「経済」7月号について、俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
■随想『世界の常識と在日米軍基地の姿』(小松崎榮)
(内容紹介)
沖縄県民の人権を侵害する現在の米軍基地の有り様は非常識であるとして批判。筆者自身は基地廃止派、日米安保廃止派と見られるが「日米安保や米軍基地を容認する立場でも」、現状は異常ではないかとしている。
世界と日本
■フェイスブックの情報流出(高野嘉史)
(内容紹介)
フェイスブックの情報流出を取り上げ、こうした情報流出を防ぐための法整備の必要性を主張している。
■韓国サムスンの無労組経営(洪相鉉)
(内容紹介)
労組を敵視するサムスングループに対する批判。
参考
■聯合ニュース『「無労組」サムスン電子 初の労働組合発足』
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2018/05/31/0200000000AJP20180531005100882.HTML
ハンギョレ
■サムスングループの4労組、労組破壊文書に共同対応
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/30199.html
■社説『サムスンの「労組つぶし」、違法性を徹底的に調査処罰せよ』
http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/30276.html
■巨大サムスンに対抗した労組、ついに直接雇用引き出した
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/30332.html
■世界の資源需要とアフリカ(佐々木優)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。
https://thepage.jp/detail/20170531-00000010-wordleaf
■アフリカを蝕む「資源の呪い」 現在の輸出傾向から探る経済成長への鍵(解説:京都大学大学院および神戸大学大学院教授 高橋基樹*1)
今回はアフリカ経済がどれだけ単一産品輸出依存的な体質にあるのか、その体質から変化する動きはあるのかどうか、詳しく見ていくことにしよう。
(中略)
2012年の輸出品目構成を見ると、鉱物性燃料等が半分以上(正確には54.1%)を占めることが分かる。この鉱物性燃料等の大半は原油で、その他に天然ガス、石炭などが含まれる。そして、鉱物性燃料等に次いで多い輸出品目は金、プラチナ、宝石などの貴金属等であり、続いて第3位が鉄鉱石などの鉱石等、第5位が銅及び関連製品である。これらの鉱産物だけで合わせて約7割を占める。輸出に占める鉱産物の比率のこうした高さは、アフリカの「資源豊富な大陸」というイメージを裏書きしている。
他方、世界銀行(世銀)のデータでは、同じ2012年にアフリカの国内総生産(GDP)合計に輸出が占める比率は32.3%で、先進国に比べてかなり高い(米国のGDPに輸出が占める比率は13.6%、日本は14.5%である)。つまり、アフリカ経済は輸出収入に大きく依存し、さらにその輸出収入の多くの部分を鉱産物に頼っている、ということである。それは、アフリカ経済全体の成長が、国際市場で決まる鉱産物の価格に左右されることを意味している。単純にただ一つの輸出品目に集中しているわけではないが、限られた種類の輸出品=鉱産物にアフリカ経済が依存していることはたしかなのである。
(中略)
いずれにせよ、資源の輸出に偏って依存することは、アフリカ経済が外部の需要に左右されやすい不安定なものであることを意味している。鉱産物価格の下落は、アフリカからの輸出に極めて深刻な影響を与えた。再び図1を見ると、2012年から16年にかけて、輸出額全体がほぼ半減しているのが分かる。こうした鉱産物の価格の動向は、アフリカ経済全体にも影響を与え、国際通貨基金(IMF)によれば、それまで5%前後で推移していた成長率は、2015年には3.2%に低下し、さらに16年には1.3%にまで下落したと推計されている。16年の成長率は人口増加率を大きく下回った。このことに着目すれば、アフリカ経済の現状は植民地と同じような体質にあり、その将来を安易に楽観してはならないということになろう。
(中略)
このように限られた種類の輸出品、すなわち原油をはじめとする鉱産物に依存しているという意味で、現代のアフリカ経済の体質は植民地経済と同様であると言ってよい。しかし、より詳細に個別の国の状況を見ていくと、アフリカ諸国は、植民地時代が残した輸出のあり方を全くそのまま引き継いだわけではなく、さまざまな変化を経験してきたこと、また国によってその状況が異なることがわかる。
(中略)
ナイジェリアは、2012年には一国だけでアフリカの輸出合計の3割強を占めていた輸出大国であるが、その輸出収入の9割以上は鉱物性燃料等(ナイジェリアの場合は原油と天然ガス)によっている。
(中略)
一つ重要な点は、これらの国の原油・天然ガス依存は、植民地からの独立以降に生じたということである。ナイジェリアの場合、植民地支配から独立した1960年の直前に原油の商業向け生産が始まった。それまではヤシ油などの限られた農産物の輸出に経済が依存していたが、1960年代以降、世界中に石油文明が広がるにつれ、原油等への依存が高まり、1970年代半ばの石油ショックを機に輸出は原油等に集中するようになり、ヤシ油の輸出は急激に縮小した。ナイジェリアの輸出、そして経済は独立後の原油輸出の拡大に伴って多様化したのではなく、農産物主体から鉱産物主体へと輸出構成を変えながら、単一輸出産品依存の状況が再生産されたのである。
https://style.nikkei.com/article/DGXDZO51527370Y3A200C1TY1P01?channel=DF130120166043&style=1
■日経『世界の企業が進出 アフリカ、なぜ注目なの?』
・麻布高等学校の鳥越泰彦先生の話
アフリカは資源大陸と呼ばれますが、その時代の技術や必要に応じて何が資源であるかは変化します。近年、「レアメタル」として脚光(きゃっこう)を浴(あ)びる資源も多くは20世紀になってから私たちが利用するようになったため、資源となったのです。特殊(とくしゅ)な合金や半導体(はんどうたい)、電池をつくるために必要なリチウム、バナジウムといった鉱物(こうぶつ)がその例です。石油でさえも150年前には資源とは言えませんでした。また、アメリカのような工業先進国はたとえ資源があっても資源大国とは認識(にんしき)されません。アフリカが資源大陸と呼ばれるのは、工業化に成功(せいこう)せず、資源輸出(ゆしゅつ)に頼らざるを得ない現状(げんじょう)を反映(はんえい)しています。
ちなみに、液晶やプラズマのディスプレーに使われるインジウムというレアメタルは札幌近郊(きんこう)の豊羽鉱山にたくさんあることがわかっています。しかし安全に採掘(さいくつ)する技術や採算性(さいさんせい)から、現在は採掘されていません。資源があっても、採掘する技術がなかったり、採掘して採算がとれなかったりすれば、資源とはならないのです。
特集「トランプ政権と米国第一主義」
■トランプ政権の通商政策をどう見るか(宮崎礼二)
(内容紹介)
Q&A形式で紹介。
Q
「トランプ政権の通商政策をどう見るべきでしょうか?」
A
「その点で非常にわかりやすいのはEU諸国、日本、中国などの批判を無視して、実施された制裁関税の発動でしょう。トランプにとっては通商政策も「アメリカファースト」であり「中間選挙で民主党にどう勝利するか」という要素が大きいのです(なお、エルサレムへの米国大使館移転も中間選挙でのユダヤ票目当てという側面が大きいと言われています)。そこで彼は選挙公約である『制裁関税を発動してでもEU、日本、中国などの対米輸出を減らし、アメリカの物作りの伝統を取り戻す』という主張を実行し、民主党支持層である労働者層の一部を共和党に取り込んで中間選挙で勝利しようとしています。
なぜなら、米国大統領選でのトランプ勝利には「いわゆるラストベルトでのプアホワイトのトランプ支持が大きかった」からです。
トランプにとっては「中間選挙に勝つため」なら伝統的友好国であるEU諸国や日本を敵に回すことを自重しないわけで、こうした態度はトランプ批判派からは当然「国際協調無視」と批判されています。
こうしたトランプ政権の政策は「トランプ流アメリカファーストが共和党支持層の絶大な支持を得ている」状況が変わらない限り、あるいは、中間選挙で民主党が大勝する、ロシアゲートでトランプ関与の動かぬ証拠が出てきてトランプ支持層や共和党執行部が彼を見捨てるといった事態にならない限り変わらないでしょう。なぜならトランプがいかに無茶苦茶をしても、トランプを支持する共和党支持層を恐れて共和党議員が彼を支え続けるからです。
トランプ政権は民主党支持層では1桁台の支持率で、国民全体では30%台ですが、共和党支持層に限れば最低の結果が出た調査結果でも7割の支持という絶大な支持を得ています(最高だと8割後半程度)。それにしても『民主党支持層では1桁台だが、共和党支持層では7割という現状』は国民の分裂という意味で非常に問題といえるでしょう。」
■軍拡の大義と核戦略の見直し:トランプの新国防政策に見る(西川純子*2)
(内容紹介)
Q&A形式で紹介。
Q
「トランプ政権の国防政策をどう見るべきでしょうか?」
A
「トランプは『強いアメリカを取り戻す』&『軍需をてこに米国経済を立て直す』として大幅軍拡を計画しています。ただしこの点、いくつか注意する必要があります。
まず第一にトランプは『外交のバックには強い軍事力が必要』としていますが、トランプ支持層が『米国の国益につながらない対外軍事行動に否定的なこと』から対外軍事行動には必ずしも積極的ではありません。トランプの軍事行動はほとんどがアフガン、イラク、シリアなどオバマ時代からの引き継ぎ事項です。
第二に軍需産業はトランプの軍拡を歓迎していますが彼らは一方で『トランプのラストベルト立て直し論』には否定的です。そもそも『国内でつくることにメリットがない』からラストベルトが誕生したのであり、そうしたラストベルト評価は軍需産業も変わりません。トランプの軍拡が実施されたとしてそれがラストベルト立て直しにつながるかは甚だ疑問でしょう」
■トランプ政権の途上国政策:「現代帝国主義」の視角からの一考察(真嶋麻子)
(内容紹介)
基本的にはいかなるかたちのものであれ「直接的利益がすぐに見込めないものは金など出さない」というトランプの考えが途上国支援でも実施されてると言うことになるでしょう。
NEDへの態度も「それが後で金になるのか!」であって決して「謀略的行為は良くない」ではないわけです。そういう人間だから途上国相手に「便所のような国」つう失言が平気ででる。しかし暴言ははくわ、ロシアゲートも噴出するわ、なのに「トランプと対立する民主党やリベラル系メディア(NYタイムズ、ワシントンポストなど)」はともかく、共和党から目立った批判が出てこないのも恐ろしい話です。
参考
https://www.asahi.com/articles/ASL1D625BL1DUHBI025.html
■朝日新聞『「便所のような国」発言、批判続々 トランプ氏は否定』
トランプ米大統領が11日、米国への移民が多いハイチや中米、アフリカ諸国を「屋外便所(shithole)のような国々」と呼んだと報じられたことに、「人種差別主義」などと批判と反発が広がった。トランプ氏は便所という言葉の使用を否定したが、名指しされた国々の怒りは収まりそうもない。
(中略)
「申し訳ないが、(トランプ氏は)『人種差別主義者』としかいいようがない」。
国連人権高等弁務官事務所のコルビル報道官は12日の記者会見で、強く非難した。「人種差別や外国人嫌悪に正当性を与えてそそのかすことは、人間の抱える最悪の側面へのドアをより広く開くことだ」と痛烈に批判した。
https://www.sankei.com/world/news/180114/wor1801140010-n1.html
■産経『トランプ大統領の「汚い国」発言 アフリカ54カ国が謝罪要求 白人至上主義者は称賛』
トランプ米大統領がアフリカ諸国やハイチを名指しで誹謗したとされる問題で、人種差別的だとして発言に対する抗議の声が世界に広がっている。
国連に加盟するアフリカの全54カ国の大使らは12日、米国で緊急会合を開き、トランプ氏に謝罪を求める共同声明を発表した。AP通信が報じた。それに先立ち、アフリカ連合(AU)は「最も強い言葉で非難する」との声明を出した。
米紙によると、駐米ハイチ大使はトランプ氏の発言を非難し、米政府に説明を求めているとの声明を発表。在米ハイチ大使館には米国民から謝罪のメールが多数、寄せられているという。ハイチ最大の新聞は「発言は人種差別的で恥ずべきだ。ハイチに親しみを持つ人はそのようなことは口にしない」と伝えた。
(中略)
一方、白人至上主義の米秘密結社クー・クラックス・クラン(KKK)の元最高指導者はツイッター上で「真実を語った」と称賛した。
https://www.cnn.co.jp/usa/35114612.html
■CNN『トランプ米政権、外交予算の大幅削減を提案 19年度予算教書』
トランプ米政権が2019会計年度(18年10月〜19年9月)の外交予算と対外援助予算の大幅な削減を提案している。国防費を増やし、それ以外の予算は削減するという方針に沿った措置となる。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9693.php
■ニューズウイーク日本版『トランプ政権「世界の民主化運動を支援するお金はもうない」』
米国務省が、全米民主主義基金(NED)の予算を大幅に削減しようとしている。親米の民主主義を広げるため、世界中のメディアや労働組合、人権団体に資金提供を行ってきたNPOだ。
ドナルド・トランプ米政権が2月に発表した2019会計年度(18年10月〜19年9月)の予算教書に沿って、国務省はNEDの予算を2018年度の1億6800万ドルから6700万ドルへと3分の1まで縮小する方針だ。さらに、全米民主研究所(NDI)や国際共和研究所(IRI)などNEDの中核となってきた組織に個別に割り当ててきた予算も、今後は米国務省の一般予算に組み入れたい、としている。
NEDの予算削減や見直しを、米議会が承認するかどうかは不明だが、もし認められれば、トランプ政権は海外の民主化運動を見捨てた、という誹りを免れないだろう。
特集「基地のない沖縄経済へ」
■沖縄における基地関連「経済効果」の検証(友知政樹)
(内容紹介)
赤旗の記事紹介で代替。
https://www.jcp.or.jp/web_tokusyu/201412-quiz/okinawa.html
沖縄の経済は米軍基地に依存していると思われがちですが、実際はそうではありません。沖縄が日本に返還された1972年の依存度は15.5%でしたが、2011年度には4.9%と大幅に低下しています。
依存しているどころか、返還が実現したところで経済が伸びているのです。例えば、那覇市では米軍の住宅地区が全面返還され、新しく那覇新都心地区として街づくりが行われました。その結果、返還前に168人だった従業員数が、2009年時点では17,285人と約103倍に増加しました。市町村民所得(推計)も850億円と、返還前の基地関連収入45億円を大きく上回っています。(沖縄県HPより)
実は沖縄経済を邪魔しているのが米軍基地なのです。
日本共産党は沖縄県民の声を踏みにじる今の政治を変え、基地のない沖縄を実現するために全力を尽くします。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-23/2015022301_03_1.html
■赤旗『基地返還 経済効果32倍 雇用は72倍、沖縄3地区 県が試算』
沖縄県はこのほど、米軍基地が返還された3地区の「(経済)活動による直接経済効果」が、返還前と比べて32倍に達したとの試算をまとめました。経済波及効果は雇用が72倍、税収で35倍に達します。「基地は沖縄経済の最大の阻害要因」という翁長雄志知事の主張が、あらためて裏付けられました。
試算の対象にしたのは、(1)那覇新都心(那覇市)(2)小禄金城(同)(3)桑江北前(北谷町)―の3地区。現在は商業地や住宅地、公園などに変わっています。
また、日米両政府が「移設条件」付きで返還を合意している5基地についても、直接経済効果が18倍に達します。経済波及効果は税収・雇用ともに18倍。普天間基地(宜野湾市)の場合、誘発雇用人数は返還前の1074人から3万4093人と32倍に拡大します。
沖縄県経済に占める基地関連収入の割合は復帰直後の15・5%から4・9%(2011年度)まで減少しています。政府が沖縄に基地をおしつける際に用いてきた「基地繁栄」論は、もはや成り立つ余地がありません。
もちろんこうした試算には議論の余地があるでしょうが、少なくとも「狭義の基地経済(基地地主の地代収入、基地労働者への賃金、基地相手の商売など基地それ自体が生み出す経済効果)」は政府、自民党が言う程ではないことは、当の政府、自民党ですら理解しているでしょう。
問題は「広義の基地経済(基地負担を受け入れさせるために国からぶち込まれる補助金)」ですが、少なくともこれは「基地それ自体が経済利益を生んでいる」という話ではありません。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-11-23/2017112303_02_1.html
■赤旗『翁長知事3周年 激励、那覇「基地が経済阻害要因」』
翁長氏は「“沖縄は基地に依存している”という認識が県内外にまだ残っている。だからこそ“米軍基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因だ”という言葉をしみこませたい」と訴えました。
■沖縄の軍用地料をどう見るか(来間泰男*3)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。なお、「軍用地料は明らかに高すぎる。引き下げて当然だ」という来間氏の立場は沖縄においては必ずしも通説的見解ではないようです。来間氏によれば「軍用地主ともめること」を躊躇してそのあたりは共産党、沖縄社会大衆党、社民党、沖縄地元紙(沖縄タイムス、琉球新報)などもあまり言及することはないようです。
また来間氏は百田の例の発言を「事実誤認と偏見ばかりだ」「沖縄の新聞を潰したいとは民主主義否定だ」と当然、批判しながらも「軍用地主に基地支持派が多いこと」や「軍用地主料が不当に高額設定であること」自体は事実であり、「百田発言を批判するあまり、軍用地主の問題を軽視する誤った傾向が『共産党を含む』基地反対派にはないか」としている。
https://dot.asahi.com/aera/2015062200059.html?page=1
■アエラドットコム『沖縄軍用地の「賃料」が働く意欲奪う? 地主との見えない壁」』
沖縄県中部の北中城(きたなかぐすく)村の比嘉一郎さん(64)は、米海兵隊のキャンプ瑞慶覧(ずけらん)(同村、宜野湾市など)の司令部近くに数百坪の土地を持つ軍用地主だ。キャンプ瑞慶覧の90%以上は民有地。比嘉さんは、地主たち1200人でつくる「北中城村軍用地等地主会」の副会長を務める。
(中略)
毎年、1平方メートルあたり2千円ほどの賃料収入がある。
「迷惑料のようなものです。それで暮らしていける金額ではないですよ」
軍用地の賃料について、比嘉さんは「実際の地価水準からすると、安く抑えられている」と話すが、別の見方もある。
来間泰男・沖縄国際大学名誉教授は「高すぎる軍用地料の弊害」をかねて訴えてきた。
「地価全体は低落傾向にありますが、軍用地は1990年代は年間4〜5%、2000年以降は1〜2%は着実に上がってきた。地代は生産額の6%程度ですが、当初の軍用地料は38%に設定されていた。保障を含めた価格で、純粋な地代ではない。政治価格なのです」
農業経済が専門の来間さんは、軍用地の賃料収入が、沖縄全体の農業生産を大きく上回る状況が異常だと指摘する。2013年の軍用地の賃料収入は年間960億円ほど(自衛隊を含む)。県の生産農業所得388億円は、その4割しかない。
「沖縄全体がどれだけ農業で頑張って野菜や果物を作っても、単に土地を貸しているだけの軍用地の賃料にまったく及ばないお金しか稼げないのです。働く農業者と働かない地主との格差は広がっている」(来間さん)
■対談「原発災害からの地域・ふるさとの復興:その意味を問う」(鈴木浩、除本理史*4)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。正直「論点が多岐にわたっていて結論も(少なくとも小生にとっては)難解」なのでうまく内容紹介がまとまりません。
■『経済』7月号 対談 登壇者 鈴木浩さん 第2分科会 除本理史さん
「原発と人権」集会の全体会にご登壇の鈴木浩さん(福島大学名誉教授・元福島県復興計画策定委員会委員長)と、第二分科会「原発災害と政策転換」担当の除本理史さん(大阪市立大学教授)の対談が、雑誌『経済』7月号(6月8日発売)に掲載されました!
対談のタイトルは「原発災害からの地域・ふるさとの復興」。
ぜひ、お手に取ってお読みください。
鈴木浩さんには、7月28日の「原発と人権」集会の全体会で、「現在の被害補償、復興政策の問題点と検討されるべき課題」のテーマで報告いただきます。
また、除本理史さん御担当の第二分科会の内容ご紹介は、以下の通りです。
・・・・・・・・・・・・・
福島原発事故による被害の回復のためには、正当な賠償とともに「人間の復興」に向けた復興政策の見直しが不可欠です。また健康確保のための施策の改革なども求められます。本分科会では、第1日目全体会での被害回復に向けた政策的課題に関する報告・議論を受けて、上記の論点についてより具体的な検討を進めます。
具体的には、①住民の健康調査や放射能測定、および②復興行財政の見直しを取り上げます。①については、医学的な知見ではなく、情報公開やリスクコミュニケーションなどの政策的視点から問題を検討します。また、市民、自治体による独自の測定や調査を通じて、政策的課題を考えていきます。②では、復興行財政の現状を明らかにするとともに、改革の方向性を検討します。
三木由希子さん(情報公開クリアリングハウス)、村山武彦さん(東京工業大)、清水奈名子さん(宇都宮大)、井上博夫さん(岩手大学)他の登壇を予定しています。
■ビットコインとは何か(建部正義*5)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。
赤旗
■ビットコインって?
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-28/2014022808_02_1.html
■ネット番組「大門ゼミ」 ビットコイン解説
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2018-01-27/2018012702_06_1.html
■北朝鮮の経済はどうなっているか(今村弘子*6)
(内容紹介)
Q&A形式で紹介。
Q
「北朝鮮経済をどう見るべきでしょうか?」
A
「北朝鮮が米国との戦時下にあること(現状は建前では休戦に過ぎません)を理由に公式統計をほとんど発表しないこともあり、評価は非常に困難です。しかし韓国政府の発表する推計などでも一定の経済成長をしているとみられます。経済制裁はあまり効果がないとみるべきでしょう。また、こうした推計を信じるならば、過大評価は禁物ですが、北朝鮮の近年の改革開放が一定の成果をあげてるということではないか。当然ながら経済的理由での政権崩壊も現実性に乏しい。
もちろん1)制裁があまり効果がない大きな理由の1つは中露の経済支援であること、2)したがって、北朝鮮にとって「結果的に制裁の影響が小さい」とはいえ、中露の政治決定に振り回される危険性が強い現状が望ましいとはいえないこと、には注意する必要があります。
事情はともかく拒否権発動をせず、安保理の北朝鮮経済制裁に賛成した、そして北朝鮮の核保有それ自体には否定的な中露を北朝鮮も全面的には信頼してないでしょう。そもそも韓国と中露との国交樹立以降は北朝鮮と中露との関係はかなりビジネスライクになったかと思います(とはいえそれでも中露が北朝鮮打倒論に与することはないでしょうが)。
中露への経済的依存をなるべく低めたい、そのためにも米国の制裁をできる限り早急に解除したいというのも今回の南北、米朝首脳会談の背景にあるわけです。米国が制裁を続ける限り中露以外との経済交流にはネックがあるからです。」
■長期停滞化の資本主義経済:「賃金主導モデル」が閉塞を打開する(本田浩邦*7)
(内容紹介)
賃金がコスト扱いされ、削減される傾向に対し、「賃金アップによる需要増大」こそが経済成長政策の本筋であり、賃金削減はかえって需要縮小により不況を助長していると主張している。
*1:著書『開発と国家:アフリカ政治経済論序説』(2010年、勁草書房)など
*2:著書『アメリカ航空宇宙産業』(2008年、日本経済評論社)など
*3:著書『沖縄経済の幻想と現実』(1998年、日本経済評論社)、『沖縄の米軍基地と軍用地料』(2012年、榕樹書林)、『沖縄の覚悟:基地・経済・“独立”』(2015年、日本経済評論社)など
*4:著書『環境被害の責任と費用負担』(2007年、有斐閣)、『原発賠償を問う:曖昧な責任、翻弄される避難者』(2013年、岩波ブックレット)、『公害から福島を考える:地域の再生をめざして』(2016年、岩波書店)など
*5:著書『貨幣・金融論の現代的課題』(1997年、大月書店)、『金融危機下の日銀の金融政策』(2010年、中央大学出版部)、『21世紀型世界経済危機と金融政策』(2013年、新日本出版社)、『なぜ異次元金融緩和は失策なのか』(2016年、新日本出版社)など