もあるわけです。

*1:ただしそれでも不支持率の方が高いですし朝日、毎日だと支持率はもっと低くなりますが。いずれにせよ「安倍が居直っても安倍おろしの激しい声が自民党内で起こらない程度の支持率」であることは事実であり、日本人として屈辱です。

*2:田中内閣文相、鈴木内閣法相、竹下内閣国土庁長官など歴任

*3:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*4:福田、中曽根内閣文相を経て首相

*5:森、小泉内閣官房長官を経て首相

*6:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮澤内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相

*7:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長などを経て首相。現在、第二〜四次安倍内閣副総理・財務相(敬称を付ける気にならないので呼び捨てです)。

*8:宮澤内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*9:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官などを経て首相。現在、第二〜四次安倍内閣副総理・財務相(敬称を付ける気にならないので呼び捨てです)。

*10:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官自民党総務会長(中曽根総裁時代)、中曽根、竹下内閣蔵相を経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*11:小渕、森内閣文相(科学技術庁長官兼務)、麻生内閣外相、自民党参院議員会長など歴任

*12:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)などを経て自民党幹事長

*13:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*14:橋本内閣労働相、森内閣国家公安委員長、第一次安倍内閣文科相自民党幹事長(福田総裁時代)、福田内閣財務相衆院議長など歴任

*15:宇野内閣防衛庁長官、宮澤内閣建設相、自民党国対委員長(河野総裁時代)、政調会長(橋本総裁時代)、幹事長、副総裁(小泉総裁時代)を歴任

*16:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*17:今回産経が隠蔽呼ばわりする事件は事件の存在自体は韓国、ベトナム双方とも否定していませんので「隠蔽」と呼ぶのは適切でないでしょうが。単に「両国ともこの問題に触れたがらず、当然被害者への救済などは不十分だ」つう話に過ぎません。

*18:第三次安倍内閣復興相、自民党国対委員長(第二次安倍総裁時代)を経て総務会長

*19:第3次安倍内閣農水相

*20:元文科官僚。文化庁文化財部長、独立行政法人日本学術振興会理事、ユネスコ日本代表全権大使など歴任。現在は加計学園理事、千葉科学大学長(加計学園系列)

*21:国交省住宅局長

*22:もちろんどう考えても事実ではないですが。

*23:鳩山、菅内閣外相、民主党幹事長(菅代表時代)、野田内閣副総理・行革相、民主党代表代行(海江田代表時代)を経て代表

*24:鳩山内閣財務副大臣菅内閣財務相、首相、民進党幹事長(蓮舫代表時代)を歴任

*25:野田内閣環境相民主党幹事長(海江田代表時代)、政調会長岡田代表時代)、代表代行(蓮舫代表時代)など歴任

*26:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相民主党幹事長(海江田、岡田代表時代)、民進党代表代行(前原代表時代)などを経て立憲民主党代表

*27:鳩山内閣外務副大臣菅内閣官房副長官民主党政調会長(海江田代表時代)などを経て立憲民主党幹事長

*28:鳩山、菅内閣厚労相民進党代表代行(岡田代表時代)、選対委員長(前原代表時代)などを経て立憲民主党政調会長

*29:社民党政策審議会長、国対委員長鳩山内閣国交副大臣菅内閣首相補佐官(災害ボランティア担当)、民主党政調副会長、幹事長代理、役員室長、民進党幹事長代行、立憲民主党政調会長などを経て立憲民主党国対委員長

*30:社民連副代表、新党さきがけ政調会長、橋本内閣厚生相、鳩山内閣副総理・財務相などを経て首相

*31:菅内閣経産相民主党代表など歴任